実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。笑

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

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第3回は、【2階席後方・右側】。二等席にあたります。
竹本が近かった!!





■歌舞伎座二階席後方からの見え方


見え方はこんな感じです↓

2階の見え方

舞台のてっぺんが、ちょうど三階席の端っこと重なるくらい。
つまり上の階の座席によって、舞台が遮られることはありませんでした。

役者さんもとても近くに見え、表情や細かい所作までよく分かります。

舞台上に高い建物が出現したときは、その上層階が真正面に来ます
このときは「楼門五三桐」を見ましたが、「絶景かな」の石川五右衛門は本当に真ん前でした!

一階と同様、傾斜は緩やか。
前の方が身を乗り出してしまうと、とても見にくくなってしまいます
特に花道はみなさん乗り出しがちだったので、隙間から辛うじて見える程度でした。

二階に限った話ではありませんが、花道をよく見たい場合は各ブロックの花道寄りの座席を確保した方が良さそうですね。 

それから大事なところ!
最初にも書きましたが、二階席は竹本の座る床が近く、よく見えます!
ちょうど座席と同じくらいの高さだったのかもしれません。
それを思うと、二階席は「音楽を担当する方たち」を見るにはとても良い場所なのではないかと思います(舞台自体の見え方も良いので、もちろん長唄・清元の見え方もばっちり)。

二階席でも、オペラグラスがあるとより一層楽しめます!
周りにも使っている方が多くいらっしゃいました。


■歌舞伎座二階席後方の音響


二階席は、どういう音の流れか分かりませんが黒御簾(舞台向かって左の、囃子や効果音等を演奏する場所)の音がよく聞こえました!
幕見席では聞こえなかった音がしたり、いつも聞いている音がもっとクリアだったり。
なぜなのでしょう…音響学の方に教えていただきたい… 

それから、もはや耳タコですが竹本が近いので、あの迫力が目でも耳でも楽しめます

三階席が上を覆っているので、確かに音はこもりがちではあるのですが、
一階後方席と比べると、高さがあるからかこちらの方が良かった気がします。

二階席で強く感じたのは、拍手の音がこもること。
会場全体の拍手が何だか遠くて、二階席の拍手が単体で聞こえてくる感じでした。
「二階席」という室内にいるような感覚になりました) 

劇場全体の盛り上がりを感じたいならば、もしかするとやや物足りないかもしれません。

 

■二階席の服装(洋服・着物)


日によるのかもしれませんが、私が行った日は洋服の方が多かった印象です。
一階席ほど気張ってはいませんが、気を配った服装という感じ。

もちろんお着物で行っても何ら問題はないかと思うのですが、
この日は和装の方が多くはいらっしゃらなかったので、格などの観察ができず…。
後日補足いたします。申し訳ございません。。

ちなみに私は「友達と週末にちょっとお出かけ」くらいの洋服で行きました。


■二階席のいいところ


花道が見えづらい、傾斜が少ない、など不便はあるのですが、
そうはいってもやはり役者さんがとても近く見えます! 
本舞台全体をちょうどよく俯瞰するにはベストなのかな、と思います。

同じ「役者さんが近い」でも、一階は振動を感じられたり衣擦れの音まで聞こえたり、という物理的な近さですが、
二階は感覚的な近さというか、舞台を絵として眺めるときに、一番うまく額縁に収まる距離感、といった感じです。


■まとめ


一階後方席と同様、傾斜の少なさや音のこもりはやや気になるのですが、
そのデメリットを「舞台全体の見え方」の面で補ってくれる席でした。

普段三階や幕見から、オペラグラスにすら目を凝らして見ている者としては、
やっぱり二階席もちょっとした贅沢なのです!

役者さんが正面できまるときの視線の高さがちょうど二階くらい、と聞いたことがあります。
今回は後方席でしたが、前の方に座ると他の階とはまた違った迫力を感じられそうですね!
いつか前の方に座ってみたいものです。

最後になりましたが、
二階に上がる階段の踊り場に川端龍子による「青獅子」の日本画が飾られています。
迫力のなかにどこか愛嬌があるこの獅子、ゆっくり眺められない踊り場にあるのはもったいないのですが、二階に上がる際はぜひ階段を!