さぁ、始まりましたよ!今月の歌舞伎座は秀山祭!!

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今月一発目の観劇は、「お祭り。梅玉さんの鳶頭が観たくて観たくて。

鳶頭に若い者が絡み、芸者が絡み、途中に太鼓の演奏が入り、曲も明るく楽しく、ただただいい気分で観られる踊りです!

13:15〜13:33と20分弱の観やすさに加え、幕見席なら500円でチケットを入手できるという手軽さ!

「筋が難しそうで…」となかなか歌舞伎観劇への一歩が踏み出せない方でも、あまり考えずに雰囲気を楽しめる一幕なのではないかと思います。

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今月の絵看板。鳶頭(左下)と芸者(右上)の、すっきりした一枚です。




■初心者でも楽しめるのか?


うっかりここに書くべき内容を最初に書いてしまいましたね…

楽しめると思います!
それほど長くない踊りですし、曲も最初から華やかで明るく、いろんな場面があるので飽きにくいのではないでしょうか。

何より20分で、500円で観られるというのがポイントで、特段あらすじを気にする必要もないので、だいぶハードルは低いと思います


■私はこう見た!ここが好き!


やっぱり中村梅玉さん鳶頭がすっきりとしていてかっこよかったです!
 
この踊りの最初の好きなところが、鳶頭が出てきてじきにあるセリフ。

大向う(客席から舞台へ掛け声をかける方たちのこと、この記事参照)からかかる「待ってました!」の掛け声に、鳶頭が「待っていたとはありがてぇ」と答えるんですが、
このやりとりが何でもなくて、本当に言われたから答える、という感じの自然さで、さらっとしていて素敵でした!
「おぅ、待っていたとは…」とおっしゃっていたように聞こえて、この「おぅ」のところにその自然さがあったのかな、と思います。

「待っていたとはありがてぇ」というセリフではありますが、きっと待たれ慣れているんだろうなぁという余裕を感じました。笑

梅玉さんの鳶頭の粋な感じはちょっとしたところに表れます。

例えば、笠を置くところ。
普通に置いているわけなのですが、ちょっと手先にさばさばした感じがあって、絶妙だなぁと思いました。

それから着物を直すところ。
こういうのも、役によって仕草が変わると思うのです。
今回は鳶頭なので、江戸っ子らしく(江戸っ子がどんなだかいまいち分かっていませんが)ちょいっと軽く直していらっしゃいました

お扇子をざらっと開くところなんかも、軽くて小気味良くて素敵!

そんな鯔背(いなせ)な鳶頭に絡むのは、二人の芸者お駒中村魁春さん)とお萬中村梅枝さん)。

お駒とは馴染みが深そうな感じがありました。
実のご兄弟でいらっしゃいますもんね。笑
魁春さんの、ちょっと気の強そうな雰囲気のある女方が好きです。

一方梅枝さんの方は、なめらかで柔らかい雰囲気の芸者
守ってあげたくなってしまう系女子だなぁと思いました。

梅枝さん・梅玉さんのお二人で踊っているところの歌詞で、「庄屋ぽんぽん狐拳〜♪」というところ、リズムが楽しくて好きです。笑
手も狐の形にするんですよ!ちょっとした楽しいポイント。

その後には鳶頭が太鼓を叩くところがあったりして、清元も調子よく、明るい気分になれる展開です。

最後にはぞろぞろと出てきた若い者たちと鳶頭の絡みになるのですが、華やかですねぇ!
鳶頭を中心に、お祭りの道具を持った若い者たちが放射状に広がって決まる舞台の鮮やかさ

最後まで見せ場が詰まっていて、今月一発目はとても幸せな時間となりました


■まとめ


今月の物知らずシリーズ(こちら)に「観るたびに演出が違う気がする」という旨のことを書いたのですが、
筋書を観ると「この度は、ここへ婀娜な芸者が絡んでの踊りとなります」(p.13)とあるので、やはり演出に大きな決まりはないようです。
上演記録(p.66〜68)を見てみても、鳶頭だけだったり、芸者だけだったり、絡みに鳶の者が出たり手古舞が出たり、かなり多様

いろいろな演出を楽しめるのも、踊りのいいところだと思っています。

芸者二人や鳶頭が客席の上手、下手、真ん中にご挨拶してくれる拍手ポイントも何度かあって、一緒になって盛り上がって楽しめる演目だなぁと思います。
やっぱり踊りが好きだな、という気持ちを新たにした一幕でした!