ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

初心者

着物初心者の防寒スタイル。


10月11月あたりって、一番着物にちょうどいい季節な気がします。
暑すぎず、寒すぎず。美術展やらパーティーやら、着物で出かけられそうなイベントもそこそこ多く。

先日ハロウィンパーティーがあり、思い立ってこんなものを作ってみてしまいました。

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ジャックオランタンの帯留め。絶妙な下手さが自慢です。笑
着物もさりげなくハロウィンカラー🎃

ちなみに帯留めパーツは「貴和製作所」で購入。
あとは100均のフェルトを黙々と切っては縫い付け、接着剤で止めて作りました。
こういう遊び心を取り入れられるのは、着物の楽しみの一つです。

***

さて、現時点では大変に着物が着やすい気候でありますが、そろそろ防寒のことを考え出す時期かなぁというわけで。
去年の冬にちょこちょこ着物で出掛けてみて、過ごしやすい防寒スタイルが自分の中で少しずつ固まってきたので、まとめます。

あくまで首都圏暮らしの2018年冬の情報ですので、気候によっては必ずしも適さないと思いますが、ご参考になれば幸いです(^^)


【足元】

*ブーツ


お友達と遊びに行くとき、趣味でぶらりと出かけるときなど、カジュアルな着方でもいいときは断トツでブーツがおすすめです。
 
着物にブーツ、ありですよ!特に鮮やかな小紋だと、大正ロマン風で素敵です。
以前着物にブーツでカフェに入り、マスターに褒められたのは割と自信につながっています。笑

無難な黒や茶のショートブーツが合わせやすいかなぁと思いますが、私はおしゃれが苦手なので、あとは個々人のファッションセンスに委ねる感じで…。笑
あと、編み上げのブーツもかわいいです。持っていないので、他人の着姿を見ては癒されています。 

*重ね履き


ブーツが履けない、草履でなければならないようなちょっとかしこまった場は、いつもよりワンサイズ大きい足袋を用意して、中に仕込んでいます。

薄手の五本指ソックスなり、足袋ソックスなり。
草履が履けるような形のものを、足袋の下に履きます。
 
足袋同士の重ね履きもやっていましたが、作りがしっかりしているせいか、私は親指と人差し指の間が痛くなることが多かったのでやめました。

カジュアルな場であれば、草履に足袋ソックスを合わせるのもよくやります。
足袋ソックスは柔らかいので、足袋よりも快適に重ね履きできます

*レギンス


私はステテコと裾よけをどちらも履いていることが多いので、レギンスなしでも割と何とかなるのですが、そうでない場合は裾よけの下にレギンスを履いておくと、太ももからふくらはぎあたりの冷えが少し和らぐかと思います。

タイツでもいいのですが、私は締め付け感と静電気のまとわりつきが気になってやめました。
あと、階段なんかでタイツの黒が裾からちらっと見えてしまうのも哀しい。。
それを逆手にとって、あえて攻めた色のタイツを履いて見せるのもおしゃれの仕様なのかな、とも思いますが、それは上級者向けな気がしております。笑
 
レギンスは、丈を調整すれば、階段などでも裾からはみ出ません。


【体】

*機能性インナー+補整



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発熱してくれるインナー、今は各社出していますね!
五分袖から七分袖くらいなら袖口から見えず、かつ温かいので良いと思います。

衣紋を抜くので、襟ぐり深めだと尚良し

私はこの上に、直接補整用のタオルを巻いています。(⇒この記事
この補整、夏は暑くて天敵ですが、冬場はいい感じに腹巻き代わりになってくれます!ほこほこ暖かいです。


【防寒具】


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*スヌード


ずっと大判のマフラーやショールを肩から掛けていたのですが、巻き方が下手なのか、腕の動きが制限されるし落ちてきてしまう…ので、スヌード派になりました。

ピンなどで止めたら、ショールやマフラーも上手いこと収まるんですかね…?

とりあえずスヌードは楽です。
頭からかぶるので、実際の首回りより大きめに作られているスヌード。
洋服の時は首もとが空いてしまって寒いのですが、着物は衣紋を抜くので丁度良いです。

*手袋・アームウォーマー


なるべく丈が長めのものがおすすめです!!

というのも、着物は袖口から風が入ります。
手元から冷えてくるのです。

ここをガードするかしないかで、大きく体感温度が変わると思います!!

*コート


ポンチョ型のものがあると、着物でも洋服でも着られて便利です。

着物用の袖のついたコートも売られているのですが、そんなに着る頻度が高くない、手軽に着たいという場合はわざわざ買うのも…と思うので、洋服にも合わせられると気楽ですよね。

と言いつつ、羽織があれば意外としのげたりもします
少なくとも2018年の東京はしのげました。今年はどうでしょう。笑

***

以上、何となく固まってきた私の防寒対策でした。
試していないので書いていませんが、冬用のもこもこの草履も見かけたことがあります。あたたかそうでいいなぁと思ったり。。

いろいろと防寒グッズがあると思うので、少しずつ試しながら自分に合う方法を見つけていけたらいいですね!
暑さ寒さは、特に着慣れないうちはどうしても着物のハードルを上げてしまうのですが、身近にあるもので工夫しながら、着物への距離を縮めていきたいと思います。


物知らずが行く歌舞伎#14〜芸術祭十月大歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年半の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この1年半でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


今月こそは!と頑張ってパソコンに向かっておりました…が、まさかの記事を上げ忘れました、わこです。

ここ数か月、ずっと公式に先を越されていた現状を深く反省し、もともとこのシリーズを作る一つの目的であった「情報が遅い公式より前に、チケットを買う段階での知識をさらす」というところへ原点回帰…するはずだったのに…。

でもアクセスを見ると、興行が始まってからの方が見ていただけているんですよね。。
いやいや、でも元の目的を見失ってはいけない。頑張ります…!

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■歌舞伎座 芸術祭十月大歌舞伎の演目は?


10月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.廓三番叟(くるわさんばそう)
二.御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)
 加賀国安宅の関の場
三.蜘蛛絲梓弦(くものいとあずさのゆみはり)
四.江戸育お祭佐七(えどそだちおまつりさしち)
 浄瑠璃「道行旅路の花聟」

【夜の部】
 通し狂言
一.三人吉三巴白浪(さんにんきちさともえのしらなみ)
二.二人静(ふたりしずか)


「御摂」を「ごひいき」とは読めぬ…!
「梓弦」で「あずさのゆみはり」も厳しいですね!

歌舞伎はこういうことしてくるので「難しいんでは…」と思ってしまうのですよ(^^;
まぁでも、前回も書きましたが演目の名前はそんなに関係ないので!
純粋にお芝居そのものを楽しみにいきましょう!


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】


今月はですね…一つもないのですよ…
強いて言うなら「蜘蛛絲梓弦」は、名前だけ見たことがあるかなぁくらいですね…

【夜の部】

「三人吉三」は、一番有名な場面だけ、割と最近歌舞伎座で観ましたよ!
ちょうど一年前、去年の10月ですね。この記事にうっすらと感想を書いております。 

あとは残念ながら…今月は本当に知らないものばかり…。

*現時点で知っていることは?


◇三人吉三


同じ「吉三」という名を持つお嬢吉三、お坊吉三、和尚吉三という三人の盗人が出逢い、義兄弟の契りを交わす、というところが有名かと思います。
去年の芸術祭でも上演された場面、 「大川端庚申塚の場」です。通しでやると、ここは発端も発端だったんですね。
このあとどう筋が絡んでいくんでしょう。

河竹黙阿弥特有の、七五調の名台詞が聞きどころです。
あとは、大川端の場に関しては形の美しさを楽しむものと感じています。
 
私はお坊吉三と和尚吉三がいつもごちゃごちゃになります…が、「お坊」はお坊さんのことではなく、お坊っちゃんのことです。(これが混乱するの、私だけですか…)


■観てみたい演目は?


今月譲れないのは「お祭佐七」ですね!
配役をご覧ください、尾上菊五郎さんです。
すでに何度も主張しておりますが(私なんぞが主張するまでもないことですが)、江戸ッ子をやらせたら菊五郎さんほどかっこいい人はいない!!
そしてその横に中村時蔵さんが並ぶという布陣は完璧だと思っております。笑

そしてこの演目、途中に劇中劇が挟まるようなのですが、そこに寺嶋眞秀くん坂東亀三郎くんという子役お二人が配されています。
亀三郎くん、初の女方だそうです。「め組の喧嘩」(この記事)でかわいいながらもいっぱしの江戸ッ子を演じた亀三郎くん、どんな女方になるのか楽しみです✨
同じ劇中劇に出る市村橘太郎さんも大好きな役者さんです。「暗闇の丑松」(この記事)での湯屋番頭がたまらなかった。

他にも好きな役者さんが揃った昼夜ではあるのですが、10月は坂東巳之助さんが踊りますね!
昼の部最初の「廓三番叟」です。
巳之助さんの踊りは個人的にとても楽しみですし、今後も追い続けると思います。

夜の部の「二人静」、どんな演目か皆目見当がついておりませんが、女方の世界的(!)トップ・坂東玉三郎さんと、若手注目の女方・中村児太郎さんなので、きっと美しいだろうな。
坂東彦三郎さんがどのように絡んでくるのかも気になります。

「三人吉三」も、通しだとどんな話の展開になるのか気になるところです。 


■どのチケットを買う?


10月も幕見観劇になると思いますが、どうでしょう、ずるずると全部観てしまいそうだなぁ…。
どの演目も要所要所に好きな役者さんが配役されているんですよね。
そうなるとつい追ってしまいますよね。。


■まとめ


このブログに最初にしっかりお芝居の感想を書いたのは、去年の芸術祭だったのではないかしら。
9月の秀山祭もちょこちょこと書きましたが、しっかり観に行って丁寧に書いたのはこの記事が最初。奇しくも「三人吉三」でした。

一年でここまではまるものなんですねぇ。。感慨深い。

今でも全然知識はありませんが、一年前を思うと観劇へのハードルの下がりようがすごいです。
「昼夜どっちも行っちゃった!」と思っていた一年前。今ではそんなの当たり前の話ですから。笑 

そうやって歌舞伎好きになってきたものの、やっぱり知らない演目ばかりな10月。
歌舞伎は奥が深いですね(≒沼が深いですね)。 

10月も楽しみです。

物知らずが行く歌舞伎#13〜秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年半の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この1年半でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


あぁもうだめだ、私はこのコーナー存続の意義を考えるべきときにあるのかもしれない。。
始まっちゃってますよ!秀山祭!!

もともとチケットを買う前に、歌舞伎に親しみがない方の背中を押すことができればと思って始めた企画だったのに。
始まっちゃってますよ!秀山祭!!(2回目)


気を取り直して。続けることに意味があると信じて。自己満足には目をつぶって。

9月です。秀山祭の季節です。
「秀山祭」とはなんぞや、というところについては、最後に改めて触れますね。

さて、今回は楽しみな演目、配役が揃いました!!

個人的にとても好きな吉右衛門さん、歌六さんに加え、歌昇さんのご子息・綜真くんの初お目見えがあり、梅玉さんと魁春さんに梅枝さんの加わる踊りがあり、仁左衛門さんの弁慶があり…

初めて歌舞伎を観る方でも、「歌舞伎を観たぞー!」という満足感が得られるに違いないボリューム
ではないかと思っています。 

全演目の見どころなどは、すでに公式サイトに掲載されていますのでそちらをご参照いただき、
「歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人」秀山祭九月大歌舞伎の情報はこちら)(当方三度にわたり完全なる出遅れ)
ここでは「歌舞伎初心者、こんな感じの予備知識で観に行きますよ!」というのを晒します!

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■歌舞伎座 秀山祭九月大歌舞伎の演目は?


九月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.極付幡随長兵衛(きわめつきばんずいちょうべえ)
 「公平法問諍」
二.お祭り(おまつり)
三世中村歌六 百回忌追善狂言
伊賀越道中双六(いがごえどうちゅうすごろく)

三.沼津(ぬまづ)
【夜の部】
菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)
一.寺子屋(てらこや)
二.歌舞伎十八番の内 勧進帳(かんじんちょう)
三世中村歌六 百回忌追善狂言
三.秀山十種の内 松浦の太鼓(まつうらのたいこ)



演目の名前としては、歌舞伎によくある「そんなの読めるわけなかろう」というのは今回はありませんね。

ただ「極付幡随長兵衛」「伊賀越道中双六」と漢字が並ぶと、それだけでちょっと難しく見えてしまうので悲しいところ…。

文字面がアレでも、観に行ってしまえば問題なく伝わるはずなので、どうかこの漢字の壁に跳ね返されないでほしい!
正直、題名はそんなに意識せずとも楽しめます


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】

「お祭り」は、これは私の知っているもので合っているのでしょうか…。
それだとしたら、この記事でも触れた踊りです。
ちょこちょこ舞踊会でかかりますが、観るたびに演出が違うような…?
 
「沼津」は、全く記憶がありませんが観ているはずなんですよね、国立劇場で『伊賀越道中双六』の通し、観ているはず…。

と思って調べたら、このときは「沼津」は割愛したようでした。笑 良かったーあっけなく忘れちゃったのかと思いました。


あとは演目としては知らないのです。。

【夜の部】

「寺子屋」は、歌舞伎でも文楽でも観ているはずです。
三大浄瑠璃の一つである『菅原伝授手習鑑』の中でも、一番有名な場面だと思います。

「勧進帳」もよく上演されますね…と言って実はまだ生では一度も観ていないのですが。笑
流れは何となく分かります。

あとは初めましての演目でした。


*現時点で知っていることは?


◇極付幡随長兵衛


すみません、演目としては全く知らないのですが、
幡随長兵衛ってあの「鈴ヶ森」(この記事)の…?

というだけです。
よくこれだけで「知っていること」にしたな、というレベルの薄さですが、本当にちょっとでも耳馴染みがあるだけで、初心者は安心感が全然違うんですよ!笑

◇お祭り

先述の通り、私の知っている演目か甚だ自信がないのですが…

今まで観ているのは、鳶の者を中心として、周りが絡んで華やかに、粋に踊るもの
(主役が芸者のものもあります。そうすると絡みも変わるので、何度か観ているはずですが正しい形が分からない…

楽しい踊りであることには違いないかと!
大向うとの掛け合いもある、はず。笑

◇寺子屋

「忠義のために我が子の命を犠牲にする」という、浄瑠璃に非常によく見られるお話の流れです。

ものすごくざっくり書きますと、

舞台は藤原時平(しへい)vs菅丞相(かんしょうじょう)という時代にあります。
時平側は菅丞相の息子・菅秀才(かんしゅうさい)の命を狙っており、これを避けるために菅秀才は田舎の寺子屋に匿われています。(※この辺りの設定は、特に芝居の中では触れられないはず。)

しかし実はこの居場所がすでにバレており、寺子屋を営む武部源蔵(たけべげんぞう)夫婦は、菅秀才の首を差し出すように命令されているのです。

何としても菅秀才の命は守らねばならない源蔵。

折しも今日、この寺子屋に新たに入門してきた男の子がいました。
ちょっとこの辺りでは見ないような、品のある顔立ちをしています。

そうです。
「菅秀才」と偽ってもおかしくないような雰囲気をたたえているわけです。
 
源蔵夫婦、苦渋の決断でこの子を身代わりにして、首を差し出すのです。

首実検にやってきたのは、時平に仕える松王丸。
差し出された首を見て(この「首実検」が見せ場!!)、子細ありげな様子を見せながらも「相違ない」と、この首が菅秀才の首であることを認めます。

しかし、歌舞伎において首が本物であることなんてほぼなく。笑

さてこの首の正体とは、松王丸の隠している真実とは、というところに大きなドラマがあります。

最後の「いろは送り」と呼ばれる部分が名文なので、ぜひ浄瑠璃にも耳を傾けてみてください。
文楽公演でここの床本(台本)を手に入れたときは、本当に嬉しかった。 

◇勧進帳

この記事に書いてあることくらいから知識は特に増えておりません。笑


■観てみたい演目は?


「沼津」と「寺子屋」は絶対に外したくない!と思っています。

吉右衛門さん歌六さん、そして菅秀才には5月に襲名したばかりの丑之助くん、「沼津」では綜真くんの初お目見え…他にも好きな役者さんが並ぶという嬉しさに加え、竹本(語り)は先日人間国宝になられた竹本葵太夫さん
目も耳もどっぷり味わえる一幕になるに違いありません。

それから「お祭り」、これは年始に観た「勢獅子」(この記事)で、梅玉さんの鳶頭の佇まいがとてもかっこよかったので、また観たいのです。

「勧進帳」は仁左衛門さんの弁慶が外せない。きっと思慮深くて抜群にかっこいい弁慶なのだろうなぁと想像しております。

最近いろんなお芝居で「いいなぁ」と思っている歌六さんが主演の「松浦の太鼓」も、ぜひ観ておきたいところです。


■どのチケットを買う?


今月、できることなら昼夜どちらも買いたかった!3階でいいので…

ですが、スケジュールと金銭面の都合で、今回も幕見席からの観劇になりそうです。

「勧進帳」「松浦の太鼓」あたりは会社帰りに行けるかしら?と踏んでおります。


■まとめ


さて、最初に触れなかった「秀山祭」についてですが、
「秀山」というのは、今の吉右衛門さんのおじいさまに当たる、初代吉右衛門さんの俳名です。

この初代吉右衛門さんの生誕120年を記念して、2006年9月に最初の「秀山祭」が催されたそうです。
以降、9月の興行にはこの名前がついている模様。

私も詳しくは知らなかったし、最初は特に意識しなくてもいいと思います。
言われたところで「はぁ」という感じではないかと。

でも、これから一年のうちに何度か歌舞伎を観に行くつもりであれば、知っていると楽しみが増えると思います。
去年初めて「秀山祭」という言葉を知った私ですが、早くも今年は「吉右衛門さんの月が来るぞー!」というわくわくでいっぱいでした!

***

思えば去年の秀山祭は、今よりももっと何も知らなかったんだなぁとしみじみ。
当時の苦悩がブログにしたためられています。笑

いや、今でも分からないことだらけで、悩みに悩むんですけどね!

振り返って嬉しいのは、好きな役者さんが増えたこと。
「この役者さんを観に行きたい!」という楽しみが増えたこと。

それを別名「沼」とも呼ぶのでしょうが。笑

何はともあれ、大好きな役者さんがたくさんご出演の9月、今からわくわくしております。


【関連記事】
 「お祭り」初心者はこう楽しんだ!〜秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座) 昼の部感想
「沼津」初心者はこう楽しんだ!〜秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座) 昼の部感想
・「寺子屋」初心者はこう楽しんだ!〜秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座)夜の部感想


物知らずが行く歌舞伎#12〜八月納涼歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年半の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この1年半でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


物知らずシリーズ、更新速度がどんどん遅くなってまいりました。初日は目の前です。わたくし、お尻に火がついております。

さて、八月納涼歌舞伎は三部制。
各部が少しずつ短い分、いつもよりちょっぴりお安いお値段で観ることができます
一番手軽な3階B席3,000円です。

※ご参考までに、3階B席からの見え方はこちら↓




全演目の見どころなどは、すでに公式サイトに掲載されていますのでそちらをご参照いただき、
「歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人」八月納涼歌舞伎の情報はこちら)(当方またもや完全なる出遅れ)
ここでは「歌舞伎初心者、こんな感じの予備知識で観に行きますよ!」というのを晒します!

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■歌舞伎座 八月納涼歌舞伎の演目は?


8月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【第一部】
一.伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
 御殿/床下
二.闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)

【第二部】
東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)

【第三部】
新版 雪之丞変化(しんぱん ゆきのじょうへんげ)


「伽羅先代萩」を「めいぼく〜」と読むのを知ったときには、知識人の遊び心に驚きもしたし、半ば呆れもしました。笑
伽羅(きゃら)って、名木の誉れ高い香木ですよね。 だからって。。

ちなみに私、学生時代に一瞬だけ香道の講座に通いました。
伽羅の香も度々聞かせていただいたはずですが、 他の香木との違いがいまいち掴めていない。。
とりあえず、少しスパイシーさのある、甘い香りだったことは何となく記憶しております。(※多分他のものもそう) 


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【第一部】

「伽羅先代萩」は、NHKEテレ「にっぽんの芸能」で、いつだったか坂東玉三郎さんが語っていらっしゃったのを覚えています。
核となる女方の役・政岡の演技について。
お芝居として観たことはありませんが、名前とうっすらとした展開は分かる…気がしております。 
 
「闇梅百物語」は、映像でちらりと…。
おばけがいろいろ出てきて踊るやつ、というぼんやりとした知識です。笑 


【第二部】

松本幸四郎さん・市川猿之助さんのタッグでシリーズでやっているものですよね。
どれも観たことがないのですが、十返舎一九の原作をもとに、いつも楽しそうな舞台が展開されていることだけは存じております
 

【第三部】

これは「新版」とあるように新たな演出でやるようなのですが。。
そもそもの「雪之丞変化」は、初めて聞く名前でした。


*現時点で知っていることは?


◇伽羅先代萩


先述の通り、テレビで玉三郎さんが語っていらしたのを観たくらいしか分かっていませんが。。

要はお家騒動もので、政岡(今回は中村七之助さん)は自らも一人の母でありながら、幼君・鶴千代中村長三郎くん)を守るために、未だ幼い自らの息子を犠牲にするのです。
政岡の一子・千松中村勘太郎くん)も、自分のすべき役目は分かっていて、進んで鶴千代の身代わりになります。

そして愛息が息絶えても、あくまでその家に仕える者として、すぐに素直に悲しみを表に出すことができない。

そんな一人の女性の心の内を、役者としてどのように表現しているかというのが、番組で語っていらした内容でした。

本当にね、当ブログでは何度も言っているのですが、歌舞伎に出てくる女性たちは強すぎる、無理をしすぎる。。

おそらくこの場面を含むお話かと思います。


◇闇梅百物語

本当にもう、先述の「おばけがいろいろ出てきて踊るやつ」というくらいしか知らないのですよ。笑

でも配役を見ているだけで、骸骨、傘一本足、河童…と何やらにぎやか。
夏にはぴったりの演目なのではないでしょうか!


ちなみに、百物語というのは「怖い話大会」のようなものだったようです。
何人かで集まり、行灯に百本の灯心を入れ、ひとつ怖い話が終わるごとに一本ずつ抜いていき、最後の一本が抜かれて真っ暗闇になったときに、化け物が現れるとされていたとのこと。

百物語って幽霊の話ばかりかと思っていたのですが、 江戸当時はどちらかというと不思議な話が中心だったようです。
「因果応報というような由来のはっきりするものでなく、説明のつかない怪異や不気味さが多く語られ」たそうです。『一日江戸人』杉浦日向子、平成17年、新潮文庫) 
 

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***

はい、そして第二部と第三部の演目にいたっては何も知らないという。

元気いっぱい物知らず。 


■観てみたい演目は?


これはもう、私は何よりも「伽羅先代萩」でした。

七之助さんの政岡、玉三郎さんからどのように引き継がれていったのでしょう。
たかだかテレビでほんの一部を垣間見ただけですが、少しでも知ったあとだと観劇欲が高まります!
それから、三月の「盛綱陣屋」(感想はこちら)で堂々たる小四郎を演じていらした勘太郎くんの千松。
長十郎くんの成長ぶりも気になるところです 
パパが大河ドラマでご活躍の間に、ご兄弟は舞台で大活躍ですね!

そして「闇梅百物語」
やはり今の季節に楽しいものは楽しんでおきたいな、というのはありますね。笑

「東海道中膝栗毛」は、スピンオフの上映があったり、前作がシネマ歌舞伎になっていたりと、盛り上がっている様子。
私はいずれも観ていないのですが、先日の三谷かぶき(感想はこちら)を観るにつけても、幸四郎さんと猿之助さんのコンビは絶対楽しい
宙乗りもあるようです。

さて、ここまで全くと言っていいほど触れていない「新版 雪之丞変化」ですが、これは幕見もかなり並ぶのでは?と思っています。

何せ!玉三郎さんなので!!

「歌舞伎美人」内のこちらの記事に詳しいですが、映像を用いつつ、実演と織り交ぜて展開するようです。
どんな演出になるのでしょう…?納涼ならではの実験的作品になるのでしょうか。
その前にこの記事内のお写真の隙のなさを見て。


いずれにせよ、また絞れないひと月がやってくることは間違いありません。笑


■どのチケットを買う?


白状しますと、すでに一部はチケットを買いました。幕見で我慢できる気がしなかった。。
とはいえ決して「いいお席」ではありませんが。笑

二部と三部も幕見で観に行くのではないかと思います。 

さて、冒頭に「ちょっとお安く観られる」 ということを書きました。
確かに各部だけ抜き出して観れば、お安く観られるのは間違いありません。

しかし、二部制のときを考えると、全て幕見で通した場合、4,000円×2部で8,000円。
今回はおそらく幕見の通しが3,000円だと思うので、すべて通すと3,000円×3部で9,000円。

・・・。

商売上手めー!!!笑 


■まとめ


先月はいろいろと忙しくしておりまして、ブログの更新はおろか、歌舞伎は一度も観に行けず…
現在狂おしいほどに、劇場の空気と歌舞伎を求めております。笑 

そんな8月は、ハードルを感じずに気軽に観に行けそうな演目が揃っているなぁという印象です。 
「難しい!」と感じる可能性があるのは、先代萩くらいではないでしょうか。
あとは現代の感覚で楽しめるものなのではないかと踏んでいます。

いや、でもだからと言って、古典の演目を勧めないわけでは決してないのです。
むしろ古典に、よく分からなくても圧倒的な力を感じたりするよな、と日々思っています。 

…ちょっと話の方向性がずれてしまったのですが

8月は幸いお休みも多くいただけるので、先月分を取り返すように歌舞伎を観たい!!
歌舞伎座の空気に浸りたい!!!


夏の暑さの中で幕見席に並ぶ恐ろしさを、私はまだ知りません。
いらっしゃる方はどうぞお気をつけて…!

物知らずが行く歌舞伎#11〜七月大歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年半の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この1年半でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


物知らずシリーズ、大変に遅くなりましたが7月分です。もう6月終わる。。
(いや、でもこの記事などなくても7月は情報に溢れるはずだと確信しております。なぜなら、)

7月の歌舞伎座は海老蔵さん祭りです。
ご子息の勸玄くんもご出演とあって、6月20日時点ですでに昼の部は全日程売切れ
夜の部も3階席はA席、B席ともに満席です。ひえぇ 

そんな七月大歌舞伎、きっと初めて歌舞伎をご覧になる方も、いつもより多くいらっしゃるのではないでしょうか。

全演目の見どころなどは、すでに公式サイトに掲載されていますのでそちらをご参照いただき、
「歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人」七月大歌舞伎の情報はこちら)(当方完全なる出遅れ)
ここでは「歌舞伎初心者、こんな感じの予備知識で観に行きますよ!」というのを晒します!




■歌舞伎座 七月大歌舞伎の演目は?


7月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.新歌舞伎十八番の内
 高時(たかとき)
二.西郷と豚姫(さいごうとぶたひめ)
三.新歌舞伎十八番の内
 素襖落(すおうおとし)
四.歌舞伎十八番の内
 外郎売(ういろううり)

【夜の部】
通し狂言
星合世十三團(ほしあわせじゅうさんだん)
 成田千本桜


今月は比較的読みやすい演目名が並びますね!
それだけでちょっぴり安心感があります。


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】

「素襖落」は、昨年11月に歌舞伎座で観ました!
尾上松緑さんの太郎冠者でした。楽しく観た記憶。
同じ演目、結構ちょこちょこ出るんですね。 
 
「外郎売」、こちらは演劇をかじっていた時代に馴染んだもの。
歌舞伎としては完全なる初めましてです。むしろよく本物知らずにやってたな。
 
あとは残念ながら、存じ上げませんね…。
名前すら知らなかった演目2つです。

【夜の部】

何も分かりませんっ!(簡潔)
でも場面の名前を見る限り、「義経千本桜」が元になっているのかしら…?


*現時点で知っていることは?


◇素襖落


狂言がもとになった、気軽で楽しい演目だったと記憶しています。

遣いに行った先で、散々酒を振舞われた上に、褒美に素襖(すおう、武士の礼服の一つらしいです)までもらった太郎冠者(たろうかじゃ)

せっかくもらった素襖を主人に取られまいと、必死に隠し通そうとするのですが、
いかんせん太郎冠者はすっかり酔っ払っているわけです。 

千鳥足で頭もいまいち鈍くなっている太郎冠者と、その主人との間の素襖攻防戦が笑いを誘います。


◇外郎売

「外郎売」と言えば、早口言葉の長ゼリフが有名なのではないでしょうか?

かく言う私も演劇部時代、一生懸命練習しました!
歌舞伎がもととは知っていましたが、当時は歌舞伎が何かを知らなかったので、ただ闇雲でしたよね…。
当然知らない言葉ばかり出てくるので、なかば呪文のように覚えた記憶があります。笑 

この早口に至る流れは全く知らないのですが、ぜひ本物を聞いてみたいものです。


◇成田千本桜

この演目自体は知らないのですが、元になっているであろう「義経千本桜」は浄瑠璃の三大名作の一つで、とても有名な演目です。

通しではなかなか上演されませんが、「渡海屋」「大物浦」「鮨屋」「吉野山」なんかは単独でよく出ているようで、テレビ放映も多く、いずれもどこかしらで観たことがあります。
(「鮨屋」を今年2月に観たときの感想はこちら

私が観劇を始めたこの短い間に観ることができているのだから、相当頻繁にやっていると思っていいのではないかと。笑

全編通すと主人公がどんどん変わってしまうので、その辺がどのようになるのか分からないのですが、きっと見どころ盛りだくさんの舞台になるのでしょう!

各場面の主人公的な役を、全て海老蔵さんが早替りでなさいます。
宙乗りもあるようです。凄そう。


■観てみたい演目は?


やはり知っている演目として、「素襖落」「外郎売」は気になりますね~。

特に「外郎売」は、海老蔵さんのご子息・堀越勸玄くんが、早口の長ゼリフを勤めるようですよ!
市川新之助襲名を来年に控えた勸玄くん、ご活躍が楽しみです。

夜の部は、先述しましたが海老蔵さんが13役の早替り!
4時間ほどの長丁場を、これだけ替わりながら勤めあげる物凄さ。

どれを観ても、きっと見ごたえがあるんだろうなぁ。


■どのチケットを買う?


7月も幕見になりそうですね…何せチケット買えないので…

でも幕見席も相当混雑するのではないかと。
5月の團菊祭、海老蔵さんの出る幕はとても並んでいたと聞いています。

今回もみなさん早くから通しの切符を買いに並ぶんじゃないかなぁ、と私は踏んでおります。
途中から観ようとすると立ち見になりそうな気が。。

Twitterで「歌舞伎座幕見」と検索すると、幕見の混み具合情報を多くの方が提供してくださっているので、行く前に状況を見ておいた方がいいかもしれません。

それにしても海老蔵さん&勸玄くん恐るべしです。さすがです。


■まとめ


海老蔵さん、実はそれほど観たことがあるわけではないのです。
昨年の團菊祭で観たくらい。あとはシネマ歌舞伎で拝見したのが一回でしょうか。
今年の5月も見損ねているので

でも、その少ない機会でも、やっぱりとても印象に残っています。存在感がすごい。
ぜひまたしっかり拝見したい!

夏本番の7月、幕見席の切符売り場に長時間並ぶのはなかなかしんどそうですが、水分と塩分を欠かさぬように気を付けつつ頑張りたいと思います!笑

 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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