ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

2019年01月

太田記念美術館「かわいい浮世絵 おかしな浮世絵」展に行ってきました!

またもや最終日に足を運ぶという、何の参考にもならない感想で恐縮ですが…
原宿にある太田記念美術館の「かわいい浮世絵 おかしな浮世絵」展に行って参りました!

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浮世絵は全然詳しくないのですが、このポスターのかわいさと、Twitterで漏れ聞こえてくる内容の興味深さに惹かれて。

行ってみて大正解!
私でも楽しめるようなものばかりでしたよ!!

さすがに作品を撮って載せることはできないので、言葉での説明になってしまいますが、印象に残ったものを。 

***

まず歌川広重の扇絵。
団扇の形に絵が描かれていて、切って団扇に貼るのだそうです。
 
展示されていたのは、「月に兎」の図柄。
画面からはみ出る大きな満月の下に、二羽の兎が描かれます。
夜の色に、白い月と兎がおしゃれ!
こんな団扇を、渋い浴衣に白の帯を貝ノ口できりっと締めた背中に差して歩きたい。

***

それから歌川広景の、鳶と油揚げの絵。

鳶が桶ごと油揚げを盗んで飛んでいるのですが、空中で桶をひっくり返してしまいます。
その様子を見上げている男の人の顔面に、油揚げが見事に落ちる。笑
周りの人も笑っちゃっています。

この不運な男性、「見上げる」という不安定な体勢だった上に顔も油揚げに覆われてしまって、
バランスを崩した拍子に、草履の鼻緒が切れてしまっているんです。
もうオチがマンガのよう!!笑

鳶が油揚げを盗むのは、良くあったことのようですね。
日本舞踊「子守」も、油揚げを盗んだ鳶を追いかけてきてすっ転ぶところから踊りが始まります。

***

同じく広景の、髪結床の絵も印象的でした。

男のお客が髪を剃られているのですが、うっかり剃りすぎてしまったようで、もちろんお客はおかんむり。
しかし剃っている方の人は、自分の失態にもかかわらず、あろうことかへらへら笑っている…!
何よりひどいのが周りの客で、みんなお客を見て大爆笑。笑

何ともおおらかな時代を感じさせる一枚でした。

***

猫の絵が有名という印象の歌川国芳は、今回の展示ではほおずき人間が楽しかった!
なんと、ほおずきが擬人化されているのです。
実が顔で、オレンジ色の皮が広がって五体になっています。

私が気に入ったのは、とうもろこしの幽霊に驚くほおずき人間!
夜道に揺れるとうもろこし、確かに幽霊みたいに見えなくもないですね…

これを見たほおずき人間たちが、腰を抜かしているのが愛おしい!!
表情がないのに泡を食っているのがよく分かります。笑

ほおずき人間は着物の柄にもなっているみたいですね💡
以前リサイクルのお店で見かけました。

***

現代的な笑いを誘うという面では、鈴木春信の絵が良かった。

火鉢の前でついうとうとしている女性と、その後ろに忍び寄る女性二人。
この二人、何と寝ている女性の帯に糸をつなぎ、その糸を柱にくくりつけるといういたずらを…!
悪質だぞ!!笑

このいたずらしてる二人の表情がいいんですよ、
片方は静かに微笑んでいて、片方は口に手を当てて笑ってます。
無声音の「うふふ」が聞こえてきそうです。笑

***

他にも楽しい、かわいい作品がたくさんありました。
浮世絵ってのびのびしてますね!
人々の一コマを描いた絵からは笑い声や会話が聞こえてくるようだし、動物の絵は愛嬌たっぷりでした。

次回の展示は2月1日から、「小原小邨」展とのことです。

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何ともかわいらしいきつねですね!

JR原宿駅から徒歩約5分。
思った以上に足を運びやすかったので、また見に行こうと思います。




100均×着物!手ぬぐい篇


着物を着る際に100均アイテムが意外と役立つ、という話の第二弾。
第一弾からかなり空いてしまいました…
(第一弾はこちら⇒100均×着物!補整用バスタオル篇

今回は手ぬぐい半襟です。

これ、すでにやっている方がたくさんいるかと思うのですが、
なかなか魅力的な柄に出会えずにおりました。

しかし、昨年ついに出会ったのです! 

ダイソーにて発見、迷わず買ったのはこちら↓

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すでに半襟にしてしまった後ですみません、
そのままの状態で写真を撮り忘れました笑

これ、二枚の手ぬぐいではなくて、
2つの柄が半分ずつになっている一枚の手ぬぐいだったんです!
イメージはこんな感じでしょうか。

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この一枚で半襟が二枚もできるではないか!

日頃は判断の遅い私ですが、即決で買いました✨

この手ぬぐい半襟を付けてみたのがこちら↓

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ふっくらとした丸顔。

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上の着物と激似ですが違う着物ですよ。

どちらもいい感じに馴染む!

色が和風にできていて、何色か入っているのが使いやすいポイントかと思います。

100均手ぬぐい半襟のいいところは、安いことはもちろんですが
何より洗濯機で気軽にがんがん洗えるところ!!!

手持ちの半襟は、リサイクル着物屋さんで買ったお着物のハギレばかりなのですが、
絹素材のため 軽い気持ちで洗濯できないのです。。
(ハギレ自体は割とどこのリサイクル着物のお店でも手軽な価格で売っていることが多いです!ユザワヤなんかも意外と使える。)

しかし手ぬぐいは綿100%。
もともと使って洗うためのものなので、汗をかいたら洗濯機に放り込めば大丈夫

襟元は汗やらお化粧やらで汚れがちなので、気軽に洗えるのはとてもありがたいです! 

ただ、冒頭にも述べました通り
なかなかいい感じに使える手ぬぐいには出会えません(特に100均の場合)
「これ!」と思えるものを見つけたら、迷わず買って損はないと思います。

「やっぱり半襟には違うか…」と思っても、手ぬぐいならはんかち代わりに、ティッシュケース代わりに、とさまざまな用途で使えます💡

ぜひ100均に足をお運びの際は素敵な手ぬぐいを探してみてください!
 

新春浅草歌舞伎 昼の部に行ってきました!〜初心者の感想〜

毎年恒例、若手の役者さんたちによる新春浅草歌舞伎。
広告からしてポップです。

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ぴんく!

浅草の仲見世の、雷門に向かって二本左、オレンジ通り沿いの突き当たりにある浅草公会堂。
大きな看板が出ていて、とても華やかです!

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観劇する人もしない人も、みなさんひっきりなしに記念撮影をしていました。
「スターの手形」もあって、ここだけでも見どころたくさんですね! 

さて、新春浅草歌舞伎、とても楽しい時間だったので、演目ごとに感想を振り返ってみたいと思います。

★関連記事⇒物知らずが行く歌舞伎#4〜新春浅草歌舞伎(浅草公会堂)今の知識と演目選び

 


0.お年玉<年始ご挨拶>


新春浅草歌舞伎では、開演前に出演者によるご挨拶の時間があります。
私の観劇した日の「お年玉」担当は、坂東巳之助さん
奇しくも初めての新春浅草歌舞伎と同じです。

この日も素敵なお声で、「第1部と第2部の入れ替えに30分しかないのはひとえに上演時間の計算ミスです」というお話。笑
計算ミスって…!(ちなみに終演後、すでに第2部のお客様が会場内にずらりと並んでいらっしゃいました。)

いつもはもっといろいろなお話をされるそうですが、今年はそんなわけで時間がなかったとのこと。

歌舞伎役者らしく朗々と挨拶が始まったと思ったら、さっとマイクを持って「えーとですね、」と話し始めるギャップが面白かった。笑


1.戻駕色相肩


ほとんどが、のどかな廓話を表す踊りです。
 
駕籠かきの浪花の次郎作中村歌昇さん、駕籠の後ろ側)と吾妻の与四郎中村種之助さん、駕籠の前側)が、乗せてきた禿たより中村梅丸さん)と絡みながら、廓の様子を語っていきます(あんまり内容は理解できていないのですが、三人がそれぞれの土地の廓話を語っていたようです)
 
途中で次郎作が女性の振りになり、一つの羽織を与四郎と二人で羽織って、一緒に三味線を弾くところが好きでした!
ちゃんと本物の三味線の音に合わせて動きます。高い音のところで与四郎がちょっとむきになる感じが楽しい。笑
そして禿の首の振り方とか、思いっきり膝を折って踊る感じとか、幼さがとてもかわいらしいです。

ところが、ふとした拍子に次郎作が巻物を、与四郎が香炉を落としたところから様子が激変
二人の正体が、この落し物で明らかになるのです。
実は与四郎は真柴久吉、そして次郎作は石川五右衛門。敵同士だったのでした。 
ここからはお互いが本性を出して、かっこいい立回りになっていきます。

のんびりとした雰囲気を楽しみつつ、最後のきりっとした空気は爽快でした。

それにしてもよく考えると禿、何の気もなく駕籠に乗っていたはずなのにこんな場面に出くわすなんて、災難ですね…。


2.源平布引滝 義賢最期


ちょっとストーリーが複雑ではありますが、主要登場人物(義賢、多田行綱とその妻小万、小万の父九郎助と子の太郎吉)は全員源氏方、というのが分かっていれば大丈夫です。
(義賢は表向き平家方なのですが、源義朝と血縁関係があるため、心の中は源氏再興を望んでいます。)
当然、途中で花道から攻めてくるのは平家方のみなさんになります。

これは迫力があって良かったです!!
あんな必死な立回りは初めて見ました、立回りってもっと「型」を見せるものだと思っておりました。
命の際の義賢尾上松也さん)、文字通り命がけの争いを見せます。

もう立回りの始まりからとても派手です。
金の襖を使って、大きな動きがたくさんあります。
 
中でも注目は戸板倒し。二枚立てた襖の上に一枚襖を渡して、その上に役者さん(今回は義賢)が立って乗ります。
|‾| ←こうなっている上に乗る、ということです。)
下の二枚の襖を支えている役者さんが手を離し、襖が倒れるのに任せて上に立っている役者さんがどーんと落ちるのですが、
これがとにかくものすごい迫力!客席も盛り上がります!!

そして義賢絶命の際は、「仏倒し」といって、仁王立ちのまま正面にどうと倒れます
もう本当に義賢役、生傷が絶えなそうです。。 

義賢のかっこよさは当然のこととして、個人的に最もかっこいいのは小万坂東新悟さん)ですね。
女性でありながら、平家の討手を倒していく力の強さ、そしてどんな場面でも落ち着きを忘れずに、常に必要なことを的確にこなす精神面の強さ
義賢の最期に際し、のめる義賢を駆け寄って支え、水を飲ませる姿はもう、全武将はこの人を妻にすべきと思うレベルです。 
 
平家に仕えながら、実は源氏再興の意志を持つ義賢と、源氏方の武将・多田行綱中村隼人さん)の妻である小万。
同じ意志を持つ者として、義賢もこの女性を信頼し、大事な源氏の白旗を託すのです。 

平成中村座で観た「実盛物語」に繋がる部分(あまり内容に触れていませんが、感想はこの記事
実盛物語では痛々しい姿で登場するあの小万が、どういう経緯で白旗を守り抜いたのか、やっと分かりました。

緊張感のある展開の中で、小万のお父さんに当たる九郎助大谷桂三さん)と息子の太郎吉(ごめんなさい、筋書を買わなかったものでどの子役さんだか分からず…)が癒しだなぁ…
九郎助、真剣なんですがどこかのんびりしているんです。笑 
そして平家の討手に対し、九郎助におぶわれたまま棒で応戦して、見得までする太郎吉のかわいいこと!
このあとの「実盛物語」でも太郎吉がかわいいのは知っているので、ぜひいつかこの二つを流れで観て太郎吉に全力で癒されたい。笑 


3.芋掘長者



これは何も分からなくても安心して楽しめる、そして誰もが幸せな気持ちになれる演目ですね!
舞台の端まで見逃せません。

以前この記事でもあらすじを載せましたが、再掲。
過去の「歌舞伎美人」に載っていたものです。太字と配役は筆者が追記しました。
(※この説明のページにリンクします。「みどころ」からご覧ください。)

◆踊りが苦手な男の困った末の大一番
松ヶ枝家では、息女緑御前坂東新悟さん)の婿選びの舞の会を催します。そこへ友達の治六郎中村橋之助さん)とともに現れたのは、緑御前に思いを寄せる芋掘藤五郎坂東巳之助さん)。舞ができない藤五郎のために、面をつけた舞上手の治六郎が途中で入れ替り、藤五郎のふりをして見事な踊りを披露します。感心した緑御前から、藤五郎は面をとって踊るよう所望され…。
藤五郎が困った末に見せる芋掘踊りなど面白味のある舞踊です。平成17年歌舞伎座で十世坂東三津五郎が新たに振りをつけて45年ぶりに復活させた十世の思いがこもった作品です。

とにかく舞の好きな緑御前。
結婚相手も舞上手がいいと、舞の上手い人をその場に招待していて、治六郎や藤五郎の前には莵原左内中村歌昇さん)と魁兵馬尾上松也さん)が舞います。
左内の緑御前に対するデレデレぶりがなかなかです。笑

ちゃんと舞を理解している、格の高そうなこの家に、ただの芋掘がやってくるのですから大変です。
藤五郎は身のこなしがさっぱり分からず、治六郎の全力の指導も虚しく、全然うまくいかない。笑
この辺は藤五郎のダメっぷりがわざとらしいくらい分かりやすくて楽しいです。

「藤五郎は舞ができない」という事実を隠し通すため、面で顔を隠して代わりに治六郎が舞います。
この治六郎が舞っているとき、ぜひ横目で藤五郎にも注目してみてください。隠れて楽しんでます。笑

ここから先が藤五郎の見せ場で、「面を取れ」と言われてもはや全ての隠しようがなく、ままよ!とばかりに芋掘踊りを始めるのです。

このあたり、踊りも軽快でノリが良く、音楽も調子が良くて、純粋にいい気分で観られます!

そしてこの芋掘踊りがまさかの結末を呼ぶのでした。なんとおおらかな芝居でしょう。笑

最後はみんなで芋掘踊りを踊って幕です。
やっぱり「みんなで踊る」っていいですよね。気持ちが晴れ晴れします。
横一列で後ろを向いて芋を掘る振りに何だか癒された。笑

昼の部最後の演目がこれなのは、とても良いと思います。
観劇後の半日を爽やかな気持ちで過ごせました。笑 


4.まとめ


知らない演目ばかりでしたが、昼の部に行ってみて大正解でした!
華やかな立回りあり、大好きな踊りありで、たっぷり味わえた感じ。

二階後方席からの観劇でしたが、花道も半分くらいは十分に見え、舞台も全体が見渡せました。
オペラグラスがいらなかったくらいです。

会場一階や二階の通路にたくさんお店が出ていたり、幕間にお弁当やおやつを売りに来たり、観劇以外の楽しみも充実!

肩の力を抜いて観に行ける、素敵な公演でした✨

「姫路城音菊礎石」(国立劇場初春歌舞伎公演)観てきました!~初心者の感想~

国立劇場の初春公演!
尾上菊五郎さんを中心とした、いわゆる「菊五郎劇団」による公演が新年の定番となっているようですが、私は今年が初めてです。

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劇場のいたるところがおめでたい雰囲気。

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客席をぐるりと囲む提灯のところにも、繭玉がたくさん下がっていましたよ。

今回はあらすじをまとめるのを断念
印象に残ったこと、見どころなどをいくつかピックアップして語ります!

※あらすじはまとめられませんが、疑わしきを疑い続ければ筋は理解できるかと思います。
印南内膳(菊五郎さん)はどんなに忠臣に見えても悪者です!笑
そして死んだ者は死んでいます。もし生きているかのように見えたら、それはあの生き物の仕業です。)

***

今回まず何よりも嬉しかったのは、所作事(踊り)の時間がたっぷりあったこと!
三幕目「姫路城天守の場」。
尾上菊之助さんの振付だそうです(筋書情報)
弓矢太郎の菊之助さんと、お菊中村梅枝さんとの踊りが堪能できます。

以前テレビで観た、品良く素晴らしい三番叟が忘れられない菊之助さんと、
昨年末の藤娘で美しさをたっぷり味わった梅枝さん。
この時間のために今回のチケット代を費やしても、自分は後悔しないと思います(笑)。

この場面では長唄の方が舞台後方で演奏しているのですが、この方が凝っているんです。
石垣の中で演奏しているかのよう。姫路城の石垣がちゃんと見えながら、その向こうの長唄の方々も見えるのですが、あれは一体どうなっていたのでしょう…?三階から見るには限界が。。

ちなみに菊之助さん・梅枝さんのお二人は3月に国立小劇場で上演される『積恋雪関扉(つもるこいゆきのせきのと)でも共演なさるようです! 楽しみ!!とにかく楽しみ!!!
小劇場なんて、どの席から見てもめちゃくちゃ演者が近いですよ…なんと贅沢な…!
(国立劇場公式ページはこちら) 

*** 

双子の兄弟を演じる梅枝さん、小佐壁主水・与九郎狐・加古川三平の三役を演じる尾上松緑さんはじめ、
一人何役かで出ていらっしゃる方も多いので、そこも見どころの一つかと思います。
(筋書に書いてある役の初め2行がどちらも梅枝さんでちょっと面白かった)

特に菊之助さんは大活躍で、四幕目ではお辰から(人間の格好の)小女郎狐、(狐の格好の)小女郎狐からお辰、とだいぶタイトな時間で変わっていきます。
小女郎狐の登場、結構な迫力です!どこから出てくるか分かっていても「おぉっ!」と呟いてしまった。笑
詳細を言ってしまうと面白くないので、これから見る方はぜひお見逃しなく!! 下町●ケットは飛びませんが、狐は飛びます。

***

このというのが面白くて、まず衣装が気になります。
今月の筋書では、くろごちゃんが(?)衣装についてリポートしているのですが、
真っ白でふさふさの毛が全面に覆っているこの狐の衣装、製作にもお手入れにもとても手がかかるそうです(詳細はぜひ筋書を読んでみてください!衣装さんのお仕事、素晴らしいです)
舞台から遠く離れた三階席でも分かるふさふさ具合。役者さんが動くたびに、ふさふさにそっと触れてみたくなります。笑

そして、小女郎狐のしゃべり方も面白いのです狐詞(きつねことば)というらしい)
最初を伸ばして最後が早口になる独特なリズムやイントネーション、途中に入る鳴き声のような音。
どういうきっかけで狐の演出はこうなったのでしょう。

与九郎狐(松緑さん) との狐夫婦、狐の通力が見られる演出も楽しい!
狐手という指先を丸めた形の手で、人智を超えた力を見せてくれます。(特に与九郎狐の方は、扉を動かす人と息を合わせるのが難しそう!)

*** 

そして和史くん眞秀くんの子役お二人のかわいいこと…

特に、やんちゃ盛りの福寿狐(眞秀くん)が自由な行動に出た挙句、犬に追われてお家に逃げ込んでくる一連の流れに思わずこちらもにこにこ。
福寿と遊びたいという平吉(和史くん)が、母・お辰に促されて福寿と二人で歌う場面、あれはあざといくらいかわいい。笑 けんけんどんどん…

お二人とも三階までしっかり声が届いていて立派でした!これからどんどん大きくなっていくのでしょうね…楽しみです!! 

*** 

極め付けは印南内膳尾上菊五郎さん)。
この人は悪いですね~!笑
本当に悪い人は、善人面をするのがうまい。最初にも書きましたが、芝居中にどんなにいい人っぽく見えても、絶対に騙されないでくださいね!!
忠臣ぶりを誉められた内膳が、一人になったときのほくそ笑んだ感じ、悪いですね~。(2回目)

***

大道具も面白いです!
先述しましたが狐がなかなかトリッキーなところから登場したり、思わぬところに引っ込んだり、石垣が透けたりと、わくわくするポイントが満載でした。

この一年ちょっと歌舞伎を見てきて、この役者さんの声が好きだな、この役者さんをもっと見たいな、と思っていた方もたくさん出ていて幸せ。
通し狂言ということもあり、4時間弱の長丁場ですが、全く飽きずに楽しめました!

初っ端から楽しい演出もあり。笑
歌舞伎座でも取り入れられていた小ネタですが、音楽を巻き込み、分量も長く、こちらの方が本気で挑みにきた感じでした 
(そもそもあれは去年そんなに流行っていたのか。。) 

最後の手拭い撒きでは、坂東彦三郎さんの肩の強さに驚嘆!ああいうのってせいぜい一階の真ん中くらいまで届けば良い方だと思い込んでいましたよ…!

手拭い撒き以外にも、最初の一週間ほどは種々の新春イベントを行なっているようなので、いつかぜひ足を運んでみたいと思います。

とりとめもない感想になってしまいましたが、とにかく充実した4時間でした。
来年以降も国立劇場の初春公演は外せないものになりそうです!

 

「松竹梅湯島掛額」初心者はこう楽しんだ!~壽 新春大歌舞伎 夜の部感想


2019年初観劇の感想、第3段は「松竹梅湯島掛額」
引き続き初心者なりの感想と楽しみ方をレポートします!

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何度も言いますがすんごいジャギってる。泣




■初心者でも楽しめるのか?


楽しめます!
ほぼ現代の言葉で進むので、身構えずとも大丈夫です。 

前半は、小ネタ盛り込みまくりのドタバタな展開に 楽しく身を任せていればあっという間。
後半は打って変わって、どこか恐ろしくなるような美しい舞踊を堪能できます。

「一粒で二度美味しい」一幕です!


■私はこう見た!ここが好き!


前半の「吉祥院お土砂の場」は、いろいろ言ってしまうと概ねネタバレになってしまうので、あまり多くは語れないのが残念なところ…。

娘・お七中村七之助さん)の、出だしからのおっとり具合がいいです。
この場面のテンポ感にいまいち合わずに何だか浮いてしまう感じが楽しい。笑

そのお七を幼い頃からよく知って、何気無く面倒をみてくれているのが紅長市川猿之助さん)。
この紅長、セリフを言っていないときもお七の後ろで何かしらちょこまかしているので見逃せません!!

お七の恋人・吉三郎松本幸四郎さん)と紅長との絡みは、どうやら毎日セリフが変わっている様子。
お芝居の中にはときどき、役関係なしに役者のネタがぶっこまれることがあるのですが、
私が観に行った日も「紅長が吉三郎に絡んでいる」のではなく「猿之助さんが幸四郎さんをいじっている」流れで、幸四郎さんも笑いがこらえられていなかったように見えました。笑

「お土砂」というのは、「土砂を洗い、真言宗の秘法で祈祷したもの」で、「振りかけると人の体も心も柔らかくなる」(以上筋書より引用)というありがたい(?)ものです。
「お土砂の場」の後半はこの「お土砂」がどたばたな展開を巻き起こす、愉快な時間でした。

さて、怒涛の笑いどころラッシュの中で、誰よりも嵐を巻き起こしていたのは何と言っても長沼六郎中村松江さん)。
もうこれは本当にネタバレにしかならないので何も言えないのですが、
現代の流行をネタとして歌舞伎に取り入れるとこうなるのか、歌舞伎役者の声や体のキレはすごいな、というのが真面目な感想。
もっと気負わずに言えば、「どこまでもぶっとんでいらっしゃる…!」という感じでしょうか。笑
それぞれに笑わせどころの多い前半の中で、圧倒的なボリュームでした!

***

後半「四ツ木戸火の見櫓の場」はがらりと雰囲気が変わり、場面を理解できるような芝居のあとは、ほとんどがお七の踊りになります。
この舞踊、「人形振り」といって、人間でありながら人形のような動きで踊るのですが(最近でいうと昨年12月の「阿古屋」で、岩永が人形振りでした。「阿古屋」の感想はこちら
これが空恐ろしいくらい人形でした。

人形になってからの表情のなさが、物凄さを生み出しているのでしょうか。。
手先の動き方、立ち座りの体重移動の仕方、首の振り方なんかが本当に人間離れしていて、見入ってしまいました。

後ろを向いて、衣装などの支度を整えてもらっているときも、抜け目なく人形です。
首筋に人間味がないというか、陶器の置物のよう。

髪をさばいてからの勢いもまた凄くて、表情と動きの柔らかさを殺しているからこそ生まれる迫力がありました。

正直、本当の人形はもっと人間らしい。
「人形振り」の方が、よっぽど「人形的」です。

この「人間が人形になっている」という不自然さ、設定自体の恐ろしさが、
恋ゆえに突っ走る娘のちょっとした不気味さというか恐ろしさというか、そういうものを醸し出している気がします。
(人形浄瑠璃の「お七」はこちらで感想を語っています)
 
 

■これさえ押さえれば楽しめます


以下に挙げるのは、観劇してみて
「初めてでもこれが分かっていれば楽しめそうだな」
「これを知っていればもっと楽しかっただろうな」
というのをまとめてみたものです。

★大体見せ場では、
「待ってました!」「〇〇屋!」という掛け声がかかります。
この声を頼りに、舞台にぐぐっと注目!

先述の通り、筋が分からなくてもとりあえず流れに身を任せれば大丈夫な演目だと思います。

一応設定を理解しておくとすれば、

【お土砂の場】

・出だし、お七たちが逃げ込んでくるお寺の小姓・吉三郎がお七の心を寄せる相手。
・しかし身分の問題もあって、この恋のハードルは相当高い。
・美人のお七なので、いろいろ横槍が入る。紅長はどうにかお七と吉三郎を添わせてあげたい。

【火の見櫓の場】

・吉三郎は、実は紛失した家宝「天国の短刀」を探している身。見つからなければ切腹。
・その「天国の短刀」を持っている人物・武兵衛は今、お七の家にいる!
・お七は何とかしてこの短刀を吉三郎に渡し、切腹から救いたい。
・にもかかわらず、江戸はすでに閉門の時間。木戸は絶対に開かない=短刀を渡せない。
・唯一木戸が開くのは火事のときだが、火事を知らせる太鼓をむやみに鳴らすと重刑に処せられる。

くらいのことが分かっていれば安心かな、と思います。
 

■まとめ


筋書のコメントで、猿之助さんが
「他愛もない話ですから、お客様には頭を柔らかくして初笑いを楽しんでいただければと思います」 
とおっしゃっている通りです。
あまり考えず、構えずに行っても満足できるはず!

もともと先月に文楽の方でお七を観ていたのですが、そのイメージで観に行くと前半に度肝を抜かれます。笑
後半の舞踊は人形振りということもあり、文楽を観ておいてよかったな、と思いました。
演出の違い、人形だからできることと人間だからできること、など。。

来月は文楽で「阿古屋」も観られます。歌舞伎では人形振りで演じられる岩永、文楽だとどうなのでしょう。興味深いです。

本題からはずれましたが、気負わずに歌舞伎を楽しめる演目です。
初心者にもやさしくて、新年早々明るい気分で歌舞伎座からの帰途についたのでした。
 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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