あーもうすっかり旬が過ぎてしまいましたよ…ばたばたしているうちに楽日が過ぎ去り、もう数日で團菊祭の幕開けですね…
いや!でもですね、ちゃんと感想を残しておきたい舞台だったのです。
時間の流れに惑わされずに、臆せず書いた次第です。
まずは4月の名ポスターから。
尾上菊五郎さんの白井権八(しらい ごんぱち)と、
本当に4月はポスターが素晴らしく良かった。
職場の最寄りの駅にも掲示されていて、毎日眼福でした。
***
さて、「御存」と言われつつ初めてこのお芝居を観たのですが、お話自体もとても好きでした。
権八と長兵衛の二人の場面が、兎にも角にもかっこいい。長兵衛の大きさがたまらない。
前半のだんまりの立廻りは、なかなかどう捉えたら良いものか迷うのですが。笑
斬られる側、かなりコミカルなんですよ。
グロテスクな場面をコミカルにしてしまうというか、あれは「お化け屋敷は一歩間違えるとコメディになってしまう」というのと近い気がします。
ここはごちゃごちゃ考えずに、素直に笑って観ればよいところなんでしょうね!笑
そして斬られる側のおかしさとのギャップよ。。
これに続く場面、無言なのですが、たまらなくかっこよかったところです。
花道から登場する一挺の駕籠。
権八は中に人がいると知らず、この駕籠の提灯で自分の刀に問題がないか確かめます。
何ということはない場面かもしれないのですが、立廻りの「動」のあとに来るこの淡々とした「静」、血なまぐさいはずなのに美しくて、どきどきしながら見入ってしまいました。
舞台から遠く離れた客席で観ているのに、ここはすごくクローズアップされた権八の姿として記憶されています。それだけ素敵だったんだと思います。
もう一箇所、前後してしまいますが長兵衛が権八の刀を検めるところがあって、ここも絵面としてとても美しく、張り詰めている権八を長兵衛の厚みが包んでいる感じがして非常に好きでした。
ここはごちゃごちゃ考えずに、素直に笑って観ればよいところなんでしょうね!笑
さて、そんな滑稽味溢れる場面の中で、淡々と涼しげに斬っていく権八(菊五郎さん)。
すっと立った姿、若い者なのですが緊張感と強さとが漲ります。
いやぁ…痺れますね。やっぱり菊五郎さんはかっこいい。 すっと立った姿、若い者なのですが緊張感と強さとが漲ります。
そして斬られる側のおかしさとのギャップよ。。
これに続く場面、無言なのですが、たまらなくかっこよかったところです。
花道から登場する一挺の駕籠。
権八は中に人がいると知らず、この駕籠の提灯で自分の刀に問題がないか確かめます。
何ということはない場面かもしれないのですが、立廻りの「動」のあとに来るこの淡々とした「静」、血なまぐさいはずなのに美しくて、どきどきしながら見入ってしまいました。
舞台から遠く離れた客席で観ているのに、ここはすごくクローズアップされた権八の姿として記憶されています。それだけ素敵だったんだと思います。
もう一箇所、前後してしまいますが長兵衛が権八の刀を検めるところがあって、ここも絵面としてとても美しく、張り詰めている権八を長兵衛の厚みが包んでいる感じがして非常に好きでした。
さて、駕籠に乗っていたのは、江戸はもちろん中国にまで知られた侠客・幡随院長兵衛(吉右衛門さん)。
長兵衛と権八の交わす、二人だけの会話がまた良いのです。
長兵衛、絶対にこの芝居において最も凄い人物なんですが、ずっと軽く流して笑っている。
長兵衛と権八の交わす、二人だけの会話がまた良いのです。
長兵衛、絶対にこの芝居において最も凄い人物なんですが、ずっと軽く流して笑っている。
こんな夜中に、何が起きていたかも全て分かった上で、大事が起きたと思わせない長兵衛の大きさですよね。
個人的に最も長兵衛に惚れるのは、落ちていた手紙を燃やすところ。
この手紙、権八の素性が分かるもので、そもそも先ほどの斬り合いも、この手紙に「お尋ね者の権八を捕らえれば褒美がもらえる」とあったのがきっかけだったわけです。
この手紙、権八の素性が分かるもので、そもそも先ほどの斬り合いも、この手紙に「お尋ね者の権八を捕らえれば褒美がもらえる」とあったのがきっかけだったわけです。
そんな重要な手紙、騒ぎのあとで破れていたとはいえ、少し読めば当然意味が分かるのです。
しかし、長兵衛は「権八っつぁんの苗字も確か…」という台詞で、お前の素性は分かったよ、ということだけさりげなく伝えて、何でもない顔をして手紙を握りつぶし、火をつけて川に捨てる。
唸るなぁ…あれは役として純粋にかっこいいし、吉右衛門さんの余裕と大きさもあるのだと思います。
こんな書き方しかできないのは、私に比較対象がないからなのですが。。
でもとにかく本当に本当にかっこよかったということだけは記しておきたい!!
こんな書き方しかできないのは、私に比較対象がないからなのですが。。
でもとにかく本当に本当にかっこよかったということだけは記しておきたい!!
手紙を捨てた川面に、敵の姿が映るのを認めた長兵衛の、「切っておしめえなせえやし」というセリフ。
冷静に考えれば非道かもしれませんが、この流れを見てくると何ともすっきりと聞こえるので不思議ですね。。
それを受けて間髪入れずに斬る権八。
斬った相手を長兵衛が、脱いだ着物でひょいとひっくり返す。
長兵衛はいかにも「ただ着物を背負い直しただけ」という感じで、特に何の力も入れていないんですよね。
軽ーくなんだけど、圧倒的に強いのがあの一振りで分かる。 冷静に考えれば非道かもしれませんが、この流れを見てくると何ともすっきりと聞こえるので不思議ですね。。
それを受けて間髪入れずに斬る権八。
斬った相手を長兵衛が、脱いだ着物でひょいとひっくり返す。
長兵衛はいかにも「ただ着物を背負い直しただけ」という感じで、特に何の力も入れていないんですよね。
最後、暗かった舞台がぱっと明るくなります。
筋書にもありましたが、権八の心が晴れたのを表すかのようで、清々しいですね!
筋だけでいえば、物騒なところも多い話だと思うのです。
でも、抜群にかっこよくて、緊張感があって、惹かれた。
筋だけでいえば、物騒なところも多い話だと思うのです。
でも、抜群にかっこよくて、緊張感があって、惹かれた。
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以前映像で、お二人の「浜松屋」を観たのです。
弁天はもちろん菊五郎さん、そして吉右衛門さんが南郷。
もうたまらないんですよ。このお二人の間の空気感が。
そのお二人がこんなに絡むのを生で観ることができたこと、そして初めて観るこの(「御存」と言えてしまうレベルの)有名な演目をこの配役で観られたこと。
本当に幸せな時間でした。
さて、来月の團菊祭では、丑之助くん初舞台でお二人が共演なさいます。(團菊祭の物知らずはこちら)
今からとても楽しみです