ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

【日本舞踊】習った曲を振り返ってみる④春雨

日本舞踊を始めてから今までに習った曲を、習った順に振り返ってみる企画の第4回です。

これまでのシリーズはこちら 

※ひとつお断りしておくと、流派によって、どころでなく同じ流派でも先生によって、振付は全く異なります。あくまで、私が習った振りでのお話です。
 
***

1年目の冬から春にかけて教えていただいた曲。
こうやって振り返ると、そのときのレベルだけでなく、やはり先生は季節も意識して曲を選んでくださっていたんだな、と思います。


そして!これは!急に難しくなったんですよ!!
だから楽しかった!!!笑

振りがこれまでの曲よりも細かく増えて、当然知らない動きもたくさん出てきて。
お扇子を投げたり、早い間ですべったり。順番がごちゃごちゃになりそうな似た動きが何度も出てきたり。 

一番苦戦したのは、手を正面で一つ叩いてから「膝・膝・膝・胸・胸」と左右交互の手で打って、最後に手を正面に伸ばしてとんとんと二つ踏むところ。(伝わらない説明その1)
これは割と定番の動きで、いろんな曲にいろんな速さで出てくるのですが、初めてだとやっぱり大混乱です。

先生に「器械体操じゃないのよ~」と言われつつ。笑

初めての動きの何が難しいかというと、何をやらされているのかさっぱり分からないところなんですよね。
先生の動きを見ても、自分が何を目指してどうすればいいのか頭の中でつながらないのです。
機械音が聞こえてきそうなほどぎこちない動きをしていたのでした。笑

でもこの頃、おこがましくも自分の中に「もうちょっとしっとり踊ってみたいなぁ」というのが芽生えてきたんですよね。

というのも、この曲がとても好きだったんです。
鶯の声で始まる曲なのですが、最初はしっとりとした曲調、途中からお三味線が少し調子よくなって、何というか、大人の余裕が感じられる曲だったんですね。(伝わらない説明その2) 

とにかくまずは振りを覚えるのに今まで以上に必死で、先輩を掴まえて一緒に踊っていただいたり、どうしても分からないところを何度も教えていただいたりしながら何とか最後まで。
その一方で、自分なりに首の振り方を変えてみたり、滑り方を変えてみたり、いろいろと工夫をしてみたのでした。

***

苦労した分、この曲が上がったあとは今までよりも少しだけ自信がついた気がします。
多分、「できることが増えた」という実感があったのではないかな、と。

自信がついた分、それまで以上に積極的になった気がします。
もっとできる、もっとやってみたい、という気持ちがぐんぐん出てくるんですね。

そうです。
その気になりやすいタイプなんです。笑

今でもそういう気持ちは変わりません。
一曲上がるたびに、「次はもっとできることが増えるかもしれない」と思います。
同じくらいの大きさで「覚えられなかったらどうしよう…」という不安もあるのですが。笑


2年目からは、だんだんと長い曲が増えてきます。 
諸般の事情でここには書かない曲もありますが、気長にお付き合いいただけますと幸いです。

 

「艶容女舞衣」観てきました!〜国立劇場文楽9月公演 初心者の感想〜


超 今 更 ! ! ですが、国立劇場の9月文楽公演、感想第二段です。

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第一弾はこちら↓


8月に女流義太夫で聴いた「酒屋の段」(感想はこの記事
あのときは省略された(?)丁稚のもとに子供が預けられるくだり、酒屋のあとの半七・三勝の心中のくだりも加わり、2時間近くの公演でした。

以下、心に残ったポイントをぽつぽつと。

※カッコ内は以下の通りです。
役名(人形主遣い)、(太夫/三味線) 

***

前半、丁稚文哉さんがかわいいですねぇ。

頬杖をついて、隣の家のお稽古の様子に耳を澄ます様子とか、何かする度に主人に「阿呆」と言われてしまう間抜けさとか、愛らしいです。

5月の「妹背山」でも丁稚はかわいかった記憶(うわ、私これ感想書きかけになってる!うわぁぁぁ)

***

そして、前回素浄瑠璃で聴いたときにも刺さった宗岸(玉也さん)の、男手一つで育てた娘・お園(清十郎さん)に対するこの詞。

「…愚痴なと人が笑はうが俺や可愛い不便(筆者注:不憫)にござる。可愛うござる╱ ╲ ╱ ╲ ╱ ╲わいなう」 

それまではそんな気配はおくびにも出さないのに、堪えに堪えていたんだよなぁ。
こういう、感情が溢れてしまう瞬間に弱いのです。丁寧に語られるところに、追い打ちをかけてくる三味線(ここは藤太夫さん清友さん)。 
 
自らが一番辛いであろう立場のお園ですが、驚いて父に寄り添います。
お園ちゃんは本当に、気遣いの塊なんですよ。。

***

「今頃は半七様、どこにどうしてござらうぞ。…」

で始まる有名な詞(この辺りから津駒太夫さん藤蔵さん)。
ここ、人形で観るとお園清十郎さんの形が何ともきれいですね。。
 
行灯をつけて、その行灯にもたれ、玄関を見遣り、所在なく家の中に目を遣る。
じわじわと動く人形。
気もそぞろな様子が非常に細やかでリアルです。

去年患ったときにいっそ死んでおけば…と悶えながら泣くお園に、やっぱり胸が痛みます。どうかそんなこと言わないで…。
 

このあと夫の愛人の子に当たるお通ちゃん(勘昇さん)が出てくるのですが、お園はこのお通ちゃんを迷いなく抱く、その抱き方にも愛があって、本当に何て強い女性だろうかと。
夫のことを一番に考えて、愛人にも恨みを持たず、その子供を愛情深く抱き上げるって。
舅に当たる半兵衛がお園を手放したくないのも、よく分かります。

前回私が好きだったのは、半七からの書置を家族で読む場面。

ここね、お通ちゃんがかわいいんです。はいはいするんです。
はいはいして、半兵衛(玉志さん)のとこに寄っていって、半兵衛がそれにはっと気付いてよしよししてあげる。このさりげないくだりが、何だかとても温かくて良かった
頑固ジジイのような役どころかと思わせておいて、半兵衛はどんどん温かみを増してきますよね。
 
その場で動いている人物以外の、こういう細かい部分って、やっぱり聴いて想像するだけでは補い切れない部分で、人形浄瑠璃だからこその情の深さだなぁと思います。


この書置のなかの、「夫婦は二世と申すことも候へば、未来は必ず夫婦にて候」というところ。
半七はあの性格なので絶対口だけだと思うんですが(実際このあとの道行で、三勝に向かって「千年万年先の世まで、必ず二人は一緒ぞや」とか吐かしてるんですよね)
それを読んだお園が素直に喜ぶところ、そして父・宗岸が「われが為にいつち良いことが書いてあるなあ」と言ってあげるところ、どこまでも美しい親子だなぁと…。
 
たぶん、二人ともそんなのは口先だけだと分かっていると思うんです。
それでも、半七の両親がいる手前もあるかもしれませんが、そこに望みを見出だして素直に喜びを見せる。
そういう嫁に、半兵衛夫婦も助けられるところがいっぱいあったんだろうなぁと思います。


で、この一連の流れを外から見ているのが、事件の中心にいる半七・三勝カップルです。
三勝の嘆き、外にいるなんてバレたらまずいわけで、絶対に声を抑えなきゃいけないところなんですよね。
でも、心の中は到底静かなわけがなくて。

そういう内面的なドラマを、太夫と三味線がしっかり見せてくれるんです。
物凄く盛り上がるのです。静かな場面ですが、音曲的には一番盛り上がっていたと思います。

義太夫の、こういうワーッと感情を煽るところ、いつもがっつり心を持っていかれます。。大好き。

このあと、二人の最期の様子を見せる道行の段があって、幕になります。

*** 

いやぁ、毎度ながらすごい迫力。

歌舞伎座で観る義太夫狂言も好きなのですが、私が文楽を観るのは専ら国立小劇場なので、体に届く音圧が歌舞伎座とは全然違うんですよね(歌舞伎座も舞台から遠い席ばかりなので笑)。


12月の文楽公演、チケット取れるかしら。
次はあの「熊谷陣屋」を含む「一谷嫩軍記」。一度通しで観てみたかった演目です。(歌舞伎の「熊谷陣屋」感想はこちら
それから、鑑賞教室の方では、去年も出た「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめ こいのひがのこ) 火の見櫓の段」この記事と、「平家女護島(へいけ にょごのしま) 鬼界が島の段」が観られます(それぞれ「お七」「俊寛」 と言った方が分かりやすいかもしれません)

スケジュール的に、鑑賞教室は諦めかもしれませんが…この12月公演は本当にチケットが取れなくて、去年も日々戻りを狙っていた記憶があります。

チケット争奪戦、頑張ります…!!


 

物知らずが行く歌舞伎#15〜吉例顔見世大歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴2年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この2年でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


私事の言い訳ですが、最近身の回りに変化が多く、ブログの更新はおろか、なかなか歌舞伎を観に行けない日々が続いております。。
書きたいこと、覚えておきたいことはたくさんあれど、もどかしい限りです。
情報が遅れがちになっており、申し訳ございません。。

さて、11月です。
楽しみな配役で、6つの演目が並びました!
初心者的にはちょっと珍しいのでは?と思う演目もあり、楽しみな月が始まります。

そして!11月の大きなニュースとしては、
中村梅丸さん中村莟玉(かんぎょく)襲名披露ですね!!

最後にも書きますが、おめでたい、記念すべき舞台をぜひ拝見しに行きたいです。

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■歌舞伎座 吉例顔見世大歌舞伎の演目は?


11月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.研辰の討たれ(とぎたつのうたれ)
二.関三奴(せきさんやっこ)
三.梅雨小袖昔八丈(つゆこそでむかしはちじょう)
 髪結新三 白子屋見世先より閻魔堂橋まで

【夜の部】
一.鬼一法眼三略巻(きいちほうげんさんりゃくのまき)
 菊畑
二.連獅子(れんじし)
三.江戸女草子 市松小僧の女(いちまつこぞうのおんな)


「梅雨小袖昔八丈」も「鬼一法眼三略巻」も、実は決して難しい読みではないのですが、何せ漢字が7文字も並ばれると…

とは言え、いずれもこの正式なタイトル(=外題(げだい)) より、通称の「髪結新三(かみゆいしんざ)」「菊畑(きくばたけ)の方が有名で、こちらで呼ばれることの方が多い印象です。
幕見席の切符を買うときも、「髪結新三」「菊畑」で通じるはずなので、恐れずとも良いと思います。


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】


「研辰の討たれ」は、野田秀樹さん演出のものをシネマ歌舞伎で観ています。
※DVD/Blu-rayも出ていますのでご参考まで↓

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「関三奴」は名前だけ聞いたことがありますが、実際に観たことはありません。

「髪結新三」、これは以前、尾上菊之助さんのドキュメンタリーをテレビで観ていたときに、お父様の菊五郎さんがこの「髪結新三」を指導していらっしゃる映像が、少し流れたのでした。
なので全体像としては全く分かりませんが、一応知ってはいますよ!という感じです。

【夜の部】

「菊畑」は、名前だけ知っている程度。おそらく歌舞伎関係の何かの本で見かけたのだと思います。

「連獅子」はもう、舞踊会でも何度も観ている踊りです。自分もお稽古していただいたことがあります。言うのが恥ずかしいレベルですが。笑
ラグビーW杯の公式キャラクター・レンジーのモデルとなった、紅白のロン毛のアレです。(怒られる)

「市松小僧の女」 は初めて聞きました…42年ぶりの上演とのことなので、まぁ当然といえば当然ですね。。

*現時点で知っていることは?


◇研辰の討たれ


美談として語られる忠臣蔵の討入りを、研ぎ師の守山辰次という人物を通して全く別の観点から描き、人間の心理を抉り出す作品でした。
が、原作を知らないまま観ているので、元々がどういうものだったのかは非常に気になるところです。

◇連獅子

能「石橋(しゃっきょう)」が元になって作られた舞踊です。
とりあえず、次のストーリーが分かれば楽しめるはずです↓

●獅子を手に持って踊るところ

霊地・清涼山にあるとされる石橋の由来を語っていきます。

●獅子を置いてから

親獅子は、仔獅子を谷底に突き落とし、自力で登ってこられた仔だけを育てます。

ここでは、

・無邪気に遊んでいた仔獅子が、親に突き落とされ、縋りつこうとするもやはり力尽きて谷底へ
・なかなか登ってこない仔に気を揉む親
・谷に流れる川の水面越しに、親子の目が合う!仔獅子、一念発起!!
・懸命に駆け上がってくる仔獅子と親獅子の感動の再会

というようなストーリーが展開されます。

「連獅子」といえば毛を振るところが有名ですが、私はここが一番ドラマティックだと思います。
特に実の親子でなさると、胸に迫るものがありますね。
今回も、松本幸四郎さん市川染五郎さん親子による連獅子です。

●宗論

一旦二人が花道から引っ込み、新たに獅子の拵えで登場するまでの間を、狂言がつなぎます。
どっちの宗教の方が秀でているかを言い争う「宗論」 と呼ばれるところで、これは知らなくても聞き取れるのではないかと思います。楽しいところです。

で!ここから獅子が出てくるまでの音がかっこいいのでぜひ聴いてください!! 

●毛振り

何も考えずに観て楽めばよいと思います(ざっくり)


■観てみたい演目は?


ううん毎度ながらどれも捨てがたい…

「研辰」「髪結新三」「菊畑」「市松小僧の女」は外せないなと思います。
でも舞踊好きとしては、「関三奴」「連獅子」も外したくない…!!

「髪結新三」は、先述したドキュメンタリーで一瞬映った、指導なさっている菊五郎さんの新三があまりにもかっこよかったのです。
そのときお洋服を着ていらしたにもかかわらず、一言セリフを発すればもうそこは江戸で。
これは是非とも観なければ、と思ったのです。

「菊畑」は、最初に触れた莟玉さんのお披露目の演目
これはやっぱり特別なものなので、観ておきたい。

それから「市松小僧の女」、全く情報がないのですが、池波正太郎の作品とのことです。
主役は中村時蔵さん時蔵さんの演じる男勝りな女が大好きなので、非常に楽しみなのです。


■どのチケットを買う?


11月も幕見で昼夜通しかなぁ。。

毎月毎月「幕見」とか「3等」とかばかりで恐縮です。
歌舞伎大好きなのですが、なかなか思うままにお金をかけてもいられないのです。。 

正直言って、観劇はお金のかかる趣味です。
無理なく楽しむのが一番だと考えています。

と、最もらしいことを言っておりますが、実態はただのジリ貧女子です。


■まとめ


これまで梅丸さんを観る機会はそれほど多くなかったのですが、今年の新春浅草歌舞伎で観た禿(この記事)の可愛らしさはくっきりと思い出せます。

歌舞伎の家の生まれではない梅丸さんですが、この度中村梅玉さんの養子となり、新たに初代莟玉を名乗るとのこと。
初心者ながら、歌舞伎界が家柄重視であることはいろいろな局面で感じてきたので、これは本当に凄いことなのだと思います。

襲名が発表されたときの、梅丸さんのインスタグラムの文章。読むたびに目頭が熱くなってしまうので、ここにリンクを貼らせていただきます。
中村梅丸さんインスタグラム

心のこもった、いい文章。本当におめでとうございます。

11月も、きっと素敵な興行になりますね
 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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