踊りを始めたばかりの頃から何度も読み直している本です。

何度読んでも、新たな学びがある。

それだけこちらも成長しているのだと思いたいですね!笑

日本舞踊坂東流の家元でいらした十代目・坂東三津五郎さんが、踊りのことについて語った一冊です↓

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『坂東三津五郎 踊りの愉しみ』(坂東三津五郎、長谷部浩 編、岩波現代文庫)


坂東三津五郎踊りの愉しみ (岩波現代文庫) [ 坂東三津五郎(10世) ]

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この本から学んだことをまとめてみました。
 



*日舞のお稽古は鏡を見ない


日本舞踊、特に坂東流は、鏡稽古は禁止なのだそうです。
 
(確かに私の通うお稽古場にも、生徒が動きを確認するための鏡はありません!)

鏡を見てしまうと、頭で考えてしまい、身体が正しい形を覚えないからではないか、と述べていらっしゃいます。(p.10)

踊りの右も左も分からないころにこの本を初めて読んだのですが、この話は衝撃的で、印象に残りました。

今まで「踊る」「動きを揃える」といったら、当然鏡を使うものとしか考えていなかったのです。

昔習っていたクラシックバレエの教室も、二面が鏡張り。
どんなに小さなダンススタジオでも、一面は鏡です。 
 
日本舞踊は今まで出会ってきた何物とも違うんだな、と驚いたお話です。


*花道に力を入れすぎない


これは、実践でとても役立ちました。

花道があるような大きな舞台に初めて立ったのはついこの間のことなのですが、花道、本当に難しかった

思ったよりも滑らないな、と思ったら予期せぬところで滑るし、第一あの幅の細さが非常に心もとない。
 
照明もきつくて、その割に客席が真っ暗で、途中から目が回ってしまいました。

当然踊りはぼろぼろのがたがた。

うわぁもう出だしでこれってどうしよう、とものすごく焦ってしまった矢先、

ふとこの本の中で、花道について三津五郎さんがおっしゃっていたのを思い出したのです。
 
「「この役柄はこういう役柄なんだ」と
大まかな摑みができればいい」
(p. 7)

そうだった!と思いました。

そこから切り替えて、そのときにできる最大限の愛嬌を振り撒いて何とかかんとか本舞台へ。

おかげで その後は大きく崩れることなしに、最後まで楽しく踊り切ることができました。 

この本を読んでおいて良かった。
大変に救われました。

「出は摑み」、肝に銘じます。 


*踊りの上手い人とは


印象に残っているのは、
痛いところを覚えること、
そして
振りと振りの間を埋めること。

前者の「痛いところ」というのがきれいな形なのだ、というのはお稽古場でも言われますし、実際日々痛いです。笑

でもぱっとその形、その場所に身体を持っていくのが難しい。

毎回お稽古で、今日こそ我慢して踊るぞ、と思うのですが、ついどこかしら楽をしてしまうんですよね…
 

そして後者は、ずっと踊りのままでいられるかどうか
振りと振りの間でちょっと回ったりするときに、素に戻ってしまう人が多いのだそうです。

その回るところだって見えていて、踊りなのだから、踊りとしてつながなくてはならない、ということです。


初心者の自分には少々レベルの高い話ではありますが、今から気を付けたって早すぎるということは決してないはず。
 
精進します。


*印象に残っている一節


直接内容に関係しているわけではなく、何気なくさらっと書いてあるところなのですが、、

一層尊敬の念を深くした一節をご紹介します。

「…僕が四十過ぎて踊りが楽しくなってきて、
だんだん『傀儡師』とか『源太』とか、
上級編の踊りにようやく技量が到達して
踊れるようになってきたときに、…」
(p.55)

何と謙虚でいらっしゃることか…

三津五郎さんともあろう方が、上級編の踊りに技量が到達したのを四十過ぎだなんて。

もう私、何も言えないです。。笑


*ますます踊りが好きになる一冊!


ここに書いた以外にも、さまざまな踊りについて、踊るときの心がけや流派による違い、思い出などを丁寧に語っていらっしゃいます。

まだ踊ったことのないものばかりですが、いつかきっと踊る機会があると信じて。
そのときには、またこの本に頼ろうと思います。

それぞれの踊りのお話になると、歌詞などにも触れるので 分からない部分もまだまだ多いのですが、

こういう気持ちで踊っている、というのを知ると実際に観てみたくてたまらなくなってきます。

踊りのことがますます好きになってくる一冊です。

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