この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
こんなに物を知らなくても歌舞伎を楽しんでいますよ
というのをお伝えできればと思っています。

物知らずシリーズ、第一段をやってみて、
この企画、意外と恥ずかしいということに思い至りました。。

でも!

私は前向きで自信のある初心者を貫く!

というわけで早速第二段です。

今回無知をさらすのは、同じく11月の
平成中村座での歌舞伎公演。

「みどころ」というのが出ているのですが、

昼・夜各部でまとめてあって、
細かい内容がわからない。

しかも座席の様子が読めない!
長椅子って?靴を脱ぐって??

さらにもって、

歌舞伎座と違ってお手頃な席がない!! 

初心者、チケット買うの怖かったですが
思い切って購入に至りました。 

そんな初心者の心の内、
同じ境遇のどなたかの背中を押せれば幸いです。

※ちなみに今月のシネマ歌舞伎『法界坊』は
10年前の平成中村座での公演とのこと。
平成中村座の雰囲気が少し掴めるかもしれません!

 





■平成中村座 十一月大歌舞伎の演目は?


平成中村座の歌舞伎公演。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.源平布引滝 実盛物語(げんぺいぬのびきのたき さねもりものがたり)
二.近江のお兼(おうみのおかね)
三.江戸みやげ 孤狸孤狸ばなし(えどみやげ こりこりばなし)

【夜の部】
一.弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)
二.舞鶴五條橋(ぶかくごじょうばし)
三.仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
 祇園一力茶屋の場(ぎおんいちりきぢゃやのば)


今回は比較的読みやすい…?
「いやいやその読み方は無理でしょ」という演目は
あまり見受けられません。

 

■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】

「近江のお兼」は踊りの会でちらりと観たことがあります。
あとは残念ながら…


【夜の部】

「仮名手本忠臣蔵」は観に行ったことがあるのですが、
この場面ではなかった
なので実質知らないようなものです。。
そしてその他も知らないという…

第一弾とは打って変わって、
初心者の本領発揮です。


*現時点で知っていることは?


◇近江のお兼

お兼という娘?が主役の踊り。
 
男たちをばったばったひっくり返すのが
印象に残っているので、
怪力系の女性ではないかと思います。

最後に布晒し(ぬのざらし)を振ります。
調子よく足拍子を踏みながら、
白くて長い晒を振るのです。
 
この晒が風を切る音が好き
旗が風にはためいているときの音と言えば伝わるでしょうか?

そして舞台からも聞こえるものですかね…?

◇仮名手本忠臣蔵

去年の11月、ちょうど一年前の顔見世大歌舞伎で、
片岡仁左衛門さんの勘平、
片岡孝太郎さんのおかるで観ました。
(勘平とおかるが恋仲。
仁左衛門さんと孝太郎さんは親子でいらっしゃいます。)


思えばこれが初めての歌舞伎座だった…

このときの公演は五段目と六段目。
今回は七段目ということなので、
その少し前の部分に当たります。

かなり重要なところを詰め込んだ場面でした。

去年の顔見世大歌舞伎のあらすじを
公式サイトより引用します↓(※改行・太字・赤字筆者)

塩冶判官は高師直に刃傷に及び切腹、家名は断絶となります。
主君の一大事に居合わせず、その責から猟師となった早野勘平は、
同志の千崎弥五郎主君の仇討ちの資金調達を約束します。
一方、おかるの父与市兵衛は夜道で斧定九郎に襲われ命を落とし
勘平の仇討ち資金としておかるを身売りして用立てた金を奪われます。
しかし、定九郎は猪を狙った勘平の銃弾を受け絶命。
勘平その金を抜き取り逃げ去ります。
翌日、おかるを引き取りにきたお才の話から、
昨晩撃ち殺したのが与市兵衛だと思い込んだ勘平は、
不破数右衛門と千崎弥五郎、姑のおかやに詰問され、
不忠を悔いて腹を切ります。
しかし、定九郎が真犯人であったことが判明、
勘平は仇討ちの血判に名を連ねることを許されると、
安堵して息絶えるのでした。 

…要は、

おかるとの恋に溺れて
タイミング悪く仇討ちに参加できなかった勘平が、
仇討ちの資金調達をしようとしたところ
運悪く自分の義父を巻き込んでしまい、
挙句 義父は命を落としてしまう。

しかも盗んだ金は、
愛するおかるが自分のためを思って
身売りしてまで用立ててくれた五十両だった。

後悔に後悔を重ね、腹を切る勘平。

しかし、実はこの一連が勘違いであり、
それに気付いたときには勘平は虫の息…
最後の力を振り絞って、
仇討ちの血判に参加する、という場面。

だと理解しております!笑

これに続くのが、今回の七段目。
どんな展開になるのでしょう。

公式サイトによれば、

「由良之助の真意や平右衛門と妹おかるの胸の内が明らかになる」

とのこと。

まずいです、人間関係がわからないです…
筋書(※プログラム)を熟読するパターンですね。

ちなみに六段目に関しては、文楽のお話ですが
三浦しをんさんの『仏果を得ず』という小説に出てくる
主人公の解釈が非常に生々しくて好きです。



■観てみたい演目は?


本音を言えば、全部観たいですよ

夜の部は、中村勘九郎さんの二人のお子さん
勘太郎くん、長三郎くんが揃い踏みですし
(中村屋さんのドキュメンタリーでいつも癒されるお二人) 

二幕目の舞踊劇というのも気になる。

有名な忠臣蔵も、しっかり観ておきたい。

昼の部は、やはり踊りに惹かれますね。
中村七之助さん「近江のお兼」。 

あとは武士というものに心揺さぶられがちなので、
一幕目の「実盛物語」も気になっています。 


■どのチケットを買う?


もうこれは本当に、泣く泣く決断しました。

初心者が選んだのは、
昼の部・竹席でした。


決定の理由といたしましては、まず

土日が竹席以外売り切れていた。

チケット販売開始当日に買ったのに…
きっと座席数も少ないので、
先行発売(?)の時点から競争率がすごいのでしょうね…

そして、

全て観にいく金銭的・時間的余裕はない。

11月は、歌舞伎座だって魅力的だし
シネマ歌舞伎だって面白そう
なんです。

幕見という選択肢がない平成中村座、
どちらかに絞るしかない。

そうなったときに決め手になったのは、
私の場合は武士と踊りでした。

やっぱり馴染めそうなものが選びやすい
少しでも知っているものがあれば、
そちらにひかれてしまいます。

でも夜の部は夜の部で、
選んでいたとしても何の違和感もない決め手の豊富さ…

ああ、無尽蔵にお金と時間を使えたら。。


■まとめ


初めての平成中村座。
浅草に芝居小屋ができるというコンセプトだけで
わくわくしてきます。

とにかくどんな状況なのかが全く掴めないので
大変に不安ではありますが、
逆に経験としては学ぶことがたくさんありそうです。

迷いに迷って買ったチケット、
心の底から公演を楽しみにしています!