ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

シネマ歌舞伎『大江戸りびんぐでっど』観てきました!


以前このブログで激賞したシネマ歌舞伎(⇒この記事)。
本日、再び行ってまいりました!

IMG_20180825_011335

『大江戸りびんぐでっど』!!

あの宮藤官九郎さんによる脚本の、
どたばたハチャメチャ喜劇(もといゾンビ映画)です。

忘れないうちに感想をば。


■あらすじ


ちょっとまとめにくいので、笑
公式を引用させていただきます。
シネマ歌舞伎「大江戸りびんぐでっど」公式サイト
 
時は江戸時代、処は大江戸。
くさや汁を浴びた死人が"存鼻(ぞんび)"として生き返った。
人に噛みつき増え続ける"ぞんび"に江戸の町は大騒ぎ。
くさやの名産地新島出身の半助は、
くさや汁を体に塗ることで彼らを従わせることに成功する。
想いを寄せるお葉と共に、何と人間の代わりに
"ぞんび"を働かせる人材派遣会社「はけんや半助」を起業する。
"ぞんび"は文句も言わずに人間の嫌がる仕事を安く請け負い、
商売は大繁盛となった。
しかしやがて派遣に仕事を奪われた人間たちが現れ、
切っても死なない派遣"ぞんび"VS失業者の争いが始まろうとしていた。


あらすじには書かれていませんが、
お葉ちゃんには、死に別れた夫「新吉」がいます。

クドカンさんの軽快な台詞回しと、
役者陣の強烈な個性が爆発する舞台です。


■感想


*歌舞伎役者の身体


一番に思ったのは、「歌舞伎役者の体」について。
 
ヒップホップを踊る役者さんたちを観ながら、

日本舞踊を土台にしながら西洋の踊りをどう踊っているのか

というのがなんとなく見えてきて、そこが面白かったです。


*特に印象に残った役者さん


福助さんが…福助さんが可愛らしい……

女郎・喜瀬川の役だったのですが、 
あの軽やかさは何なんでしょう、、 
何とはなしにちょっと走る、みたいなときの雰囲気がもうでした。
待ち遠しい9月はもうすぐ!!


そして、お葉役の七之助さん
ラストのあのバランスの悪い板の上で、
あれだけきれいな形をどうやったら作れるんだろう。
平地でもバランスとれないのに(泣)
 
歌舞伎役者なら当たり前なのかもしれませんが、
ちょっと立っていたり座っていたり、お辞儀をしたり、よたついたり、
そういう一つ一つの美しさに目を奪われました。
その雰囲気で「げ、まじで?」とか言うのでたまらない笑


大工の辰役の勘九郎さんは、みんなが踊り終わってはける中で
一人でキレッキレにファンキーに踊り、
「Pow!!!」ときめる場面が最高に輝いていらっしゃいました。笑
酒に溺れてからの目の据わり方もこわい。


そして、一瞬の登場にして一番強烈な印象だったのが
町娘役の小山三さん!!
当時、すでに御歳89歳のはず。
かわいらしい振袖を着て出ていらっしゃり、会場大盛り上がりでした。
たぶん誰よりも、町娘役を盛り上げられる方だったのではないでしょうか。。

90年近く舞台に立ち続けたとのこと、
本当に素晴らしいと思います。


*勘三郎さん、三津五郎さんのこと


シネマ歌舞伎やら動画サイトやらで
お二方の舞台を観るたびに、

なぜもう少し早く歌舞伎を知ろうとしなかったか…

と、悔やみに悔やんでいます。

勘三郎さんのお芝居の、あの説得力

今回の芝居も、新吉(勘三郎さん)が
半助(幸四郎さん、当時は染五郎さん)と対峙する場面が
一番のハイライトだったと思います。

そして三津五郎さんの今回の役は、
なぜかいつも癖のある角度でキメてくる四十郎。

そんな役回りながら、動きの美しさが格別だったんです。

前半の軽妙な雰囲気から、後半は出世もして、
ラストシーンの頼もしさ。
あれは(ゾンビじゃなかったら)惚れる


…映画でこれなんだから、
舞台でお二方を拝見していたら
もっとガーンとくるんだろうな。


■まとめ


さて、りびんぐでっどの話に戻り。

ストーリーにはあえて触れずにおきますが、
思った以上に夏の夜におあつらえ向きな映画でたまげました。笑

正直、考えるよりも感じるよりも、
まず「受け止める」という感じの舞台。

それくらいとがってました

当時、賛否両論あったに違いない。

私としては、役者さんたちの本気の悪ふざけや
ちょっとした小ネタを結構笑って楽しめました◎◎


大江戸りびんぐでっど [ 市川染五郎 ]

価格:4,119円
(2018/8/25 02:56時点)

竹本住大夫さんの言葉が深い。。『人間、やっぱり情でんなぁ』を読む。

9月の文楽公演を観に行くにあたり、
文楽まわりのことをもっと知りたいな、と思って
この本を手に取りました。

DSC_0388

『人間、やっぱり情でんなぁ』


平成26年に大夫を引退され、今年4月に亡くなった
“文楽の鬼”こと竹本住大夫さんが、
文楽人生を語ったのを、聞き書きでまとめた本です。

住大夫さんの長い文楽人生には
ぐっとくる言葉がたくさんありました。

人間、やっぱり情でんなぁ (文春文庫) [ 竹本 住大夫 ]

価格:745円
(2018/8/23 23:34時点)




■三味線、人形への信頼と絆


印象に残った言葉↓
 
「六十八年、人形たちは私のつたない語りで、
泣いたり笑ったり、生きたり死んだり……
いつでも頑張ってよう動いてくれました。」(p.28)

「大夫にとって三味線は道案内役です。
へばってきたら鞭を入れ、
行き急いだときはブレーキを掛ける。
そうして暗がりを懐中電灯で照らすように、
『ここに来なはれ、ここに来なはれ』と少し先を弾きます。」(p.167)

大夫、三味線、人形の三業の絆というか、
切っても切れない関係というか、
とにかく文楽の舞台を創っていく方々のかっこよさを感じた部分でした。

人形がいて、三味線がいて、大夫がいて、
初めて文楽は成り立つ、という一見当たり前のようなことを
大切に、感謝して、「当たり前」で終わらせない

人間国宝でいらっしゃいながらなんと謙虚な、とも思いますが、

長年やっていらっしゃったからこそ
出てくるお言葉なのかもしれません。

 

■引退に際して〜周りの反応


長年苦楽を共にしてきた、三味線さんや人形さん。
引退を伝えたときには、皆さん泣いてしまったそうです。

「淋しい」と三度言ったきり、
電話口で泣き出してしまった吉田簑助さん

泣いて体調を崩して、
あくる日の公演を休んでしまった鶴澤寛治さん

先ほどの「三業の絆」みたいなものを感じたあとだと
なおさらこの話は泣けてきてしまいます。


■68年間、基本に忠実に。


小さい頃から文楽に親しみ、
小学四年生からお父様(六世住大夫さん)に
文楽を習い始めたとのことですが、

なまじ早くからやっていたために
プロを目指しての正式な入門のあとに言われたという言葉は痛烈でした。

「あんたの浄瑠璃は汚れた半紙や」

中途半端に知っているために、
まっさらな状態から学ぶことが難しいし、
教える方も教えにくい。

つまり「墨を落としても染まらない」という意味で
言われた言葉だそうです。(p.68〜70)

なんか…私のような砂つぶほどの人間にも刺さる

それから68年間、
「とにかく基本に忠実に、素直に語ること」
ずっと心がけていらしたとのこと。

それは若い世代へ向けた
「ヘタが上手ぶってやるな、素直にやれ」(p.192)
という言葉にも通じるものがあります。 

なんか…刺さる…(2回目)
何のお稽古でも同じですね、
すぐ調子に乗る私自身のことを言われているようでどっきりしました。

「永遠の素人」精神はいつまでも忘れないようにしたい。


■現代の稽古について


これは以前ご紹介した『舞うひと』(⇒この記事)でも触れていましたが、
やはりここ15年くらいで
若者たちのハングリー精神が欠けてきたそうです。

浄瑠璃が好きじゃないのか。
好きなら好きで、もっと好きに、もっと必死になれないのか。

住大夫さんのもどかしさが、
いたるところに語られていました。

経済的な余裕、便利なツールの普及…

稽古に対して甘くなってきてしまう理由なら
いくらでも挙げられます。

生活が便利になる一方で、文化が育たなくなってしまう。

恐ろしいことですね。。

自分自身が「現代っ子」であるがゆえに、
自分でも気づかないまま甘えていることも
山ほどあるのだと思います。

私のお稽古は趣味レベルですが、
それでも真剣に取り組みたい。
できる限り自分を律していこうと思いました。


■何度も読み返したい一冊でした。


長々と語ってしまいましたが…

全編にわたって、住大夫さんの大阪弁が心地よい
くすっとくるようなお話もたくさんありました。

(海外公演の話なんかは特に。
「醜女(=ぶさいく)」の人形を
アメリカでは「チャーミング」と捉えられてしまい、
話が通じなかったので翌日からは人形を変えた話とか大好き)

まだまだ文楽に詳しくない状態で読んでしまいましたが
芸事を学ぶ端くれの端くれとして
はっとさせられることも多々。

もっともっと文楽を知りたい。
文楽を観に行きたい。

今よりも文楽の知識を増やしてから
何度でも再読したい一冊です。


…きっと読むたびに、
住大夫さんの浄瑠璃を生で聴けなかったのを
悔やむ気持ちが強まるんだろうなぁ。

人間、やっぱり情でんなぁ (文春文庫) [ 竹本 住大夫 ]

価格:745円
(2018/8/23 23:34時点)

足首が固い私の、踊り方の工夫。

足首がとにかく固いんです
足首に限らず、肩も。

バレエを習っていた幼き頃から、ずーーっと不便してます。

どのくらい固いかというと、

まずしゃがめない
 
踵を上げないと、下まで沈めません。
踵をつけたまましゃがもうとすると、バランスがとれず、後ろにこてん、とこけます。

肩に関して言えば、
 
まっすぐバンザイができません
 
両手を上げると、必ず30度くらい両手の間に角度がついてしまいます。
平行にはなりません。

高校時代、整体の先生に「身体硬いねーw」と言われたレベル。 

当時は横も縦も180度開脚できたのに、本質的には硬かったんですね。。
うわべだけの柔らかさなんて。 

*** 

今のところ、肩に関しては日舞で困ったことはないのですが、
(※バレエではめちゃくちゃ困ってた。あと学校で出欠とるときに「ハイッ!」って手を挙げると必ず肩がパキッていうので恥ずかしかった。)

足首はとにかく困ります。

日舞は重心を下げることが多い。

ですが 無理に姿勢を低くしようとするとお尻が出るし、バランスもとれない

だからと言って腰を落とさないと、それはそれで形が美しくない

どうしたもんか、とあれこれ工夫してみて、とりあえずこれは大事っぽい!と思ったのが、

腹筋を使うこと でした。

重心を下げるときに、お腹を引っ込める
丹田に力を入れる
 
これによって、お尻が出たり、どちらかに傾いたりするのが少ぉぉしマシになってきたんじゃないかと思います。

お腹を引っ込めると、お尻も引っ込むから不思議ですね。 


ちなみに私はこれを、会社で低いところのものを取るときとかに練習してます。笑
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

読者登録
LINE読者登録QRコード