先日、とある舞踊公演に行ったのですが、あまりにも観客が少なくて哀しくなりました。。

…と嘆き節で始めてみたものの、かくいう私も初めて日本舞踊の大きな舞台を観に行ったときには、
「…うん!楽しかった!」と言いつつイマイチよく分からなかった、というのが正直なところ。

舞踊公演にもなかなか足が向きませんでした。

それはもちろん演目を知らなかった、ということもあるけれど、楽しみ方を知らなかったのも大きいのではないかと。

恥ずかしながら、今でも知らない演目の方が多いのですが、最近になって だんだん舞踊公演も楽しく観られるようになってきました。

そこで!

今回は踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を考えてみました!

第一回は、舞台から聞こえる音の面白さに注目してみたいと思います!

【関連記事】
■第二弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?
■第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?




1.華やかな生演奏!


多くの日本舞踊の公演は、舞台の上に長唄・清元・常磐津などの演奏家の方々(地方(じかた)さんと呼びます)が並び、生演奏で行われます。豪華!

つまり、踊りだけでなく演奏風景も見られる!
そして生音が聴ける!!!

三味線や声の厚み・迫力に加え、打楽器の音はやっぱりテンションが上がります(※打楽器好き)

かん、と張りのある鼓の音や小気味好い太鼓の音、わくわくするようなちゃんちきや笛の音、、
無条件に楽しい気持ちになってしまうのは一体何の遺伝子なのでしょうか。


また、西洋音楽ばかりに親しんでいた自分にとって、
「ハーモニーも何もなく全員同じ音を出しているのにどうしてこんなに違和感なく聞けちゃうんだろう?」
「鼓や太鼓はいったいどうやってタイミングを感じているんだろう」
と、純粋に音楽面での興味も尽きません。

普段なかなか耳にすることがない、邦楽の生演奏。
日舞の舞台では、ぜひ音楽も楽しんでみてください!

邦楽やってみたいなぁ…


2.踊りの小道具の楽しい音


ちょっとこれは私が音フェチなのもあるのですが。笑
音が楽しめる小道具、たくさんあるんですよ! 

私がこれまで出会った小道具いい音ランキングはこんな感じです。 
 

★第3位★鈴

三番叟で使われる、よく巫女さんが持っているような、棒の先に三段くらいの鈴がついているもの。 

繰り返されるメロディー
(とは言わないと思うのですがに合わせて、この鈴を鳴らしながら軽快に踊るのです。

鈴の華やかな音がもたらす昂揚たるや!

観ている方もついうきうきしてきてしまうのですが、「小道具」感が少なくもはや楽器レベルだったためあえなく3位にとどまりました。。 
 

★第2位★綾竹(あやだけ)

紅白の布を巻き付けた長い棒で、両端に赤い房や鈴をつけてあるもの。

ぶんぶん回したり、床を打って調子をとったりしながら踊るのですが、鈴のしゃんしゃん音がかわいい!!

私が観たのは「子守」という演目。
 
子守を任された幼い女の子が、赤ん坊を寝かせている間に一人踊るのですが、この綾竹の音が、子供(役)の可愛らしさを一層引き立てていると思います。 


★第1位★鈴太鼓(振り鼓)

平たい小さな太鼓で(紅茶の缶によく似てる)、中に鈴が入っているもの。

これを両手に持って、鈴太鼓同士を打ち合わせたり、床を打ったりしながら踊ります。(「京鹿子娘道成寺」という曲の最後の方に出てくるのが一番有名かと思います)

鈴太鼓の魅力は、打ち方で音が変わること。

鈴太鼓同士で打てば、中が空洞なので軽い音がする。

床を叩くと、木のこつこつとした音がなんとなく奥ゆかしい。

鈴太鼓単体で振ると、鈴よりも軽い、からからと楽しい音が鳴ります。

音の心地よさバリエーションの豊かさで僅差ではありますが第1位としました。 

***

気づけば鈴ばっかりになってしまった…

3位以内には入れませんでしたが、四つ竹も好きですよ!

竹を縦半分に割ったような形をした道具で、手のひらサイズくらいのもの。
両手に一対ずつ持ち、竹の背同士をチャンチャカチャンと打ち合わせて踊ります。

小さい会場で踊っているところしか観ていないのですが、高くて軽い音は粋な感じがして良いです!


3.踏む音は意外と大きい?!


初めて日舞を観たという友人が一番驚いていたのがこれ。

「あんなに大きな音出していいんだね!」とびっくり顔でした。

そうなんです、
意外と大きな音で踏むんです。

特に大きな舞台での公演は、舞台の床の上にもう一枚板を敷いていて(=「所作舞台」といいます)これがよく響くのです。
気になる演出ピックアップ!#2 所作板

ただ下駄でカラコロと出てくるだけでも心躍るような音がします。

踊りの中には「踏む」というのがよく出てきます。

始めたばかりの頃は「踏むとは…?」という感じで、おっかなびっくり踏んでいたのですが、
初めて舞台を観にいったときにかなりの音量で踏んでいるのに衝撃を受けました。

その音が、迫力や調子の良さを出したりもするのです。

私が観た中で、この「踏む」良さが一番楽しめたのは「供奴(ともやっこ)」という演目。

この踊りの後半には、「足拍子」といってリズミカルに左右の足を踏み鳴らす見せ場があります。
ただ全部をドカドカ踏むのではなくて、強弱をつけてトトンコトントンと調子よく踏みます。

観ながら思わず一緒にリズムをとってしまうくらい楽しいですよ!
(やっている方は散々踊った後に足拍子なので相当きついと思いますが…)


4.まとめ〜日本舞踊は耳も楽しい!


本来ならば演目の魅力を語るべきところですが、それはまた追い追いお届けするとして。笑

まずは初めての日本舞踊公演で一曲目から楽しめるようにと、自分も大好きな日本舞踊の「音」に着目してみました。

日舞は堅苦しく、眠くなるものと思われがちですが、全然そんなことないのです。

記念すべき日舞との出会いを、ぜひ耳でも楽しんでみてくださいね!

【関連記事】
■第二弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?
■第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?


記事執筆にあたり、
『日本舞踊ハンドブック改訂版』(藤田洋、三省堂、2001年)
参考にさせていただきました。

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