ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

初めて

『歌舞伎に行こう!手とり足とり、初めから』(船曳建夫)感想〜気楽かつ深い一冊

ただ歌舞伎のハードルを下げるだけでなく、
「つまらない」と思ってしまった人への言葉、
観劇中の退屈をしのぐ方法、
果ては「伝統」とはどういうものなのか、というところまで、

とことん「歌舞伎初心者」の心情に
寄り添ってくださった一冊
です。 

東京大学名誉教授・文化人類学者の
船曳建夫先生によるこの本、

歌舞伎に行こう! 手とり足とり、初めから [ 船曳建夫 ]

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『歌舞伎に行こう! 手とり足とり、初めから(船曳建夫、海竜社、2017年) 

前半はとにかく、本当に初心者を安心させてくれる内容。

後半の「伝統とは」というあたりは
「なんで歌舞伎とか残す必要があるの?」という方にも、
そういう質問をぶつけられてうまく答えられなかった方にも、
ぜひ読んでいただきたいです…!




1.きっかけから観劇終了までフォロー!


この本がすごいのは、

「歌舞伎を見に行くきっかけ」から
チケットの選び方・買い方、
当日着て行く服や食べるもの、
前日までに必要な準備、
幕間の過ごし方、
観劇中の退屈撃退法、
観劇終了後の感想の持ちようまで、

本当に一つの公演を見に行く最初から最後まで
丁寧に追ってあるところです。

そしてこれらの情報の前に、
歌舞伎の歴史解説、みたいな堅苦しいお話が
一切入っていない
ところ。

伝統芸能が「敷居が高い」と言われてしまうのは、
「伝統芸能」という構えさせるような言葉が良くないのでは、と私は思っていて、

この本ではその「伝統」の部分を
最初ではなく最後に持ってきているので、

入り口で跳ね返されないですむところが
とてもありがたいです。


2.歌舞伎で退屈した人にもやさしい


「退屈してしまった人」にも
目を向けてくれる入門書って、
そんなに多くない
のではないでしょうか。

どうして退屈だと思ってしまったのか、
退屈なときにどうやって時間をやり過ごせばいいのか、
というところにも踏み込んであって、

それが先日ブログに書いたことにも通じることだったので、
ちょっと引用させていただきます。

「まず、なめてかかること。
古典芸能、なんて思って尊敬したりはしないこと。
「へー、こんなことするんだ」とぼんやり見る。
懸命に集中して分かろうなどとしない。」
(p.122 )

これ、まさしく先日書いた、
あのとき歌舞伎にはまらなかった理由。」だと思うのです。

初めての歌舞伎で、私は
ものすごく身構えてかかってしまって、
どの瞬間も理解しようと必死だったために
歌舞伎を純粋に楽しむことができなかった。

退屈とまでは行かないまでも、
今ほど「おもしろい」とは思えなかった。

先にこの本を読んでいたら!と思います。笑


3.伝統が守られるべき理由に納得


「どうして伝統を守らなければならないのか?」
という問いに対して、
「伝統芸能」を好きになったにもかかわらず
うまく答えることができずに、
ずっともどかしい思いをしておりました。

それを書いてくださったのが
とても嬉しかったです。

今の文化の礎であること、
この伝統芸能を含めて「芸能の生態系」が成り立っていること。
現代の文化の根底にある「伝統芸能」に
今現在でも触れられること。

だから残さなきゃいけないのだ、と。

このあたり、ちょっと抽象的で
ちゃんと理解できているか不安なのですが、

私なりの解釈と、考えたことはこんな感じ↓

---

伝統芸能は、意識的にも無意識的にも
現代の芸術・文化に影響を与えているわけです。

(この本に挙げられているのは映画やマンガですが、
文学やデザイン、音楽などの発展にも
大きく寄与していると私は思います。)

何百年も続く芸能から、新しい流行や文化まで、
全部引っくるめてお互いに影響し合いながら
「日本の文化」という総体ができあがっている
のだ、
というのが、この本で言われている
「芸能の生態系」 ということだと解釈しています。

では、この生態系の根幹にある「伝統芸能」が
もしなくなってしまったらどうなるか。

それをもとに育ってきた新しい「日本の文化」は、
もとを辿れなくなり、地盤が頼りなくなり、

発展や創造の選択肢も減り、
文化全体が縮小してしまうのではないかというのが、
この本を読んで自分なりにまとめてみた答えです。

(古典という、あらゆる文化の「源流、本物」に
今でも触れられることの重要性については、
p.218で触れられています。) 

というわけで、
現代の日本文化全体のために、
たとえどんなに斜陽であっても、
伝統芸能を絶やしてはならないのだ、というのが
最終的に行き着いた結論です。

---

…全然違ったら本当に申し訳ない。笑

何にせよ、「伝統って何で必要なの?」の問いに対して
自分なりの方向性を見つけられたことにおいて、
この本に心から感謝です。


4.まとめ〜このブログの存続意義


この本、鬼に金棒だと思うのです。

もともと歌舞伎について
相当なご経験と知識をお持ちでありながら、

こんなに初心者の気持ちに寄り添える。

どちらの軸もあるのは最強です。

そのため、読み終わったときは

「このブログ、いらないんじゃない…?」

という気持ちになりました。笑

よく考えると、そう思うことすらおこがましいです。笑


初心者が「分からない」「でも好き」を発信しているだけなので、
そこに知識や経験の裏付けはないわけですよ。

まぁでも、

情報を更新していけるところがネットの強みであり、

蓄積していけるところがブログの強みであり、

本当にものを知らないところが初心者の強みであるので。笑

一年前の、今よりもっとものを知らない自分が
「えぇっこんなに分かってないのに観に行くの?!」
と呆れつつもちょっと安心して、時々頼りにくるような、
そんなブログを作っていければと思います。
 

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あのとき歌舞伎にはまらなかった理由。


こんばんは、わこです。
最近歌舞伎関連の記事が増えていますが、
 
今日は私が
歌舞伎にはまらなかったときの話
をしようと思います。

***

以前このブログで、初めての歌舞伎の話をしましたが、

(以下の記事参照↓

実はこれは3回目の歌舞伎で、
初めて「自分で調べて」「自分一人で」観に行ったときの話です。

つまり、能動的に観に行った最初の歌舞伎体験ですね。

では最初の2回はどうだったかというと、
実はそれほどはまらなかったんです。

面白くなかったわけではなく、
それなりに楽しみはしたのですが、
「また行こう!」「来月も行こう!」とはならなかった。

それはなぜだったのでしょうか。

***

私がはまらなかった2回はこんな感じ↓

①大学の研修で鑑賞。
予習の講義もばっちりで、解説付きの上演。
観劇の後はレポート提出あり。

大学の友人たちと誘い合って観に行った。演目を失念。

もう②は演目忘れてる時点でだめですね笑


それぞれ思い出してみると、どちらにも共通しているのは
「分かろうとしすぎた」ことだった気がします。

レポート提出があるから。
日本文学を専攻する友達と一緒だから。

観ながら何とか理解してやるぞ!という
気負いがあったんですね。

それに加えて、②は条件もよくなかった気がします。
会場内が、不用意に笑いすぎた。

本来なら不気味さを表すはずのカラスの鳴き声や、
悲しさを表すはずの赤子の泣く声に、
場内から笑い声が起きていたのです。

もしかすると笑っていい場面だったのかもしれないのですが、
私は素直に「何だか不吉」「どうやら悲しい」と思って観ていただけに
笑い声で一気に冷めてしまったというか、
入り込めなかった部分はあります。

ただまぁ、これは仕方がないですね。
捉え方はそれぞれですもんね。

いずれにせよ、歌舞伎の空気そのものを楽しむよりも、

話の筋を理解しなくては!
良さを見つけなくては!

頭でっかちになっていたような気がします。

何ですかね、 

学生なのに歌舞伎を観に来ているインテリな自分✨ 

という像を作り上げすぎたのかな。笑

***

一方で、以前記事にした『霊験亀山鉾』はどうだったかというと、

あれはとにかく「仁左衛門さんの当たり役を観ておきたい!」だった。

筋を理解するよりも何よりも、
とにかく見て、聞いて、感じるために行ったのです。

だから、逆説的ですが、
筋書はあらかじめ熟読しました。
観劇中、理解するのでいっぱいいっぱいにならないように、
ただひたすら舞台に集中できるように、
準備して臨んだのです。

そして、見事にやられた。

冷徹に笑いながらあっけなく人を斬り、
刀を拭う立ち姿の凄みに、
ガーンと衝撃を受けた。

今はそういう瞬間に出会うのが嬉しくて、
歌舞伎を観にいっているのかな、と。

***

というわけで、

歌舞伎に興味を持ったなら、
無理に観ながら理解しようとしない方がいいかもしれない。

予習をした方がいい、筋書があるといい、と
このブログで何度も書いているのは、
とにかく芝居の空気だけに集中できるようにするためなんです。

観劇しながら理解しようとすると、
少なくとも私は、純粋に芝居そのものを楽しめなくなってしまいます。

あらかじめざっくり分かっておいて、
あとは舞台の空気を楽しむ。

これが今のところ、ベストな楽しみ方です。

***

以上、歌舞伎にはまらなかったときの話でした。
結局はあの名言に落ち着きますね。

考えるな、感じろ。

何だか言葉を尽くして説明した甲斐が
なかった気がしてきましたよ… 
 

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?

第一弾に引き続き!
踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう
初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を提案する企画です。

今回は、自分の数少ない経験から
「これなら初めて見る日本舞踊でも絶対楽しめる!」
という曲を厳選してみました!

鉄板の踊りから「こんなのもあるんだ」というものまで、
私自身が楽しく観られたものを挙げています。

(★第一弾はこちら⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ





*藤娘〜これぞ日本舞踊な一曲〜


「日本舞踊は知らないけれど、これなら知っている」
という方も多いのではないのでしょうか?

舞台いっぱいに広がる藤の花、
塗り笠をかぶり、藤の枝を肩に担いで出てくる美しい娘…

日本舞踊の美を詰め込んだ演目だと思います。

有名どころ、定番の曲なので、
「日本舞踊を見た!」という満足感の得られる一曲。

個人的には、途中の「藤音頭」という曲の出だしで
とことこ駆けてきて会場全体のお客様にご挨拶する可愛らしさ、
そして後半の「松を植よなら〜」の手踊りで
調子の良い音楽になり、踊りも速まるところが大好きです。


*三社祭〜日舞ってこんなに激しいの?!〜


日本舞踊の公演プログラムを見て、
若手男性舞踊家お二人で「三社祭」となったら
これはもうすばらしくわくわくしてしまいます。

ゆっくりな踊りと思われがちな日本舞踊ですが、
「三社祭」は飛んだり跳ねたりの連続

浅草寺の縁起を語るという設定のこの踊り、
二人の漁師の踊りから始まるのですが、
途中からはそれぞれ「善玉」「悪玉」のお面をつけて
息ぴったりに軽快かつ激しく踊ります
(善玉悪玉については、浮世絵もたくさん残っているようです)

初めて見たときには、そのテンポの良さに驚くとともに、
見ながらどんどん楽しくなってきてしまいました。

踊っている方としては、
お面をつけていて呼吸が不自由な上に
立っては座り、跳び続けなのでしんどいに違いないのですが、
いつか私も己をいじめ抜いて踊ってみたいものです。


*流星〜一人五役の早変わり〜


これはもう、物語がとんでもなく奇抜で面白い

舞台は七夕の夜。

織姫と彦星が一年越しの逢瀬を楽しんでいるところに、
「ご注進!ご注進!!!」と流星がやってきます。
(この時点で設定に度肝を抜かれる。主役はもちろんこの流星です。)

聞けば何やら、空の上の雷夫婦が喧嘩したとのこと。

だんなさんがうっかり端唄の師匠の家に落っこちたことがきっかけで
雷の鳴り方まで端唄風になってしまい、

「その鳴り方が気に食わない」と奥さんが怒り出し、夫婦喧嘩に発展。

この夫婦の子供も仲裁に入り、
ついには近所の雷ばあさんまで登場して喧嘩を止めに入ることに。

この婆雷に思わぬ悲劇が起き、
それがきっかけで二人は仲直りするのですが、

いや、もう物語設定めちゃくちゃでしょう…

でもこのばからしさを、流星が真剣に踊り分けてみせるのが
この踊りの無条件に楽しいところなんです。

そうです。
夫婦と子供、おばあさんを、流星役の一人が演じ分けるのです。
つまり
①流星②雷・夫③雷・妻④子雷⑤婆雷の5役を
一人で代わる代わる演じる
んですね!

ツノ(もしくはお面)を付け替え、
くるりとまわったら役が変わったということ。
役によってツノが違います。

初めての日本舞踊公演で、
もちろん初めて「流星」を見た知人の感想は、

しょーもな。

でした。笑

でも、それは初めてでもちゃんと筋が分かったということ。
そして、ちゃんと楽しめたということだと私は思います。

ハードルが高く思われがちな日本舞踊にとって
これってとても大事なことなのではないでしょうか。


*棒しばり〜何度見ても笑える楽しさ〜


これも会場を笑わせにかかってくる
狂言がもとになった舞踊です。

いつも主人の目を盗んでは、こっそり蔵の酒を飲んでいる
太郎冠者と次郎冠者。

それを知った主人は、彼らを懲らしめようと
自分が出かけるときに二人を縛って出て行きます。

両手を棒にくくりつけられた次郎冠者と、
後ろ手に縛られている太郎冠者。

飲めないとなると一層酒が恋しくなり、
二人はなんとかして酒を飲もうとするのです。

この酒を飲むにいたるまでの、
二人の試行錯誤の様子がめちゃくちゃに面白い

そしてだんだん酔いが深まり、
縛られたままいい気分になって踊り出す二人。
このあたり、軽快な音楽とも相まってなんとも楽しい。

最後はお約束の展開が待っているのですが、
これも初めてでも絶対に筋がわかって楽しめる曲だと思います。

もともとこの踊りは、
六代目尾上菊五郎さんと
七代目坂東三津五郎さんという
踊りの名手たちの手を使えなくしたらどうなるのか
という試みだったようです。お見事。

***

他にもやりたい踊り、大好きな踊りは山ほどあるのですが、
趣旨が変わってしまうためここでは自重します。
また改めて…


*まずは親しみやすい演目から!


言葉を連ねていろいろ語りましたが、
百聞は一見にしかず
私のこんな文章じゃ伝わらないくらい、
いい踊りは興奮するし、盛り上がります。

私がこのシリーズを書こうと思ったのは、
そもそも自分が舞台に立たせていただくときに
友人に気安く声をかけていいものか迷ったから。

日舞をかじっている自分でさえ
なかなか舞踊公演には行かないものを、
日本舞踊に何の関わりもない友人たちに
「気軽においでよ!」と言えるのか。

まずは、気軽に来れるような目印を
何かしら作っておくべきだったんじゃないだろうか
、と。

幸い文化に寛容な友人ばかりなので
「行く行くー!」みたいなノリで来てくれたのですが。笑 


だから、踊りを知らない友人たちに
「意外と日舞ってこんな感じよ!」と伝えるような気持ちで書いています。

まずは親しみやすい演目や音から入って、
そんなに堅苦しくないものなのだ、と知ってほしい。

ゆくゆく日本舞踊が一大エンターテインメントになるとまでは思いませんが、
もう少し「踊りの舞台を楽しむ」という時間が
日常的になってもいい
のかもしれないな、とは思います。

以上、長々と書いてしまいましたが、
また新たな楽しみ方を見つけたら長々と書く予定ですので
そこのところ、何卒よろしくお願いします!笑
 

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ

先日、とある舞踊公演に行ったのですが、
あまりにも観客が少なくて哀しくなりました。。

…と嘆き節で始めてみたものの、かくいう私も
初めて日本舞踊の大きな舞台を観に行ったときには

「…うん!楽しかった!」と言いつつ
イマイチよく分からなかった、というのが正直なところ。

舞踊公演にもなかなか足が向きませんでした。

それはもちろん演目を知らなかった、ということもあるけれど、
楽しみ方を知らなかったのも大きいのではないかと。

恥ずかしながら、今でも知らない演目の方が多いのですが、
最近になって だんだん舞踊公演も
楽しく観られるようになってきました。

そこで!

今回は踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう
初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を考えてみました!

第一回は、舞台から聞こえる音の面白さに
注目してみたいと思います!




1.華やかな生演奏!


多くの日本舞踊の公演は、舞台の上に
長唄・清元・常磐津などの演奏家の方々が並び、
生演奏で行われます。豪華!

つまり、踊りだけでなく演奏風景も見られる!
そして生音が聴ける!!!

三味線や声の厚み・迫力に加え、
打楽器の音はやっぱりテンションが上がります
(※打楽器好き)

かん、と張りのある鼓の音や
小気味好い太鼓の音、
わくわくするようなちゃんちきや笛の音、、

無条件に楽しい気持ちになってしまうのは
一体何の遺伝子なのでしょうか。


また、西洋音楽ばかりに親しんでいた自分にとって

「ハーモニーも何もなく全員同じ音を出しているのに
どうしてこんなに違和感なく聞けちゃうんだろう?」


「鼓や太鼓はいったい
どうやってタイミングを感じているんだろう」


と、純粋に音楽面での興味も尽きません。

普段なかなか耳にすることがない、邦楽の生演奏。
日舞の舞台では、ぜひ音楽も楽しんでみてください!

邦楽やってみたいなぁ…


2.踊りの小道具の楽しい音


ちょっとこれは私が音フェチなのもあるのですが。笑

音が楽しめる小道具、たくさんあるんですよ! 

私がこれまで出会った
小道具いい音ランキングはこんな感じです。 
 

★第3位★鈴

三番叟で使われる、よく巫女さんが持っているような
棒の先に三段くらいの鈴がついているもの。 

音楽がどんどん速くなり、それに合わせて
この鈴を鳴らしながら軽快に踊るのです。

鈴の華やかな音がもたらす昂揚たるや!

観ている方もついうきうきしてきてしまうのですが、
「小道具」感が少なくもはや楽器レベルだったため
あえなく3位にとどまりました。。 
 

★第2位★綾竹(あやだけ)

紅白の布を巻き付けた長い棒で、
両端に赤い房や鈴をつけてあるもの。

ぶんぶん回したり、
床を打って調子をとったりしながら踊るのですが、

鈴のしゃんしゃん音がかわいい!!

私が観たのは「子守」という演目。
 
子守を任された幼い女の子が、
赤ん坊を寝かせている間に一人踊るのですが、

この音が、子供(役)の可愛らしさを
一層引き立てていると思います。 


★第1位★鈴太鼓(振り鼓)

平たい小さな太鼓で(紅茶の缶によく似てる)、
中に鈴が入っているもの。

これを両手に持って、鈴太鼓同士を打ち合わせたり、
床を打ったりしながら踊ります。

(「春興鏡獅子」や「京鹿子娘道成寺」に登場します。)

鈴太鼓の魅力は、打ち方で音が変わること。

鈴太鼓同士で打てば、中が空洞なので軽い音がする。

床を叩くと、木のこつこつとした音がなんとなく奥ゆかしい。

鈴太鼓単体で振ると、鈴よりも軽い
からからと楽しい音が鳴ります。

音の心地よさバリエーションの豊かさ
僅差ではありますが第1位としました。 

***

気づけば鈴ばっかりになってしまった…

3位以内には入れませんでしたが、
四つ竹も好きですよ!

竹を縦半分に割った道具で、
手のひらサイズくらいのもの。
 
両手に一対ずつ持ち、割った竹の背同士を
チャンチャカチャンと打ち合わせて踊ります。

小さい会場で踊っているところしか観ていないのですが、
高くて軽い音は粋な感じがして良いです!


3.踏む音は意外と大きい?!


初めて日舞を観たという友人が
一番驚いていたのがこれ。

「あんなに大きな音出していいんだね!」
びっくり顔でした。

そうなんです、
意外と大きな音で踏むんです。

特に大きな舞台での公演は、
舞台の床の上にもう一枚板を敷いていて(=「所作舞台」といいます)
これがよく響くのです。

ただ下駄でカラコロと出てくるだけでも
心躍るような音がします。

踊りの中には「踏む」というのがよく出てきます。

始めたばかりの頃は「踏むとは…?」という感じで
おっかなびっくり踏んでいたのですが、
初めて舞台を観にいったときに
かなりの音量で踏んでいるのに衝撃を受けました。

その音が、迫力や調子の良さを出したりもするのです。

私が観た中で、この「踏む」良さが一番楽しめたのは
「供奴(ともやっこ)」という演目。

この踊りの後半には、「足拍子」といって
リズミカルに左右の足を踏み鳴らす見せ場があります。

ただ全部をドカドカ踏むのではなくて、
強弱をつけてトトンコトントンと調子よく踏みます。

観ながら思わず一緒にリズムをとってしまうくらい楽しいですよ!
(やっている方は散々踊った後に足拍子なので相当きついと思いますが…)


4.まとめ〜日本舞踊は耳も楽しい!


本来ならば演目の魅力を語るべきところですが、
それはまた追い追いお届けするとして。笑

まずは初めての日本舞踊公演で
一曲目から楽しめるように
と、
自分も大好きな日本舞踊の「音」に着目してみました。

日舞は堅苦しく、眠くなるものと思われがちですが、
全然そんなことないのです。

記念すべき日舞との出会いを、ぜひ耳でも楽しんでみてくださいね!
 


記事執筆にあたり、
『日本舞踊ハンドブック改訂版』(藤田洋、三省堂、2001年)
参考にさせていただきました。

日本舞踊ハンドブック改訂版 [ 藤田洋 ]

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歌舞伎座は初めてでも行きやすい?自分にできることを考える

今度、歌舞伎を初めて観るという友人と
歌舞伎座の幕見に行く約束をしています。

巷では「初めてでも行きやすい」とされている幕見席

しかしそれでも、友人にとって
やっぱり歌舞伎座のハードルは高いようです。

最初の一歩を踏み出しにくい原因はどこにあるのか、
そしてその背中をどうしたら押せるのか。

一緒に歌舞伎に行く仲間を増やしたい一心で、
今日は歌舞伎座に行きにくい原因と
自分に何ができるのかを考えてみました。





*歌舞伎座の壁①出演者の名前がわからない


・チラシに下のお名前しか書いてない


これは、初めて歌舞伎座に行ったとき
正直私も不安でした。

下のお名前だけで書かないでおくれ、と。

同名の方がいる場合のみ
小さく苗字が書いてありますが、
そのほかはお名前のみ。

確かに歌舞伎役者の苗字の種類は相当限られているので、
全て書いていたらポスターの狭いスペースが
かなりうるさくなるかとも思うのですが、

心配性の私は「これって私も知ってるあの人?」というのが
とても不安でした。

下の名前だけである程度分かるようになるのは、
何度か歌舞伎を観てみてから
だと思います。

新聞のラテ欄やテレビ番組などで
目や耳に馴染んでいるのは、だいたいフルネームではないでしょうか。

フルネームならば分かるのに、
お名前だけを視覚情報として出されるだけでは
フルネームと結びつかず、

せっかく「ああ、あの人!」と親近感を持てるチャンスを
逃してしまうのではないかと思います。


・襲名してお名前が変わっている


もともとは知っているお名前だったにも関わらず、

知らぬ間にお名前が変わっている

もともと歌舞伎方面にアンテナを張っている方なら
どなたがどのお名前になったのか
変化に敏感でいられると思うのですが、

「歌舞伎は初めて」という方はそこまで
情報を追っていない
と思うのです。

そのため

「あれ?この人この前まで違う名前じゃなかった?」

とか、
さらに言えば 襲名後のお名前が載っていても
その役者さんだと気付けない可能性があるわけです。

なんともったいないことでしょう。。


*歌舞伎座の壁②あらすじがなかなか出ない


友人と約束をしたのは先月のこと。

しかし、その時点で歌舞伎座の
公式サイトに載っている情報は、
演目と配役、チケット詳細のみでした。

ちなみに国立劇場のサイトを見てみますと、

現時点ですでに12月の通し狂言のあらすじが
確認できるようになっています。

せっかく興味を持っても、あらすじがわからないと
なかなか一歩を踏み出しにくい


「行っても理解できないのではないか?」
「わからないと眠くなってしまいそう…」

という不安が生まれる要因にもなるのではないかと。。

新規の歌舞伎好きを増やすためにも、
もう少し早めにあらすじがわかるように
ならないものでしょうか…


*「幕見席」は初心者にやさしい?


ここまで歌舞伎座に行きにくい理由を見てきました。
次に、「初心者でも行きやすい」とされる幕見席について考えます。

幕見席の特徴は

「早い、安い、うまい」

だと思っています。

①早い

まず、幕見でなく普通に通しのチケットを買った場合、
公演時間が長い

今月の歌舞伎座「芸術祭十月大歌舞伎」は、
午前・午後それぞれ4時間ほどあります。

いきなり全部観るのは、ちょっとしんどいような気も。。

ちょっと歌舞伎の雰囲気を感じるくらいなら、
それぞれ1時間前後で観終わる幕見が
ちょうどいいのではないでしょうか。

②安い

一幕あたり1000円〜2000円前後という
気軽な値段で観ることができるのがありがたい。

カラオケに行ったり、カフェに行ったりするのと
あまり変わらない値段
で楽しむことができます。

自分は慎重派なので、初めてのものには
あまり思い切ってお金を使いたくないのですが、
2000円くらいまでなら許容範囲です。笑

ちなみに、今月の最安値は
夜の部一幕目「宮島のだんまり」の500円ですね。
衝撃のワンコイン観劇。

③うまい

長時間拘束されずにパッと気軽に観られる、
いつもお財布に入っていそうな金額で観られる、
かつうまい

なんたってこの価格、この時間内で
芸に懸けている方たちの舞台を生で拝見できる
わけです。

人間国宝の方だって、かなりの頻度でご出演。
テレビでよく見かける役者さんも
たくさんいらっしゃいます。

「歌舞伎を観てみたい」という気持ちが
十分に満たされるのはもちろんのこと、
ちょっとしたミーハー心だって満たされるに違いありません。

***

そんなわけで なんとなく行きやすそうに見える幕見席ですが、
まだ最初にあげた不安要素は
何も解決できていないのが現状。

どうすれば行きやすくなるのでしょうか。
先ほどの「行きにくい理由」と、
自分自身の後込みとを振り返りつつ、
今の自分に何ができるのかを考えてみました。


*歌舞伎座デビューの背中を押すためにできること


知っている演目が少なく、
大変失礼ながら役者さんにも詳しくない私。

歌舞伎の感想を語るのが難しい、という話は
先日このブログ内でしたばかりです。

それならばいっそのこと、

この無知っぷりをさらけ出してみてはどうだろう?

というところに思い至りました。

こんなによくわかっていなくても
歌舞伎座に行って楽しんでいいんだよ!
というのを伝えたい。

人は、自分よりも劣った人間を見ると安心するものです。

まだ企画段階ではありますが、このブログ内で
「物知らずが行く歌舞伎座」シリーズでも始めてみようかな、と。

その記事内で、
知っている限りのあらすじ役者さんのこと
自分で調べたことなどをご紹介できれば、と思っています。


*まとめ


なんだかちりぢりな記事になってしまいましたが;;

要は、何とかして仲間を増やしたいだけなんです。

「歌舞伎、興味あるけど…」
というセリフを何度聞いたことか。

この「けど…」をなくしたい。
興味があるなら一緒に行こう!と言いたい。

大丈夫、こんなにわかっていなくても
毎回存分に楽しめているから、と。

幕見席の存在だけでは、
なかなか「初心者でも行きやすい」とは言いにくい歌舞伎座。

それでも幕見席は、「歌舞伎座の壁」を越えるための
かなり上りやすい一段目
だと思うのです。

ほんとは歌舞伎座の壁なんてないんですけどね。
行ってみてしまえば何てことない楽しい場所なのですが、
あまりにもみんな「敷居が高い」と口を揃えるから…


その「幕見席」に踏み出すための
ちょっとした足台みたいな存在になれれば、と思っています。

さぁ、企画倒れにならないように
公言しちゃいましたよ!

気合いを入れて更新がんばります!
 
プロフィール

わこ

◆東京都在住╱地味目のOL (平成生まれ)。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

Twitter プロフィール