ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

9月の文楽・歌舞伎公演@東京

こんばんは、わこです。

9月の国立劇場の文楽公演、
チケット取っちゃいました!!
わーい!!! 

午後4時からの第二部『夏祭浪花鑑』

実は同じ演目を、今年6月に歌舞伎座でやっていました。
有名な演目ということもあって観に行ったのですが、

観終わったあと、どういうわけか自然と
「これを文楽で観てみたい」と思ったんです。

それで試みに9月の文楽公演を調べてみたところ、

なんと「夏祭」だった!!!

これはもう運命だと思いましたね。

しかも、団七九郎兵衛を遣う
桐竹勘十郎さんは、
私が初めて観た文楽(この記事)でガツンと衝撃を受けた
『義経千本桜』の知盛を遣っていた方。

観に行かない理由がありません。

ちなみに、第一部はまだ余裕がありそうですが、
第二部の「夏祭」は、土日のチケットがほとんど売り切れています!
(2018年8月17日現在)

お早めに!


***

そして歌舞伎座の方も、
9月は観に行きたいものが目白押しなんです。。

まずは昼の部『金閣寺』

療養中でいらっしゃった
中村福助さんが帰っていらっしゃいます!!

本当に良かった。
嬉しい公演、何としても観に行きます。


その後の『紅葉狩』は、私が初めて観た歌舞伎の演目。

当時はイマイチよくわからなかったのが本音で、
大変大変申し訳ないことに早々に入眠してしまったのですが、

今ならきっともっと楽しめるはず!!!

…はい。自分の成長を見てみたいという俗っぽい理由です。
 

さらにさらに、夜の部の『俊寛』鬼界ヶ島の場

これも先日、Eテレ「にっぽんの芸能」で
文楽の同じ場面を観たばっかりなんです。

俊寛の、全てを投げ打って見せた気概と、
一見潔く人生を決めたかと思いきや
やっぱり諦めきれない人間の心理を描く、ラストシーン。

自分が乗るはずだった都行きの船が
目の前から遠ざかっていくのを観るのは、
自ら買って出た結果とはいえ、どれほど苦しいか。

きっと歌舞伎だと、また別の表現になるのでしょう。

ぜひともそれを見てみたかったのです。

***

6月から、文楽と歌舞伎の遠回しコラボが続きますね。

意図してかせずか知りませんが、
比較して観てみたい私としては絶好のチャンスです。


さぁ、9月は破産の予感。

幕見でいいので、なんとか
行きたいもの全てをコンプリートしたいものです。。 

はじめて文楽★思い出しルポ~『義経千本桜』を観に行く

先日この記事その次の記事で、
私の初めて見に行った(実際は3回目くらいの)歌舞伎の話をいたしました。

今度は文楽
 
9月は東京の国立小劇場で文楽公演もあることですし、
初めての文楽鑑賞がどんな感じだったか、
きっかけから当日の様子、感想まで一気にいきます!!
 


■きっかけ



初めて文楽を観に行ったのは、
大学時代の友達と何人かで。
2016年のことです。 

近世文学の授業をとっていた仲間内ということもあり、
軽ーいノリで「行ってみよう!」ということになりました。

文楽は歌舞伎より安いので
(国立小劇場一等席でも7,000円くらい)
若造にはありがたかったです。


■演目選び~『義経千本桜』に決定!



みんなの都合的に、夜の公演が良かったんですよね。

それで、そのときの第三部にやっていた
『義経千本桜』を観に行くことになりました。

有名な演目なので、内容はともかく
名前にはなんとなく親しみがありました。

私としては、唯一存じ上げていた人形遣いの
桐竹勘十郎さんが出ていらしたのもポイントでした。

※このコミックエッセイで知りました↓

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■国立劇場での過ごし方


1.筋書は買わなかった…買ったほうが楽しめます


初めてだったし当時すかんぴんだったので、
筋書は買わずにチラシの知識だけで臨みました。

あらかじめネットであらすじを調べたり
休憩時間に友人同士で筋を確認したりして、
なんとか話の筋は理解できました。

が、

余裕があるなら筋書きは買ったほうが絶対に楽!笑
2回目は迷わず購入しました。


2.何を言ってるのか聞き取れる?


はい、字幕が出ます

国立小劇場の場合は、舞台の上手と下手の両側
縦に字幕が流れます。

そのため何を言っているのかはわかりますし、
筋書きを買えば、「床本」という
文楽の台本みたいなものもついてくるので、
純粋にセリフを聞く分には問題ありません。

ただ、当然ながらすべて「古文」ですので
やっぱり自分で内容を理解していないと
聞くだけで見当をつけていくのはなかなか難しそうです。。


3.休み時間にお夕飯を食べる


休み時間に、みんなでお夕飯を食しました。
 
劇場内にも手軽なお弁当を販売するほか、
永田町から国立劇場に歩く間に
セブンイレブンやナチュラルローソンがあるので
食べ物には困らないと思います。

ただし、1階ロビーはめちゃくちゃ混みます
休み時間になった瞬間に出るのが吉。お行儀悪いですが…


4.くろごちゃんに会えた!


開演前と休み時間には、
国立劇場の公式キャラクター・くろごちゃんがお目見え。

休み時間には、演目にちなんで
白い狐と一緒に出てきました。

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私は着ぐるみ恐怖症なので
遠巻きにしか見られませんでしたが、
なかなか写真慣れしていて、いい感じで写ってくれましたよ〜

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インスタ映えしますね。(?)

くろごちゃん登場スケジュールは
こちらでチェック!⇒くろごちゃん公式サイト


初めての文楽!感想は?


感動しました。

衝撃的でした。

すごいんです、
人形遣いさんたちの顔があんなに丸見えなのに、
舞台を思い出したときに浮かぶのは
人形たちの生き生きとした表情や動きばかり。

人形たちが当然のように、自分たちで動いていたような気がするんです。

それほど、舞台上で人形たちが生きていました。

自分の体にくくりつけた碇を海に落として自害するときの
知盛の武者震い、あの迫力。

ぞっとするほどかっこよくて、
すごいものを見てしまった、という気持ちになりました。

話の筋の理解は完璧じゃなくとも、
劇場内の空気感に圧倒されました。

うまく口では説明できないけれど、
「文楽ってすごい」と衝撃を受けた
初めての文楽体験です。


物語を味わうなら「文楽」がおすすめ!


人形は、人間のように
表現する技術や声色を変える技術は
それ自体には持っていません。

でも、だからこそできる体の形があるし、
かえって人間が表現しきれないところまで表現できたりする。

そこにまた三味線さんと太夫さんが
びしびしとすごい音圧であおってくるわけです。

物語そのものの感情の揺れ動きとか、
不気味さや迫力が、ストレートに伝わってくる感じがしました。

全く興味のなかった文楽ですが、
(受験で習った「無形文化遺産」みたいなことしか覚えてない)
この一回ですっかり考えを改めました。
 
好きです。文楽。



2018上半期イチ面白かった本『舞うひと』感想

今年は今のところ、小説じゃない本が圧倒的一位。
今年出た本ではないので恐縮ですが…

めちゃくちゃ面白くて勉強になったのが、この本↓

舞うひと 草刈民代×古典芸能のトップランナーたち [ 草刈民代 ]

価格:1,944円
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『舞うひと』


バレリーナ・女優の草刈民代さんが、
日本の古典伝統芸能の「舞うひと」たちを訪ね、
踊りについて、身体芸術について対談していくものです。

踊り大好きで、日本の芸能・芸術のことを
もっと知りたいと思っていた矢先に読んだので、
ためになること、感動することが山ほどありました。

写真も多く、対談形式も読みやすいので
ちょっと長くなりますがご紹介します!
 


■登場する「舞うひと」たち


【日本舞踊】
宗家藤間流八世 藤間勘十郎さん
三代目 花柳寿楽さん
京舞井上流五世家元 井上八千代さん

【能楽】
二十六世観世宗家 観世清和さん
二代 梅若玄祥さん

【琉球舞踊】
重踊流二世宗家 志田真木さん
【歌舞伎】
五代目 尾上菊之助さん
四代目 市川猿之助さん

【文楽人形遣い】
三代 桐竹勘十郎さん
【雅楽】
宮内庁楽部楽長 多忠輝さん
【狂言】
野村萬斎さん
【舞踏】
麿赤兒さん

…なんと豪華なことでしょう!!!
この一冊で、あらゆる日本の芸能に携わる方のお話が聞けるわけです。

目次の時点で購入決定しました。


■心に止まったこと


*歌舞伎役者の踊りと舞踊家の踊り


日本舞踊家の花柳寿楽さんのお話の中で、
歌舞伎役者の片岡仁左衛門さんに
舞踊「二人椀久」を教わったときのエピソードがありました。

歌詞に書かれていないところまで役の感情を考え抜き、
一つひとつの動きにこめていく「役者」のお稽古


舞踊家としては
激しく乱れると踊りとして美しくないのでは」と
ブレーキをかけてしまう部分もあるとのことで、
とても勉強になった、というお話でした。

一方、 歌舞伎役者の市川猿之助さんの章には、
役者は舞踊家じゃないんだから、役者の踊りを踊れ、とよく言われる」
というお話が出てきます。

舞踊家は正攻法できれいに踊るけれど、
役者は癖があってもそれを個性にできる。


だからいろんな役を演じて役の気持ちを学ぶことや、
踊りに出てくる景色や風俗を 知っておくことが大事なのだ、というお話。


以前Eテレの「にっぽんの芸能」という番組この記事で紹介)
坂東玉三郎さんが舞踊「京鹿子娘道成寺」を語る、
という企画をやっていた際に、

その踊りへの考察の深さがとても興味深く、
「あぁ、役者さんって凄いんだなぁ…」
と感動したことがあります。(今さら何を)

そのときのことを思い出しながら読んで、
やはり「役者の踊り」「舞踊家の踊り」という感覚があるのだ、と
とても納得がいった気がしました。


でも、自分が踊りをやっていて 一番おもしろいのは
「表現」に触れた瞬間。

まだまだ自分の個性や表現などと
ぬかせるような経験値は何もないのですが、

勉強して、いつかは自分なりに役を深めて、
その役を「踊り」として演じてみたいなと思うのです。


*現代の時間感覚


本に登場する「舞うひと」たちが 口を揃えておっしゃるのが、
「現代は時間感覚がせわしない」ということ。

たった数分の演目でも「長い」と言われ、
「手軽さ」「わかりやすさ」が重視されてしまう。

それが、「舞う」側からとてもよく分かるようです。

本当にもったいないことなのですが、
私も「せわしない」一人なのではないかと反省。

日本舞踊や、それに関連する歌舞伎や文楽は
ひと時も飽きずに見続けていられるのです。

でも日本舞踊を始める前はどうだった?
日本舞踊と関係のないようなものだったら?

やっぱりすぐ飽きてしまうのかもしれません。

それを思うと、現代の時間感覚の中では
日本の伝統芸能の行く先って
相当暗いんじゃないか…
と寂しくなってきます。

せめて自分は、日本の芸能を学ぶ端くれとして、
こういう芸能文化を積極的に学び、楽しもうと
思いを新たにいたしました。


*能は寝ていい?


すごいタイトルですが上記に関連して。笑

「能をご覧になって深い眠りにつくことも大事」

これはまさかの、
能楽観世宗家の観世清和さんのお言葉です。

能の囃子を聴くと体のリズムが一定になる、というのが
科学的に解明されている
とのこと。

眠くなってもいいから、能に気軽に接してほしいそうです。

恥ずかしながら私、能って全然わからないんです。

でも、この本で能楽の方が語っていらっしゃるのを読んで、
実は能って、現代においても
ものすごく大事な精神とか、想像力とか

そういうものが詰まっているんじゃないか
と思うようになりました。

(眠っていいとおっしゃるならば)一度行ってみようかなと思い始めたところです。


*稽古する側が甘すぎる!


これも観世清和さんのお言葉。

刺さりました…。

あまりに刺さったので、一部引用します↓


…今の人はインターネットとか文明の利器を駆使して、
教えていないことまで知っていたりする。
そのくせ勘が鈍い。
目の前で師匠が一回舞ったら、すぐにできなくてはだめ。
それが「あれ?」なんて、教わる側の努力が全然足りません。



普段のお稽古で、自分が何回「あれ?」と言っていることか…

この本に出会ってから、一回で覚えるように努力はしてみるものの、
いかんせん引き出しが少なすぎますね。
精進します。

*** 

他にも、付箋を貼ったページがたくさんありました。

雅楽の、神様へ捧げる踊りだからこその
日本舞踊との違いとか、継承の難しさ
とか。

狂言には「落ちるところを見せる」跳び方があるとか。

麿赤兒さんの、「「ダメ」をどう踊るか」というお話とか。
(これがすごいんです、
足が痛いなら足を引きずってリズミカルに歩けとか、
立てないなら這えとか、それも踊りにしちゃうんですね。)


文楽で、公演中にどうにも人形が動いてくれない日がある話とか。
(桐竹勘十郎さんとの対談で
「バレエと似てる!」とテンションの上がる草刈さんも素敵です。笑)


琉球の古典舞踊は、基本的に表情を変えず、
まばたきさえも控えて踊る
、という話とか。

「もっと知りたい!」 「もっと頑張りたい!」
モチベーションが上がり、とても刺激を受けた一冊でした。


■踊り好き・伝統芸能好きにぴったりの一冊


この本のいいところは、
一冊でたくさんの芸能に触れられるところ。

そして、プロフェッショナルたちの言葉は
重みがあり、襟を正したくなる。

写真もとても多く、
「舞う」ときの きりりとしまった真剣な表情が
素晴らしくかっこいいです。
(人形もめちゃくちゃ美しいですよ!)

私のような初心者・踊り好きはもちろんのこと、
すでに詳しい方も絶対に楽しめる一冊
だと思います。

友人との待ち合わせ前に立ち寄った本屋さんで
たまたま見つけた本だったのですが、
大当たりでした。買ってよかった!

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プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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