始まりました、にっぽん文楽in明治神宮!!

過去何度かやっていたのを行き損ねていたので、楽しみにしておりました。

まずは一発目、「日高川入会花王(ひだかがわいりあいざくら) 渡し場の段」から。
会場への行き方や雰囲気も含めてレポートします!



1.にっぽん文楽・会場の様子


原宿駅・表参道口または明治神宮駅を出て、道沿いに右に回り込みます。
すぐに見えてくる「神宮橋」をそのまま渡れば、もう会場です!

こちらは神宮橋のあたりから撮った一枚。

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数日でこの舞台を完成させるのはすごいですよね!

さて、有料の座席は、3人がけのベンチが3つ横に連なったのが、左右2ブロック。確か前後は7列程度だったかと思います。
今日座ったのは前から4列目くらい。舞台も床もとっても近いです!

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よく見ると、舞台の上には「にっぽん文楽」の文字が!

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右手奥には、明治神宮の鳥居が見えます。

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み、見えますか…??笑

お土産やさんやお酒売り場は、床の右側
今回は覗きませんでしたが、お酒を飲みながらの観劇の方もたくさんいらっしゃいました。
寒い日は温かい甘酒なんかいいですね~。

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お手洗いは会場外です。
再入場には半券が必須なので、なくさないようにお気を付けください!

このお手洗いが地味に遠くてですね、私は鳥居の右の通りをまっすぐ行った左側のところを使ったのですが、急いで歩いて片道5分、普通に行けば8分くらい。

劇場のように「直前に行けばいいや」ができません!ご注意を!

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客席に屋根はありません。
冬だからとうっかりしていたのですが、晴れの日は焼けます
そして、晴れの日は舞台を見るのが眩しいです!!


2.「日高川入相花王」初心者でも楽しめたのか?


楽しめます!

この場面だけであれば物語はいたってシンプルで、
「好きな男を追ってきた女が、男に拒まれ、嫉妬のあまり鬼形の蛇体となって川を渡り、男をさらに追っていく」
ということが分かっていれば大丈夫かと思います。

男に「追ってくる女を舟に乗せないように」と言い含められた船頭が、女・清姫を渡すのを拒む。
間接的に男に拒まれた清姫は嫉妬に狂い、蛇になってまで後を追う、という話。

「ガブ」といって姫の顔が一瞬で鬼の顔になる演出が見せ場で、視覚的にとてもインパクトが強く、通りすがりの立ち見でも「おぉっ!」となると思います。


3.「日高川入相花王」感想


「安珍さまいのう」という清姫(人形:吉田勘彌さん、太夫:豊竹呂勢太夫さん)の、初っ端の詞。
このときの清姫にはまだ、一人の恋する女の子、という雰囲気が感じられます。
「男(安珍)を追ってくる」という時点でかなり重くて危なっかしい女ではありますが、その中に純粋な恋心があるように思えるのです。

しかし船頭(人形:吉田簑紫郎さん、太夫:豊竹睦太夫さん)の話す内容をじっと聞いたあと、だんだん言動に怒りと恨みが滲み始めます。
肩脱(かたぬぎ、片方の袖を脱いで「役の性格や心理の変化を表す」演出(「歌舞伎事典」昭和58年、平凡社))になって、足元を流れる川を覗きこんだあたりから、どんどん不穏な気配が漂い始めます。
 
それもそのはず、覗きこんだ川面に映る姿はもう蛇になっているのです。 

満月の夜、川面に映った自分の姿が蛇になっている…なんと不気味な。
そしてそれほど動じない清姫がまた恐ろしい。

「取り殺さいでおかうか」(取り殺さないでおかれようか) という清姫の詞、あぁもう彼女は完全にあちらの世界に行ってしまった…と。

清姫が川に飛びこんだあたりから、いよいよ見せ場です。
日高川の波がざんぶざんぶと荒れます。
その波間に見え隠れする清姫…

かと思いきや、また波に隠されてからぱっと見えた姿が蛇体の鬼になっているのです!

川を渡り終え、向こう岸に上がるときは清姫の姿。
よろついて柳の木に掴まり、ラストはまたガツンと鬼の形相になって終わります。

怖ぁ。。

公演が始まる前の解説で、豊竹咲寿太夫さんが「ダークファンタジー」とおっしゃっていましたが、全くもってその通りですね。。


4.まとめ


「山の端にさし昇る隈なき夜半の月影」「足元の明(あか)い内とっとと去(い)ね」というのが聞こえてきたので、まだ明るさの残っている日暮れ時が舞台なのでしょう。(床本はこちらで見られます。 )
せっかく屋外での公演なので、設定と時間帯を合わせて観てみると、また雰囲気が出ていいのかなぁと思いました。

夜の闇が迫り、だんだんと暗くなっていく中で浮かび上がる鬼の顔…

文楽を見慣れてくると、お人形を見て「かわいい!」としか思えなくなるのですが、子供の頃ってあのお人形、少し怖かったと思うのです。
その人形の持つ独特の不気味さというのが、夜だと浮かび上がってきそう。

劇場の音空間の中で味わうのも大好きですが、屋外でどこまでも広がっていく音もまたかっこいいですね。
晴天の下の浄瑠璃、何だか爽やかで、しゃんとしました。

青空文楽、楽しいです!