ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

イベント

「江戸風俗人形展」(@下町風俗資料館)行ってきました!


これは絶対見ておきたかった展示なんです!

吉原の妓楼が、小さなサイズで再現されているという…!!

ミニチュア好きかつ江戸好き、芝居好き、踊り好きとしては、見ない理由が一つもない展示なんです。

見てくださいこの!この!!リアルさ!!!

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一階に籬があって、格子の向こうに遊女がいて。
階段の先の二階には廊下と部屋があって。

この時点で、踊りの歌詞の理解がだいぶ深まります。
「籬」って何なのか、「キセル」ってどう使うのか、二階で手を鳴らすってどういう光景なのか…。格子を覗く振りの意味が理解できたり。

奥には建物の説明パネルもあって、なるほどこういう中で物語が繰り広げられていたのかと、歌舞伎や踊りのイメージが浮かびやすくなりました。

中で生活している太夫さんたちの様子も見られて、何だか覗き見している気分…
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で!

ここから先はただのミニチュア好きの叫びですが!笑

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お雛様ー✨

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ぶたさんの蚊遣りー✨(太夫さんの奥…見えます…?)

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調度品の細かさ✨

たまらないですね…!!
いつまでも見ていられる…!

***

2/24(月祝)までの展示でした。。
すでに終わってしまい、期間内にご紹介できなくて本当に申し訳ないのですが、きっといずれまた展示があると思うので!!
そのときにはぜひ!ぜひぜひ!!


「大浮世絵展」(@江戸東京博物館)に行ってきました!


喜多川歌麿、東洲斎写楽、葛飾北斎、歌川広重、歌川国芳。

教科書で必ず習う有名な絵師5人を一気に見られる展覧会、江戸東京博物館の「大浮世絵展」

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チラシからしてこのわくわく感!

これは!べらぼうに面白かったです!!
今週末・1月19日(日)までなので、ご興味のある方はぜひ!何とかご都合をつけて!!いらしてみては!!!!
 
浮世絵初心者はもちろん、文化史の詰め込みにあっぷあっぷな受験生にもぜひ足を運んでみてほしい(無責任)
というか自分が受験生のときに行きたかった…!!

何が面白いって、この5人の特徴を、自らの目で感じることができるところなんです。
以下、つらつらと感想をば。

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まず最初にやってくるのは喜多川歌麿ゾーン

描かれているのは女性のさりげない場面なのですが、どれもこれも「この場面ってそんなに美しかったっけ?!」という感じ。
うつむいたり振り返ったりする首の角度とか、体の傾き、手の表情…ちょっとしたところに見事に色気が出ます

かの有名な「当時三美人」が見られたのも大きな喜びですが、一番印象に残っているのは「青楼十二時」
吉原の遊女たちの様子を、一時ずつ時間の移ろいと共に描いたものです。
画面の細かいところに注目すると、いろいろ物語が見えてきて興味深い作品でした。

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そこを抜けると、一気に雰囲気の変わる東洲斎写楽ゾーン
あの!謎だらけの写楽の作品が!イッキ見できちゃう!!!

写楽と言えば役者絵。
まだ観たことのない演目も多いのですが、知った名前があったり、「こんな雰囲気かな」とイメージできたりするとより面白い!
教科書や資料集で漫然と見ていたあの絵が、どれほど役者のリアルを描いたかというのが分かる気がします。

というのも、写楽の役者絵は表情がとても豊かなんです。
解説にどんな場面かちゃんと書いてくれてあるので、想像もつきやすかった。

写楽は役者の特徴を誇張して描いたために嫌がられた、みたいな話を聞いたことがありますが、必ずしも悪い誇張ばかりでもなかったのではないかと。

その役の、ここぞというところの心情が絵に表れていて、当時の人が見たら今よりもっと面白かっただろうなぁと思います。

***

楽しい写楽ゾーンを抜けると、目に飛び込んでくるのはベロ藍の鮮やかな青。

やって参りました、葛飾北斎ゾーンです。

北斎は「富嶽三十六景」と、花鳥図数点が中心でした。
(個人的には動物画とか晩年の大作とか欲しかったですがまぁそこは)

細かな描き込みと、構図の妙というのがやっぱり魅力的だし面白いところ。

割と見たことがあるものも多く、さらっとまわってしまったのですが、それほど大きくない絵でも波や滝の迫力を失わないのは凄いと毎度思います。

そして花鳥図の写実!生命力を感じます。特に百合の絵がお気に入りです。

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北斎の「富嶽三十六景」といったら、次にこれを出さないわけには行かないでしょう。

そうです、歌川広重です。

広重ゾーンは「東海道五十三次」をはじめとする風景画が主になっています。

いやぁ繊細ですね~!
遠景の霞み、雪の濃淡…見入ってしまう作品がたくさんありました。

同じ風景画でも、北斎とは全然趣きが違う
続けて見ることができたからこそ、より違いがはっきりと感じられます。

中でも好きだったのが、「名所江戸百景 亀戸梅屋敷」。ゴッホが模写したのでも知られる、有名な一枚です。
満開ではないからこそ一輪一輪が可愛らしい梅の花、加えてノスタルジックな色合い、遠景の様子、最前面にどーんと存在しながら主張しすぎない梅の枝のバランス…いいですよねぇ。

会場内は混んでいましたが、これは何としても近くで見ておかねばならないと(私にしては珍しく)粘りました。
そういう惹き寄せ方をしてくる作品でした。 

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心落ち着く広茂の風景画の世界を抜けると、一気に眼前に広がる色鮮やかでマンガチックな世界。

はい、みんな大好き歌川国芳ゾーンです。

国芳作品はどれも文句なしに楽しいですね!

色鮮やかに、画面いっぱいに広がる迫力ある武者絵があるかと思えば、金魚やら猫やら雀やらが人間のように生活していて…
アイディアと遊び心とが溢れていました。

国芳と言えば猫と擬人化、と思っていたのですが、私は国芳のくの字も知らなかったと言っていいでしょう。
「水滸伝」や金太郎、大きな骸骨、相撲…
「目に飛び込んでくる」という表現がぴたりとはまる強烈なインパクト、その躍動感!
わくわくしてしまう絵の何と多いことか!!

これは現代人にも莫大な人気を誇る理由がよく分かります。

***

こうやって並べてみると、絵師それぞれの魅力が分かりやすくて嬉しいですね!
言葉では一口に「浮世絵」とまとめられてしまうけれど、その中身はこんなにもバラエティ豊かで、いろんな切り口があったんですね。 

「写楽は大首絵と言われる役者絵を…」とか「歌麿の美人画が…」とか、そういう知識の丸暗記では決して得られない体験。

浮世絵の美味しいところをぎゅぎゅっと詰め込んだような展覧会でした。楽しかった!!!

 
「大浮世絵展」は両国の江戸東京博物館・1階 特別展示室にて、1/19(日)までです。

休日に行ったところ、1階のチケット売り場はかなり混雑していました。3階にもチケット売り場がありましたので、そちらの方が空いているかもしれません。

また、会場内もとても混雑しています。順路にこだわらず、比較的空いているところから見た方が楽しめるかと思います。

「伝統芸能と自然の関わり〜絶滅危惧種「イヌワシ」を例に〜」@港区エコプラザ


ひっそりと(!)こんな興味深いイベントをやっておりました。

「伝統芸能と自然の関わり~絶滅危惧種「イヌワシ」を例に~」
(12/11(水) 港区エコプラザにて)
 
「伝統芸能の道具ラボ」という活動を通し、歌舞伎や能などに使われる小道具の復元をなさっている田村民子さんと、
多摩動物公園の飼育員でいらっしゃる中島亜美さんのお二方のお話を聴く会。

能に使われる「羽団扇」と「鷺冠」という、どちらも鳥の羽が用いられている二つの小道具を例にとりながら、伝統芸能の道具と環境保全についてお話しくださったのですが、

これがべらぼうに面白かったので、勝手ながらレポートさせていただきます!

***

はじめはお二方の自己紹介から。

田村さんのお話で印象深かったのは、「道具に向き合っていると、「昔は手に入れやすかったもの」が分かる」というお話。
道具を通して、昔の自然環境や、生き物との繋がりが見えてくるとのことでした。

普段 芝居の中で何気なく見過ごしている小道具ですが、あくまで生活に根差していた道具であったから、芝居にも取り入れられているわけですよね。
では生活の中で用いられるのはどんなものかというと、やはり身近にある素材で作られたもので。
当たり前といえば当たり前かもしれませんが、小道具にそのような、環境や民俗学的な側面があることに気付かされたお話でした。

一方、中島さんは「羽団扇」にその羽が使われている、今回の主人公・イヌワシの生態など、詳しくお話しくださいました。
ニホンイヌワシの置かれている厳しい状況が分かり、動物園の役割というものを再認識するとともに、
警戒心の強いイヌワシにとっては「餌をあげる人=テリトリーに入ってくる人」なのだというお話からは、自分が無意識のうちに人間中心の見方になっていたことに気付かされます。

羽団扇は天狗の持ち物として使われるのですが、実際に翔んでいるイヌワシを見たときのことを語る中島さんのお言葉がとても素敵でした。

「野生のイヌワシを見ると本当にかっこよくて、あぁ、昔の人はだから天狗って思ったのかな、この羽を使いたい!と思ったのかな、と感じました」(中島さん)

芸能や信仰や考え方が生まれる瞬間に触れた感じがしてとても力強くて、自分が目にしたわけではないにもかかわらず、お話を聴きながら私もぐっときてしまいました。

***

休憩を挟んで、いよいよお二方の対談になったのですが、その前に今回の話題となっている二つの小道具について。
能楽を全くと言っていいほど何も知らないので、あくまで今回のお話を聴いた上での内容にとどめます。

今回 主に例に挙がっていたのは、能に使われる「羽団扇」「鷺冠」
それぞれ、イヌワシの尾羽と、鷺の羽が使われています。
話の展開の都合上、鷺冠から。

【鷺冠(さぎかん)】
能「鷺」に使われる冠。文字通り鷺を模した鳥が付いている冠で、この鳥の頭のところにすっと一本、鷺の白い羽がついています。(上記リンク先にお写真があります)

この「鷺」という演目は、確か以前テレビでやっていたのを観たはず。
少年もしくは還暦を過ぎた年齢でしか演じられないという神聖な雰囲気の鷺が、最後に橋掛りを歩いていくのですが、これが本当に遠くに翔んでいくように見えて驚いた記憶があります。
 
今使われている鷺冠には、羽が失われてしまっていたものも多かったそうなのですが、田村さんが復元に携わり、無事に鷺の羽が手に入ったそうです(後述します)。

【羽団扇(はうちわ)】
天狗の団扇というとこういうものが思い浮かぶと思うのですが↓
ヤツデ

この一枚一枚の葉が、イヌワシの羽になっているとお考えいただければ分かりやすいかと。(上記リンク先にお写真があります)
イヌワシの尾羽一本一本が360度ぐるりと束ねられており、必要な羽は計12〜13本になるそうです。
この12〜13本というのが、イヌワシの個体一羽あたりの尾羽の数と合致しているとのこと。 

*** 

このイヌワシの「尾羽」というのが面白いポイント。
風切羽(翔ぶときに広げる羽)だとよりよく翔ぶためにアシンメトリーな形をしており、小道具として使うときれいな形にならない。
対して尾羽は、きれいな線対称の形をしているのです。
加えてイヌワシにも個体差があるため、同じ個体の尾羽を揃えないと、きれいな羽団扇にならないのだとか。

つまり、「12〜13本」というのが一致しているのは偶然ではなく、一個体から一つの羽団扇を作っていたということなのですね。


もう一つ羽団扇の話で面白かったのは、その柄の話です。

羽団扇で使われている羽には、茶系の地味なものと、白くて先だけが黒いものとあるようなのですが、
この白い羽は、4〜5歳の幼鳥にしか見られない羽なのだそうです。(幼鳥であることをアピールして、別のテリトリーに入ってしまったときの免罪符になっているのかもしれない、と中島さん)

つまり、この羽が取れるのはほんのわずかの間だけ。希少性が高い羽なのです。
そんな貴重な白羽の羽団扇を使うことができるのは、やはり家元クラスに限られているそうで。笑
自然の状況に合わせた格が生まれたのだなぁと興味深く思いました。


ちなみに能は基本的に一日公演のため、小道具にかかる負担が少なく、道具がとても長く持つそうです(江戸時代ごろの道具も現役だとか!)。
一方、歌舞伎でもこの羽団扇は使われるのですが、25日間興行が続く歌舞伎では消耗が激しいため、イヌワシではなく七面鳥か何かの羽を使っているとのこと。
さすが、弾圧と復活を繰り返してきた芸能だけあって逞しいですね。笑
芸能の目指すものの違いというか、性格の違いがこんなところにも表れるとは…!


そして、この羽団扇についても、中島さんが興味深いお話をされていました。

羽団扇を知ると、鳥の羽のことがよく分かる。
たとえば羽団扇を投げるときの
(筆者注:演目の中で投げるのだそうです)揚力といった、羽の特性。
これを人工で再現するのは難しい
、というお話。

なるほど。。
先ほどの野生のイヌワシのお話と合わせて考えると、その羽の特性を活かせるような見せ方をしたというところもあるのかもしれません(この辺り、能を観ていないのであまり言うのは憚られるのですが…)。

いずれにせよ、自然の中にあるものをよく見て、よく知って作られた道具なのだと思います。
「ただ者ではない雰囲気が出ますよね」と田村さん。観てみたい…!

***

さて、この会の主な話題である、環境保全の話に戻ります。

田村さんは、先に触れた通り、すでに「鷺冠」の復元を成功させていらっしゃいます。
鷺冠に使われる鷺の羽、井の頭動物園の協力を得て、ある時期にだけ生える羽が抜けるタイミングで拾っておいてもらい、能楽の方に引き渡してもらったのだそうです。

しかし、鷺と違ってイヌワシは絶滅危惧種。
「種の保存法」のもと、その羽はたとえ抜け落ちたものであっても、勝手に使うことはできません。

環境が大きく変化している現代において、あえて危機的な素材を使い続ける必要があるのか、というのが考えどころ。
実際、田村さんは以前、鼈甲のかわりにアセテートという素材を使って、歌舞伎のかんざしを復元したことがあるそうです。
「伝統芸能の道具ラボ」サイト
産経新聞のこちらの記事も分かりやすいです

今後は環境の保全の面も意識しつつ、この羽団扇の復元に携わっていくというお話で対談は一旦終了となりました。

***

対談の冒頭に、「生物文化多様性」という考え方が紹介されました。

聞き慣れぬ言葉ですが、ざっくりまとめると「文化や歴史は、地域ごとの生物多様性のもとで生まれてきた」ということ。
衣食住や道具はもちろん、言葉や信仰もそう。生物多様性と文化の多様性は、相互に関わりあって生まれているわけです。 

この辺り、言われてみれば当たり前の話なのに、全く意識しないでおりました。。
だからとても興味深かった。

そうなんですよね。
文学も芸能も、もっと身近な生活の風習も、古来その土地にある自然のもとでなければ生まれてこないはず。
当たり前のように密着していたはずなんですよね。

ちょっと話はずれますが、学生時代に古典文学をかじっていたとき、そこに出てくる風習や考え方に何度も新鮮な驚きを覚えました。
今では失われているような医学や自然との共生の知恵、植物になぞらえて想いを詠む歌の多さ、自然や動物の描かれ方…。

都会にいるとなかなか身近には感じ取れませんが、奈良や出雲に行ってみると、当時からあったはずの海や山や岩や川がそのままあって、
あぁ、ここでこういう景色を見ながら、ああいう物語や歌が生まれてきたんだなぁとしみじみと納得がいき、感慨深いものがあります。

芸能も同じなのではないかなと思います。

ただ芸能が文学と違うのは、残して継いでいかなければならないものが多いというところ。

文学は、もちろん研究者の力は必要ですが、文字さえ残っていれば、何とか享受し続けることができるのではないかと思います。
一方芸能は、芸そのものはもちろん、衣装や道具も同時に継いでいかなければならない。
尚且つ、それらは消耗していくのです。

昔と生活環境が大きく変わっている現代、文学を享受するにもいろんな知識が必要になるくらいなのだから、
実際に使われる道具やら何やらに無理が生じてくるのは当然だよなぁ、と。
だからこそ、復元にはいろんな方向、いろんな視点からアプローチしていかなければならないのかなと感じました。
 
***

今回のお話、とにかく興味深いことの連続でした!
これから舞台を観るときに注目して楽しめることがまた一つ増えたな、と思いました。
道具の生まれた背景、素材とその特性…
ちょっとずつ意識して観てみたいと思います。

今 自分が直接的にできることは何もないのですが、知ることができたことにまずは感謝。


「館蔵ミニチュア展 小さなものの大きな魅力」(たばこと塩の博物館)に行ってきました!


たばこと塩の博物館の展示に注目し始めたのは最近のことなのですが、魅力的な展示がたくさんで悶えております。笑

今回は「ミニチュア展」

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ミニチュアと和小物大好きな私としては、夢のような展示でした。

***

その作りの精巧なことといったらないんですよ。
撮影OKだったのでいろいろ撮らせていただいたのですが、ほんの指先ほどのサイズ感にもかかわらず何の破綻もなく
写真にしてしまうとミニチュアなのかどうか分からなくなってしまうレベルです。

たとえば、この習字道具。

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箱にはうさぎが彫ってあり、筆の蓋も取れるという手の込みようなのですが、これ、人差し指の第2関節までくらいしかないのです。
手の小さな私の、ですから、相当小さい。

それから、この抽斗をよぉぉくご覧ください。

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中に小さな駒が入っているのです。

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ピンセットで開けるような小ささの抽斗ですから、駒がどれだけかというと、まぁとんでもないです。笑

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↑別の作品ですが、ピンセットのついた象牙の抽斗。ちゃんと全部開くんですよ…!
プレートのサイズから、この小ささが伝わるでしょうか。 

しかもこの駒、ちゃんと回るのだそうだからたまげる。

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↑もはや見えない。笑
でもちゃんと全部模様が違うんです…愛しい…

***

この恐るべき精巧なミニチュアを製作していたのが、小林礫斎(四代目礫斎)さんという方。
絵や彫金などは他の職人さんが手がけ、多方面の技術の結集のもとに出来上がった作品も少なくないとのことです。

このようなミニチュア作品が生まれる背景には、服装の洋風化やたばこ文化の変化などに伴う、根付やきせる筒、たばこ盆、袋物(たばこ入れや紙入れ)などの需要の減少があったようです。

職人さんの事情を考えると、必ずしも喜ばれるような背景ではないかもしれませんが、その衝撃的なほど高度な技術は、ミニチュア作品にいかんなく発揮されているなぁと思いました。

***

着物好き的にたまらないのが「きれかがみ」の豆本でして、様々な布(海外からもたらされた染織品)の端切れが貼ってあるのですが、
このときめきの詰まった小さな世界は一体…!!!

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中身はもちろん、箱も表紙もちゃんと作り込んであり、ちゃんとかわいい。
この「きれかがみ」コーナーだけでも個人的満足度はかなり高いと言えます。 

どうでもいいですが、昔ランドセルに豆本のキーホルダー付けるの流行りましたよね。

***

ここまで見てきたのが「中田實コレクション」なのですが、もうひとつ「倉田コレクション」というのが展示されておりまして、こちらは可愛らしさが全面に出ているコレクションでした。

動物シリーズより、鳥。

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鮮やかな彩りとぽってりしたフォルムと小ささ!
お財布に入れておいたらお金が増えそう(妄想) 

お店やさんセット。

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今でもときどき、これに近いものは見かけますよね。
通りかかったおもちゃ売り場なんかにミニチュアのお店やさんがあると、いい大人ですがついつい足を止めてしまいます。

前方暗いですが、真ん中の箱の中にちいちゃな草履が見えますか…?!
かわいすぎませんこと?!

***

枕草子の「うつくしきもの」(=かわいらしいもの)という有名な章段に、「何も何も、ちひさきものはみなうつくし」という一文があります。
このころも今も、小さいものを愛しい、かわいいと思う気持ちは変わっていないんですね。

たっぷりの癒しを得て帰ってまいりました。
ありがとう、たばこと塩の博物館。


東京・墨田区で12月1日(日)までです。



「正倉院の世界—皇室がまもり伝えた美—」(東京国立博物館 平成館)に行ってきました!


東京国立博物館で開催された「正倉院の世界」展、前後期ともに行ってきました!

教科書や資料集で見たあんなものこんなもの。
想像をどれだけ働かせても到底描き切れないような昔の人たちの、実際に使っていたもの。

何ともロマンに溢れた展示でした…!

印象に残ったものをまとめてみました。
有名なものをたくさん見られたけれど、一番衝撃的だったのは最後の「塵芥」
ここまでの展示を見ることができるのが、決して当たり前ではないと思い知らされます。



*残欠


当時の衣服や敷物などの布の端切れ。
鮮やかに色が残るものや、模様が見えるものもあって、一気にその時代に近づいた気がします。

中でもぐっときたのが聖武天皇の袈裟の残欠で、本当にこれをお召しに…?!と思うとたまりません。
歴史が続いてきて、ものが大切に残されてきたことの物凄さを感じます。

儀式のときの舞に使われた衣装の残欠もときめきましたね。
どんな装束で、どんな舞を舞っていたのでしょう。


*鏡


螺鈿の細工がぎっしり施された「平螺鈿背円鏡(前期)/平螺鈿背八角鏡(後期)」と、片手では持てなそうなほど大きな「海磯鏡」と。
いずれもおそらく当時の最高技術だったんだろうなと思います。
一目見ただけで、これは相当な力がないと作らせることができないな、というのがど素人でも分かります。

これがかなり初っ端に登場するのです。
もう最初から衝撃。この先こんなものが続いていくのかと。圧倒されます。 

螺鈿細工の美しいこと!繊細な輝きに惚れ惚れ。 


*碁石


グッズでこの碁石を模したチョコレートが出ていましたが、とにかくグッズ映えするんです、この碁石。笑

ただの碁石と侮るなかれ、一つ一つに鳥の模様の彩飾が施してあって、可愛らしいことこの上ないのです。

磨耗の跡がほとんどなく、あまり使われていなかったと考えられる、という旨の説明書きがありました。
実際見てみると、確かにあんなかわいいのは使えない。笑
絵が磨り減ってしまうのがもったいない…。

それ以前に、絶対に碁石を眺めてしまって対局に集中できないだろうなぁというところです。笑


*螺鈿紫檀五弦琵琶


前期の目玉はこれでした。教科書・資料集でおなじみの「らでんしたんのごげんびわ」(言いたくなる日本語)。

現存しているのは、明治期に修理されたものとのことです。
こうして修理を重ねて、当時のものがまだそのまま残っているということに感動の鳥肌が立ちます。

これが凄いんです、あの螺鈿細工の贅沢なこと。
胴はもちろんのこと、糸巻から側面、裏側に至るまで余すところなく装飾が行き届いています。

これを演奏しているところに思いを馳せる。
電気のない、きっと今から見ればほの暗い空間なのではないかと思います。
そこに、あの螺鈿の輝きがぼうっと浮かぶのでしょうね。。
なんと幻想的であることか。

ちなみに①
この琵琶の近くに、象牙の琵琶撥が展示してあります。
この赤い撥も、細かく彩飾が施してあって、何が素敵かというと使った跡があるのです。
どんな服を着たどんな手が、どんな琵琶を演奏したんだろう。
妄想ふくらむ配置でしたね。。

ちなみに②
後期はこの琵琶に替わり、「紫檀木画槽琵琶」が展示されていました。
こちらは螺鈿のものよりも装飾が落ち着いているのですが、こっくりとした味わいがあり、裏面の絵もかわいらしかった。


*漆胡瓶


こちらは後期の目玉。こちらも教科書や資料集でおなじみの水差です。

これがまた素晴らしくて。何度も地道に人だかりの後方に並び直しては、心ゆくまで眺めました。

教科書で見るより、ちょっとずんぐりしている印象。
鳥の頭の形をした注ぎ口も、洗練されすぎていなくて愛らしい!
温かみのある色合いで、草木や動物の模様が全面に散りばめられています。

正直、教科書なんかで見る分には地味なんです。
「何でこれがそんなに大事にされたの…?」と思ってしまうほど。

でも実物は全然違う。とにかく愛しい。本物を見られて良かったです。。

ちなみに、この隣には「竜首水瓶」という、竜の頭の形の注ぎ口になっている水差が並んでいます。
こちらは銀色で、フォルムもしゅっとしていてかっこいい印象。
どちらも魅力的でした…!!


*伎楽面


前後期で異なる種類のお面が展示されていました。
お正月に時々やっているものかしら…?すみません、伎楽は詳しくないのでわからないのですが。。

当時のままのものと、復元されたものとが展示されていました。
今でも色が残っていますが、模造品を見ると色の鮮やかさが凄い。
さぞかし派手な芸能だったろうなぁと思います。

色が落ちたり破損したりしていますが、当時の人たちが実際に身につけていたと思われるものは、やはりインパクトがありますね。
大昔に誰かがこれをつけて舞っていたのかと思うと。何とも不思議です。


*塵芥


はい。読んで字のごとく。
さんざん宝物を見てきて、一番最後に、見たところはただの糸くずの集まりにしか見えないようなものが展示されているのです。

これを選り分けていく作業が、宝物の保存・復元につながるのです。

会場では、この塵芥についての特別映像が流れています。
映像の中に出てくる、「「ちりひとつ」も捨てず、宝物として残す」という精神に感動しました。

膨大な量の塵芥を、ピンセットで一つひとつ選り分けていく。
その分け方の細かさも尋常ではなく、材質(布かガラスか等)はもちろん繊維の種類(麻・絹など)や糸の組み方(?)、染めなのか織りなのか刺繍なのかなど、徹底して分けるのです。

こうして分けていく作業の中で、行方不明になっていた宝物の一部が見つかったりもするのだとか。

気の遠くなる作業です。
それでも、その精神を貫く姿勢がとても尊かった。

一連の展示を見てきて、最後にこの塵芥を持ってくる、というのがまた凄いと思うのです。
こういう努力があって、初めてこれらの宝物は現代まで残っているのだなぁと。

感動的なラストです。


*最後に…森鷗外の歌


展示を回ってきますと撮影コーナーがございまして、模造の琵琶や正倉院の扉などが撮影できます(混んでたので撮影は諦め)。

で、この撮影コーナーに掲げられた森鷗外の歌。
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「夢の国 燃ゆべきものの 燃えぬ国 木の校倉の とはに立つ国」

展示を見てきた後、さらに塵芥の驚くほど細かい作業を目にした後だと、この歌の重みが増すというものです。
残っていること、それが見られることに、純粋に感謝したくなります。

***

「正倉院の世界」展、大大大満足でした。
奈良まで出向くのがなかなか大変なので、東京でこの展示をしてくれたことが本当にありがたい!

気が早いですが、来年は「出雲と大和」という展示があるようで、出雲と奈良の愛すべき名宝たちが東京で見られるとのこと…!!

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嬉しいです。嬉しすぎます。

今からスケジュールを立てておこうと思います。


 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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