2019年初観劇の感想、第3段は「松竹梅湯島掛額」。
引き続き初心者なりの感想と楽しみ方をレポートします!

何度も言いますがすんごいジャギってる。泣
■初心者でも楽しめるのか?
楽しめます!
ほぼ現代の言葉で進むので、身構えずとも大丈夫です。
ほぼ現代の言葉で進むので、身構えずとも大丈夫です。
前半は、小ネタ盛り込みまくりのドタバタな展開に 楽しく身を任せていればあっという間。
後半は打って変わって、どこか恐ろしくなるような美しい舞踊を堪能できます。
「一粒で二度美味しい」一幕です!
■私はこう見た!ここが好き!
前半の「吉祥院お土砂の場」は、いろいろ言ってしまうと概ねネタバレになってしまうので、あまり多くは語れないのが残念なところ…。
娘・お七(中村七之助さん)の、出だしからのおっとり具合がいいです。
この場面のテンポ感にいまいち合わずに何だか浮いてしまう感じが楽しい。笑
そのお七を幼い頃からよく知って、何気無く面倒をみてくれているのが紅長(市川猿之助さん)。
この紅長、セリフを言っていないときもお七の後ろで何かしらちょこまかしているので見逃せません!!
お七の恋人・吉三郎(松本幸四郎さん)と紅長との絡みは、どうやら毎日セリフが変わっている様子。
お芝居の中にはときどき、役関係なしに役者のネタがぶっこまれることがあるのですが、
私が観に行った日も「紅長が吉三郎に絡んでいる」のではなく「猿之助さんが幸四郎さんをいじっている」流れで、幸四郎さんも笑いがこらえられていなかったように見えました。笑
「お土砂」というのは、「土砂を洗い、真言宗の秘法で祈祷したもの」で、「振りかけると人の体も心も柔らかくなる」(以上筋書より引用)というありがたい(?)ものです。
「お土砂の場」の後半はこの「お土砂」がどたばたな展開を巻き起こす、愉快な時間でした。
さて、怒涛の笑いどころラッシュの中で、誰よりも嵐を巻き起こしていたのは何と言っても長沼六郎(中村松江さん)。
もうこれは本当にネタバレにしかならないので何も言えないのですが、
現代の流行をネタとして歌舞伎に取り入れるとこうなるのか、歌舞伎役者の声や体のキレはすごいな、というのが真面目な感想。
もっと気負わずに言えば、「どこまでもぶっとんでいらっしゃる…!」という感じでしょうか。笑
それぞれに笑わせどころの多い前半の中で、圧倒的なボリュームでした!
***
娘・お七(中村七之助さん)の、出だしからのおっとり具合がいいです。
この場面のテンポ感にいまいち合わずに何だか浮いてしまう感じが楽しい。笑
そのお七を幼い頃からよく知って、何気無く面倒をみてくれているのが紅長(市川猿之助さん)。
この紅長、セリフを言っていないときもお七の後ろで何かしらちょこまかしているので見逃せません!!
お七の恋人・吉三郎(松本幸四郎さん)と紅長との絡みは、どうやら毎日セリフが変わっている様子。
お芝居の中にはときどき、役関係なしに役者のネタがぶっこまれることがあるのですが、
私が観に行った日も「紅長が吉三郎に絡んでいる」のではなく「猿之助さんが幸四郎さんをいじっている」流れで、幸四郎さんも笑いがこらえられていなかったように見えました。笑
「お土砂」というのは、「土砂を洗い、真言宗の秘法で祈祷したもの」で、「振りかけると人の体も心も柔らかくなる」(以上筋書より引用)というありがたい(?)ものです。
「お土砂の場」の後半はこの「お土砂」がどたばたな展開を巻き起こす、愉快な時間でした。
さて、怒涛の笑いどころラッシュの中で、誰よりも嵐を巻き起こしていたのは何と言っても長沼六郎(中村松江さん)。
もうこれは本当にネタバレにしかならないので何も言えないのですが、
現代の流行をネタとして歌舞伎に取り入れるとこうなるのか、歌舞伎役者の声や体のキレはすごいな、というのが真面目な感想。
もっと気負わずに言えば、「どこまでもぶっとんでいらっしゃる…!」という感じでしょうか。笑
それぞれに笑わせどころの多い前半の中で、圧倒的なボリュームでした!
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後半「四ツ木戸火の見櫓の場」はがらりと雰囲気が変わり、場面を理解できるような芝居のあとは、ほとんどがお七の踊りになります。
この舞踊、「人形振り」といって、人間でありながら人形のような動きで踊るのですが(最近でいうと昨年12月の「阿古屋」で、岩永が人形振りでした。「阿古屋」の感想はこちら)、
これが空恐ろしいくらい人形でした。
人形になってからの表情のなさが、物凄さを生み出しているのでしょうか。。
手先の動き方、立ち座りの体重移動の仕方、首の振り方なんかが本当に人間離れしていて、見入ってしまいました。
後ろを向いて、衣装などの支度を整えてもらっているときも、抜け目なく人形です。
首筋に人間味がないというか、陶器の置物のよう。
髪をさばいてからの勢いもまた凄くて、表情と動きの柔らかさを殺しているからこそ生まれる迫力がありました。
正直、本当の人形はもっと人間らしい。
「人形振り」の方が、よっぽど「人形的」です。
この「人間が人形になっている」という不自然さ、設定自体の恐ろしさが、
恋ゆえに突っ走る娘のちょっとした不気味さというか恐ろしさというか、そういうものを醸し出している気がします。
■これさえ押さえれば楽しめます
以下に挙げるのは、観劇してみて
「初めてでもこれが分かっていれば楽しめそうだな」
「これを知っていればもっと楽しかっただろうな」
というのをまとめてみたものです。
★大体見せ場では、
「待ってました!」「〇〇屋!」という掛け声がかかります。
この声を頼りに、舞台にぐぐっと注目!
先述の通り、筋が分からなくてもとりあえず流れに身を任せれば大丈夫な演目だと思います。
一応設定を理解しておくとすれば、
【お土砂の場】
・出だし、お七たちが逃げ込んでくるお寺の小姓・吉三郎がお七の心を寄せる相手。
・しかし身分の問題もあって、この恋のハードルは相当高い。
・美人のお七なので、いろいろ横槍が入る。紅長はどうにかお七と吉三郎を添わせてあげたい。
【火の見櫓の場】
・吉三郎は、実は紛失した家宝「天国の短刀」を探している身。見つからなければ切腹。
・その「天国の短刀」を持っている人物・武兵衛は今、お七の家にいる!
・お七は何とかしてこの短刀を吉三郎に渡し、切腹から救いたい。
・にもかかわらず、江戸はすでに閉門の時間。木戸は絶対に開かない=短刀を渡せない。
・唯一木戸が開くのは火事のときだが、火事を知らせる太鼓をむやみに鳴らすと重刑に処せられる。
くらいのことが分かっていれば安心かな、と思います。
■まとめ
筋書のコメントで、猿之助さんが
「他愛もない話ですから、お客様には頭を柔らかくして初笑いを楽しんでいただければと思います」
とおっしゃっている通りです。
あまり考えず、構えずに行っても満足できるはず!
もともと先月に文楽の方でお七を観ていたのですが、そのイメージで観に行くと前半に度肝を抜かれます。笑
後半の舞踊は人形振りということもあり、文楽を観ておいてよかったな、と思いました。
演出の違い、人形だからできることと人間だからできること、など。。
来月は文楽で「阿古屋」も観られます。歌舞伎では人形振りで演じられる岩永、文楽だとどうなのでしょう。興味深いです。
本題からはずれましたが、気負わずに歌舞伎を楽しめる演目です。
初心者にもやさしくて、新年早々明るい気分で歌舞伎座からの帰途についたのでした。