この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
こんなに物を知らなくても歌舞伎を楽しんでいますよ
というのをお伝えできればと思っています。

毎年恒例・浅草の新春歌舞伎!

若手の役者さんたちが活躍する公演で、
公演前に役者さんのご挨拶があります(持ち回りかな?)。

歌舞伎にはまる前に一度行ってみたことがありますが、
演目もどれも気張らずに観られるもので
とても楽しい時間を過ごすことができました。
(ちなみにその日のご挨拶は坂東巳之助さん
親しみやすいお話とともに、なんと客席まで下りてきてくださいましたよ!) 

そんな新春浅草歌舞伎、
平成最後となる来年1月の公演について
無知をさらしてみたいと思います。

今回はちょっぴり調べてみたことも入れてみました! 

 



■新春浅草歌舞伎の演目は?


2019年1月、浅草公会堂での公演。
演目は以下の通りです。

【第1部】
一.戻駕色相肩(もどりかごいろにあいかた)
二.源平布引滝 義賢最期(げんぺいぬのびきのたき よしかたさいご)
三.芋掘長者(いもほりちょうじゃ)

【第2部】
一.寿曽我対面(ことぶきそがのたいめん)
二.番町皿屋敷(ばんちょうさらやしき)
三.乗合船惠方萬歳(のりあいぶねえほうまんざい)



うーん、ぎりぎり読めなくもないのですが、
こうも漢字が多いと読もうとしなくなりますね。。笑



■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【第1部】

「源平布引滝」
は、
今月の平成中村座でやっている「実盛物語」と
同じお話の別の部分ということですよね。

…だからって何が分かるわけではないんですけどね、笑
こういう小さなよすがが
「次も観てみよう」と思うきっかけになるのですよ!

あとは全くもって馴染みのない演目です。 

ですが、「戻駕色相肩」 の登場人物に
石川五右衛門と真柴久吉の名前があるので、
今月「楼門五三桐」を観ておくと
何となく親しみが持てるかもしれない。 


【第2部】

どの演目もうすぼんやりと聞いたことがあります!

「曽我対面」は、
大好きで何回も読んでいる小説『仲蔵狂乱』(松井今朝子)
しばしば出てくる演目です。

「番町皿屋敷」ってあれですよね、
一枚足りない話ですよね。
お菊さんが井戸から出てきてお皿を数える…
あの話を歌舞伎で春からやるんでしょうか?
でも他に番町皿屋敷ってないですよね、、(著しく不安)

と思っていたらやっぱり違うようなので、後述します。笑

「萬歳」は、今回のものは観たことがないのですが
踊りでいくつか観たことがあります。
(「●●萬歳」というさまざまな「萬歳」シリーズがあるようなので、
「萬歳」という一つの型みたいなものだと捉えればいいのでしょうか。
「三番叟」と同じようなものだと勝手に思っているのですが笑)



*現時点で知っていることは?


◇寿曽我対面


お話の筋はいまいち分かっていませんが、
曽我兄弟による仇討ちの物語で、
この「対面」の部分は重要な登場人物が一堂に会し、
曽我兄弟とその仇・工藤が
文字通り対面する場面
らしい。

お正月の定番の演目のようです。
歌舞伎座でも別の形で曽我物をやるようですね!

元を辿れば「助六」も同じ話(曽我物)なんだそうです。
歌舞伎の世界では、同じ話をもとに
いろんな展開で芝居が作られているので、
「まさかこれとこれがつながっていたとは!」
という関係性のお芝居が結構ある気がします。
 

◇番町皿屋敷


てっきりお菊さんがどろどろと井戸から出てきて
「一枚…二枚…」とお皿を数える話だと思っていたら、
その話を元に岡本綺堂が再構築したラブストーリーだったようです。恥ずかしい。

歌舞伎公式サイト 歌舞伎美人」に過去上演時の説明を見つけたので
引用させていただきます。
(※この説明のページにリンクします)

赤坂山王神社では、旗本で白柄組の青山播磨が、敵対する町奴の幡随長兵衛の子分から喧嘩を売られ、一触即発のところを播磨の伯母がこれを納めます。血気盛んな播磨のことを心配する伯母は、播磨の縁談を勧めようとします。しかし、播磨は腰元お菊と恋仲の関係で、その気はありません。
他方、播磨の屋敷では、縁談の噂話を聞いて不安になったお菊が、播磨の本心を確かめようと、家宝の皿を割ります。最初はお菊を許す播磨ですが、その後、お菊が故意に皿を割ったことを知った播磨は、自分の心を試されたことが許せず、お菊を手討ちにします。
皿屋敷伝説を踏まえながらも、近代の恋愛物語として新たにつくられた岡本綺堂の新歌舞伎をお楽しみください。

あの一枚足りない皿屋敷は伝説だったのですね…!
まさか新年から怪談をやるはずがないと思っていたので
これを読んで安心しました。笑


◇乗合船惠方萬歳


「太夫」と「才蔵」(←鼓を持っている方)2人の登場人物による
ご祝儀舞踊「萬歳」

2017年の日本舞踊協会公演が
5公演のうち3公演の最初の演目が「三番叟」だったのに対し、
2018年の同公演では4公演すべてが
「萬歳」から始まっていたことを考えると、
三番叟と同じくおめでたい演目だということが分かります。
そもそも「萬歳」という名前からして縁起が良さそう。

さらに「お正月」「乗合船」となると
そこはかとなく七福神的なにおいがしてまいります。
(全くの想像でものを言っていますが…)

登場人物も多く、華やかな舞踊になりそうですね!

***

全て第2部に偏ってしまった。。
しかも皿屋敷については
「現時点で知っていると思っていたら違っていたこと」ですしね。
いいんです。無知をさらす場なので


■観てみたい演目は?


上では触れなかったのですが、
「芋掘長者」ってとても平和な題名でいいですね!笑

と思って調べていたら、どうやらこちら、
十代目坂東三津五郎さんが、45年ぶりに新たに振りをつけて
平成17年に復活させた舞踊
とのこと。

それを1月は、ご子息の巳之助さんが踊られるのですね。

題名に惹かれて調べたら、
そんな大きな背景にぶつかってしまって、

ちょっとこれは観ておきたいな、と思い始めました。

そんなわけで、過去の「歌舞伎美人」に載っていた
「芋掘長者」のあらすじを載せておきます。
(※この説明のページにリンクします。「みどころ」からご覧ください。)

◆踊りが苦手な男の困った末の大一番
松ヶ枝家では、息女緑御前の婿選びの舞の会を催します。そこへ友達の治六郎とともに現れたのは、緑御前に思いを寄せる芋掘藤五郎。舞ができない藤五郎のために、面をつけた舞上手の治六郎が途中で入れ替り、藤五郎のふりをして見事な踊りを披露します。感心した緑御前から、藤五郎は面をとって踊るよう所望され…。
藤五郎が困った末に見せる芋掘踊りなど面白味のある舞踊です。平成17年歌舞伎座で十世坂東三津五郎が新たに振りをつけて45年ぶりに復活させた十世の思いがこもった作品です。

この「芋掘藤五郎」の役が巳之助さん
治六郎は中村橋之助さんです。
 

■どのチケットを買う?


現時点で知っていることからして
圧倒的に第2部を観に行く気まんまんでいたのですが、

上述の「芋掘長者事件」が起きまして、

絶賛迷い中でございます。。

チケット発売は11月20日(火)。
それまでに決められるでしょうか。。


■まとめ


まとめの前に、一つお伝えしたいことがあるのです。

一般的な歌舞伎の筋書(公演プログラム)はB5ですが、
少なくとも私が行った年の浅草新春歌舞伎の筋書は

A4でした! 

筋書を買う方は、大きめのお鞄があると良いかと思います。
この数年で筋書サイズダウンしていたらすみません。 

さて、まとめです。

今回も知らない演目ばかりでしたが、
例えば「曽我物はお正月の定番だよ」とか
「芋掘長者は三津五郎さんの思い入れのある作品だよ」とか
少しでも作品に近づけるような知識が入ると
ぐっと観に行ってみたくなりますね。

これからの「物知らずシリーズ」は、
そんな情報も少しずつ入れていけたらと思います。

ちなみに浅草新春歌舞伎は、歌舞伎座よりも少しお安め。
1等席でも9,000円で、一万円を切ります。
3等席ならば3,000円だそうです。

観劇の前後に、新年を迎えて賑やかな
浅草の空気を感じるのもいいかもしれませんね