歌舞伎座で座席を選ぶのに、
私はいつも結構迷います。

決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんなわけで、
数ヵ月前の自分が参考にできるように
実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

第1回は、【1階席後方・左側】。二等席です。
揚幕(花道の出入口)より少し後ろで、
花道からは何列か離れた場所に座ってみました。





■歌舞伎座一階席後方からの見え方


一階席は、中列やや後ろ寄りくらいから
二階席が上に被さってきます

そのため、一階後方からの視界だと
舞台の上の方が二階席に阻まれます

舞台全体を見渡せないため、
やや見にくい、物足りないと感じる方もいるかもしれません。

また、一階席は傾斜が少ないため、
前の方の頭がかなり視界に食い込んできます。

以上より、一階席後方は
思ったよりも舞台の見え方が良くないと言えます。

しかし、花道の見え方はすばらしい

特に今回の席は、
花道を出ていく役者さんの背中を間近で見られました。
衣装も細かいところまで見えて、
特に先日の「助六」における揚巻の絢爛たる衣装は感動ものでした…✨

花道へ捌けてくる役者さんの表情が最後まで追えるのも、
一階席後方の特権だと思います。

ちなみに、オペラグラスを使うと
舞台上の役者さんたちの表情がとてもよく見えます
3倍で十分です。

一階席でオペラグラスっているの?と思っていましたが、持っていって良かったです!
周りにも使っている方が多くいらっしゃいました。


■歌舞伎座一階席後方の音響


音を楽しみたいならば、私は三階や幕見席を推します

上にも述べたように、
二階席が覆い被さっているため
上に抜けていく音を楽しめない

特に「チョン」という柝(き)の音、
要所要所で重要な役割を担うツケ打ちの音などは、
上の方の(お安い)席の方が
ずっと響きがいいです。

ですが!!

一階席は何がすごいって、
音を振動で感じられるんです!!

役者さんが花道を駆けていく音、
バタバタというツケ打ちの音など、
舞台の振動が客席にも地続きで伝わる

これは一階だからこその楽しみだと思います。

「あぁ、こんなに近くで芝居を見ているんだ!」
と実感できる、大事なポイントです。

 

■一階席の服装(洋服・着物)


自分が一番迷ったのはここかもしれない…

当たり前ですが、洋服の方も和服の方もいます。
いずれも「ちょっといいもの」をお召しの印象でした。

和服なら、
落ち着いた柄の柔らかい小紋
色無地が多かったかと思います。
訪問着の方もいらっしゃいました。

帯も金糸をあしらうなど品の良い袋帯
二重太鼓にしている方が多い様子。

紬やポリといった普段着るような着物は
浮いてしまう可能性が高いです!!

私は無難にオフィスカジュアルで行きました^^;


■一階席のいいところ


先程も書きましたが、
何せ振動が伝わってくる臨場感

そして役者さんの表情が見えるところです。

歌舞伎座が小さい劇場なのかと錯覚するほど。

衣摺れの音や、下駄が舞台と擦れる音、
役者さんの息遣いなど、
近いからこそ聞こえてくる音もあり。
(舞台写真の撮影音も聞こえましたが。笑)

もちろん一階前方や二階前方には敵わないと思いますが、
「こんなに近くで歌舞伎を観れた!」と
十分に感じられる席
だと思います。 


■まとめ


見え方に難があったり、
途中で舞台写真の撮影の音が聞こえたり、
音響的に物足りなさがあったりと、

金額の割に気になる点の多い一階の後方席。

しかし、私はこれだけのメリットがあれば
たまの贅沢をしてもいいかな、と思います。

三階や幕見席にしか座ったことのない自分にとって、
役者さんの表情や衣装があんなにはっきり見えるなんて、
こんなに間近に拝見して良いものだったなんて、

とにかく衝撃的でした…!!!

気になっている役者さんが出るとき、
しかも花道を絶対に通るとき、などは
一階席で楽しんでみるのも良いのではないでしょうか