2018年ラスト観劇は、歌舞伎座・十二月大歌舞伎 夜の部Aプロの「二人藤娘」

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二人藤娘の写真がなかったよの巻

中村梅枝さん中村児太郎さんという、
Bプロの「阿古屋」を交代で演じていらっしゃる若手お二人による舞踊です。 

舞踊「藤娘」はもともと好きで、憧れの演目。
初めて見た日本舞踊は、サークルの先輩の「藤娘」のお稽古だったと思います。
こちらの記事で、その魅力にほんの一瞬だけ触れています。笑)

大まかに4つの場面で構成されているので(舞台中央の藤と松の裏に引っ込んだら場面転換です)、それぞれ振り返りつつ感想を語りたいと思います!


*出


真っ暗に照明が落とされ、「若紫に十返りの~」と長唄の声だけが響きます。
この暗さ、のちの華やかさをより際立たせる心憎い演出ですよね〜!
 
「松の藤浪~」でぱっと明かりがつくと、

本舞台と七三にそれぞれ美しい娘姿!!

塗笠をかぶり、花房のたっぷり下がった藤の枝を持って、綺麗な振袖の立ち姿。
それが一気に視界に飛び込んでくる、あの嬉しさといったら!
こちらのテンションも一気に上がります!!

ここからの曲も素敵で、視覚聴覚ともにとても満足な時間です。

この辺りすみません、見とれてしまった上にテンションの急上昇に頭が追いつかず、もはや覚えていません…。 
お二人ということで目も追いつかず。。
ひとまず雰囲気を大いに楽しんだ部分です。


*「男心の憎いのは~」


一度引っ込んだあと、衣装を替えて、今度は女心を表すしっとりした踊り。
女性らしさが全面に出てきて、お二方の美しさを堪能できるところでした。

指先の揃い具合とか、ちょっと首を傾げてお互いを見る感じとか、
細かいところが愛らしく、じっくり見入ってしまいます。

梅枝さんは「しっとりとした女性」な感じ、
児太郎さんは「かわいらしい娘」な感じ、という印象。
あくまで印象ですが。笑

***

ここからまた引っ込み、衣装を替えて次の「藤音頭」に続くのですが、
この舞台に誰もいない間の、三味線がとっても粋!
聴き惚れてしまいます。 

このように役者さんたちが準備をしている間の音楽は、準備の進み具合に合わせて長さを調節するのだそうです。
特に会話を交わすわけでもないのに、楽器の方みんな揃うのはどういうことなんだろう。掛け声とかが決まっているのでしょうか。

プロの技、かっこいいですよねぇ…


*藤音頭


ここの出だし、心から好きなんです!

軽快な三味線に合わせて、舞台中央の大きな松と藤の花の裏手から、
藤色の衣装に替えた娘が走り出てきて、舞台の上手と下手にご挨拶するんです。
もう素晴らしいサービスですよね!

二人だと、これが上手と下手に分かれてくれるので何だか嬉しい(笑)
「きたきたー!」とわくわくしてしまいます。

それぞれが上手と下手を入れ替わるとき、舞台中央で行き合いになる感じも「二人藤娘」ならではです。

お扇子もとても華やかでした!ぱっと開いたときに本当に綺麗。
赤と金のお扇子が藤色の衣装によく映えて、四階の幕見席からでも輝いて見えました。 

「藤音頭」は同じ節で二番まで歌詞があり、後半はお酒に酔って踊るところ。
「二人藤娘」では、ここがお互いにお酒を注ぎ合って酔う振りだったのですが、
 
お酒が入ると何でこう色気が出るんでしょうねぇ…
特にお扇子でうけて飲んだあと、「ふぅっ」という感じで酔う梅枝さんの美しさが忘れられない。

お二方とも結構酔いますが、酔いが深かったのは梅枝さんな印象でした。笑

それにしても児太郎さん、よく反りますねぇ…! 


*「松を植よなら〜」


ここから先がこの曲の中で最も好きなところ!
音楽が楽しくて華やかで、テンポもいいです。ぜひ耳を傾けてみてください。
日頃は洋楽しか聴かない人でもきっと好き。
お祭りでわくわくしてしまう人もきっと好き。 

ここは児太郎さんの一人踊りでした。
先の「藤音頭」で先に藤の裏に入っていたので、その間に衣装を替えているようです。
藤色の衣装の上半分を脱いで、赤い着物になっていました。
 
娘むすめしていて、よく動くこの部分の魅力がたっぷり!
 
「アア何としょうか、どしょかいな」という歌詞のところ、寝転がったまま手招きして人を呼ぶ振りだったのですが、ここがたまらなく可愛らしかったです。
自分が男で、あんな女性が近くにいたら、帰りがけでも「しょうがないなぁ」と言ってつい戻ってきてしまいそうです。笑
 

*最後


再び藤の枝を持ち、花道で少し踊ってから揚幕の方に引っ込みます。
 
ここで反ったまま回る振りがあるのですが、これが本当に美しかった…
児太郎さん、よく反りますねぇ…!(二回目)

***

当たり前ですがただ二人で藤娘を踊るのではなく、
二人の藤娘の絡みがあり、別の娘同士として踊る演目でした。

お二方それぞれの美しさ、可愛らしさが堪能できる20分だと思います! 

(欲を言えば、「松を植よなら〜」のところが本当に好きなので、あそこを二人で踊っていただきたかった…!)

踊り好きとしては、幸せでいっぱいです。
今年ラストの歌舞伎、この演目で締めくくれて何の悔いもありません。
(と言いつつ、映像ではまだあといくつか観る予定です。笑)

Aプロはあと二回、24日と26日です。
19:30からなので、お仕事終わりに幕見だけでもぜひ!