ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

お稽古

【日本舞踊】習った曲を振り返ってみる①初稽古〜京の四季


いえ、まだ始めてそんなに経ったわけでもないのでアレなんですが、
日本舞踊を始めてから習った曲を、習った順に振り返ってみる企画です。
(どうしても流派が特定されてしまいそうなものは省きます。笑 ) 

今のお稽古場に来る前の、大学の日舞サークル時代に教えていただいた曲。 
踊りに出会い、どんどん面白くなって、踊りが好きになっていく過程を綴ってみようかなと。

第1回は、初めてのお稽古のことと、最初に習った「京の四季」の思い出です。

※ひとつお断りしておくと、流派によって、どころでなく同じ流派でも先生によって、振付は全く異なります。あくまで、私が習った振りでのお話です。

最初のお稽古


「浴衣を着てみる」というところからのスタートでした。
先輩に教えてもらいながらやっとこさ帯を結び終わるまでに、20分くらいはかかっていたはず。

先生へのご挨拶の仕方を先輩に教えていただき、いざお稽古開始です。

まずは和服で歩いてみるところから。
先生が適当な曲を流しながら、内股、摺り足で歩いてみます。

幼い頃、週2だか3だかでクラシックバレエに通っていた身としては、この「内股で踊る」というのにとっても違和感があるんですよね。

摺り足自体は空手をかじった経験から何となく分かる気でいましたが、それも足袋を履いて浴衣でやると全く違うもので、これだけでも「分からないところに来たぞ!」という感じ。笑

でも何だか楽しくて、聞き取れないなりに曲も華やかで、早く踊ってみたくて仕方なくなったのでした。

残念ながら初回のお稽古はここで時間切れ。
先輩に浴衣のたたみ方を教えていただき、やっとたたんだ浴衣を全部ばさっと広げられて「もう一回やってみて」と愛のムチをいただいて帰りました。笑 


一曲目:京の四季


さて、念願の一曲目の踊りのお稽古です。

私のいたサークルでは、初めての曲は大体これ。
題名通り京都の春夏秋冬の風物を詠み込んだ唄なのですが、春と夏だけ抜粋してやりました。
おそらく、初めてだと全て通すのは負担が大きいのです。 春と夏だけなら、3分弱くらいのはず。

いやぁ、それでももうなかば体操でしたよね。笑

何せ知っている動きが何もないので、何を目指せばいいのか分からないんです。曲も聞き取れないしこの記事。 

でも、とても興味深かった

山や桜を眺める振り、酔っぱらう振りなんかは、演劇的な要素がとても大きくて、ただ音楽に合わせて身体を動かすだけではない楽しみがありました。

それからお扇子でのあおぎ方、今まで手持ちの扇子であおいでたのは男のあおぎ方だったんだ!とか。
(普段、親指を外側に持ってあおいでいる方が多いと思うのですが、女の踊りであおぐときは親指は身体側、残りの指が正面にそろって見えるようにお扇子を持ってあおぎます)
 
武士のことを「二本差し」というのも、この曲で初めて知りました。
「二本差し」という歌詞のところで、お扇子を刀に見立てて腰の横で左手で持ち、右手はもう一本の刀を握っているように見せます。
お扇子が刀になるのも、単純かもしれませんがちょっと予想外で面白く、また「二本差し」という言葉に出会ったのも興味深かった。

とにかく、知らないことだらけで発見の喜びが止まらなかったのです。

純粋に踊ることがもともと好きだったのもありますが、ただ踊るだけではない要素が多くて、これは楽しいぞ、と思いました。 


で、

私この曲、覚えきれないまま終わった気がするんですよね。笑

初めの曲だからなのか何なのか、最後まで先生が横か前で一緒に踊ってくださっていたので、何となくそれを盗み見しつつ雰囲気で乗り切っていたのですが、
なんとか最後まで踊りきった私を見て先生が誤解してしまい、「なかなかいいペースで覚えましたね(^^)」と次の曲へ。

いや、先生、

覚えてないんです!!

***

これが一曲目。2ヶ月くらいかかったのかしら。定かでありませんが。。

何にせよ、「日本舞踊って楽しい!」と思った背景には、江戸の文化や生活の一片を知ることができる、という点だったり、思った以上に演劇的である、というところだったり、
踊りだけではない側面もとても大きかったのではないかしら?と。

新しいことを早く知りたくて、お稽古の日を心待ちにする生活が、こうして始まったのでした。


【関連記事】
日本舞踊・始めたばかりのときはこんな感じでした
日本舞踊・音楽が聞き取れるようになるまで
 

下駄で踊ること。

先日、こんな記事を書きました。


常日頃から着物で生活していないと身に付かない、ほんのちょっとした動き方。
そういうものが自然に出てくるようになりたいから、極力着物で生活したい、という話。

それに関連して、初めて下駄で踊ったときの話です。

***

私は和服を着始めたのも最近のことで、下駄で出掛けたことなどほんの数回しかありません。

外で下駄を履くときは、どんな形であれ歩ければとりあえず目的は果たせるので、その数回では特に何も意識しなかったのですが、これが踊りとなると全くの別問題でして。

私は元々、足首がとても固くこの記事、それをごまかすために体の変な位置に重心を置いて踊ってしまっていました。

これが、下駄を履くとごまかせなくなるんです。

底が固い、屈曲性のかけらもない履物なので、ちゃんと真ん中に重心が乗らないと、前後にぱったんぱったん傾いてしまうんですよね。
 
そうすると、思った形で止まろうと思ったときに、下駄がきちんと止まってくれずにバランスを崩す。

それから、日本舞踊の振りには「おすべり」といって、左右の足を交互に後ろに滑らせる振りがあるのですが、
当たり前ですが下駄は足袋のようには滑らないわけですよ。 

足袋でしか踊ったことがない私としては、一体どうしたものやらという感じで。

しかも本番のときは、完全なる善意で下駄の裏に滑り止めをしていただいたので、あとで自分の踊った映像を確認したらロボットのように滑っておりました。 笑

…というかそれ以前に、以前にも書きましたがこちら

下駄を履いて走れない!!

お出掛けのときに歩くのと違って、踊りの体裁を保ちながら、尚且つ走る。
こんなに自由が利かないとは…
これほどまでにできないものかと結構へこみました。。

本番ですらちゃんとできなかったですもんね。もう一回本番やりたい。。

***

さて、話がどこに繋がるかと言いますと、

下駄を日常的に履いていた世代の方は、それほど下駄での踊りに苦労することはないらしいのです。

あとはもちろん、履き慣れている人ですね。

やっぱり、日常的に身に付けていることで、踊りの可能性が広がるらしい。

下駄はそんなに日常的に履く機会があるわけでなく、特に踊りで使うような下駄はなかなか日常では履かないのではないかと思うのですが、
どんなものでも体に馴染んでいるか否かというのはとても大事なのだな、と思った次第です。

 

日本舞踊・始めたばかりのときはこんな感じでした


日本舞踊が大好きで、しばしばこのブログでも触れているのですが、
踊りとの出会いはわずか6年半前。

まだまだ知らないことの方がずっと多いのです😅

でも、始める前、始めたばかりの頃はもっと、本当に何にも知らなかった。
6年半後にこんなに日本舞踊が好きになるなんて、全く予想しておりませんでした。 

今日は、踊りに出会ったばかりの頃のことを思い出してみる企画です。

「日舞に興味があるけれど、知識がなくて…」という方がもしいれば、
全くのゼロからここまではまりこんでいる人間がいますよ!とお伝えしたいです。笑

***

そもそも私は、日舞をやりたかったから始めたわけではなく、
着物が着たかったわけでも歌舞伎に興味があったわけでもなく、
(詳細は割愛しますが)ちょっとしたうっかりミスにより偶然日本舞踊に出会ったのです。

そのため、下調べなどは一切なし

日舞といったらぼんやりと「舞妓さんとか芸妓さんとかみたいなやつ」としか認識しておらず、
何なら舞妓さんや芸妓さんがどういうものなのかすらよく分かっておらず。笑

歌舞伎と日本舞踊の関わりはおろか、歌舞伎がどういうものかすら、
「派手なお化粧のやつ」というレベルでしか知らなかったのです。

それぞれを括る適切な言葉も分からなくて、全部「やつ」とまとめてしまうくらい。笑

当然 浴衣の着方も知らなければ、畳むのだってもちろんできない。
初期は一度畳んでは先輩に全部広げられて「もう一回やってごらん^^」という流れでした。おかげさまでじきに覚えましたけどね…

そして何より、音が聞き取れない!

これはもう別記事にして語りたいくらいです。
最初は本当に、「歌詞が聞こえない」とかいうレベルではなく、音が取れない。
何が鳴っているのかが分からない。

ずっと西洋の音楽の中で生きてきたので、拍子が決まっているものしか理解できず、
カウントで動くことのない日本の音楽にまず悪戦苦闘でした。

音楽に合わせて動けるようになったのは、一曲目が上がってからのこと。
始めてから2ヶ月くらいは経っていたのではないかと思います。

「扇子を使うなぁ」というイメージはあったものの、普通の扇子と舞扇が違うことも知らなかった。
そしてお扇子を開けることすらできなかった。笑

こうやって思い返すと、本当にないものだらけですね…

かろうじてあったものと言えば、
幼い頃からの「踊るのが好き」という気持ちと、日本文学への興味でしょうか。

***

これぐらい何もない状態で始めたのですが、
日本舞踊が楽しくなるのにそう時間はかかりませんでした。

思うに、日本舞踊は「踊り」の要素だけじゃなかったからではないでしょうか。

そこには「演劇」の要素、「文学」の要素、初めて聴く邦楽という「音楽」の要素、いろんなことが詰まっていて、そのどれもが面白かった。

それに、新しいことを始めると純粋にわくわくします。
できること、分かることが増えていくのが嬉しい。

そんな日々を経て、「お稽古の日を楽しみに日々を過ごす」というのが日常となっていったのでした。

というわけで、

初心者が日々偉そうに語ってますが、
ほんの数年前はこんな感じだったのですよ、という話です。お恥ずかしや。

だからこのブログもあんまり肩肘張らずに、
「たまたま電車でふたつ隣に座った人の頭の中」くらいの距離感でお読みいただければと思います。笑

シミだらけでも着たい着物

しばらく前のこの記事で書いた、
曽祖母の大量の着物の中に、
こんなものがあります。

IMG_20181021_211030

紬で、とても軽く、色味もシンプルでかわいらしい。

裄丈も十分で、
身幅も何とか私の大きなお尻をカバーしてくれたのですが、

問題はこれ。

IMG_20181021_212602

ちょうど “おはしょり” にあたる部分に
広範囲の茶ジミがあるのです。。

もとのお着物が淡い色合いなだけに、
実際に羽織ってみると
このシミがかなり目立ちます。

お出かけに着ていくには
かなーり抵抗があるレベル。

とはいえ、サイズもいいし
もの自体は全く悪くない!

そこで、

この着物は踊りのお稽古着にまわすことにしました

週に3回は激しく踊り、
かなり体を動かすし汗もかくので、
お稽古着はあまりいい着物だともったいない。

とはいえさすがにシミが多いので、
一応先生にご相談してみたのですが、

お稽古として着倒してしまってもいいのならば、
せっかくあるなら着てあげないともったいない!


ということで快諾してくださいました

***

ひいおばあちゃんの着物。
やっぱり着てあげたいと思うのです。

思い入れを持って作られた着物だろうに、
ずっとタンスの中で何十年も日の目を見ずにいた。

いませっかく見つけ出したのだから、
何とかして活かしてあげたいのです。

お出かけは厳しいシミ具合だけれど、
お稽古ならお出かけよりももっと着る機会が多く、
愛着もわくというもの。 

大切に着倒したいと思います

IMG_20181021_211217


とは言いつつ、
真冬のお稽古でも
結局浴衣で汗だくになるんですよね。。

 

カセットテープ現役世代〜日舞のお稽古とカセットテープ〜

ずっと欲しかったものをついに買っちゃいました!

IMG_20181018_220506

ポータブルカセットプレイヤー

╲╲今どき!!╱╱

これで踊りの音源が持ち歩けます~✨

***

日本舞踊のお稽古では、
カセットテープが今も現役で大活躍しています。

たぶん今通っているお稽古場に限った話ではないはず。
以前いたサークルでも、ずっとカセットです。
思えば幼い頃に通っていたバレエ教室もカセットだったような…

サークル時代は、カセットのアナログさに
正直いらいらすることもあったのです。

しかし、慣れてくると意外とカセットは使いやすい

踊りのお稽古は、
とにかく音源を早送りしたり
巻き戻ししたり(主にこっち)の繰り返しです。

そのときにCDだと、
ちょっとした弾みで前の曲に戻ってしまったり、
戻るスピードが速すぎて
「ほんのちょっと戻したい!」
というときに上手くいかなかったり、
なかなか思うようにならない。

「一時停止ボタン」「停止ボタン」の押し間違いも多発して、
しょっちゅう面倒なことになるのです。
(停止ボタンは、曲ではなく
CD自体のアタマまで戻ってしまうので…)

その点カセットはシンプルです。
非常に人間らしい時間で動いてくれます

確かに傷みは早いし壊れもしますが、
それもまた、よくお稽古した証だと思えます。笑

***

そんなわけで、お稽古用の音源は大体カセット。

今回も例に漏れずカセットに入れていただいたのですが、
なかなか曲が頭に入らず、振りも覚えられないので
いつでもカセットを持ち歩きたいな、と。
 
こう思うことはとてもよくあって、私の場合
曲が覚えられないと振りも入りにくいのです…

まずは曲に慣れるために、
空き時間を使って積極的に聴こうと思います。

幼い頃からカセットで音楽を聴くことに親しんではいましたが、
まさかこの歳でカセットを持ち歩くことになるとは。

おもしろいですね。

***

ちなみに、カセットよりも前は
レコードでお稽古していたとのこと。

巻き戻すときは、針を置き直すのですが、
踊りが上手な人は針を置くのも上手いのだそうです。笑

間の感覚とか、音を聞き取る力とか、
そういうものが養われるのでしょうか?

でも確かに普段のお稽古で
カセットテープ係をやるときは
(他の方のお稽古で先生が立っていらっしゃるときは、
各々持ち回りでカセットをかけます)


どの歌詞のところで音を止めたか
どのような音の雰囲気のところから始まったか
など、意識しながら音をかけるようにしています。

一生懸命に音を聞くことも、
大事なお稽古になっている気がします。 

***

さて、これから何度も早送りされ、
巻き戻されるであろう、
新しい曲を入れたカセットテープ。

このポータブルプレイヤーで、さらに消耗されそうです。

しかもプレイヤー側が60分テープ推奨のところを、
うっかり90分テープに音を入れてしまった…
録音可能時間が長ければ長いほど、
テープが薄いので消耗が激しい
ようです。。 

無事に踊り終わるまで、テープが何とか持ってくれますように。

プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

読者登録
LINE読者登録QRコード