ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

2018年11月

「名高大岡越前裁」(国立劇場十一月歌舞伎公演)観てきました!〜あらすじと感想

今月どれだけ歌舞伎に行くのかという話ですが、、

大変失礼ながら、実は全然マークしていなかった国立劇場の公演。
名高大岡越前裁(なもたかしおおおかさばき)

IMG_20181118_221306

「歌舞伎が好きならば是非!」という声を方々で聞き、
これは行ってみねばと思い、急遽チケットを取ることに。

国立劇場は2等席でも2,700円と求めやすい価格なのがありがたい! 

さてこれがですね、
とても渋くて良かったのです。 

国立劇場は、初心者には耳馴染みのない演目を通しで上演することが多く、
歌舞伎座のようなめくるめくエンターテインメント性には欠けるのではないかと思います。

しかし、じっくりと腰を据えて味わいながら観る余裕があります。
(私が歌舞伎にはまったのは、歌舞伎座ではなく国立劇場がきっかけでした。)

長くなってしまいましたが、各場面を振り返りつつ感想をしたためてみました。
大いにネタバレを含んでおりますので、これから観る方はご注意くださいませ。

***

今回のお芝居は、有名な「天一坊事件」をもとにしているものです。

…と言われても、時代劇に詳しくない自分には
さっぱりピンとこなかったのですが
要は
「将軍の御落胤と偽る天一坊 VS 大岡越前」
という構図。

ただしこの天一坊に、山内伊賀亮(やまのうちいがのすけ)という強力なブレーンがついてしまい、
加えて本物の御落胤の印まで手にしていたため(もちろん悪事を働いて手に入れたものなのですが)、
さすがの大岡越前もあわや切腹というところまで追い詰められてしまうのです。

伊賀亮、そんなに頭がいいのに
どうして無計画な悪事を始める法沢(ほうたく、のちの天一坊)についてしまったのだろう。

そもそも法沢も、おそらく出来心で始めたであろう壮大な犯罪を
どこまで本気で突き進めようとしていたのだろう。

前半は「むむむ?」と思うところが多かったというのが正直なところ。

しかし、大岡越前が出てきたあたりから
どんどん話が面白くなってきました!

***

この大岡中村梅玉さん)の登場。
花道から出てくる姿は、かの大岡越前にもかかわらずどこか疲れた風情です。 

それというのも、天一坊が御落胤でないなどというのは無礼だと、
将軍に袖にされてしまった後なのでした。

それに加え、大岡家の断絶までほのめかされ、
閉門(屋敷の出入りが禁じられる)の処分を受けてしまうのです。

それでも大岡の眼力、
やはり天一坊は絶対に将軍の御落胤ではないと分かっており、
閉門でありながら屋敷を脱出し、小石川の水戸徳川家へ
今一度 天一坊を調査したいと助力を頼みに行くのですが、

この脱出シーンがおもしろい!

閉門中でも唯一出入りできる とある場所から抜け出るのですが、
その計略に乗る家臣たちと、門番(嵐橘三郎さん)とのやりとりが軽妙。 

さらにこの場面、廻り舞台で次の場に切り替わるのですが、
舞台が廻りきるぎりぎりまで前の場の登場人物たちがわいわいしているので
ずっと舞台から目が離せませんでした。笑 

さて、この次の、水戸徳川家のシーンが私はとても好きだった
徳川綱條(つなえだ)坂東楽善さん) と大岡梅玉さん)とのやりとりの場面です。

天一坊の悪計を見抜いているにも関わらず、
思いのままに調査ができない状況に陥った大岡。
綱條は大岡をとても信用していて、大岡のために良いように取り計らうのです。

ここが渋くて温かくて本当に良い場面だった…!

綱條の、病をおして危急の時に力になってくれるかっこよさ、
不利に立たされた大岡に「名奉行」と声をかける強さ、 
しみじみと良かったです。。ここだけでももう一度観たい。

綱條の助力を得て、大岡は天一坊(市川右團次さん)を奉行所に召喚し、取り調べを行います。
この取り調べに臨むときの大岡、気を引き締めるように着衣をぴしりと整えるのですが、
この所作がなんともかっこよかった。

しかしここで出てくるのが、手強いブレーン・山内伊賀亮坂東彌十郎さん)。 
大岡の訊問に対して淀みなく答え、大岡を黙らせてしまうのです。

この場面の伊賀亮、圧巻でした
「網代問答」という有名な場面らしい。

自信たっぷりに、半ば威圧的に答える伊賀亮。
最初は「なんで天一坊方についちゃうの?」とキャラが掴めなかったのに
どんどんその難敵ぶりに惹き込まれてしまいました

しかしこの問答の最後、天一坊がぽろりと口を滑らせます。
伊賀亮が取り繕いますが、そこは大岡、聞き逃しません。

このあとの伊賀亮の引っ込み、七三で立ち止まるときの心中はどんなだろう。
頭のいい伊賀亮のことだから、100%言い負かしたとは思っていないはず。
この悪計の行く末を、どこかしら悟っているのかもしれないな、と思います。

さて、伊賀亮にやり込められてしまった大岡は
天一坊の失言を頼りにさらに調査を進めているのですが、
時間ばかりが経ち、調査にやった家臣・平石と吉田からは音沙汰がありません。

ついに大岡は、切腹を決意します。

この切腹の場面、浅葱幕と竹本の演出効果が凄かった
ぱっと幕が落とされると、大岡とその妻、幼い息子の忠右衛門が白装束で三人並んでいるのです。
もう覚悟をしなければならない。
竹本の語りが、哀しさを倍増させます。 

子供ながらに切腹の手順を完璧に身につけている忠右衛門市川右近くん)。
その身のこなしがとてもきれいで、それもまた切ない。 

介錯を頼まれた家臣・池田大助坂東彦三郎さん)は、
ただただ狼狽し、 平石と吉田の帰りを待つ。
この場面、 誰もが池田の気持ちになると思います。
二人の戻りの遅さに焦り、なんとかして主人を切腹から救いたい池田に、
思わずほろりとしてしまいました。

いよいよ刀を手に取る大岡と忠右衛門。

そこに、

帰ってきました!平石坂東秀調さんと吉田市川男女蔵さん!!
間に合った!!!

いや、展開上そうなることは分かってたけど! 

「天一坊が御落胤ではない」という証拠とともに帰ってきた二人を、
大岡は感謝とともに迎えるのです。

このときの忠右衛門が、泣き笑いを誘います。
「もう切腹はいたしませぬか?」
という、なんともかわいいセリフ。
完全に状況を理解はできていないのだろうし、
切腹の覚悟を決めるのは、幼いながらにとても無理をしていたことでしょう。
よかったね、と素直に思いました。。

さぁ、ここからは大詰・大岡裁き。
天一坊に決定的な証拠を突きつけ、天一坊がお縄となって幕です。 

***

一気に語ってしまいましたが、

お芝居として濃密で、4時間なんてあっという間でした。
周りの言葉を信じて観にきてみてよかった。 

ご出演の役者さんたちの声がとても好きで、
惚れ惚れしながら聞きました。 

いぶし銀の魅力というのでしょうか、とにかく渋かっこよかったです。 

分かりやすく「うわぁー!」となれるような演目ではありませんが、
初心者の私でも味わい深いと思える舞台でした。

もう一回観たい…
 

歌舞伎座座席レビュー【幕見席 編】

実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

*** 

第2回は【幕見席】
第1回からの落差がすごいですがその辺はご愛敬で…
一番座ったことの多い席です。笑

通路も狭くて、前に人を通す度に立ち上がらなくてはなりませんが、
実はメリットも多いと感じているので、ご紹介します。





■歌舞伎座幕見席からの見え方


こんな感じです↓

IMG_20181116_154421

幕見席2列のうちの後列、
右から2番目のブロック・右寄りからの眺め。

かなり角度はありますが、
舞台は全体が見渡せます。

花道は七三がギリギリ見える程度で、
舞台近くできまってくれれば見えますが、
大勢で花道にずらりと並ばれてしまうとアウトです😅

それに加え、舞台がせり上がってしまうと
上の方は見にくくなるかもしれません。

でも意外と見えますよ!

客席の傾斜が急なので、
前の方の頭に視界を遮られることは比較的少ないと言えます。

ちなみに前列と後列なら、
後列が断然おすすめ!
前列は、私の座高だと手すりに視界を邪魔されます。
 

幕見席はオペラグラス必須です!
なしでも見えることは見えるし、舞台全体を見たいときなど、あえてオペラグラスを使わないこともありますが、舞台上でどんなことをしているのか細かく見るには絶対必要です。
倍率は3倍でも十分ですが、この先も観劇生活を楽しみたいのであれば、6倍くらいのものを持っておくと良いと思います。


■歌舞伎座幕見席の音響


一階席のときも書きましたが、
音を楽しみたいならば、私は三階や幕見席をおすすめします

上を遮るものがないので、
特に拍子木の音などは上の席の方がよく響くのです。

同じ理由で、客席の拍手の音も三・四階が一番響きます。
一斉にわーっと拍手が起きたときなんか、
それだけで大きな効果音に感じられますよ。

あとは、何といっても大向こうの方の存在
 
「◯◯屋!」「待ってました!」という大向こうのかけ声が、とても好きです。
「歌舞伎に来ている」と感じられる、一つの大事な要素だと思います。
幕見席は、このかけ声がとても近いのです。
 
幕見や三階席をうろうろしている者にとっては
一階、二階はかけ声や会場全体の拍手の音が何だか遠くて、
観客としての臨場感というか、その空間に参加している感じが
ちょっとだけ物足りなかった。贅沢ですが笑

幕見席は舞台から一番遠い席なので、
役者さんによっては声が聞こえないこともあるのですが、
基本的にはそれほど気にせず見られると思います。
 
思えばマイクなしで、多くのお客さんの服に音を吸収されながらも
幕見席まで届く声で演技をするって、凄いことですよね…。

 

■幕見席の服装(洋服・着物)


割と自由です。

カジュアルな服装の方もたくさんいらっしゃいますし、
かしこまった服でも浮くことはないかと思います。
他の客席と隔離されているので、その分自由度が高い気がします。

着物の方も少数派ですが、いらっしゃいます。
私が見たことがあるのはやわらかい小紋の方ですが、
もうちょっと気軽なものでも行けるのではないだろうか、と探り中です。
さすがに半幅帯は見たことがありませんが…。

ただ、先述の通り通路が狭く、
自分の前をぎりぎりで人が通ることも少なくないため、
着物はやや動きにくく、着崩れの心配もあるかもしれません。


■幕見席のいいところ


「一幕だけ見られる」利点については別記事(こちら)で述べたので割愛して、

幕見席は「観客として空間に参加できる」席だと思います。

いや、もちろんどの席だってそうに違いなく、
舞台に近い方が臨場感が増すのも当然なのですが、

客席全体が見えて、客席全部の拍手が聞こえて、
大向こうの声がすぐ近くからばんばんかかる。
客席全体の音を全て集められる貴重な席だと思います。


■まとめ


狭い、売店がない(自動販売機のみ)、
当日券のチケット販売の待ち時間が長い、など
粗を探せばいくらでも出てくる幕見席。

ですが、一長一短あるのはどの席も同じこと。
実は総合的に見て、他の席に大きく劣るわけではないのではないでしょうか。

一階・二階席での観劇経験が少なく、
あまり正確な比較はできないのですが、
何だかんだで、私はこの席が好きです。笑

快適な席をちゃちゃっとゲットして、
オペラグラスを用意し、
気楽な気持ちで観劇を楽しみましょう!

 

「楼門五三桐」初心者はこう楽しんだ!~吉例顔見世大歌舞伎 夜の部感想

今月の歌舞伎座、「吉例顔見世大歌舞伎」の
夜の部に行って参りました!

今月は昼・夜いくつか観劇したので、
印象に残っているものを演目ごとにまとめてみます。

DSC_0625


夜の部の幕開けは、かの有名な「楼門五三桐」

絶景でした…!!!

IMG_20181116_154511

光ってしまってうまく撮れませんでしたが
真ん中が石川五右衛門です。 



■初心者でも楽しめるのか?


楽しめます!

一瞬で終わる幕ですが、
歌舞伎の魅力が詰まった一幕だと思います。

浅葱幕(あさぎまく・舞台全体を覆う水色の幕)の前に颯爽と登場して演奏する大薩摩、
舞台に現れる絢爛たる楼門、
楼門ごとせり上がっていく仕掛けのダイナミックさ…

目も耳も嬉しく、「歌舞伎に来たー!」という感じがしてとても良かったです!


■私はこう見た!ここが好き!


「絶景かな、絶景かな」で始まる有名な一幕。

何が絶景かってもう、
客席から見た舞台が絶景です。
浅葱幕というものの魅力をこれほど感じた演目はない。

舞台全体を覆い隠す浅葱幕。
これが一気にパッと落とされると、そこにあるのは金ピカで豪華な楼門。
ちらちらと桜が舞い散っていて、真ん中に石川五右衛門がどーんと座っています。
この「舞台が一気に見える」スピード感と華やかさ
これを実現させた浅葱幕というものは凄い!

浅葱幕が振り落とされて舞台が見えた瞬間、
思わず一人で「わっ!」と呟いてしまいました。笑 

中村吉右衛門さんの石川五右衛門は、「これぞ歌舞伎!」という感じ。
存在感と大きさに圧倒されます。
たっぷりとしたセリフ、聴き惚れました。 

そこにやって来る真柴久吉、尾上菊五郎さん
ひょうひょうとした感じが難敵感満載です。

途中、五右衛門が投げつけた手裏剣を
久吉が柄杓でパッと受けるのですが、
あの仕掛けはどうなっているんでしょう?
一瞬の内にちゃんと柄杓に手裏剣が刺さっていたのですが、目が追い付かなかった!
歌舞伎の仕掛けって、相当アナログなのに本当に良くできてますよね…  

順番が前後してしまいますが、
浅葱幕が落とされる前の大薩摩の演奏も素晴らしくかっこいい。
まだまだ言葉は聞き取れないのですが、
音としてときめきました。

 

■これさえ押さえれば楽しめます


以下に挙げるのは、観劇してみて
「初めてでもこれが分かっていれば楽しめそうだな」
「これを知っていればもっと楽しかっただろうな」
というのをまとめてみたものです。

★大体見せ場の前には、
「待ってました!」という掛け声がかかります。
この声を頼りに、舞台にぐぐっと注目!

たったの15分と非常に短い幕なので、
舞台全体が見どころといっても過言ではないと思います。

が、

忘れちゃいけないのが先述した大薩摩

幕が開く前に、太夫(声)の方と三味線の方が
お一人ずつ幕の前に出てきて演奏するのですが、
これがまぁかっこいい!
「こういう音楽のある国にいられて良かったな」と思える、
舞台を引き締めるような演奏です。

さぁ、いよいよ幕が落とされます。

石川五右衛門(最初に出ている人)にとって、
真柴久吉(最後にせり上がってくる人)という男が
生みの親の仇でも、恩ある人の仇でもあるということを知っておけば大丈夫。
(五右衛門の読む手紙は、久吉が親の仇であることが分かる内容です。) 

あとは五右衛門の圧倒的な迫力と、
豪華で大がかりな舞台、
最後の五右衛門と真柴久吉とのキリッときまる見得を
「おぉっ!」と思って味わえばよいのではないでしょうか!!


■まとめ


あんなに短い幕なのに、驚くほどの充実感です。大満足!
吉右衛門さんと菊五郎さんという豪華な配役。
この舞台を見られる今、歌舞伎を好きになって本当に良かったと思います。

最後に、真柴久吉を語る菊五郎さんのお言葉を、
筋書より抜粋させていただきます。

「台詞も一言で、幕を閉めに出るお役ですが…」

幕を閉めに出るお役、というのが面白い。笑 
 

物知らずが行く歌舞伎#4〜新春浅草歌舞伎(浅草公会堂)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
こんなに物を知らなくても歌舞伎を楽しんでいますよ
というのをお伝えできればと思っています。

毎年恒例・浅草の新春歌舞伎!

若手の役者さんたちが活躍する公演で、
公演前に役者さんのご挨拶があります(持ち回りかな?)。

歌舞伎にはまる前に一度行ってみたことがありますが、
演目もどれも気張らずに観られるもので
とても楽しい時間を過ごすことができました。
(ちなみにその日のご挨拶は坂東巳之助さん
親しみやすいお話とともに、なんと客席まで下りてきてくださいましたよ!) 

そんな新春浅草歌舞伎、
平成最後となる来年1月の公演について
無知をさらしてみたいと思います。

今回はちょっぴり調べてみたことも入れてみました! 

 



■新春浅草歌舞伎の演目は?


2019年1月、浅草公会堂での公演。
演目は以下の通りです。

【第1部】
一.戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
二.源平布引滝 義賢最期(げんぺいぬのびきのたき よしかたさいご)
三.芋掘長者(いもほりちょうじゃ)

【第2部】
一.寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
二.番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)
三.乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)



うーん、ぎりぎり読めなくもないのですが、
こうも漢字が多いと読もうとしなくなりますね。。笑



■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【第1部】

「源平布引滝」
は、
今月の平成中村座でやっている「実盛物語」と
同じお話の別の部分ということですよね。

…だからって何が分かるわけではないんですけどね、笑
こういう小さなよすがが
「次も観てみよう」と思うきっかけになるのですよ!

あとは全くもって馴染みのない演目です。 

ですが、「戻駕色相肩」 の登場人物に
石川五右衛門と真柴久吉の名前があるので、
今月「楼門五三桐」を観ておくと
何となく親しみが持てるかもしれない。 


【第2部】

どの演目もうすぼんやりと聞いたことがあります!

「曽我対面」は、
大好きで何回も読んでいる小説『仲蔵狂乱』(松井今朝子)
しばしば出てくる演目です。

「番町皿屋敷」ってあれですよね、
一枚足りない話ですよね。
お菊さんが井戸から出てきてお皿を数える…
あの話を歌舞伎で春からやるんでしょうか?
でも他に番町皿屋敷ってないですよね、、(著しく不安)

と思っていたらやっぱり違うようなので、後述します。笑

「萬歳」は、今回のものは観たことがないのですが
踊りでいくつか観たことがあります。
(「●●萬歳」というさまざまな「萬歳」シリーズがあるようなので、
「萬歳」という一つの型みたいなものだと捉えればいいのでしょうか。
「三番叟」と同じようなものだと勝手に思っているのですが笑)



*現時点で知っていることは?


◇寿曽我対面


お話の筋はいまいち分かっていませんが、
曽我兄弟による仇討ちの物語で、
この「対面」の部分は重要な登場人物が一堂に会し、
曽我兄弟とその仇・工藤が
文字通り対面する場面
らしい。

お正月の定番の演目のようです。
歌舞伎座でも別の形で曽我物をやるようですね!

元を辿れば「助六」も同じ話(曽我物)なんだそうです。
歌舞伎の世界では、同じ話をもとに
いろんな展開で芝居が作られているので、
「まさかこれとこれがつながっていたとは!」
という関係性のお芝居が結構ある気がします。
 

◇番町皿屋敷


てっきりお菊さんがどろどろと井戸から出てきて
「一枚…二枚…」とお皿を数える話だと思っていたら、
その話を元に岡本綺堂が再構築したラブストーリーだったようです。恥ずかしい。

歌舞伎公式サイト 歌舞伎美人」に過去上演時の説明を見つけたので
引用させていただきます。
(※この説明のページにリンクします)

赤坂山王神社では、旗本で白柄組の青山播磨が、敵対する町奴の幡随長兵衛の子分から喧嘩を売られ、一触即発のところを播磨の伯母がこれを納めます。血気盛んな播磨のことを心配する伯母は、播磨の縁談を勧めようとします。しかし、播磨は腰元お菊と恋仲の関係で、その気はありません。
他方、播磨の屋敷では、縁談の噂話を聞いて不安になったお菊が、播磨の本心を確かめようと、家宝の皿を割ります。最初はお菊を許す播磨ですが、その後、お菊が故意に皿を割ったことを知った播磨は、自分の心を試されたことが許せず、お菊を手討ちにします。
皿屋敷伝説を踏まえながらも、近代の恋愛物語として新たにつくられた岡本綺堂の新歌舞伎をお楽しみください。

あの一枚足りない皿屋敷は伝説だったのですね…!
まさか新年から怪談をやるはずがないと思っていたので
これを読んで安心しました。笑


◇乗合船惠方萬歳


「太夫」と「才蔵」(←鼓を持っている方)2人の登場人物による
ご祝儀舞踊「萬歳」

2017年の日本舞踊協会公演が
5公演のうち3公演の最初の演目が「三番叟」だったのに対し、
2018年の同公演では4公演すべてが
「萬歳」から始まっていたことを考えると、
三番叟と同じくおめでたい演目だということが分かります。
そもそも「萬歳」という名前からして縁起が良さそう。

さらに「お正月」「乗合船」となると
そこはかとなく七福神的なにおいがしてまいります。
(全くの想像でものを言っていますが…)

登場人物も多く、華やかな舞踊になりそうですね!

***

全て第2部に偏ってしまった。。
しかも皿屋敷については
「現時点で知っていると思っていたら違っていたこと」ですしね。
いいんです。無知をさらす場なので


■観てみたい演目は?


上では触れなかったのですが、
「芋掘長者」ってとても平和な題名でいいですね!笑

と思って調べていたら、どうやらこちら、
十代目坂東三津五郎さんが、45年ぶりに新たに振りをつけて
平成17年に復活させた舞踊
とのこと。

それを1月は、ご子息の巳之助さんが踊られるのですね。

題名に惹かれて調べたら、
そんな大きな背景にぶつかってしまって、

ちょっとこれは観ておきたいな、と思い始めました。

そんなわけで、過去の「歌舞伎美人」に載っていた
「芋掘長者」のあらすじを載せておきます。
(※この説明のページにリンクします。「みどころ」からご覧ください。)

◆踊りが苦手な男の困った末の大一番
松ヶ枝家では、息女緑御前の婿選びの舞の会を催します。そこへ友達の治六郎とともに現れたのは、緑御前に思いを寄せる芋掘藤五郎。舞ができない藤五郎のために、面をつけた舞上手の治六郎が途中で入れ替り、藤五郎のふりをして見事な踊りを披露します。感心した緑御前から、藤五郎は面をとって踊るよう所望され…。
藤五郎が困った末に見せる芋掘踊りなど面白味のある舞踊です。平成17年歌舞伎座で十世坂東三津五郎が新たに振りをつけて45年ぶりに復活させた十世の思いがこもった作品です。

この「芋掘藤五郎」の役が巳之助さん
治六郎は中村橋之助さんです。
 

■どのチケットを買う?


現時点で知っていることからして
圧倒的に第2部を観に行く気まんまんでいたのですが、

上述の「芋掘長者事件」が起きまして、

絶賛迷い中でございます。。

チケット発売は11月20日(火)。
それまでに決められるでしょうか。。


■まとめ


まとめの前に、一つお伝えしたいことがあるのです。

一般的な歌舞伎の筋書(公演プログラム)はB5ですが、
少なくとも私が行った年の浅草新春歌舞伎の筋書は

A4でした! 

筋書を買う方は、大きめのお鞄があると良いかと思います。
この数年で筋書サイズダウンしていたらすみません。 

さて、まとめです。

今回も知らない演目ばかりでしたが、
例えば「曽我物はお正月の定番だよ」とか
「芋掘長者は三津五郎さんの思い入れのある作品だよ」とか
少しでも作品に近づけるような知識が入ると
ぐっと観に行ってみたくなりますね。

これからの「物知らずシリーズ」は、
そんな情報も少しずつ入れていけたらと思います。

ちなみに浅草新春歌舞伎は、歌舞伎座よりも少しお安め。
1等席でも9,000円で、一万円を切ります。
3等席ならば3,000円だそうです。

観劇の前後に、新年を迎えて賑やかな
浅草の空気を感じるのもいいかもしれませんね


 

大人のための、美しい童話集『春の窓』(安房直子)

ぶらりと立ち寄った本屋さんで
偶然好みの本に出会うと、
とても幸せな気持ちになります。

本をしまった鞄まで特別に思えてくる。
一ページずつ丁寧に本をめくりたくなる。

***

最近そんな出会い方をしたのが この本です。

IMG_20181113_221239

『春の窓 安房直子ファンタジスタ』(安房直子、講談社)。

安房直子さんと言えば、
小学校の国語の教科書に載っていた 
「きつねの窓」が思い浮かびます。 
細かいところは忘れてしまいましたが、
日本語の美しさに感銘を受けた記憶はしっかりと残っています。

その安房直子さんの童話集。

「赤い塗りの手箱」に「ふうわりと眠っていた」黄色い絹のスカーフ、
「だれにも見えない」緑あふれるベランダ、
内緒でぬすんだ「星のはいったおはじき」、
紙袋につまった桜貝、、

小さな頃に憧れていたのは
こんなものだったかもしれない、と思うような
うっとりするような小物たち。

かと思えば、

壁に描かれた窓の絵は
まるで本物の窓のように風や季節を運ぶけれど、
その向こうは全くの別の世界であったり、

美しい銀色の花の影が
大きな犠牲をもたらしていたりと、

少し残酷でどことなく憂いを帯びたお話もある。

鹿の娘と恋に落ちたり、
海がめに魅入られたり、
まるで神話のような美しさと恐ろしさが綯い交ぜになったお話もある。

やわらかくあたたかく、ていねいな日本語で綴られたお話は
「童話」と括れば子供向けなのかもしれませんが、
大人の目で読んでも味わい深くて
一話一話が心にしみてきます。

日本語が好きで、物語が好きならば、
必ず大切な一冊になるはずです。 

***

あの日、あの本屋さんに行かなければ
この本に出会うことはなかっただろうな、と思うと、
改めて「本屋」というもののありがたみが感じられます。
この本をおすすめしていた書店員さんには、
ねんごろにお礼を言いたいです。

春の窓 安房直子ファンタジスタ (講談社X文庫) [ 安房直子 ]

価格:680円
(2018/11/13 22:51時点)


 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

読者登録
LINE読者登録QRコード