ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

2018年10月

「着物は自由だ!」は本当か?着物初心者のためらいと願望


着物をよく着る人に、
「着物なんて自由だよ!」
と言われることが結構よくあります。

もともとは普段から着ていたものなんだから。
洋服と同じように自由に着れるんだよ、と。

そうか!と安心もするのですが、

やっぱり難しいところもあるのが現実だと思います。

だって、洋服でもTPOってあるじゃないですか。
深夜のコンビニにパーティードレスを着ていったり、
ホテルディナーに部活のスウェットを着ていったりしないですよね。

言い過ぎと思われるかもしれませんが、

このレベルで分からないんです。

着物のどこまでが「スウェット」的な立ち位置で、
どこから「ドレス」的なものになるのかが
いまいち理解しきれていない。

「これは合わせない」
「ここに着ていくのにこれは不自然」
みたいな最低限の暗黙のルール
まだまだ掴めていません。

(さすがに「ドレスにジャージを合わせる」みたいな
とんちんかんはやっていない、と思うけれど…
気付かないうちにやってるのかな😭)


それを思うとなかなか踏み出せず、
着る機会を逃しがちです。

普段友達と遊びに行くようなときは、
あまり考えなくても、
気軽な着物に半幅帯
という組み合わせで出掛ければいい。

(ちなみに自分の中で「気軽な着物」とは、
ウール、ざっくりした紬、ポリの小紋
季節によっては浴衣

けれど例えば
「舞踊の舞台を見に行く」
「歌舞伎を見に行く」
となったとき、
何を着るのが適切なのかが分かりません。

そうなると無難に洋服になるし、

どうしてもそのような場に着ていなければならないときは、
詳しい方にお着物一式を借りています。笑

でもですね、

いつかはちゃんと、自分の着物でお芝居を観たいんですよ。

なぜかというと、

以前ブログでご紹介した
坂東三津五郎さんの本この記事に、
とある本番のときに大勢のお客さんが着物で来て、
それが「ハレの感じ」がした
、というお話があったから。 

着物で行きますとも。

*** 

着物は、完全に自由では絶対にない。

TPOがあるのは洋服も同じですが、
 
着物のTPOを身につけ、
さらにそれを自分の着物で実践するには
知識と時間の蓄積がいると思う。

けれど、そのちょっとした「不自由」を
惜しまないようにしたいと思います。

まずは、いろんな場所で
着なれた方がどんなものを着ているのか、
よくよく目を凝らすことから。

徐々に自分でもその場に応じて、
適切なものを着られるようにしたいものです。

歌舞伎座座席レビュー【1階席後方・左側 編】

歌舞伎座で座席を選ぶのに、
私はいつも結構迷います。

決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんなわけで、
数ヵ月前の自分が参考にできるように
実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

第1回は、【1階席後方・左側】。二等席です。
揚幕(花道の出入口)より少し後ろで、
花道からは何列か離れた場所に座ってみました。





■歌舞伎座一階席後方からの見え方


一階席は、中列やや後ろ寄りくらいから
二階席が上に被さってきます

そのため、一階後方からの視界だと
舞台の上の方が二階席に阻まれます

舞台全体を見渡せないため、
やや見にくい、物足りないと感じる方もいるかもしれません。

また、一階席は傾斜が少ないため、
前の方の頭がかなり視界に食い込んできます。

以上より、一階席後方は
思ったよりも舞台の見え方が良くないと言えます。

しかし、花道の見え方はすばらしい

特に今回の席は、
花道を出ていく役者さんの背中を間近で見られました。
衣装も細かいところまで見えて、
特に先日の「助六」における揚巻の絢爛たる衣装は感動ものでした…✨

花道へ捌けてくる役者さんの表情が最後まで追えるのも、
一階席後方の特権だと思います。

ちなみに、オペラグラスを使うと
舞台上の役者さんたちの表情がとてもよく見えます
3倍で十分です。

一階席でオペラグラスっているの?と思っていましたが、持っていって良かったです!
周りにも使っている方が多くいらっしゃいました。


■歌舞伎座一階席後方の音響


音を楽しみたいならば、私は三階や幕見席を推します

上にも述べたように、
二階席が覆い被さっているため
上に抜けていく音を楽しめない

特に「チョン」という柝(き)の音、
要所要所で重要な役割を担うツケ打ちの音などは、
上の方の(お安い)席の方が
ずっと響きがいいです。

ですが!!

一階席は何がすごいって、
音を振動で感じられるんです!!

役者さんが花道を駆けていく音、
バタバタというツケ打ちの音など、
舞台の振動が客席にも地続きで伝わる

これは一階だからこその楽しみだと思います。

「あぁ、こんなに近くで芝居を見ているんだ!」
と実感できる、大事なポイントです。

 

■一階席の服装(洋服・着物)


自分が一番迷ったのはここかもしれない…

当たり前ですが、洋服の方も和服の方もいます。
いずれも「ちょっといいもの」をお召しの印象でした。

和服なら、
落ち着いた柄の柔らかい小紋
色無地が多かったかと思います。
訪問着の方もいらっしゃいました。

帯も金糸をあしらうなど品の良い袋帯
二重太鼓にしている方が多い様子。

紬やポリといった普段着るような着物は
浮いてしまう可能性が高いです!!

私は無難にオフィスカジュアルで行きました^^;


■一階席のいいところ


先程も書きましたが、
何せ振動が伝わってくる臨場感

そして役者さんの表情が見えるところです。

歌舞伎座が小さい劇場なのかと錯覚するほど。

衣摺れの音や、下駄が舞台と擦れる音、
役者さんの息遣いなど、
近いからこそ聞こえてくる音もあり。
(舞台写真の撮影音も聞こえましたが。笑)

もちろん一階前方や二階前方には敵わないと思いますが、
「こんなに近くで歌舞伎を観れた!」と
十分に感じられる席
だと思います。 


■まとめ


見え方に難があったり、
途中で舞台写真の撮影の音が聞こえたり、
音響的に物足りなさがあったりと、

金額の割に気になる点の多い一階の後方席。

しかし、私はこれだけのメリットがあれば
たまの贅沢をしてもいいかな、と思います。

三階や幕見席にしか座ったことのない自分にとって、
役者さんの表情や衣装があんなにはっきり見えるなんて、
こんなに間近に拝見して良いものだったなんて、

とにかく衝撃的でした…!!!

気になっている役者さんが出るとき、
しかも花道を絶対に通るとき、などは
一階席で楽しんでみるのも良いのではないでしょうか


日舞あるある③誤解を招く会話


サークル時代も、今のお稽古場でも、
お稽古前後にときどき
こんな会話が交わされます。

「私、初めての男なんでとまどってるんです…」
「分かる!私も男の経験少ないから不安!」
「私は久しぶりの男だから…」

はい、聞き捨てならないですね。

この会話、別に恋愛の話じゃないんですよ。

男の踊りの話なんですよ。笑

日舞を習い始めるとき、
(少なくとも私の知っている流れでは)まずは女の踊りを習って、
何曲か女を踊ってから男の踊りに挑戦するのですが、

足を開いて踊るなんて初めてで、
戸惑った覚えがあります。

そして、男の踊りを何曲か習ったら
今度はまたしばらく女だったりする。

そうすると男踊りの体の使い方をすっぽり忘れます。

久々に男の踊りを教えていただくと、
またゼロからやり直すような、
手探りな状態でふたたび男と向き合うことになるのです。。

「久しぶりの男」というのはこれです。

そんなわけで、
特に踊りを始めてからそれほど年数が経っていない仲間内では、
この「男」というワードが頻出する会話で盛り上がるのです。

そして大体
「誤解されるからこの話は外ではできないね!」
という結論で終わります。笑 

なかば、その誤解を招く表現のおもしろさに
あえて男おとこ言っている部分もありますけどね!

お稽古場には日々笑いが絶えません☀


芸術祭十月大歌舞伎・夜の部 千穐楽に行ってきました!〜初心者が語る観劇の感想〜

今月の歌舞伎座、「芸術祭十月大歌舞伎」の
夜の部、千穐楽に行って参りました!

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十八代目・中村勘三郎さんの追善公演とあり、
会場の外にはたくさんの勘三郎さんのお写真。

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シネマ歌舞伎などの映像を見るにつけ、
生で拝見したかったという思いが日に日に強まっています。

***

さて、夜の部の演目は
「宮島のだんまり」「吉野山」「助六曲輪初花桜」

初めての一階席で、存分に楽しんできましたよ!
 




■初心者が楽しめた演目は?


どの演目も華やかで、
特にあらすじを見なくとも楽しめましたが、
 
一番楽しかったのはやはり助六でしょうか。

ずらりと並んだ傾城5人の美しさ
そのはるか上をゆく揚巻の衣装の絢爛ぶり
助六が要所要所でかっこよくきまるところ、といった
舞台の見ための華やかさに加えて、

揚巻の意休に対する悪口雑言高笑い
助六の兄への喧嘩指南
助六たち兄弟が意図せず母に会ってしゅんとする場面など、
笑いどころもたくさんありました!


■私はこう見た!ここが好き!


*宮島のだんまり


これは舞台の華やかさを楽しむ演目と割り切りました!笑

というのも、役柄は筋書きに書いてあるのですが
特に台詞を交わすわけでもないので、
誰が誰だか分からない

衣装から見当をつけて、
「赤い着物にきらきらの髪飾りだから姫かな?」
と当てはめてみはしましたが、
登場人物が多すぎて途中で断念しました笑

でも、本当に舞台は豪華ですよ!

あんなにたくさんの役者さんたちが、
様々な役の衣装を着て、
舞台に横一列に並んで一斉にきまる。

それだけで楽しいです。見ごたえがあります。

それから、お芝居が始まる前に
幕の前に三味線と唄の方が
お一人ずつ出てきて演奏するのですが、

この三味線の弾き方が非常にかっこいい。 

台みたいなものに片足を乗せて、
裃をつけて三味線を鳴らす姿
に惚れ惚れします。 

圧巻は、最後の花道。
照明を落として、ろうそくの光の中で、
すっぽんから中村扇雀さん演じる
盗賊・袈裟太郎が出てきます。

目当てのものを手に入れて、
不敵な面持ちで勢いよく花道を帰っていく。

動きに迫力があって、テンションが上がります!
「うわぁーきたきたきた!!」という感じ。
歌舞伎はこういうところが楽しい。

ちなみに「だんまり」とは、
「闇の中という設定で、無言で、
登場人物同士が探り合い、宝などを取り合う芝居」
のこと
を言うようです(筋書より)。 

サンリオピューロランドの「KAWAII KABUKI」でも
まさかのだんまりがあってちょっと驚きました。笑 


*吉野山


『義経千本桜』の一場面。
先日Eテレの「にっぽんの芸能」で、
文楽の同じ場面を放送していましたね!
それが予習になったのもあり、楽しめました。 

忠信が狐の本性をちらちらと見せる様子が
かわいくもあり、哀しくもあり。

何たってこの忠信、
静御前の持っている鼓に
自分の親狐の皮が使われて
いて、
その音にひかれて静御前についていっているのです。 
どんな気持ちで鼓の音を聞いているんだろう。。 

坂東玉三郎さんの、静御前落ち着いた美しさと、
中村勘九郎さんの、の愛嬌と忠信としての凛々しさ。

屋島の源平の合戦を語るあたりからは
音楽も雰囲気が変わり、
義太夫三味線の太い音が聞こえてきて
一気に勢いと迫力が出てくるような気がしました。 

そして途中から登場する、
坂東巳之助さん演じる追っ手の早見藤太も、
下の者を大勢引き連れているにもかかわらず
なかなか弱くておもしろかった。

最後、花道にいる忠信が
本舞台の上の早見藤太に笠を投げ、
それを見事に藤太がキャッチしたときには
会場が沸きましたね✨


*助六


上にも述べましたが
今回もっとも楽しめた演目。

楽しめた一因として、
一度、市川団十郎さんの助六の映像を
観たことがあった、というのが挙げられます。

やっぱり筋を知っていると安心して楽しめる、というのはあります。

そしてこれはもう文句なく、ずっと楽しかった。

まず片岡仁左衛門さん演じる助六の素敵なこと!
きまるところの美しさはもちろんのこと、
意休に喧嘩を売るときのやんちゃそうな喋り方とか、
喧嘩指南のときの啖呵の威勢の良さとか、
しみじみと素敵でした。

通人が助六の股をくぐり終わるときの、
助六の颯爽とした足さばきも好きでした。
ひょいっと足をずらすんですが、
その何気なさがいい。(細かい)

それにしても吉原のど真ん中で
見ず知らずの人の股をくぐらされるなんて
控えめに言って最悪ですよね。


同じく助六の動きの話でいうと、
兄に喧嘩の仕方を教える場面で
「こりゃまた なーんのこったい」という助六のセリフがあるのですが、
このときの動きのキレが好きでした。笑

中村勘九郎さん演じる助六の兄・祐成(すけなり)の登場から先は
笑いどころが特に増えて、楽しい。

兄弟で全然性格が違うのですが、
兄の方がおっとりと弟・助六を真似るので
そのギャップが全てにおいて面白い。

祐成がうまくきまれなかった場面では、
勘九郎さんの体の柔らかさがよく分かって
尊敬の念を新たにしました。

坂東彌十郎さん演じる通人が泣かせましたね。
近くに座っていた方も、何人も涙を拭っていらっしゃいました。

 

■まとめ


今回は一階席ということもあり、
とても役者さんの距離が近くて
いつも以上に気持ちが盛り上がりました!

歌舞伎を好きになって良かったな、と心から思える
見どころいっぱいの公演。
ますます歌舞伎が好きになりました

この楽しさがあるから、歌舞伎は中毒性がありますよね…。


大好きなものを1つ持っておくこと。

昨日も日舞のお稽古でした👘

日本舞踊を始めて約6年半。
ほんのひよっこです。

大学のサークルで踊りに出会い、
週に一度のお稽古が楽しくて楽しくて、

毎週サークルがある日は
朝からそのことばかり考えていました。

というか、
もはや他の日はサークルを楽しみにやり過ごしていたというか。笑

大好きな授業もいっぱいありましたけどね!

***

サークル卒業と共に日舞を辞めてしまう人も多いのですが、
当然サークルだけでは飽き足らなかったので、
卒業後もお稽古場を探して
踊りを続ける選択をしました。

働きながらお稽古に通うのは、
思っていたより楽じゃない。
体力的にきつかったり、
仕事の都合でなかなか行けなかったり、
というのが当然出てきます。 

でも、私は社会人になってからの自分に
もし踊りがなかったとしたら、
もっと人生を諦めていただろうと思うのです。

***

社会に出てから、
本当にどうしようというくらい
どうしようもない時期がありました。

周りも行く先も何も見えなかった日々を
それでも何とかしのげたのは、

「もっと踊りたい!」

という気持ちがあったからです。

まだ踊りたい曲がある、
もっと上手くなりたいという理想がある。

日舞で何者になるわけでもなく、
本当にただの趣味でしかないのですが、

一番大変なときに人生の支えになったくらいには
私は踊りが好きなんです。

今、3日に一度くらいは
お稽古に通っています。
(それだけお稽古日を作ってくださって
先生には本当に感謝です。)

この6年半ずっと、始めたばかりの頃と同じくらい
毎回のお稽古が嬉しくて楽しくてならない。

それくらい好きだと思えるものがあるのは
本当にありがたいな、と思うのです。


投げやりになるのを思いとどまらせてくれる。
楽しみにできるものが、いつも近い未来にある。


私にとって日本舞踊は、そういう存在なんです。

***

それがあるだけで
明日のことを考えられるような、
大好きなものを、たった1つでいいから。

そういうものがあるのとないのとでは
絶対に人生が違ってくるから。

できるだけ多くの人に、
私にとっての踊りみたいな存在があってほしいと素直に思う。

つくづくお節介なのですが。笑


プロフィール

わこ

◆東京都在住╱地味目のOL (平成生まれ)。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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