ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

着物

弥生・竹久夢二美術館「アンティーク着物万華鏡」展に行ってきました!


「アンティーク着物万華鏡 大正~昭和の乙女に学ぶ着こなしー」という展示に行ってまいりました!
 
▶︎弥生美術館公式サイトはこちら
▶︎Fashion Pressの記事も分かりやすいです!

これが着物を着たい欲の高まる、着物好き垂涎の展示だったので、ご紹介します!!




*開催概要


【場所】
弥生美術館・竹久夢二美術館

※隣接する2つの美術館で同時開催しています。
建物の1・2階が廊下で繋がっているので、一度入ればどちらも見ることができます。

※根津駅、東大前駅からそれぞれ徒歩7分。春日駅や上野からも、少々時間がかかりますが歩けます。


【会期・開催時間】
2019年7月5日(金)~9月29日(日)
10時から17時まで(入館は16時30分まで)

【入館料】
大人900円

*所要時間


こぢんまりとした展示室が、全部で5部屋。
私は一人でさくさく見てしまったので、1時間ほどで回りきりました。

撮影できるところや本の展示もあるので、着物好きや文学好きのお友達同士で行ったら、もうちょっとかかるかと思います。

ミュージアムショップや、併設のカフェ「港や」も素敵な雰囲気でしたが、私は時間がなくて立ち寄れませんでした。。お時間に余裕があればぜひ。


*感想・見どころ


着物って自由だな、着物って楽しいな!という喜びに満ちた展示でした!

戦前の雑誌の表紙や、文学作品の挿絵などに描かれた着物姿は、思った以上に大胆な柄や色遣い
実際に再現されたものがトルソーに展示してあるのですが、そのかわいさ華やかさたるや!

いろんな柄や色の布を半襟にしてみたり、帯で遊んでみたり…着物はわくわく楽しめるポイントが多いんですよね!
というのがとてもよく伝わってきました。

***

着物もさることながら、印象に残っているのは羽織と洋服のコーディネート。

吉屋信子の小説『家庭日記』の、嶺田弘による挿絵を再現したものなのですが、
真っ赤なタートルネックのセーターに、チェックのスカートを履き、その上にカーディガンのように大ぶりの花柄の羽織を合わせているのです。

これが抜群にかわいい!!
タートルの赤がはっきりしているからか、羽織が全く浮かずに馴染んでいました。
服装もシンプルだったので、羽織の花柄がかわいらしく見えます。

以前 東京メトロの広告で石原さとみさんが洋服×羽織ミックスをなさっていたのもかわいらしかった。
洋服に羽織を合わせるの、ありですよね!!

***

夢二の美人画は、解説にも書いてあったのですが、帯締めの結び方がかっこいい。
結び目が真ん中に来るでもなく、一思いにきりっと結んでいる感じ。
手慣れた雰囲気が出ていて素敵です。

夢二にまつわる写真を見ていると、女性たちは補整なしで着物を着ているようで、その具合がかっこいいんです。

ぴしっと締まった着方も素敵だけど、いかにも着慣れて自分の心地よいところに全てが収まっているような、そんな着方ができるようになったらいいな。

雨のときに、着物を何枚か重ねて、一番上には古着を雨コートのように着る、というのも印象に残っています。
古着の使い方、そういう手もあったのか。
何でも使うんですよね。この展示ではありませんが、腰紐もハギレを合わせて作ったりもしますし。

腰紐といえば、夢二の弟子であり恋人でもあった女性(お名前を失念)の描いた美人画に、帯の下から腰紐をのぞかせているのがあったんです。

そうか、腰紐もおしゃれの対象なのか、と。
見えないおしゃれというのでしょうか。
見えてしまったとしても、自信を持てるような、そんな気概で腰紐も締めていたのかもしれませんね。


幸田文さんの文章に、こんな箇所があります。

「すすぼけた黒っぽい着物というのを、女の子は好かない。(中略)
そんなのを着せられると、反動的に、どこかへ強い色をつけたくなる。赤とか青とかいう若い色がほしくなる。それがたすきとか腰紐とかいう形の、いともささやかなおしゃれになった。
緋とブルー、紫と黄など、小ぎれをはぎ合わせた紐が、色あせた地味な着物へ、やっと少しばかりの若さを添えるのだが、ひとには哀れにしみったれて見えようと、当人の私には、ひどく新鮮でうれしかったものである。」(「沈丁花に匂うこころ」p.80〜81、『幸田文 きもの帖』2009年、平凡社)

こんな文章を読むと、腰紐を見せている絵の中の女性の気持ちも少し見えてくる気がします。

***

さて、見えないおしゃれと言えば長襦袢です。

今回、美術館3階で「長襦袢の魅力 ~着物の下の遊び心、女心~」という展示を同時開催しています。
これがまた素敵なんですよ!そして何が嬉しいって、ここは撮影可能なんです。

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こんな色鮮やかな襦袢、もはや見せなきゃもったいないですよね!
この階に展示してある絵も、わざと襦袢を見せているものがたくさんあります。

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オリンピックシーズンに最適な、世界の名物襦袢。

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花火でしょうか。こんなのがちらりと見えたら、何て鮮やかなんでしょう。

極め付きはこれ↓

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お分かりでしょうか。
半襟・袖・胴・裾、全て違う柄です。

つまり、襟に見えるものと、袖や振りからのぞくもの、膝をついたときや走ったときに裾から見えるもの、肌ぬぎしたときに出てくるものが、全て違う色柄というわけなんです。
めちゃめちゃおしゃれ。すごい。

こんなのはもう、見せないことにはやってられないですよ!!笑

私は踊りのときに着ることが多いので、上下セパレートになっているタイプの襦袢で、下は踊り用の、タックのついた裾除けを着ていることが多いのですが、
遊びにいくときに自分の好きな襦袢を着る、なんていう日がいつか来たら楽しいなぁと思いました。

***

全体として、とにかくコーディネートがどれも斬新でかわいい。
「斬新」と書きましたが、これらが描かれたのは戦前であって、決して新しくはないはずなのです。

ルールに縛られずに、自由に着ていいんだな、と。

好きなものを、好きなように着る楽しみ。
意外な柄や色を合わせて生まれるおしゃれ。

着物の喜びはそこにあるなぁと。


着物好きはもちろんのこと、着物を着てみたいけれど、どんな着方がおしゃれなのか不安、という方にこそ、全力でおすすめしたい展示です!!!
 

下駄の鼻緒をすげ替えました!


初めて!
初めて下駄の鼻緒をすげ替えました!!

「すげ替える」っていう言葉、何だか素敵な響きじゃないですか?素敵ですよね?!(嬉しくてテンションが異常) 

*** 

浴衣の季節です。

浴衣と言えば下駄。

私が唯一持っている下駄は、友人にもらった大事な一足なのですが、残念なことに靴擦れがとてもひどいのです。
「靴擦れしない方法で歩く」とかそういう問題ではなく。履いた瞬間から靴擦れの予感がするレベル。
 
そんなこんなでお出かけがちょっと憂鬱だったので、これはもう鼻緒を何とかした方が良いだろうということで、思い切って下駄屋さんに行ってみました。

(※ちなみになるべく足の先の方で鼻緒を挟んで、足裏全体を下駄につけるようにして歩くと靴擦れしにくいようですよ。)

***

伺ったのは、品川の丸屋履物店さん。
 
最寄りは京急の新馬場駅とのことですが、私は品川駅から歩きました。
高輪口から、迷わず行ければ15分ほど。
京急線を見失わずに歩くのがポイントでした。

途中で通る橋がレトロで気になる。

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※どちらも帰り道での撮影なので、行きは違う景色です。あしからず。

北品川駅前の商店街も、昔ながらな感じで良かったです。

***

さて、まずは鼻緒を選ぶところから。

これがまた大変にときめく時間!
一人だったので興奮を必死にこらえていたのですが、
下駄屋さんに並ぶ色柄豊富な鼻緒たちにもう釘付け。心がとろけそう。
 
どれもこれもほしくなってしまいます。

すべての鼻緒が私に訴えかけてくるようです。

たくさんのものから、ベストのものを、自分のために選ぶ時間は幸せ!


結局、こんな鼻緒にしました。

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薄紫の、とんぼ柄。
渋めの色合いがとても好きです。その渋さの中に、前坪(まえつぼ)の濃い赤が効いているなぁと。

ちなみにとんぼは前にしか進まないことから、縁起物とされています。 

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ちゃんとサイズに合わせてもらった下駄は、足裏に吸い付くようにフィットしてくれて気持ちがいい。
一日履いて歩いてみましたが、靴擦れもなく、快適でした!

今回は鼻緒が2,500円、すげ代が1,000円の合計3,500円。
思った以上に手ごろに、好みの雰囲気の歩きやすい下駄を手に入れられるんですね!

***

今回は鼻緒のすげ替えだけで、下駄そのものは新調しませんでしたが、すげていただいている途中でお店の前を、カラコロと下駄を鳴らして通る音がしたんですよね。

あれはたぶん、駒下駄じゃないかしら。
二枚歯の、いわゆる「下駄」と聞いて真っ先に思い浮かぶ形のものです。

私の下駄は、裏にゴムの貼ってある「右近」というタイプのもので、あの軽快な音は出ません。

いいなぁ。
下駄の音、気分が良くて大好きです。

最後まで迷った鼻緒がいくつかあるので、その鼻緒でいつか駒下駄を誂えたいな。


何はともあれ、これで心置きなくお出掛けできますね✨
盆踊りもいいな。この下駄ならば踊れそう!

これからいろんな浴衣や着物に合わせるのが楽しみです。
 

初夏の着物に悩む。


今日は暑かったー!
今年初めて半袖で外に出ました。

その年の「半袖初め」、好きなんです。
そういえばこんな感じで袖から風が通るんだったなぁ、とか、半袖ってこういう軽さだったよなぁ、とか。

同じ感じではだし初めとか、サンダル初めとかも好きです。
これから来る季節にわくわくします。

要は単純なんですよね。笑

***

さて、この時期何が困るって、どの着物を着ればいいのか分からないということなんです。

本来であれば、5月は袷の時期。

しかし全面に裏地のついている袷は、正直言って重いし暑いのです。
20度を超えたらもう、着物の中が蒸されるようで。

気軽なお出かけであれば、何を着たっていいかなぁとも思うんですよ。
現に先日は5月でも気温が高かったので、かなり透け感のあるサマーウールで出かけましたし、早くも夏物をお召しの方もいらっしゃいました。
去年なんかは4月末の時点でかなり暑かったので、夏物を着ていた友人もいましたし。 

ちなみにこの「サマーウール」というのも曲者で、透ける生地のくせにウールなので決して涼しくはなく、いつが最適なのか迷う着物の筆頭です。笑

ですが、たとえば踊りのちょっとかしこまった舞台を観に行くとき(日本舞踊の公演の全てがかしこまっているわけではないので悪しからず!)

行った先には、普段から着物を着ている、いわば着物のプロたちがいらっしゃるわけです。
そして友達との気楽なお出かけではなく、「かしこまった場」です。

そういうところで「いやぁだって袷じゃ暑いじゃないですか~」が通じるのかどうか…
実際、皆さん袷にきっちりお太鼓を締めていらっしゃいましたし。。

どうやって耐えているのでしょうか、
中の襦袢をこっそり夏物にして、半襟だけ袷のものにして、何とかしてたりするのでしょうか。
私は単衣の着物でも襦袢は夏物じゃないともうすでに暑い。 


ともかく!
暑さに弱くてとても汗っかきな私としては、この時期に袷は困難!!
自ら熱中症への道を選んで、一歩一歩踏みしめながら歩いていくようなものです。 

結局改まった場には、洋服を着ていくことになるんですよね。
着物を着たいのに…

洋服だったら、特に気兼ねせずに好きなタイミングで半袖を着始めるのにな。
着物は「季節感」と密接に関わっていて、そこがおもしろいところでもあるのですが、それゆえにどうしても思い切ったことがしにくい気がします。

私がおろおろしているだけで、着ちゃえば意外とすんなり受け入れてもらえるものなんだろうか。

さすがにもろ「夏!」という生地のものは着ないまでも、単衣の透けないもので、かつ柄が夏っぽくないもので、そこそこ改まった場でも何とか切り抜けられないものか。。

ちゃんと分かった上で、自分の考えのもとに「ルール」を崩すのと、よく分からないままにおっかなびっくりやってみるのでは、着たときの安心感が違います。
自分はまだ後者なので、この時期の「ちゃんとした場」での着物は足踏みしてしまうんです。


いろんな場面で着物の人を観察しつつ、着物で無理なく一年を過ごせる方法を探っていければと思います。
 

「浅草今昔きもの大市」に行ってまいりました!


ずっと行きたい行きたいと思いつつ、なかなかタイミングが合わなかった「今昔きもの大市」。

今回は幸いにも連休をいただいていることもあり、かつ浅草という行き慣れた場所だったので、やっと参加することができました!うれしい〜!

想像以上にとても楽しいイベントだったので、早速レポートします!




■開催概要


★詳しくは「台東館」のイベント情報もしくは公式サイトへ!

日程:5月3日(金)〜5月5日(日)
時間:10:00〜17:00 ※最終日は16:00まで
会場:東京都立産業貿易センター 台東館 4階南側

※入場無料です。

仲見世通りから雷門向かって一本右の「観音通り」を直進すると、左手に浅草寺の「二天門」が現れます。
そこを右折して通りを渡ると、真正面が「東京都立産業貿易センター 台東館」です。

もしくは、神谷バーの角を回り込んだ「馬道通り」沿いに歩くのも(むしろこっちの方が)分かりやすいかと。「台東館」はこの大通り沿いにあります。


■会場の様子


*何を売っている?


着物にまつわる様々なものを売っていました!

これからの季節にぴったりの夏物や夏用の襦袢、浴衣、単衣はもちろんのこと、
袷のお着物もたくさんありましたし、振袖なんかも結構見かけました。

帯も袋帯から名古屋帯(夏物もたくさん)、半幅帯まで品揃え豊富。

帯締め、帯揚げ、羽織紐にアクセサリーと、小物も充実!

羽織もありましたが、夏用は少なかったように思います。

*価格帯は?


まちまちです。

500円前後の小物や、1,000円着物・帯のコーナーを設けているところもあれば、本当に良いものを扱っているところもあり。

普段いただきものかリサイクルでやりくりしている私としては、手の届きやすい価格帯のものがかなり多く、悪魔の囁きが何度も聞こえました。

*試着はできる?


もちろんできます!

お店の方に断るのはもちろん必須だと思いますが、会場内に何箇所も茣蓙のようなものが敷いてあり、そこで実際に羽織ってみることができます

着物も洋服もそうですが、実際に着てみないと分からないことって結構あると思うのです。
サイズ感、色味、顔映り、リサイクルのものだと目立つ位置にシミがないか、などなど。。

多くの方が入れ替わり立ち替わり試着をしていたので、臆せずに着てみた方が良いですね!

と、過去の自分への自戒を込めて。笑

*何店舗くらいあるの?


今回は22店舗のようです。
写真を撮るのを完全に失念してしまいましたが、会場ぐるりが着物だらけで眼福ですよ…!!

*所要時間はどのくらい?


私の場合を申し上げますと、二人で参加したのですが、
全店舗回り、あれこれ迷い、好きなお店の大量の帯を全て見て…と楽しんだ結果、

2時間半はあっという間に経っておりました。
もうちょっといられた。

目当てのお店がある、一人でさくっと見て帰る、などであれば如何様にも短縮できると思いますが、楽しもうと思えばいくらでも楽しめる場所です。笑


■本日の戦利品


ちゃっかり買ってしまいましたよ。
そりゃあ無理ですよ、あんなにかわいいものに囲まれた空間で。。

まずは「開好堂」さんにて、夏用の博多!

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手持ちの夏着物と浴衣に合わせやすい色かなぁと思いまして。
会場にある着物で、手持ちのものに近い色のものにあれこれ合わせてみて決めました。

購入前、シミがあったので、会場の試着スペースで軽く試させていただくことに。
(撮影者の写真の腕の問題で色味が全然違いますが、上の写真が正しいです。。)

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このシミがどうしても正面に来てしまい、うーんやっぱり諦めようか…と思っていたのですが、
ふとこの部分を裏返してみると、

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シミがない。

もしかして、

関西巻きなら使えるのでは?!

「関西巻き」は、帯を時計回りに巻いていく締め方で、私はいつも反時計回りで締めているので逆巻きにはなるのです。
でも、リサイクルで出てくる名古屋帯だとこの「関西巻き」の折り目がついているものもあったりする。
いずれどっち回りにも巻けた方が便利に違いないので、関西巻きを習得する良い機会にもなるなぁと

そんなわけで1,000円にてお家に来てもらうこととなりました。これからよろしくね。

***

それから同じく「開好堂」さんにて、紬の単衣。3,000円。

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かわいい〜さわやか〜!!

裄も身幅も十分だったので、お稽古でも着られるなぁと思いつつ、
汗まみれにしてしまうのももったいないので、まずはお出かけで気軽に着ようかなと思います。

さっきの帯とも相性抜群。

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単衣は何だか時期が難しいんですよね。。
でもこの記事に書いた半衿付きのスリップも今年は強力な味方となってくれるはずなので、
単衣の時期もガンガン着られたら嬉しいなぁと思います。

***

最後は「まる福」さんの、絽の半衿!500円!

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やわらかいお花柄。
見えるのはほんのちょっぴりですが、浴衣にしろ夏着物にしろ、あの繊細な生地からちょこん、とこの色が覗くと思うと、何やらわくわくしてしまいます。

絽の半衿、他にもたくさんあって迷いに迷いました。。
迷う時間もまた幸せ。笑

■感想


今回出店されていたお店は、普段行ったことがないところばかりで、何だかどこも雰囲気が目新しくてテンションが上がってしまいました!

会場にいらしている方の着こなしもおしゃれで、すれ違う方のお着物を見ては「今の方のかわいい!」「素敵な着方…!」 と感動しておりました。笑

このような着物イベントに初めて足を運んだのですが、何かしら目的を持っていかないと危険ですね。
「うっかり買ってしまう」という最も避けたい事態が容易に起きる、充実の着物空間でした。

またお財布の紐をゆるめられそうな時期が来たら、是非とも参加したいイベントです


 

なるべく着物を着たい、という話。


着物の普及とか伝統とかそういう話ではなく、なかなか切実な話を耳にしたもので。

そもそもこのことを考えるきっかけとなったのは、以前ご紹介した本『舞うひと』(草刈民代、平成29年、淡交社)の中での、
市川猿之助さんの衝撃的な一言でした。

「日本舞踊はこのまま滅びると思いますけどね」(p.176)

要は、江戸時代と今では身体の使い方も骨格も、歩き方からして違う。
だから「振りとしてはできても、かつての舞踊と同じ身体の動かし方はできない」(同上)ということ。

踊りのイメージが強い猿之助さんの言葉は重く、説得力がありました。

そんな背景がありつつ、先日歌舞伎に詳しい方とお食事をする機会があり、
その方が憂えていらっしゃったのが、昨今の時代劇のお話。 

いわく、ちょっとした所作がなんだか違う、と。

何も難しい動き、専門的な動きではないはずなのに、立つ、座る、振り返るといった何でもないところに違和感がある。

それは、今の人は着物を着ないからだ、と。

曲がりなりにも踊りを習う身としては、まずい、と思いました。

日常的に着物を着ている人、着ていた人にとっては当たり前であろう身のこなしの貯金が、自分には何もない。
それこそ「振りとしてはでき」るようになるかもしれないけれど、やっぱりそれは、自然な身体の動きではないと思うのです。

もちろん踊りのお稽古は和服なので、週に何度かは着物や浴衣を着ることは着ます。
しかし着物を着て何をしているかと言えば、踊る以外はせいぜい座っているとか音楽をかけるくらいなもので(あとはお菓子をむさぼったりとか笑)、「着物で生活している」とは言いにくい。

つまるところ、私が着たいのは「おでかけのときの着物」というより、むしろ「家の中での日常着としての着物」なんです。

誤解のないように申し上げますと、着物でお出かけするの、大好きですよ!
洋服だとおしゃれするのは気恥ずかしいけれど、着物だとなぜか何とかなります。


というわけで、現実的には毎日仕事なので厳しくはあるけれど、理想としては、
・どこにも出かけない週末は着物で過ごす
・仕事から早く帰って来られた日は着る
みたいな生活ができたらいいなぁ、と…

着物で動くことを、自分の中の「当たり前」にまで引き下げていきたい。

江戸時代の身体の使い方は、もうどう足掻いても身に付くものではありません。
それは致し方ないとして、せめてまだ何とかなる部分は何とかしたい。

そんなことを考えている日々です。
 

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関連記事▶︎2018上半期イチ面白かった本『舞うひと』感想


プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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