ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

お稽古

日舞あるある③誤解を招く会話


サークル時代も、今のお稽古場でも、
お稽古前後にときどき
こんな会話が交わされます。

「私、初めての男なんでとまどってるんです…」
「分かる!私も男の経験少ないから不安!」
「私は久しぶりの男だから…」

はい、聞き捨てならないですね。

この会話、別に恋愛の話じゃないんですよ。

男の踊りの話なんですよ。笑

日舞を習い始めるとき、
(少なくとも私の知っている流れでは)まずは女の踊りを習って、
何曲か女を踊ってから男の踊りに挑戦するのですが、

足を開いて踊るなんて初めてで、
戸惑った覚えがあります。

そして、男の踊りを何曲か習ったら
今度はまたしばらく女だったりする。

そうすると男踊りの体の使い方をすっぽり忘れます。

久々に男の踊りを教えていただくと、
またゼロからやり直すような、
手探りな状態でふたたび男と向き合うことになるのです。。

「久しぶりの男」というのはこれです。

そんなわけで、
特に踊りを始めてからそれほど年数が経っていない仲間内では、
この「男」というワードが頻出する会話で盛り上がるのです。

そして大体
「誤解されるからこの話は外ではできないね!」
という結論で終わります。笑 

なかば、その誤解を招く表現のおもしろさに
あえて男おとこ言っている部分もありますけどね!

お稽古場には日々笑いが絶えません☀


シミだらけでも着たい着物

しばらく前のこの記事で書いた、
曽祖母の大量の着物の中に、
こんなものがあります。

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紬で、とても軽く、色味もシンプルでかわいらしい。

裄丈も十分で、
身幅も何とか私の大きなお尻をカバーしてくれたのですが、

問題はこれ。

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ちょうど “おはしょり” にあたる部分に
広範囲の茶ジミがあるのです。。

もとのお着物が淡い色合いなだけに、
実際に羽織ってみると
このシミがかなり目立ちます。

お出かけに着ていくには
かなーり抵抗があるレベル。

とはいえ、サイズもいいし
もの自体は全く悪くない!

そこで、

この着物は踊りのお稽古着にまわすことにしました

週に3回は激しく踊り、
かなり体を動かすし汗もかくので、
お稽古着はあまりいい着物だともったいない。

とはいえさすがにシミが多いので、
一応先生にご相談してみたのですが、

お稽古として着倒してしまってもいいのならば、
せっかくあるなら着てあげないともったいない!


ということで快諾してくださいました

***

ひいおばあちゃんの着物。
やっぱり着てあげたいと思うのです。

思い入れを持って作られた着物だろうに、
ずっとタンスの中で何十年も日の目を見ずにいた。

いませっかく見つけ出したのだから、
何とかして活かしてあげたいのです。

お出かけは厳しいシミ具合だけれど、
お稽古ならお出かけよりももっと着る機会が多く、
愛着もわくというもの。 

大切に着倒したいと思います

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とは言いつつ、
真冬のお稽古でも
結局浴衣で汗だくになるんですよね。。

 

カセットテープ現役世代〜日舞のお稽古とカセットテープ〜

ずっと欲しかったものをついに買っちゃいました!

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ポータブルカセットプレイヤー

╲╲今どき!!╱╱

これで踊りの音源が持ち歩けます~✨

***

日本舞踊のお稽古では、
カセットテープが今も現役で大活躍しています。

たぶん今通っているお稽古場に限った話ではないはず。
以前いたサークルでも、ずっとカセットです。
思えば幼い頃に通っていたバレエ教室もカセットだったような…

サークル時代は、カセットのアナログさに
正直いらいらすることもあったのです。

しかし、慣れてくると意外とカセットは使いやすい

踊りのお稽古は、
とにかく音源を早送りしたり
巻き戻ししたり(主にこっち)の繰り返しです。

そのときにCDだと、
ちょっとした弾みで前の曲に戻ってしまったり、
戻るスピードが速すぎて
「ほんのちょっと戻したい!」
というときに上手くいかなかったり、
なかなか思うようにならない。

「一時停止ボタン」「停止ボタン」の押し間違いも多発して、
しょっちゅう面倒なことになるのです。
(停止ボタンは、曲ではなく
CD自体のアタマまで戻ってしまうので…)

その点カセットはシンプルです。
非常に人間らしい時間で動いてくれます

確かに傷みは早いし壊れもしますが、
それもまた、よくお稽古した証だと思えます。笑

***

そんなわけで、お稽古用の音源は大体カセット。

今回も例に漏れずカセットに入れていただいたのですが、
なかなか曲が頭に入らず、振りも覚えられないので
いつでもカセットを持ち歩きたいな、と。
 
こう思うことはとてもよくあって、私の場合
曲が覚えられないと振りも入りにくいのです…

まずは曲に慣れるために、
空き時間を使って積極的に聴こうと思います。

幼い頃からカセットで音楽を聴くことに親しんではいましたが、
まさかこの歳でカセットを持ち歩くことになるとは。

おもしろいですね。

***

ちなみに、カセットよりも前は
レコードでお稽古していたとのこと。

巻き戻すときは、針を置き直すのですが、
踊りが上手な人は針を置くのも上手いのだそうです。笑

間の感覚とか、音を聞き取る力とか、
そういうものが養われるのでしょうか?

でも確かに普段のお稽古で
カセットテープ係をやるときは
(他の方のお稽古で先生が立っていらっしゃるときは、
各々持ち回りでカセットをかけます)


どの歌詞のところで音を止めたか
どのような音の雰囲気のところから始まったか
など、意識しながら音をかけるようにしています。

一生懸命に音を聞くことも、
大事なお稽古になっている気がします。 

***

さて、これから何度も早送りされ、
巻き戻されるであろう、
新しい曲を入れたカセットテープ。

このポータブルプレイヤーで、さらに消耗されそうです。

しかもプレイヤー側が60分テープ推奨のところを、
うっかり90分テープに音を入れてしまった…
録音可能時間が長ければ長いほど、
テープが薄いので消耗が激しい
ようです。。 

無事に踊り終わるまで、テープが何とか持ってくれますように。

日本舞踊*新しい曲のお稽古が始まりました

小さな本番が終わり、
新曲のお稽古が始まっています。

気持ちも新たに、
本番を経験してちょっとだけ成長した自分を楽しみに……

していると、とんでもないですね。

ちょっとずつ積み上げた自信が
粉々に打ち砕かれております。

*** 

新しい曲に入るのが、私はとても好きなのです。

今まで踊れなかったものを踊れることは、純粋に嬉しい。
 
振り返ってみて

「こんなのが踊れるなんて、想像つかなかったなぁ」

と、自分の成長が感じられるのも喜びです。

新しい曲には今まで知らなかった世界が必ずあるし、
何より踊れる曲がまた一つ増えるのは楽しい! 


その一方で、

新しい曲を踊り始めることには
まだまだ底知れぬ不安があります。

今まで教えていただいてきたことを
全て忘れてしまったんじゃないか。
 
とんでもなく分不相応な踊りを
教えていただいてしまっているのではないか。。

特に新曲のお稽古が始まったばかりのときは、
毎回必ずと言っていいほど

「自分は何も踊れないのではないか」

という恐ろしさがあります。


よく考えれば、これはとても失礼なことなんですよね。

先生は、私にとって何が必要かを考えて、
その時点で最もふさわしい曲を教えてくださっているのだから。

所詮、自分の力ではどうにもできないこと。
安心して先生にお任せすれば良いのです。

初心者に、自信は不要。
謙虚に楽しむのみ!!

***
 
今新たに教えていただいているのも、
現時点で見える一番高いところにあるような曲。

憧れていたけれど、
自分が踊るのは到底先のことだと思っていた。

それを踊らせていただけるのだから、
こんなに喜ばしいことはありません。

早くもへこみがちだし焦り気味だし
一向に覚えられる気配もなければ
体も全くついていけていないのですが(笑)

高い壁を、何とかかんとか這い上がる所存です。


あー、早くも次のお稽古が楽しみ!

 

歌舞伎役者の言葉に学ぶ、日本舞踊の「見る」振りのこと。

山を望むとか、
お花見をするとか月を眺めるとか、
周りの景色を見渡すとか。

日本舞踊には、「見る」振りがたくさんあるなぁと思います。

その見方もいろいろあって、
何かに気付くときの見方があれば、
物思いにふけってぼんやりと見ることもあり、
もちろん眺めを楽しむ見方もあり。

こんな記事をなぜ書き始めたかというと、
自分が今、「見る」振りで悪戦苦闘しているからです。。笑

そんな踊りの「見る」ことについて
複数の歌舞伎役者さんが同じようなことを言っていらして面白かったので、
半ば自分のためにまとめます!


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まず十代目・坂東三津五郎さん

『坂東三津五郎 踊りの愉しみ』(長谷部浩 編、岩波現代文庫)の中で
以下のように述べていらっしゃいます。

「…たとえば富士山が出てきたときに、
もちろん踊り手には、富士山が見えていなければいけないわけです。
演者が見ていないと、お客さまには
絶対見ているように伝わりません。」(p.67)


さらに、その富士の大きさや場面がどんなものなのか、
振りをつけた人はどんな富士を見ていたのか。

自分の中に、そういうファイルをたくさん持っておくべきだ、というお話。

この他にも、『京鹿子娘道成寺』を踊るときに
実際に和歌山の道成寺を訪れてみて、
初めて分かったことのお話も興味深かったです。(p.81〜82)

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***

それから、四代目・市川猿之助さん

この本が好きすぎてしょっちゅうこのブログに登場するのですが(笑)
『舞うひと』(草刈民代、淡交社)の中にこんなお言葉がありました。

「たとえば『北州』という作品で、
待乳山という上野の山から下を望む所作があるんです。
普通「山から下を望む」というと下を見るけれど、
実際の待乳山はとても低いから、
下というよりも遠くをみるような振りになるわけです。
(中略)
ですから、その山を知っているかどうかで表現が変わる。…」(p.176)

やはり、踊る上で実際の景色や風俗を知っていることの重要性
説いていらっしゃいました。

***

「見る」ことに限定した話ではなくなってきますが、
同じ『舞うひと』の中で
五代目・尾上菊之助さんがおっしゃることも
本質は同じだと思っています。

「…そこにいる女性は若いのか年増なのか、
「散りかかる」花はどんな花なのか……
膨大な情報が「散りかかるようで」の振りにこめられているんです。」(p.74)


やはり、踊りながら実際の景色を「見て」いらっしゃる

この「膨大な情報」を振りにこめるには、
そもそも年増って何歳くらいなの?とか、
その花がどの花だったらどうするの?とか、
前提となる知識が必要不可欠なんですよね。


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***

「見る」振り(に限らず全てにわたって言えることですが)に重要なのは、
知識想像力だということが何となく見えてきました。

その時代に見えていた景色や、文化、人々の動作…

そういうものの知識を、少しずつつけていきたい。

さもないと、想像するにもできないのです。

踊りの舞台となるどこかに行ってみるでもよし、
江戸の文化をもっと学んでみるもよし。

でも、そう思うと日常の全ての動作が
踊りの糧になる
ような気がしてきます。

自分がこういうものを眺めるとき、どんな感じだろう。
どんな景色を見てきただろう。

一つ一つの経験や、何気ない一瞬も、学びになりそう。

と言ったところで、
私が立ち止まっているのはもっと初歩的・技術的な問題だったのですが笑
(「レベルが違う」どころではないほど違いすぎて解決せず)

いつかは!いつかは上手くなりたいから!!
今から意識するに越したことはないんですってば!!笑

お三方のお言葉を胸に、お稽古頑張ります。


 
プロフィール

わこ

◆東京都在住╱地味目のOL (平成生まれ)。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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