ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

「寿式三番叟」初心者はこう楽しんだ!〜六月大歌舞伎(歌舞伎座) 昼の部感想


6月の歌舞伎座、最初の演目は「寿式三番叟(ことぶき しきさんばそう)

2日目の今日はかなりの混雑でしたが、これはもう人が入れば入るほど会場内が熱くなれるような演目なんじゃないかと!
三番叟の松本幸四郎さん尾上松也さんの踊り、最初の幕から飛ばしに飛ばしています!!

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今月の絵看板、上から翁、千歳、三番叟。ちゃんと松の絵も描いてあるんですね!




■初心者でも楽しめるのか?


楽しめます!

最初の方は、中村東蔵さん)と千歳中村松江さん)による儀式的な、格調高い踊り
後半、三番叟(幸四郎さん、松也さん)が出てきてからは、観ている方の息も吐かせぬ勢いある踊りで、ちょっと前半からは想像できないような展開です。笑

太棹三味線の太い響き、力強い足拍子、鈴の音…目だけでなく耳も楽しい演目だと思います!

★三番叟の振りの中に、両手を使って「大入」と書く振りがある、ということを知っているとちょっと楽しみが増えるかもしれません。
(初めて観たときに一体何の動きをしているのかと思ったら、これ↑だったらしい)


■私はこう見た!ここが好き!


面白いなぁと思ったのは、面箱を捧げ持った千歳(松江さん)と翁(東蔵さん)が出てくるとき、舞台上にいる方達が全員頭を下げているのです。
地方さん(音楽の方々)も、後見さんも。
儀式性の強い踊りということが、こんなところにも表れるんだなぁと思いました。

ここの音楽も幻想的というか、耳馴染みがない言葉が続くんです。

「とうとうたらり たらりら たらりあがり ららりとう…」
 
元はサンスクリット語ではないかと言われているようですが(諸説あり)、詳細は分かっていないそうです。
そんな呪文のような言葉から始まるということが、もう何だかわくわくしちゃうんですよ!子供の心を忘れない大人。

***

やっぱり三番叟の踊りがものすごくて、通しで観るならば一幕目からがっつりと心を掴まれるのではないかと思います。

序盤、つつつ、と花道まで歩いていって、きりっと舞台を向き直る動きの緊張感

ここから怒涛の勢いで踊りが展開していきます。
飛んだり跳ねたり踏んだり。

とにかく幸四郎さんも松也さんも目を瞠るほどの勢いで動き、一瞬たりとも気が抜けません!

特に幸四郎さんはさすがで、ちょっとしたところの動きの細やかさや、どれだけ激しく動いてもブレない軽さ、しなやかさに感動しました。

そして無駄のなさ、力みのなさですよね。。
三番叟の衣装、袖が大きいなぁと思うのですが、あのたっぷりした袖をいとも自然にすっと腕にかける。
あれだけ動く踊りにも関わらず、観ているこちらが忙しくなく、気持ちが良かったです。

***

三番叟の特徴は足拍子なのではないかと思います。
一つのリズムを二人で分担して踏むのです。

他の踊りでも足拍子が特徴的なものはありますが、こと三番叟に関して言えば、農耕の中の「地面を踏み固める」というところから足拍子が多用されるようです。
五穀豊穣を祈る踊りだということがよく分かりますね!(ちなみに鈴も、稲穂を表しているそうです。)

この足拍子の音がいいんですよ。。
以前、所作板についての記事を書いたのですがこちら、今回の舞台にもこの所作板が敷かれています。
とにかく音がよく響きます!!

二度目に花道に来たときが、特に体に響いてきた気がします。幕見席の花道上くらいにいたので、場所の関係もあるかもしれません。

ただでさえ華やかな太棹三味線の音に、この力強い足拍子の音が加わって、音フェチとしてはもうたまらないのです

***

とにかく怒涛の勢いで動き続けてきた三番叟、終盤にピタリと静止したところで、気付けば自然と拍手しておりました。。

あんなに動いてきて、こんなに涼しく止まれるものか!

何というか、繰り返される旋律の中で激しい動きを見続けていて、一種のトランス的なものだったのではないかと。笑
このすっと止まった瞬間に、目が覚めたようでした。


■まとめ


幕開けがこんな素敵な三番叟。「六月大歌舞伎」全体が楽しみになりますね!

11時開演、幕見席は10時半チケット販売開始で、10時過ぎにはもうかなり並んでいるので、幕見でいい席を確保したければちょっと朝早くはなるのですが(日頃の不摂生が垣間見える発言)
早起きしてこれが観られたら三文以上の得というものです。

偉そうなことを言って恐縮なのですが、後半に観に行ったらきっともっと面白くなっていると思います!

もう一回くらい観たいなぁ。

 

【日本舞踊】首振り三年?


日本舞踊には「首振り三年」 という言葉があるそうです。
始めたばかりのころ、当時教えていただいていた先生がおっしゃっていました。

首をちゃんと振れるようになるには、3年はかかるということ。

以前も書いたかもしれませんが、日本舞踊では首を振ることがとても多く、初めて見学したときには結構驚きました。 
先生に「はい、ここでお首!」と言われたら、ちゃんと左右どちらかから、いち・に・さん、と首を振るんです。
どうなってるの?!と思いました。笑


とは言え、「首振り三年」です。

いや、そんなわけないでしょ、と。
さすがに首を振るのにこんなにかかると思わないんですよ。
だって、左右どちらから振るのかさえ分かれば、あとは振ればいいんですから。

ところが、です。

3年どころじゃないんです。

私が3年で身についた首のことと言ったら、せいぜい左右どちらから振ればいいかということぐらいでしょうか(そのときによってどちらから振るか変わるのです)
もしかするとそれすらも危うかったかもしれません。この辺の具合は人によると思いますが…。


踊りを始めて2年目くらいのときに、「だいぶ首が動くようになってきたわね」と言われたのですが、
当時の映像を見ると、もう鬱陶しいくらいにぐにゃんぐにゃんです。笑
到底「首が振れている」とは言えないような状態。
それでも先生がそうおっしゃったということは、まずは首が「動く」ということが、第一段階なのかもしれません。


その後、またいろんな踊りを観る機会を得て、5年目くらいのときから、自分の中で「首振り改革」を始めてみました。
それまで首だけを振っていたところを、肩の動きに注目してみたりとか、二つ目の振り方を変えてみたりとか。
やってみると、またやりすぎて注意されたり、逆に上手く動かなくて混乱したりするわけです。
 

加えて、いつもの「いち・に・さん」で振るのではない、新たな首の動きも出てくるようになります。

たとえば、踊る曲ごとの雰囲気はもちろんのこと、一曲の中でも場面によって、首の振り方を変えるということがあるのです。
ここはまだ幼さの残る娘だから、はっきりと振る。同じ曲でもこの部分は、おませに女ぶるところだから、しっとりと振る、とか。

あるいは、お面の踊りの首は特徴的です。
お面で顔が隠されてしまっているので、しっかり首(顔)を動かさないと表情が出ない。
その状態が、「いち・に・さん」できまるのではない間もずっと続いているのです。 
今までの首の振り方がベースなのは分かるのですが、いざお面になると、途端に動きが理解できなくなったりします。


現在8年目、結局まだまだ首は分からないことだらけ。

「首振り三年」は、踊りを始めた当初とは全く逆の意味において「そんなわけないでしょ!」な言葉になっています。笑
 

「京鹿子娘道成寺」観てきました!〜團菊祭五月大歌舞伎(歌舞伎座) 夜の部感想


はい、

今月はしんどかったです!

過去に拝見した踊りがどれも素敵だった尾上菊之助さんが、「京鹿子娘道成寺」という大曲を、歌舞伎座で踊る。

この大曲には、これまでにずっと流れてきた「道成寺の系譜」みたいなものがあるわけで、その流れに今、自分が観ることができる今、菊之助さんという新たな花子が加わるわけで。

いえ、それはどの演目もそうなのでしょうけれど、一人でこれだけの時間踊り続けるという点において、そして女方の集大成とも言われる踊りという意味で、やっぱり道成寺は特別な気がします。

そうなると、単に「「道成寺」という演目を楽しみましたよ!」で終わりたくない。
「菊之助さんの道成寺」という見方をしたい。

そもそも道成寺を初めて通して観る自分が、「菊之助さんの道成寺」を覚えておくためにはどうしたらいいんだろう。
私は「道成寺」という演目そのものをどうやって観ればいいんだろう。 

いろいろと思い入れが強かったゆえに、気がつけばこの曲のことを考えていた一ヶ月でした。 

結局「菊之助さんの道成寺」という見方ができたかどうかは定かでないのですが、
何にせよ一生懸命だった今月の観劇の痕跡、ここにしたためておこうと思います。
いつも以上に独りよがりですが、何卒ご容赦くださいませ。

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■道行


黒地に花を散らした衣装で登場。
ここだけ音楽が竹本なのが面白いです(他の部分は長唄)。

花道で踊られるこの部分、「白拍子花子」と「清姫の霊」が渾然としていると思います。
詞章でも花子のいそいそとした娘っぽさと同時に、鐘への執着が語られます。

鐘を観ながら体に溜めを作ってじりじりと動き、「清姫」としての心情を見せたかと思えば、そのあとまたすっと「花子」としてのかわいらしさが見えたりもして、「ここから物語が始まるんだなぁ」と感じました。

この「道行」の踊り方で、その方が踊る花子の人物像みたいなものの一端が、少し見えてくる気がします。
菊之助さんの花子は、はっきり娘むすめしているわけではなく、かといって色っぽすぎず、おっとりとしたお嬢さんな感じ。 


■乱拍子/中啓の舞(花の外には松ばかり〜/鐘に恨みは〜)


黒の着物を脱ぎ、赤の鮮やかな衣装で再登場です。金の烏帽子をつけます。
ちなみにこの烏帽子と中啓(このときに使うお扇子)、歌舞伎座ギャラリーに展示してあり、自由に撮影ができましたよ!なりきり花子セット。

ここでは鐘のことが歌詞にたくさん出てきて、振りでも鐘を見るところがいくつかあります。

印象に残っているのは、「花の他には松ばかり〜」で一度花道の方に行き、七三で鐘を振り返るところ。
ここではキッと見上げるのではなく、ふっと引かれてしまう感じ。
きまった形の美しさよ。

そしてもう一箇所、この部分の終わりで「真如の月を眺め明かさん」で、たっぷり溜めて鐘を見上げるところ。
目が素敵なんです。鐘を見るときは目つきが変わるんです。 


■手踊り(言わず語らぬ〜)


しっとりとした曲調の、手踊りの部分。
烏帽子は外しますが、先ほどと同じ赤の衣装で踊ります。

細かいのですが、「つれないはただ 移り気な」のところがとても好きでした。

足を出して体を少し捻り、その足をちょっと上げて下ろす、その足先の何気ない表情が繊細で、かわいらしくてですね…
目線、足先、全てに拗ねている娘のいじらしさが溢れていました。

菊之助さんの踊りは、まっすぐだから好きなのです。
まっすぐというのは、決して「固い」「動いていない」ということではありません。
「素直」と言ったら良いのでしょうか、言葉選びって難しいのですが。。巧まない、と言いますか。

この部分もシンプルかもしれませんが、だからこそ楚々としたかわいらしさが浮かび上がってくるのだと思います。


■毬唄(恋の分里〜)


先ほどの部分の最後「都育ちは蓮葉なものぢゃえ」で引き抜きになり、一瞬で衣装が赤から浅葱色に替わります。
引き抜き、演出として盛り上がるので良いですよね!

ここの引き抜き、後見の方のお力も大きいと思うのですが、私が観た日は全く踊りに影響がなくてすごいなぁと思いました。

ここから少し曲の雰囲気が変わります。
テンドツツン、テンドツツンというお三味線のリズムも楽しく、華やかになるところです(口三味線あいまいですごめんなさい)。

この毬唄の部分は、私としては今回の菊之助さんの道成寺の中で、一番好きなところかもしれません。
何ともほのぼのとした、おっとりとした娘の雰囲気が愛らしい。 

首をきゅっと曲げるとか、はっきり動くとか、娘っぽさを出す方法っていろいろあると思うんですが、菊之助さんの花子はそうではない。
あのただただ溢れ出る、育ちの良さそうな娘の雰囲気はどこから来るのでしょう。動きの柔らかさでしょうか。

柔らかさといっても、玉三郎さんみたいな流れるような柔らかさとはまた違うのです。
もっと素直な、ぽわっとした、丸みを帯びた感じなんですが、うーん、全然説得力がないですね…

見せ場としては、しゃがんだ体勢のまま毬をつきながらつつつと円を描くように回ってくるところだと思うのですが、
印象的だったのは「室の早咲き それがほんに色ぢゃ」のところで、左の帯の前辺りでふわっと花を咲かせて丸めて毬にする振り。
とっても何気なく踊られるのですが、柔らかさきめ細かさが本当に素敵でした。 

確か、以前某テレビ番組で玉三郎さんが「ここは陰気な感じを見せる」とおっしゃっていたと思うのですが、
菊之助さんのこの部分に陰気さは感じず、むしろ無垢な少女だったような気がします。私が感じ取れなかっただけかしら…。

この部分の最後、「思い染めたが縁ぢゃえ」でゆっくりと首を振るのですが、それまでのほのぼのとした空気感と、ここは一線を画しているように感じました。
じっとりとしたものが一瞬滲んだ気がして、ぞっとしました。 


■振り出し笠の踊り(梅とさんさん〜)


先ほどの衣装の上だけ肌脱ぎになって、朱鷺色の衣装に替わります。
道成寺は衣装を見ているだけでも見応えがありますね〜!それくらい衣装替えが多いのです。

「振り出し笠」という三連の笠を使った、見た目にも華やかなところです。
赤い笠を被り、両手に振り出し笠を持って踊ります。

曲調はちょっとおっとりしつつも、明るい雰囲気。

笠を被っている姿って、かわいらしくて好きなんです。顔が小さく見えるからでしょうか、そして影がまたいい感じの効果を生むのでしょうか。

ここもまったりと娘らしくて素敵でした。

「分きて云はれぬな 花の色え」 で、かぶった笠と手に持つ笠を正面で縦一列に重ね、とんとんとんと後ろを向く振り、
要は頭の上にかぶっている笠を正面に見せなくてはならないので、ちょっとうつむくことになるのですが、このうつむく前に一度正面にちょっと顔を見せる感じがかわいらしかったんです。踊りが細かい…!


■クドキ(恋の手習い〜)


先ほどの踊りのあとに、同じ曲調のまま所化の踊りを挟み、また花子が出てきます。
藤色の衣装に替わっています。

しっとりと女心を見せる、いわゆる「クドキ」の部分で、手拭いを使って踊ります。
手拭いの柄は「重ね扇に抱き柏」の、尾上菊五郎家の家紋でした。

ここで好きだったのは、「おお嬉し おお嬉し」で首をいかにも娘らしく曲げ、そして後ろを向いてきまるところ。
そのかわいらしさと、後ろ姿の美しさ、柔らかさ。シャープすぎない感じがとても好きです。

それと「悪性な悪性な気が知れぬ 恨み恨みてかこち泣き」で、鐘を見ながらすーっと上手へ進むところ、踊りというよりはこの瞬間は特に芝居っ気が強いと思うのですが、心ここにあらずな一瞬です。
鐘に目を据えたまま、手元を見ずに手拭いを肩から外す所作に、躊躇いとか激しい想いとかが見えました。

そこからまたぱっと踊りのリズムが変わって、手拭いを振りながら歩く。
その緩急にどきどきするのです。


■鞨鼓の踊り(山尽くし)


上だけ肌脱ぎで、白地に派手な模様の衣装に替わっています。
鞨鼓という小ぶりの太鼓を帯の上につけて撥で叩きながら、様々な山を詠み込んだ歌詞に合わせて踊るところです。

この辺りから踊りの見せ場なんじゃないかと思います。
というか、こういうたくさん動く、盛り上がっていく踊りが私は大好きなんです。笑

「散りくる散りくる嵐山」、結構な詰まった間でぱっと座って、撥でトコトンと床を叩くのですが、それも何気ないんですけどちゃんと整った美しさなんですよね。。

「稲荷山」のところ、ぴょんと跳んで狐の振りなのですが、そこすらも品がありました。
あと、お正月を思い出しました。笑この記事

「稲荷山」のあとはまたがらりと雰囲気が変わり、勢いを感じるような踊りに。
一曲の中でどんどん変わっていきます。
序盤のほのぼのとした空気感は、この辺りの勢いを際立たせるためにあったのかと思うほどです。

★このあと舞台上はしばらく空くのですが、そんなときは音楽の聴かせどころです。
道成寺には三味線に拍手が起きるところがたくさんありますが、私はこの部分の音楽が一番好きです。三味線の華やかさはもちろん、鳴物のリズムがとてもおもしろくて、ここから先の盛り上がりを予感させるようです。


■手踊り/鈴太鼓の踊り(ただ頼め〜)


来ました、道成寺という長い曲の中で私が最も好きな部分です。笑
紫の麻の葉模様の着物になります。

ここも、菊之助さんの魅力が詰まっているなぁと個人的には思いました。

これまでおっとりした雰囲気の娘でしたが、ここはきゅっと首を曲げて、かわいらしさ全開。
袖で隠して人を呼ぶ振りが可憐!!

この「ただ頼め」から始まる手踊りの一連の振り、とてもかわいくて大好きなのですが、それを大好きな感じで踊っていただけるともう非常に嬉しいのです。
 

一旦後ろに下がり、鈴太鼓を持って、出てくるときに引き抜いて白の衣装になります。

鈴太鼓の軽やかな音。
曲調も一層華やかに、テンポも一層速くなって、今まで以上に舞台の空気が動き出す感じがします。 
 
ここも何せ形が素直で美しい。大きく動いても決して崩れない。
踊る人としては当たり前なのかもしれませんが、、でもそれを当たり前に見せることができる、というのは凄いことだと思います。
 
これが一番分かるのが、「さっさそうぢゃいな さっさそうぢゃいな」で手肩肩膝膝と叩くところ。
かなり体重を前にかけてから後ろに戻してくる感じですが、無理のない形というか、整っていたというか…。

その勢いのあと、前に出てきてぺたんと座って、ちょっと首を傾げて止まった形の、素朴なかわいらしさ! 

で、ここからです。ここからが道成寺の中でいっちばん好きなんです。
鈴太鼓でリズムを取りながらの早間の踊り。

菊之助さんのここ、とても好きです。丁寧で、細やかで、可憐で。 
 
軽やかな音に合わせて、踊りも軽快で、観ている方もだんだん引き込まれ、浮かされ、乗ってくる、

そこで急にハッと鐘を振り返り、ドロドロドロと太鼓が鳴って、清姫の本性が出てくるんです。

このスピード感、勢い。
もう絶対に取り返しがつかないのがよく分かる。

所化たちを振り払い、一気に鐘へ飛び込みます。

3回観て、3回とも鳥肌が立ちました。


■鐘入り


最後は上だけ肌脱ぎで、白地に蛇を表す鱗模様が銀色に光る衣装です。

鐘に上って、長い袖を巻き付けた右手を上げて見下ろすときに、恨みだけでなく哀しさが見えた気がしました。

やっぱり清姫としては、やり方はおかしかったにしろ純粋な恋だったわけで、ということは純粋な失恋だったんですよね。


…ふぅ。
満足感。

***

先述の通り3回観ましたが、3回目が一番好きだった。
立ち見でしたが、立ち見一列目だと花道なんかは、座るより却ってよく見えますね。
鐘の真ん前だったので、最後がよく見えたのも嬉しかった。

とにもかくにも、人生初道成寺を歌舞伎座で、菊之助さんで観られて、それを自分なりに感想に落し込むことができたのは大きかったなぁと思います。

明日は千穐楽。
観に行けませんが、きっと今日も、繊細で純朴な花子がいるんだろうなぁ。 


プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

Twitter プロフィール