ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

初めての和文化

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?


この企画は、日本舞踊歴7年弱の初心者の目線で
踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方」を提案する企画です。

【第一弾】初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ 
【第二弾】初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?

さて、第二弾までやってみて、初歩的なことを忘れていることに気が付きました。

初めて出かける日本舞踊の公演。
雰囲気ってどんな感じなの?というのを書いておりませんでした!

今日は「日舞の公演の雰囲気」についてまとめてみます。

※ここでまとめるのは、いわゆる「五大流派」中心の古典の公演についてです。
流派によっては全然違う雰囲気のものもあるかもしれませんが、あしからずご了承ください。




1.時間はどのくらい?


*一曲あたりの時間


一曲あたり、大体15〜30分と見積もれば良いかと思います。
中にはもっと長い曲もありますが、概ねこのくらいの幅です。

にしても一曲が長いですよね…始めたばかりの頃は驚きました。

*公演全体の時間


これは公演によりまちまちです。
たとえば毎年国立劇場で行われる「日本舞踊協会公演」は昼夜二部制なので、一公演がせいぜい3〜4時間程度。
しかし、ほぼ丸一日かけて行われる公演もたくさんあります。(むしろ舞踊協会の二部制の方が珍しいと思います)

先日行った舞踊公演は、11時開演・19時半ごろ終演。
途中で出たり入ったりしましたが、やはり腰にきますね…!


2.途中入退場はできるの?


*演目の途中での入退場


もちろん望ましくはないのですが、舞踊の公演では意外とみなさん演目の途中で出入りなさいます。
もちろん望ましくはないのですが、黙認されていることが多いです。
もちろん望ましくはないのですが、私も割とやってしまうことが多かったりします。
なぜならば、短い休み時間でお手洗いからの戻りが間に合わなかったり、観たい演目の途中で会場に到着したり、いろいろあるからです。

もちろん望ましくはないのですがね。


*公演の途中入退場・再入場


再入場に関してはまちまちかと思いますが、私が行った限りでは、チケットの半券があれば途中抜けOKの公演が多かったと思います。

公演自体の途中入退場は、全く問題ありません
むしろ先述したように、公演自体が8時間近くあることもざらなので、
あらかじめ観たい演目をしぼって適当な時間に行ったり、適当なところで帰ったりすべきだと思います。笑

一曲あたりが15〜30分ほどなので、歌舞伎の幕見などよりも細かく時間を刻んで行動できます。


3.どんな服で行けばいいの?


洋服で全く問題ありません
繰り返しで恐縮ですが、とにかく公演が長いので、体に負担がない方が良いかと思います。
デニムやスウェットはさすがに見ませんが、オフィスカジュアルのような感じであればちょうど良いのではないでしょうか。

和服の場合は、紬ならばざっくりとしているものをお召しの方はあまり見かけません。
詳しくないので分からないのですが、つるつるつやつやしている紬の方はいらっしゃいます。

もっとも多いのは小紋の方でしょうか。
やわらかいもの、ポリでも上品な柄のものをお召しの方が多い印象です。

紋付の色無地を着ている方も多くいらっしゃいますが、大体は出演者の関係者です。

とはいえ、気軽な公演(地元の子供達が出る、出演者から「あまり格式張っていない」と聞いている、など)ではかわいらしいウールの着物を着ている方もいたので、これも公演によるのかもしれません。

ただし半幅帯はさすがに見ないので、お太鼓か二重太鼓がいいかと思います。

踊りの公演にどんな着物を着ていくのがベストかは、私自身まだまだ探り途中です…。


4.その他の注意ポイント!


*アナウンスがない!


公演によっては、次の演目がどれなのか、プログラムを読み上げてくれない場合があります。
「次ってこれだよね…?」というのが非常に心もとない。。

対策法としては、時間表を見ることが挙げられます。

舞踊公演では、(私が行った公演は今のところ)必ず演目ごとの時間が書かれた表が、会場に貼られています。
この表がかなり綿密で、一曲ごとの開始・終了時刻と所要時間が1分単位で記載されているのです。

今上演しているのがどの演目か分からないときは、まず時計を見つつこの表を確認して、「時間的にはこの曲っぽいな」という目安をつけます。

あとはプログラムを見て、踊っている人数や内容から類推します。笑

アナウンスがある公演もあるのですが、ないことが多かった気がします。初めての公演で、今何をやっているか分からない心細さたるや。。

*長めの休み時間はない!


歌舞伎や文楽の公演ならば、途中に30分くらいの長めの休憩が入り、その間にご飯を食べたり歩き回って腰をほぐしたりできるようになっています。

しかし、長時間の舞踊の公演だと、そのような休み時間がない場合も少なくありません。

そのかわり、演目と演目の間に5〜10分ほどのインターバルがあります。
各演目ごとに大道具を入れ替えるため、このくらいの舞台転換の時間が必要なのです。

この間にお手洗いに行ったり、飲み物を飲んだりしています。
ご飯を食べたいときは、いくつかの演目を犠牲にして会場を抜け、ロビーなり外なりで食べます。


5.まとめ〜日舞は意外と気軽に観られますよ!


「日本舞踊」と聞くと「高尚」「敷居が高い」「難しそう」「想像がつかない」とどんどんハードルが上がってしまうのですが、

行ってみると全然そんなことはありません!

上述の通り意外と出入りもゆるく、長時間抜けても何も気まずいことはなく、ふらりと行ってふらりと帰れる雰囲気です。

「歌舞伎を観に行こう」「コンサートに行こう」と同じような感覚で、ぜひ踊りも観てみてください。

ときどきとんでもない感動に出会えたりしますから。

※ちなみに、おすすめはこちらです→日本舞踊協会公演
(2019年は2/16(土)・17(日)、昼夜二部制で4回全く別の公演です。)

NHK Eテレで放送中の「にっぽんの芸能」でも、舞踊の回はよくこの公演の映像を使っています。

三等席ならば2,000円で観られます

【関連記事】初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法④公演の探し方

イヤホンガイドと筋書、どっちがいいの?歌舞伎歴1年の初心者が比較してみた

今更ですが、
イヤホンガイドデビューしました!笑

ずっと筋書を買っていたので、イヤホンガイドなしでも問題なく理解できていたのですが、今月は回数行かないこともあり、イヤホンガイドを試すにはうってつけだったのです。

どちらも使ってみて、それぞれの良し悪しが分かり、自分なりに「こちらが好き」というのが掴めたので記事にしてみました。




1.概要と価格


■イヤホンガイドとは


【価格】
利用料500円+保証金1,000円 計1,500円
※保証金1,000円は利用後に返金されるので、実質500円です。

その名のとおりイヤホンのついた小さな端末で、
舞台の進行に合わせて見どころや配役を同時解説してくれるものです。
台詞の大意を、適切なタイミングで挟んでくれます。

イヤホンは片耳だけで、ちゃんと舞台の音も聞こえますのでご安心を!
 
ちなみに開演前から、あらすじや物語の背景、舞台となる場所、モデルとなった人物などの解説が始まっているので、要チェックです。

■筋書とは


【価格】
劇場、公演にもよりますが1,000円前後〜1,500円くらいです。 

「筋書」とは、いわゆる公演プログラムのこと。
 
詳細なあらすじや細かな配役、見どころに加え、著名人によるエッセイや歌舞伎にまつわる方のお話、江戸文化のコラム、出演俳優のコメントなど、読み物としても楽しめるボリューム感です。

サイズはB5が主ですが、まれにA4の場合があります(以前観た新春浅草歌舞伎はA4でした)。 



2.メリットとデメリット


■イヤホンガイドのメリット


時間をかけて予習をする手間なしに、あらすじを理解しながら観劇することができます。

また、主役を見ていてうっかり見逃しがちな脇役の動きに注目させてくれたり、衣装の柄や細かな所作などを解説してくれたりするのは同時解説ならでは。

初めての観劇でも隅々まで楽しめる工夫がいっぱいです!
 

■イヤホンガイドのデメリット


音楽や舞台の空気感を全力で楽しみたい方は、少々欲求不満かもしれません。
 
役者さんの台詞に極力かからないようにしているためか、どうしても音楽(語り)のときに解説が入ってしまいます
また、柝が鳴って幕が開いて「いよいよ始まるぞ!」というときにも耳元で解説が聞こえているので、あのわくわく感がややそがれてしまう気がしました。 
 
当たり前といえば当たり前ですが、片耳がずっとイヤホンなので、音を100%楽しみきれない感じはありました


■筋書のメリット


あらかじめ読んでおけば、あとは舞台に集中して楽しめます。
 
また、イヤホンガイドでは解説しきれない細かい配役が書いてあるので、気になった役がどの役者さんだったのかを見直すことができます

見直すという点で言えば、舞台を見ただけで理解しきれなかったことを再確認できるのも便利なところ。
 
読み物としても非常に情報量が多く、公演が終わった後も読み返すことができるのも、筋書の楽しみの一つです。

■筋書のデメリット


大前提として、そもそも読むのに時間と頭を使います
登場人物が多かったり、話の筋が複雑だったりすると、一読しただけでは分かりにくいこともあります。

また、上演中に舞台が暗くなってしまうと手元が確認できないため、舞台と並行して内容を確認するにはやや不便かもしれません。

さらに、筋書は場所をとります。観劇当日には荷物になりますし、毎月通って買い溜めていくと片付けも厄介です。


3.私が選んだのは「筋書」でした


これだけデメリットの多い筋書ですが、
やっぱり私は筋書派だということに気付きました!笑

というのも、私は何よりも舞台全体の音と空気をまるごと楽しみたいという思いが強く、そうなると片耳が常にガイド、となるとほんのちょっと感興をそがれてしまうのです…

また、家に帰って読み直せるというのもポイント。
何度も歌舞伎を見に行くうちに、「あのときのあの役はどなただったんだろう」「あの場面ってどういう流れだったかな?」と振り返ることが多くなりました。
そのときに手元に残るものがあると、すぐに調べられて非常に便利なのです。
文楽の場合は筋書を買うと床本(台本のようなもの)がついてくるので、読み返しながら再び感動に浸ることができます。 

場所は取りますが、筋書が好きです。 


4.まとめ


私は筋書に落ち着きましたが、一緒に行った友人(歌舞伎2回目)は「イヤホンガイドの方が分かりやすかった」とのことで、好みやニーズは本当に人それぞれだと思います。

私とてイヤホンガイドが面白かったのはもちろんのことで、同時解説でなければ気付けないことや、筋書では読み落としてしまうであろう豆知識に出会うことができました。

いずれにせよ、初心者の観劇にはどちらもとてもためになるし、より楽しむためには重要なアイテムです。
ぜひ活用して、観劇をより一層充実したものにしましょう!!!
 

あのとき歌舞伎にはまらなかった理由。


こんばんは、わこです。
最近歌舞伎関連の記事が増えていますが、
 
今日は私が
歌舞伎にはまらなかったときの話
をしようと思います。

***

以前このブログで、初めての歌舞伎の話をしましたが、

(以下の記事参照↓

実はこれは3回目の歌舞伎で、
初めて「自分で調べて」「自分一人で」観に行ったときの話です。

つまり、能動的に観に行った最初の歌舞伎体験ですね。

では最初の2回はどうだったかというと、
実はそれほどはまらなかったんです。

面白くなかったわけではなく、
それなりに楽しみはしたのですが、
「また行こう!」「来月も行こう!」とはならなかった。

それはなぜだったのでしょうか。

***

私がはまらなかった2回はこんな感じ↓

①大学の研修で鑑賞。
予習の講義もばっちりで、解説付きの上演。
観劇の後はレポート提出あり。

大学の友人たちと誘い合って観に行った。演目を失念。

もう②は演目忘れてる時点でだめですね笑


それぞれ思い出してみると、どちらにも共通しているのは
「分かろうとしすぎた」ことだった気がします。

レポート提出があるから。
日本文学を専攻する友達と一緒だから。

観ながら何とか理解してやるぞ!という
気負いがあったんですね。

それに加えて、②は条件もよくなかった気がします。
会場内が、不用意に笑いすぎた。

本来なら不気味さを表すはずのカラスの鳴き声や、
悲しさを表すはずの赤子の泣く声に、
場内から笑い声が起きていたのです。

もしかすると笑っていい場面だったのかもしれないのですが、
私は素直に「何だか不吉」「どうやら悲しい」と思って観ていただけに
笑い声で一気に冷めてしまったというか、
入り込めなかった部分はあります。

ただまぁ、これは仕方がないですね。
捉え方はそれぞれですもんね。

いずれにせよ、歌舞伎の空気そのものを楽しむよりも、

話の筋を理解しなくては!
良さを見つけなくては!

頭でっかちになっていたような気がします。

何ですかね、 

学生なのに歌舞伎を観に来ているインテリな自分✨ 

という像を作り上げすぎたのかな。笑

***

一方で、以前記事にした『霊験亀山鉾』はどうだったかというと、

あれはとにかく「仁左衛門さんの当たり役を観ておきたい!」だった。

筋を理解するよりも何よりも、
とにかく見て、聞いて、感じるために行ったのです。

だから、逆説的ですが、
筋書はあらかじめ熟読しました。
観劇中、理解するのでいっぱいいっぱいにならないように、
ただひたすら舞台に集中できるように、
準備して臨んだのです。

そして、見事にやられた。

冷徹に笑いながらあっけなく人を斬り、
刀を拭う立ち姿の凄みに、
ガーンと衝撃を受けた。

今はそういう瞬間に出会うのが嬉しくて、
歌舞伎を観にいっているのかな、と。

***

というわけで、

歌舞伎に興味を持ったなら、
無理に観ながら理解しようとしない方がいいかもしれない。

予習をした方がいい、筋書があるといい、と
このブログで何度も書いているのは、
とにかく芝居の空気だけに集中できるようにするためなんです。

観劇しながら理解しようとすると、
少なくとも私は、純粋に芝居そのものを楽しめなくなってしまいます。

あらかじめざっくり分かっておいて、
あとは舞台の空気を楽しむ。

これが今のところ、ベストな楽しみ方です。

***

以上、歌舞伎にはまらなかったときの話でした。
結局はあの名言に落ち着きますね。

考えるな、感じろ。

何だか言葉を尽くして説明した甲斐が
なかった気がしてきましたよ… 
 

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?

第一弾に引き続き!
踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を提案する企画です。

今回は、自分の数少ない経験から「これなら初めて見る日本舞踊でも絶対楽しめる!」という曲を厳選してみました!

鉄板の踊りから「こんなのもあるんだ」というものまで、私自身が楽しく観られたものを挙げています。

【関連記事】
★第一弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ
★第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?





*藤娘〜これぞ日本舞踊な一曲〜


「日本舞踊は知らないけれど、これなら知っている」という方も多いのではないのでしょうか?

舞台いっぱいに広がる藤の花。
塗り笠をかぶり、藤の枝を肩に担いで出てくる美しい娘…

日本舞踊の美を詰め込んだ演目だと思います。

有名どころ、定番の曲なので、「日本舞踊を見た!」という満足感の得られる一曲。

個人的には、途中の「藤音頭」という曲の出だしで、とことこ駆けてきて会場全体のお客様にご挨拶する可愛らしさ、
そして後半の「松を植よなら〜」の手踊りで
調子の良い音楽になり、踊りも速まるところが大好きです。


*三社祭〜日舞ってこんなに激しいの?!〜


日本舞踊の公演プログラムを見て、若手男性舞踊家お二人で「三社祭」となったら、これはもうすばらしくわくわくしてしまいます。

ゆっくりな踊りと思われがちな日本舞踊ですが、「三社祭」は飛んだり跳ねたりの連続

浅草寺の縁起を語るという設定のこの踊り、二人の漁師の踊りから始まるのですが、
途中からはそれぞれ「善玉」「悪玉」のお面をつけて息ぴったりに軽快かつ激しく踊ります
(善玉悪玉については、浮世絵もたくさん残っているようです)

初めて見たときには、そのテンポの良さに驚くとともに、見ながらどんどん楽しくなってきてしまいました。

踊っている方としては、お面をつけていて呼吸が不自由な上に、立っては座り、跳び続けなのでしんどいに違いないのですが、
いつか私も己をいじめ抜いて踊ってみたいものです。


*流星〜一人五役の早変わり〜


これはもう、物語がとんでもなく奇抜で面白い

舞台は七夕の夜。

織姫と彦星が一年越しの逢瀬を楽しんでいるところに、「ご注進!ご注進!!!」と流星がやってきます。
(この時点で設定に度肝を抜かれる。主役はもちろんこの流星です。)

聞けば何やら、空の上の雷夫婦が喧嘩したとのこと。

だんなさんがうっかり端唄の師匠の家に落っこちたことがきっかけで雷の鳴り方まで端唄風になってしまい、

「その鳴り方が気に食わない」と奥さんが怒り出し、夫婦喧嘩に発展。

この夫婦の子供も仲裁に入り、
ついには近所の雷ばあさんまで登場して喧嘩を止めに入ることに。

この婆雷に思わぬ悲劇が起き、それがきっかけで二人は仲直りするのですが、

いや、もう物語設定めちゃくちゃでしょう…

でもこのばからしさを、流星が大真面目に踊り分けてみせるのが、この踊りの無条件に楽しいところなんです。

そうです。
夫婦と子供、おばあさんを、流星役の一人が演じ分けるのです。
つまり
①流星②雷・夫③雷・妻④子雷⑤婆雷の5役を一人で代わる代わる演じるんですね!

ツノ(もしくはお面)を付け替え、くるりとまわったら役が変わったということ。
役によってツノが違います
子雷はツノが一本だったり、婆雷は片方のツノが曲がっていたり、と細かい工夫もいっぱいで楽しい!

初めての日本舞踊公演で、もちろん初めて「流星」を見た知人の感想は、

しょーもな。

でした。笑

でも、それは初めてでもちゃんと筋が分かったということ。
そして、ちゃんと楽しめたということだと私は思います。

ハードルが高いと思われがちな日本舞踊にとって、これってとても大事なことなのではないでしょうか。


*棒しばり〜何度見ても笑える楽しさ〜


これも会場を笑わせにかかってくる、狂言がもとになった舞踊です。

いつも主人の目を盗んでは、こっそり蔵の酒を飲んでいる太郎冠者と次郎冠者。

それを知った主人は、彼らを懲らしめようと、自分が出かけるときに二人を縛って出て行きます。

両手を棒にくくりつけられた次郎冠者と、後ろ手に縛られている太郎冠者。

飲めないとなると一層酒が恋しくなり、二人はなんとかして酒を飲もうとするのです。

この酒を飲むにいたるまでの、二人の試行錯誤の様子がめちゃくちゃに面白い

そしてだんだん酔いが深まり、縛られたままいい気分になって踊り出す二人。
このあたり、軽快な音楽とも相まってなんとも楽しい。

最後はお約束の展開が待っているのですが、
これも初めてでも絶対に筋がわかって楽しめる曲だと思います。

もともとこの踊りは、六代目尾上菊五郎さんと七代目坂東三津五郎さんという踊りの名手たちの手を使えなくしたらどうなるのか、という試みだったようです。お見事。

***

他にもやりたい踊り、大好きな踊りは山ほどあるのですが、趣旨が変わってしまうためここでは自重します。
また改めて…


*まずは親しみやすい演目から!


言葉を連ねていろいろ語りましたが、百聞は一見にしかず
私のこんな文章じゃ到底伝わらないくらい、いい踊りは興奮するし、盛り上がります。

私がこのシリーズを書こうと思ったのは、そもそも自分が舞台に立たせていただくときに、友人に気安く声をかけていいものか迷ったから。

日舞をかじっている自分でさえ、なかなか舞踊公演には行かないものを、日本舞踊に何の関わりもない友人たちに「気軽においでよ!」と言えるのか。

まずは、気軽に来れるような目印を何かしら作っておくべきだったんじゃないだろうか、と。

幸い文化に寛容な友人ばかりなので「行く行くー!」みたいなノリで来てくれたのですが。笑 

だから、踊りを知らない友人たちに「意外と日舞ってこんな感じよ!」と伝えるような気持ちで書いています。

まずは親しみやすい演目や音から入って、そんなに堅苦しくないものなのだ、と知ってほしい。

ゆくゆく日本舞踊が一大エンターテインメントになるとまでは思いませんが、
もう少し「踊りの舞台を楽しむ」という時間が日常的になってもいいのかもしれないな、とは思います。

以上、長々と書いてしまいましたが、また新たな楽しみ方を見つけたら長々と書く予定ですので、何卒よろしくお願いします!笑

【関連記事】
★第一弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ
★第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?
 

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ

先日、とある舞踊公演に行ったのですが、あまりにも観客が少なくて哀しくなりました。。

…と嘆き節で始めてみたものの、かくいう私も初めて日本舞踊の大きな舞台を観に行ったときには、
「…うん!楽しかった!」と言いつつイマイチよく分からなかった、というのが正直なところ。

舞踊公演にもなかなか足が向きませんでした。

それはもちろん演目を知らなかった、ということもあるけれど、楽しみ方を知らなかったのも大きいのではないかと。

恥ずかしながら、今でも知らない演目の方が多いのですが、最近になって だんだん舞踊公演も楽しく観られるようになってきました。

そこで!

今回は踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を考えてみました!

第一回は、舞台から聞こえる音の面白さに注目してみたいと思います!

【関連記事】
■第二弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?
■第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?




1.華やかな生演奏!


多くの日本舞踊の公演は、舞台の上に長唄・清元・常磐津などの演奏家の方々(地方(じかた)さんと呼びます)が並び、生演奏で行われます。豪華!

つまり、踊りだけでなく演奏風景も見られる!
そして生音が聴ける!!!

三味線や声の厚み・迫力に加え、打楽器の音はやっぱりテンションが上がります(※打楽器好き)

かん、と張りのある鼓の音や小気味好い太鼓の音、わくわくするようなちゃんちきや笛の音、、
無条件に楽しい気持ちになってしまうのは一体何の遺伝子なのでしょうか。


また、西洋音楽ばかりに親しんでいた自分にとって、
「ハーモニーも何もなく全員同じ音を出しているのにどうしてこんなに違和感なく聞けちゃうんだろう?」
「鼓や太鼓はいったいどうやってタイミングを感じているんだろう」
と、純粋に音楽面での興味も尽きません。

普段なかなか耳にすることがない、邦楽の生演奏。
日舞の舞台では、ぜひ音楽も楽しんでみてください!

邦楽やってみたいなぁ…


2.踊りの小道具の楽しい音


ちょっとこれは私が音フェチなのもあるのですが。笑
音が楽しめる小道具、たくさんあるんですよ! 

私がこれまで出会った小道具いい音ランキングはこんな感じです。 
 

★第3位★鈴

三番叟で使われる、よく巫女さんが持っているような、棒の先に三段くらいの鈴がついているもの。 

繰り返されるメロディー
(とは言わないと思うのですがに合わせて、この鈴を鳴らしながら軽快に踊るのです。

鈴の華やかな音がもたらす昂揚たるや!

観ている方もついうきうきしてきてしまうのですが、「小道具」感が少なくもはや楽器レベルだったためあえなく3位にとどまりました。。 
 

★第2位★綾竹(あやだけ)

紅白の布を巻き付けた長い棒で、両端に赤い房や鈴をつけてあるもの。

ぶんぶん回したり、床を打って調子をとったりしながら踊るのですが、鈴のしゃんしゃん音がかわいい!!

私が観たのは「子守」という演目。
 
子守を任された幼い女の子が、赤ん坊を寝かせている間に一人踊るのですが、この綾竹の音が、子供(役)の可愛らしさを一層引き立てていると思います。 


★第1位★鈴太鼓(振り鼓)

平たい小さな太鼓で(紅茶の缶によく似てる)、中に鈴が入っているもの。

これを両手に持って、鈴太鼓同士を打ち合わせたり、床を打ったりしながら踊ります。(「京鹿子娘道成寺」という曲の最後の方に出てくるのが一番有名かと思います)

鈴太鼓の魅力は、打ち方で音が変わること。

鈴太鼓同士で打てば、中が空洞なので軽い音がする。

床を叩くと、木のこつこつとした音がなんとなく奥ゆかしい。

鈴太鼓単体で振ると、鈴よりも軽い、からからと楽しい音が鳴ります。

音の心地よさバリエーションの豊かさで僅差ではありますが第1位としました。 

***

気づけば鈴ばっかりになってしまった…

3位以内には入れませんでしたが、四つ竹も好きですよ!

竹を縦半分に割ったような形をした道具で、手のひらサイズくらいのもの。
両手に一対ずつ持ち、竹の背同士をチャンチャカチャンと打ち合わせて踊ります。

小さい会場で踊っているところしか観ていないのですが、高くて軽い音は粋な感じがして良いです!


3.踏む音は意外と大きい?!


初めて日舞を観たという友人が一番驚いていたのがこれ。

「あんなに大きな音出していいんだね!」とびっくり顔でした。

そうなんです、
意外と大きな音で踏むんです。

特に大きな舞台での公演は、舞台の床の上にもう一枚板を敷いていて(=「所作舞台」といいます)これがよく響くのです。
気になる演出ピックアップ!#2 所作板

ただ下駄でカラコロと出てくるだけでも心躍るような音がします。

踊りの中には「踏む」というのがよく出てきます。

始めたばかりの頃は「踏むとは…?」という感じで、おっかなびっくり踏んでいたのですが、
初めて舞台を観にいったときにかなりの音量で踏んでいるのに衝撃を受けました。

その音が、迫力や調子の良さを出したりもするのです。

私が観た中で、この「踏む」良さが一番楽しめたのは「供奴(ともやっこ)」という演目。

この踊りの後半には、「足拍子」といってリズミカルに左右の足を踏み鳴らす見せ場があります。
ただ全部をドカドカ踏むのではなくて、強弱をつけてトトンコトントンと調子よく踏みます。

観ながら思わず一緒にリズムをとってしまうくらい楽しいですよ!
(やっている方は散々踊った後に足拍子なので相当きついと思いますが…)


4.まとめ〜日本舞踊は耳も楽しい!


本来ならば演目の魅力を語るべきところですが、それはまた追い追いお届けするとして。笑

まずは初めての日本舞踊公演で一曲目から楽しめるようにと、自分も大好きな日本舞踊の「音」に着目してみました。

日舞は堅苦しく、眠くなるものと思われがちですが、全然そんなことないのです。

記念すべき日舞との出会いを、ぜひ耳でも楽しんでみてくださいね!

【関連記事】
■第二弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?
■第三弾⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法③舞踊公演はどんな雰囲気?


記事執筆にあたり、
『日本舞踊ハンドブック改訂版』(藤田洋、三省堂、2001年)
参考にさせていただきました。

日本舞踊ハンドブック改訂版 [ 藤田洋 ]

価格:1,782円
(2018/10/5 00:16時点)

プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇3年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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