ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

日舞

日本舞踊*振りの意味を理解する瞬間


最近、日舞以外のものを見て
「あの振りってそういう意味だったのか!」
と思う瞬間がよくあります。

たとえば、傘を差す振り

雨が降ったときの差し方ではなく、
体の前で傘を広げ、
体の後ろに回して差すのですが、
これがどういう状況なのか
いまいち理解していなかったのです。

そんな中、先日見た「助六」の、
傾城・揚巻が登場する花魁道中にて、

揚巻の後ろにいたんですよ。

傘を前で広げ、後ろに回して差す男性が!!

あれは花魁道中の、花魁に傘を差しかける振りだったんですね!
「助六」で初めてピンと来ました。

それから、NHKEテレの「にっぽんの芸能」にて
能を初めてちゃんと見てみたとき。

踊りに時々出てくる、足をぱたん、と踏む動き(「踏む」というのか…踵を支点に足をぱたんとするもの、何と言うのでしょう…)
能にどのように出てくるのか
初めて意識して見られたんです。

どんな場面で出てくるのか、
どういう流れで出てくるのか…
ほんの1時間、3演目をかいつまんでしか見ていないのですが、
「ほう、これか!」と思いました。

***

知識として勉強して頭に入れるのではなく、
こうやって偶然出会って気付く瞬間が、
私にとって大きな喜びです。

覚えようとして覚えたことよりも、
出会いにインパクトがある分
頭に残るような気がしています。

「自分で気付けた」というのも
一つ成長した気がしてなんだか嬉しい。笑

そして、

こういうものを分かっておくと、
踊りが全然違うと思うのです。

知識を付けることの大切さは
市川猿之助さんが『舞うひと』で述べていらしたところ。

積極的にいろんなものを見て、
納得できる知識との出会いのチャンスを
どんどん増やしていけたらと思います!


【本日の関連記事】
Eテレ「にっぽんの芸能」がおもしろくて贅沢すぎる!+8/3放送分感想
2018上半期イチ面白かった本『舞うひと』感想




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日本舞踊と体の柔軟性について思うこと。

以前この記事でも書いたのですが、
私はとにかく体が固いのです。

特に足首と肩。

以前の記事にも書きましたが
高校時代に整体に行ったとき、
整体の先生にも指摘されたくらいです。

当時は部活で毎日柔軟体操をしていて、

前後開脚からそのままお尻を上げずに左右開脚に移動して、
前にべたーっと体をつけて「土」の字ができるくらい
人生最大の「体柔らかい期」だったのですが、

整体の先生にそんなことは通じず。

「関節かったいねー!」

とあっけなく言われたのでした。。

柔軟体操で筋は伸びるようになったけれど、
どうも生まれつき関節が固いらしいのです。

***

日舞を始めて7年目ですが、
クラシックバレエのような柔軟性が
必要だと感じたことは、今のところありません
着物じゃあんなに足は上げられないし、開けないので(^^;

それでも柔らかさが必要なところはあるなと感じていて、
それが
股関節・足首・肩の3つです。今のところ!

(以前の記事に「肩が固いことには日舞で困っていない」などとほざいておりますが、
大間違いです。やっぱり困ります。) 

股関節は、男を踊るときに
その重要性をひしひしと感じます。
 
しっかり足を割るには、
「開脚ができる」という類いの柔らかさとは別の、
「股関節が開く」ことが必要なようです。

幸い股関節だけは柔らかいんです。
良かったー★


足首の固さについては、先日のブログの通り。
腰をうまく落とせなくて難渋しております。
 
これ、柔らかい人は分からないんですよー。。
「何でできないの?」と言われがち。
固いとほんとに苦労するんですってば。


そして!これが難関!!!
本当になんで今まで日舞で困らなかったんだろう… 

両腕がまっすぐ上に上がらないほど固い。

腕を上げようとすると、力が入って肩が持ち上がってしまう。

そうすると、どの動きも非常に形が悪いのです。。

バレエでも部活でも
肩の固さにもどかしい思いをしました。

理想の形は(おぼろげにしろ)見えているのに、
自分ではどうにもできないというのは
本当に悔しい話ですね。

***

というわけでまとめ。

別に体が固くても、問題なく踊れるとは思うのです。

でも、関節の可動域が広いと
きれいな格好ができます

「より良く」踊りたければ、
関節の柔らかさからは目を背けられないなぁと。

早速ですが、足首と肩の可動域を広げる
ストレッチを探し中です。

こういうときにインターネットというのは
本当に便利ですね✨

年単位で改善していくことになると思いますが、
焦らず気長に取り組もうと思います。


日舞あるある③誤解を招く会話


サークル時代も、今のお稽古場でも、
お稽古前後にときどき
こんな会話が交わされます。

「私、初めての男なんでとまどってるんです…」
「分かる!私も男の経験少ないから不安!」
「私は久しぶりの男だから…」

はい、聞き捨てならないですね。

この会話、別に恋愛の話じゃないんですよ。

男の踊りの話なんですよ。笑

日舞を習い始めるとき、
(少なくとも私の知っている流れでは)まずは女の踊りを習って、
何曲か女を踊ってから男の踊りに挑戦するのですが、

足を開いて踊るなんて初めてで、
戸惑った覚えがあります。

そして、男の踊りを何曲か習ったら
今度はまたしばらく女だったりする。

そうすると男踊りの体の使い方をすっぽり忘れます。

久々に男の踊りを教えていただくと、
またゼロからやり直すような、
手探りな状態でふたたび男と向き合うことになるのです。。

「久しぶりの男」というのはこれです。

そんなわけで、
特に踊りを始めてからそれほど年数が経っていない仲間内では、
この「男」というワードが頻出する会話で盛り上がるのです。

そして大体
「誤解されるからこの話は外ではできないね!」
という結論で終わります。笑 

なかば、その誤解を招く表現のおもしろさに
あえて男おとこ言っている部分もありますけどね!

お稽古場には日々笑いが絶えません☀


カセットテープ現役世代〜日舞のお稽古とカセットテープ〜

ずっと欲しかったものをついに買っちゃいました!

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ポータブルカセットプレイヤー

╲╲今どき!!╱╱

これで踊りの音源が持ち歩けます~✨

***

日本舞踊のお稽古では、
カセットテープが今も現役で大活躍しています。

たぶん今通っているお稽古場に限った話ではないはず。
以前いたサークルでも、ずっとカセットです。
思えば幼い頃に通っていたバレエ教室もカセットだったような…

サークル時代は、カセットのアナログさに
正直いらいらすることもあったのです。

しかし、慣れてくると意外とカセットは使いやすい

踊りのお稽古は、
とにかく音源を早送りしたり
巻き戻ししたり(主にこっち)の繰り返しです。

そのときにCDだと、
ちょっとした弾みで前の曲に戻ってしまったり、
戻るスピードが速すぎて
「ほんのちょっと戻したい!」
というときに上手くいかなかったり、
なかなか思うようにならない。

「一時停止ボタン」「停止ボタン」の押し間違いも多発して、
しょっちゅう面倒なことになるのです。
(停止ボタンは、曲ではなく
CD自体のアタマまで戻ってしまうので…)

その点カセットはシンプルです。
非常に人間らしい時間で動いてくれます

確かに傷みは早いし壊れもしますが、
それもまた、よくお稽古した証だと思えます。笑

***

そんなわけで、お稽古用の音源は大体カセット。

今回も例に漏れずカセットに入れていただいたのですが、
なかなか曲が頭に入らず、振りも覚えられないので
いつでもカセットを持ち歩きたいな、と。
 
こう思うことはとてもよくあって、私の場合
曲が覚えられないと振りも入りにくいのです…

まずは曲に慣れるために、
空き時間を使って積極的に聴こうと思います。

幼い頃からカセットで音楽を聴くことに親しんではいましたが、
まさかこの歳でカセットを持ち歩くことになるとは。

おもしろいですね。

***

ちなみに、カセットよりも前は
レコードでお稽古していたとのこと。

巻き戻すときは、針を置き直すのですが、
踊りが上手な人は針を置くのも上手いのだそうです。笑

間の感覚とか、音を聞き取る力とか、
そういうものが養われるのでしょうか?

でも確かに普段のお稽古で
カセットテープ係をやるときは
(他の方のお稽古で先生が立っていらっしゃるときは、
各々持ち回りでカセットをかけます)


どの歌詞のところで音を止めたか
どのような音の雰囲気のところから始まったか
など、意識しながら音をかけるようにしています。

一生懸命に音を聞くことも、
大事なお稽古になっている気がします。 

***

さて、これから何度も早送りされ、
巻き戻されるであろう、
新しい曲を入れたカセットテープ。

このポータブルプレイヤーで、さらに消耗されそうです。

しかもプレイヤー側が60分テープ推奨のところを、
うっかり90分テープに音を入れてしまった…
録音可能時間が長ければ長いほど、
テープが薄いので消耗が激しい
ようです。。 

無事に踊り終わるまで、テープが何とか持ってくれますように。

初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法②知らなくても楽しめる演目は?

第一弾に引き続き!
踊りをやっていなくても踊りの会を楽しめるであろう
初心者的・日本舞踊公演の楽しみ方を提案する企画です。

今回は、自分の数少ない経験から
「これなら初めて見る日本舞踊でも絶対楽しめる!」
という曲を厳選してみました!

鉄板の踊りから「こんなのもあるんだ」というものまで、
私自身が楽しく観られたものを挙げています。

(★第一弾はこちら⇒初めて日舞★日本舞踊の公演を楽しむ方法①音の楽しみ





*藤娘〜これぞ日本舞踊な一曲〜


「日本舞踊は知らないけれど、これなら知っている」
という方も多いのではないのでしょうか?

舞台いっぱいに広がる藤の花、
塗り笠をかぶり、藤の枝を肩に担いで出てくる美しい娘…

日本舞踊の美を詰め込んだ演目だと思います。

有名どころ、定番の曲なので、
「日本舞踊を見た!」という満足感の得られる一曲。

個人的には、途中の「藤音頭」という曲の出だしで
とことこ駆けてきて会場全体のお客様にご挨拶する可愛らしさ、
そして後半の「松を植よなら〜」の手踊りで
調子の良い音楽になり、踊りも速まるところが大好きです。


*三社祭〜日舞ってこんなに激しいの?!〜


日本舞踊の公演プログラムを見て、
若手男性舞踊家お二人で「三社祭」となったら
これはもうすばらしくわくわくしてしまいます。

ゆっくりな踊りと思われがちな日本舞踊ですが、
「三社祭」は飛んだり跳ねたりの連続

浅草寺の縁起を語るという設定のこの踊り、
二人の漁師の踊りから始まるのですが、
途中からはそれぞれ「善玉」「悪玉」のお面をつけて
息ぴったりに軽快かつ激しく踊ります
(善玉悪玉については、浮世絵もたくさん残っているようです)

初めて見たときには、そのテンポの良さに驚くとともに、
見ながらどんどん楽しくなってきてしまいました。

踊っている方としては、
お面をつけていて呼吸が不自由な上に
立っては座り、跳び続けなのでしんどいに違いないのですが、
いつか私も己をいじめ抜いて踊ってみたいものです。


*流星〜一人五役の早変わり〜


これはもう、物語がとんでもなく奇抜で面白い

舞台は七夕の夜。

織姫と彦星が一年越しの逢瀬を楽しんでいるところに、
「ご注進!ご注進!!!」と流星がやってきます。
(この時点で設定に度肝を抜かれる。主役はもちろんこの流星です。)

聞けば何やら、空の上の雷夫婦が喧嘩したとのこと。

だんなさんがうっかり端唄の師匠の家に落っこちたことがきっかけで
雷の鳴り方まで端唄風になってしまい、

「その鳴り方が気に食わない」と奥さんが怒り出し、夫婦喧嘩に発展。

この夫婦の子供も仲裁に入り、
ついには近所の雷ばあさんまで登場して喧嘩を止めに入ることに。

この婆雷に思わぬ悲劇が起き、
それがきっかけで二人は仲直りするのですが、

いや、もう物語設定めちゃくちゃでしょう…

でもこのばからしさを、流星が真剣に踊り分けてみせるのが
この踊りの無条件に楽しいところなんです。

そうです。
夫婦と子供、おばあさんを、流星役の一人が演じ分けるのです。
つまり
①流星②雷・夫③雷・妻④子雷⑤婆雷の5役を
一人で代わる代わる演じる
んですね!

ツノ(もしくはお面)を付け替え、
くるりとまわったら役が変わったということ。
役によってツノが違います。

初めての日本舞踊公演で、
もちろん初めて「流星」を見た知人の感想は、

しょーもな。

でした。笑

でも、それは初めてでもちゃんと筋が分かったということ。
そして、ちゃんと楽しめたということだと私は思います。

ハードルが高く思われがちな日本舞踊にとって
これってとても大事なことなのではないでしょうか。


*棒しばり〜何度見ても笑える楽しさ〜


これも会場を笑わせにかかってくる
狂言がもとになった舞踊です。

いつも主人の目を盗んでは、こっそり蔵の酒を飲んでいる
太郎冠者と次郎冠者。

それを知った主人は、彼らを懲らしめようと
自分が出かけるときに二人を縛って出て行きます。

両手を棒にくくりつけられた次郎冠者と、
後ろ手に縛られている太郎冠者。

飲めないとなると一層酒が恋しくなり、
二人はなんとかして酒を飲もうとするのです。

この酒を飲むにいたるまでの、
二人の試行錯誤の様子がめちゃくちゃに面白い

そしてだんだん酔いが深まり、
縛られたままいい気分になって踊り出す二人。
このあたり、軽快な音楽とも相まってなんとも楽しい。

最後はお約束の展開が待っているのですが、
これも初めてでも絶対に筋がわかって楽しめる曲だと思います。

もともとこの踊りは、
六代目尾上菊五郎さんと
七代目坂東三津五郎さんという
踊りの名手たちの手を使えなくしたらどうなるのか
という試みだったようです。お見事。

***

他にもやりたい踊り、大好きな踊りは山ほどあるのですが、
趣旨が変わってしまうためここでは自重します。
また改めて…


*まずは親しみやすい演目から!


言葉を連ねていろいろ語りましたが、
百聞は一見にしかず
私のこんな文章じゃ伝わらないくらい、
いい踊りは興奮するし、盛り上がります。

私がこのシリーズを書こうと思ったのは、
そもそも自分が舞台に立たせていただくときに
友人に気安く声をかけていいものか迷ったから。

日舞をかじっている自分でさえ
なかなか舞踊公演には行かないものを、
日本舞踊に何の関わりもない友人たちに
「気軽においでよ!」と言えるのか。

まずは、気軽に来れるような目印を
何かしら作っておくべきだったんじゃないだろうか
、と。

幸い文化に寛容な友人ばかりなので
「行く行くー!」みたいなノリで来てくれたのですが。笑 


だから、踊りを知らない友人たちに
「意外と日舞ってこんな感じよ!」と伝えるような気持ちで書いています。

まずは親しみやすい演目や音から入って、
そんなに堅苦しくないものなのだ、と知ってほしい。

ゆくゆく日本舞踊が一大エンターテインメントになるとまでは思いませんが、
もう少し「踊りの舞台を楽しむ」という時間が
日常的になってもいい
のかもしれないな、とは思います。

以上、長々と書いてしまいましたが、
また新たな楽しみ方を見つけたら長々と書く予定ですので
そこのところ、何卒よろしくお願いします!笑
 
プロフィール

わこ

◆東京都在住╱地味目のOL (平成生まれ)。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇2年目、毎月何度か劇場に通う日々。
◆着物好きの友人の影響で、着物でのお出かけが増えてきた今日この頃。

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