この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
こんなに物を知らなくても歌舞伎を楽しんでいますよ
というのをお伝えできればと思っています。

物知らずシリーズ第5弾です。
おめでたい1月の歌舞伎座。もうそんな季節なのですね…。
先日鏡餅が売られているのを見つけ、軽いめまいを覚えました。

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■歌舞伎座 新春大歌舞伎の演目は?


1月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.舌出三番叟(しただしさんばそう)
二.吉例寿曽我(きちれいことぶきそが)
 鴫立澤対面の場
三.廓文章(くるわぶんしょう)
 吉田屋
四.一條大蔵譚(いちじょうおおくらものがたり)
 檜垣、奥殿

【夜の部】
一.絵本太功記(えほんたいこうき)
 尼ヶ崎閑居の場
二.勢獅子 (きおいじし)
三.松竹梅湯島掛額(しょうちくばいゆしまのかけがく)
 吉祥院お土砂の場
 四ツ木戸火の見櫓の場
  浄瑠璃「伊達娘恋緋鹿子」


いいですか、「一條大蔵譚」は「いちじょうおおくらものがたり」ですよ。
私は「いちじょうおおくらたん」だと長らく思っておりました。
ええそうです、「盟三五大切」もつい最近まで「めいさんごたいせつ」と読んでいた輩です(正しくは「かみかけてさんごたいせつ」)
電車内とかで口に出す前に気付けてよかった。。


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


正直なんだかどれも耳馴染みのある演目ばかりな気がしたのです。
しかしあくまで「気がした」だけでした。。

【昼の部】

「舌出三番叟」は、踊りを始めたばかりのころ見たことがあったと思います。
 
「吉例寿曽我」は浅草の新春公演(この記事)でやる「寿曽我対面」と同じものかと思ったら、登場人物が全然違うので、近寄れたと思いましたが後ずさりました。
 
「廓文章」「一條大蔵譚」は名前を聞いたことがあるのみで、内容は全く想像できておりませんが、
先日の中村屋さんのドキュメンタリーにて、中村七之助さんが「廓文章」の夕霧に抜擢された、というお話が出てきましたね。 


【夜の部】

「絵本太閤記」「勢獅子」も名前のみ。

「勢獅子」なんてしょっちゅう舞踊公演にかかるのに、何故だかいつもタイミングを逃して見られていないんです…
でも、よく体の動く方々が踊るような見ごたえのある踊りだと認識しております。笑

「松竹梅湯島掛額」は、横に小さく「伊達娘恋緋鹿子」の文字。
これは今月文楽で見に行くものでは…?!(この記事参照)
登場人物にも「お七」がいますね!


*現時点で知っていることは?


◇舌出三番叟


「三番叟」は、能に起源を発するご祝儀舞踊。お正月の幕開けにはぴったりなのだと思います。
「舌出」とある通り、三番叟役が途中でぺろっと舌を出すのです。

舞台で見たことがあるわけではないので、舌を出すのがちゃんと見えるのか分かりませんが、多分舌を赤く塗るのではないでしょうか。いずれにしても面白そうです!

確か曲も楽しかった記憶があります(自分もいつかやりたいと思ったので笑)。


◇松竹梅湯島掛額


「伊達娘恋緋鹿子」についてはこの記事で恥をさらしています。
恋する男のために娘が放火する、という話を元にした物語です。
12月に文楽で見るので、そうしたら詳細が分かるはず!

ただ題名が全然違うので、どこまでこれと同じなのかが分かりません。

***

これしか知らなかった…見たことがあるような名前の演目ばかりだったのに…


■観てみたい演目は?


演目というわけではないのですが、
「吉例寿曽我」に中村福助さんのお名前があるのです。
 
福助さんといえば、9月に「金閣寺」の慶寿院尼役で、5年ぶりに舞台復帰されたばかり。
ご病気をされる前の舞台は映像でしか見たことがありませんが、9月の舞台でお声の美しさと品の良さに感動し、初心者ながらご復帰が心から嬉しかった。
「吉例寿曽我」、幕見でもいいので見に行きたいですね。

昼の部は他に、踊り好きとしてやっぱり「舌出三番叟」は興味があるし、
私でも名前を聞いたことがある(=有名に違いない)お話を見ておきたい気もしています。

しかし夜の部も大変魅力的で、
2018年の公演だけでも何度も歌舞伎の魅力に気付かせていただいた中村吉右衛門さん
「名高大岡越前裁」での知性と気品にあふれた名奉行ぶりが忘れられない中村梅玉さん
「法界坊」での愛嬌とリズム感、後半の舞踊にやられた市川猿之助さんが、
各演目の主要な役で出演されるようです。
これはもう、私の個人的な歌舞伎一年目の総集編として素晴らしい三演目なのです…!

「松竹梅湯島掛額」、中村七之助さんの「お七」、見たいですねぇ…。

ちなみに先ほどからよく登場する12月の文楽「伊達娘恋緋鹿子」ですが、 
文楽と歌舞伎とで、同じ演目を同じ時期に見られるって面白いのです。
「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」がいい例で、6月に歌舞伎、9月に文楽で見た(この記事)のですが、
ちょっとずつ出てくる文化が違ったり、それぞれの良さが改めて分かったりして、とても勉強になるのです。

そして、舞踊公演でニアミスし続けている「勢獅子」!笑

 『日本舞踊ハンドブック改訂版』(藤田洋、三省堂、2001年)によれば、
「祭礼舞踊のエッセンスを存分に盛り込んだ、賑やかな一幕」とのこと。 

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そんなことを言われたら、今度こそ見逃したくないと思うに決まっているのです。笑


■どのチケットを買う?


夜の部は、3等でもなんでもともかく全て見たいと思っています。
昼は厳選して幕見の予定。

なにせ1月は浅草も行くし、国立劇場の方も面白いと聞いているのです。
本当は全て見られたらいいのですが、働く庶民には厳しい話。
いつかはそんな贅沢ができるようになりたいものですね…

(ちなみに国立劇場の公演の「物知らず」をやらないのは、基本的に毎回知らない演目をやっているからです。笑)


■まとめ


新年から歌舞伎を見にいくようになるとは、数年前には考えてもみませんでした。
歌舞伎好きとして迎える2019年が楽しみです。

しかし、歌舞伎の公演って本当に多いですね…!
とてもじゃないけれど追いきれない。
追いきれないからこそ、どれもこれも魅力的に見えてしまう。

来年は「選ぶ力」を養う一年にしたいですね。。