第2回はこちら▶︎【日本舞踊】習った曲を振り返ってみる②梅にも春
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3曲目は「紅葉の橋」。
多分、踊ったのは紅葉の季節だったんでしょうね。
3曲目は「紅葉の橋」。
多分、踊ったのは紅葉の季節だったんでしょうね。
季節に合わせた曲のセレクトができるのも、日本舞踊の楽しいところです。
今までの2曲よりも少しテンポが早く、明るい印象の曲です。
先生が私の踊り口を見て、「あなたはこういう曲が合うと思う」と選んでくださった曲でした。
たった2曲しか踊っていないのに、個性がもう出てくるんですね。
それを活かして曲を選んでくださる先生の、引き出しの多さに今更ながら驚き、尊敬の念を新たにするのです。
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この曲、自分の中では「やっとん祭り」でした。笑
やっとん、というのは何かというと、踏むリズムとでも言えば良いのでしょうかね、
やっとん、やっとん、やっとんとん
というリズムが、日本舞踊には非常によく出てくるのです。
「やっ」のところは溜めて、「とん」で踏みます。
溜めて、と書きましたが、ここでお扇子を打ったり、手を打ったり、膝を打ったりしてリズムを取ることが多いです。
溜めて、と書きましたが、ここでお扇子を打ったり、手を打ったり、膝を打ったりしてリズムを取ることが多いです。
確か「梅にも春」にも出てきたと思うのですが、「紅葉の橋」には特にたくさん出てきました。
これ、できるようになると何だか楽しいんです!
自分でリズムが取れている、音に乗って踊れている、という気持ちよさ。
何せ音が聞き取れないところからのスタートだったので。笑
踏むところ、お扇子を打つところ、とにかく音に合わせて踊る楽しさを実感した一曲です。
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歌詞はこんな感じ↓
紅葉の橋の たもとから
袖を垣根の 言伝に
ちょっと耳をば かささぎの
霜もいつしか 白々と
積もるほどなほ 深くなる
雪をめぐらす 舞の手や
ヨイヨイヨイヨイ ヨイヤサ
縁語、掛詞が多用されているのがお分かりいただけると思います!
橋の袂と、袖の袂。
「袖を垣根の」は「袖をかき合わせる」からの流れでしょうか。
「耳をばかささぎの」は「耳を貸す」からの「かささぎの」ですね。
そんな歌詞の楽しみ。
そうです。
この頃には歌詞が聞き取れるようになっているんです!
少しずつではありますが、やっと邦楽に耳が慣れてきた。
音が聞き取れるということは、覚えやすさにも、踊る楽しさにも繋がってくると思います。
かささぎって何で出てくるんだろう、と思って調べてみたら、
七夕にはかささぎが、天の川に橋を渡すという伝説があるようで。
さらに言えば、紅葉の橋も「古今和歌集」(秋上)に有名な歌があったんですね。
天の川 紅葉を橋に わたせばや 七夕つめの 秋をしも待つ (よみ人知らず)
そしてやはりこちらも七夕の歌です。
こういうちょっとした知識が、歌詞を通して増えていくのもまた嬉しい。
七夕の季節感で始まった歌ですが、季節が移ろい、冬で終わります。
これも3分くらいの短い曲ですが、風情があるなぁと思いました。
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振りは、さっきの「やっとん」に加え、
かささぎの橋のところで波を表現する振りがついていたり、
雪が積もるところで手を重ねていくような振りがついていたり、
いろんな方法で歌詞を表現できるんだな、というのが改めて感じられた曲でした。
あとね、細かい話なのですが、
この曲、初めて「奥から走って出てくる」振りだったんです。
今まではどうかというと、
例えばお辞儀をしたところから始まったり、後ろを向いているところから始まったりと、
すでにその場にいるところから踊り始めるパターンでした(幕が開いたときに舞台にいることを「板付(いたつき)」といいます)。
曲が始まってから出ていく、という踊りは初めてだったんです。
たかだかこれだけでも、ちょっと進歩した気分になれるというか(別に関係ないとは思うのですが笑)、
また新鮮な気持ちで踊ることができます。
こういう少しずつの変化や、新しいこととの出会いが、どんどん私を日本舞踊にはまらせていったわけです。笑