ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

2019年08月

物知らずが行く歌舞伎#12〜八月納涼歌舞伎(歌舞伎座)今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年半の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
初心者の無知っぷりと、この1年半でちょっと学んだことを、
背伸びせず、恥ずかしがらずにお伝えできればと思っています。


物知らずシリーズ、更新速度がどんどん遅くなってまいりました。初日は目の前です。わたくし、お尻に火がついております。

さて、八月納涼歌舞伎は三部制。
各部が少しずつ短い分、いつもよりちょっぴりお安いお値段で観ることができます
一番手軽な3階B席3,000円です。

※ご参考までに、3階B席からの見え方はこちら↓




全演目の見どころなどは、すでに公式サイトに掲載されていますのでそちらをご参照いただき、
「歌舞伎公式総合サイト 歌舞伎美人」八月納涼歌舞伎の情報はこちら)(当方またもや完全なる出遅れ)
ここでは「歌舞伎初心者、こんな感じの予備知識で観に行きますよ!」というのを晒します!

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■歌舞伎座 八月納涼歌舞伎の演目は?


8月の歌舞伎座。
演目は以下の通りです。

【第一部】
一.伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)
 御殿/床下
二.闇梅百物語(やみのうめひゃくものがたり)

【第二部】
東海道中膝栗毛(とうかいどうちゅうひざくりげ)

【第三部】
新版 雪之丞変化(しんぱん ゆきのじょうへんげ)


「伽羅先代萩」を「めいぼく〜」と読むのを知ったときには、知識人の遊び心に驚きもしたし、半ば呆れもしました。笑
伽羅(きゃら)って、名木の誉れ高い香木ですよね。 だからって。。

ちなみに私、学生時代に一瞬だけ香道の講座に通いました。
伽羅の香も度々聞かせていただいたはずですが、 他の香木との違いがいまいち掴めていない。。
とりあえず、少しスパイシーさのある、甘い香りだったことは何となく記憶しております。(※多分他のものもそう) 


■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【第一部】

「伽羅先代萩」は、NHKEテレ「にっぽんの芸能」で、いつだったか坂東玉三郎さんが語っていらっしゃったのを覚えています。
核となる女方の役・政岡の演技について。
お芝居として観たことはありませんが、名前とうっすらとした展開は分かる…気がしております。 
 
「闇梅百物語」は、映像でちらりと…。
おばけがいろいろ出てきて踊るやつ、というぼんやりとした知識です。笑 


【第二部】

松本幸四郎さん・市川猿之助さんのタッグでシリーズでやっているものですよね。
どれも観たことがないのですが、十返舎一九の原作をもとに、いつも楽しそうな舞台が展開されていることだけは存じております
 

【第三部】

これは「新版」とあるように新たな演出でやるようなのですが。。
そもそもの「雪之丞変化」は、初めて聞く名前でした。


*現時点で知っていることは?


◇伽羅先代萩


先述の通り、テレビで玉三郎さんが語っていらしたのを観たくらいしか分かっていませんが。。

要はお家騒動もので、政岡(今回は中村七之助さん)は自らも一人の母でありながら、幼君・鶴千代中村長三郎くん)を守るために、未だ幼い自らの息子を犠牲にするのです。
政岡の一子・千松中村勘太郎くん)も、自分のすべき役目は分かっていて、進んで鶴千代の身代わりになります。

そして愛息が息絶えても、あくまでその家に仕える者として、すぐに素直に悲しみを表に出すことができない。

そんな一人の女性の心の内を、役者としてどのように表現しているかというのが、番組で語っていらした内容でした。

本当にね、当ブログでは何度も言っているのですが、歌舞伎に出てくる女性たちは強すぎる、無理をしすぎる。。

おそらくこの場面を含むお話かと思います。


◇闇梅百物語

本当にもう、先述の「おばけがいろいろ出てきて踊るやつ」というくらいしか知らないのですよ。笑

でも配役を見ているだけで、骸骨、傘一本足、河童…と何やらにぎやか。
夏にはぴったりの演目なのではないでしょうか!


ちなみに、百物語というのは「怖い話大会」のようなものだったようです。
何人かで集まり、行灯に百本の灯心を入れ、ひとつ怖い話が終わるごとに一本ずつ抜いていき、最後の一本が抜かれて真っ暗闇になったときに、化け物が現れるとされていたとのこと。

百物語って幽霊の話ばかりかと思っていたのですが、 江戸当時はどちらかというと不思議な話が中心だったようです。
「因果応報というような由来のはっきりするものでなく、説明のつかない怪異や不気味さが多く語られ」たそうです。『一日江戸人』杉浦日向子、平成17年、新潮文庫) 
 

一日江戸人 (新潮文庫) [ 杉浦日向子 ]

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***

はい、そして第二部と第三部の演目にいたっては何も知らないという。

元気いっぱい物知らず。 


■観てみたい演目は?


これはもう、私は何よりも「伽羅先代萩」でした。

七之助さんの政岡、玉三郎さんからどのように引き継がれていったのでしょう。
たかだかテレビでほんの一部を垣間見ただけですが、少しでも知ったあとだと観劇欲が高まります!
それから、三月の「盛綱陣屋」(感想はこちら)で堂々たる小四郎を演じていらした勘太郎くんの千松。
長十郎くんの成長ぶりも気になるところです 
パパが大河ドラマでご活躍の間に、ご兄弟は舞台で大活躍ですね!

そして「闇梅百物語」
やはり今の季節に楽しいものは楽しんでおきたいな、というのはありますね。笑

「東海道中膝栗毛」は、スピンオフの上映があったり、前作がシネマ歌舞伎になっていたりと、盛り上がっている様子。
私はいずれも観ていないのですが、先日の三谷かぶき(感想はこちら)を観るにつけても、幸四郎さんと猿之助さんのコンビは絶対楽しい
宙乗りもあるようです。

さて、ここまで全くと言っていいほど触れていない「新版 雪之丞変化」ですが、これは幕見もかなり並ぶのでは?と思っています。

何せ!玉三郎さんなので!!

「歌舞伎美人」内のこちらの記事に詳しいですが、映像を用いつつ、実演と織り交ぜて展開するようです。
どんな演出になるのでしょう…?納涼ならではの実験的作品になるのでしょうか。
その前にこの記事内のお写真の隙のなさを見て。


いずれにせよ、また絞れないひと月がやってくることは間違いありません。笑


■どのチケットを買う?


白状しますと、すでに一部はチケットを買いました。幕見で我慢できる気がしなかった。。
とはいえ決して「いいお席」ではありませんが。笑

二部と三部も幕見で観に行くのではないかと思います。 

さて、冒頭に「ちょっとお安く観られる」 ということを書きました。
確かに各部だけ抜き出して観れば、お安く観られるのは間違いありません。

しかし、二部制のときを考えると、全て幕見で通した場合、4,000円×2部で8,000円。
今回はおそらく幕見の通しが3,000円だと思うので、すべて通すと3,000円×3部で9,000円。

・・・。

商売上手めー!!!笑 


■まとめ


先月はいろいろと忙しくしておりまして、ブログの更新はおろか、歌舞伎は一度も観に行けず…
現在狂おしいほどに、劇場の空気と歌舞伎を求めております。笑 

そんな8月は、ハードルを感じずに気軽に観に行けそうな演目が揃っているなぁという印象です。 
「難しい!」と感じる可能性があるのは、先代萩くらいではないでしょうか。
あとは現代の感覚で楽しめるものなのではないかと踏んでいます。

いや、でもだからと言って、古典の演目を勧めないわけでは決してないのです。
むしろ古典に、よく分からなくても圧倒的な力を感じたりするよな、と日々思っています。 

…ちょっと話の方向性がずれてしまったのですが

8月は幸いお休みも多くいただけるので、先月分を取り返すように歌舞伎を観たい!!
歌舞伎座の空気に浸りたい!!!


夏の暑さの中で幕見席に並ぶ恐ろしさを、私はまだ知りません。
いらっしゃる方はどうぞお気をつけて…!

「日本の素朴絵」展@三井記念美術館に行ってきました!


久方ぶりの更新になってしまいましたー!!
8月に入っちゃいましたよ…納涼歌舞伎が始まってしまう…

物知らずも7月分以来更新していないまま、ついには10月の芸術祭の情報まで出てしまったわけですが、めげずに歌舞伎ではない記事を更新します。笑 

はい、行ってきました。
「日本の素朴絵」展!

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素朴なゆるいタッチの立体作品・絵画作品を集めた、目の付け所の楽しい企画です。

▶︎三井記念美術館のサイトはこちら
▶︎展覧会公式サイトはこちら

*** 

会場のそこここから笑いが漏れ聞こえてくる、温かみのある展示。
私は金夜に行ったのですが、平日に疲れた心をじんわり溶かしてくれるような内容で、ちょっと癒されました。笑

金曜日のみ、17:00から18:30までの入館が1,000円と、通常より300円お安くなっています 

印象に残っているものをいくつか。
画像は載せられないので、どこまでお伝えできるか分かりませんが。。


*小さい仏像

白鳳時代から平安時代のものが主でしょうか。

名前のついた有名な仏像じゃなくて、手のひらに乗りそうなくらいのサイズの仏像が割と好きです。
どこに置かれていたのか分かりませんが、誰かの信仰は得ていたはずの小さな仏さまたち。
どれもとてもいいお顔をしているのです。

確かに表現としては素朴で、拙いところもあるのかもしれませんが、だから劣っているとは思えず。
むしろそういう姿だからこそ、身近な拠り所となり得た部分もあるんじゃないかと思います。 


*つきしま絵巻

もうこれはすごい。すごいとしか言いようがない。
独特なふんわりタッチの人物たちが、これでもかと登場します。

絵のレベルで言えば、何と言いますか、授業中の落書きと言いますか…
その割に、着物の柄なんかにはこだわりも見られて。結構凝っている。

あの画力で見事に描き切ってしまう、その力技が圧巻です。  

冷静な解説の文章も秀逸でした。笑

ちなみに、当然この物語自体は文字で書き残されていて、絵はあくまで挿絵なわけなのですが、字の方は書き慣れた読みやすい(たぶん)字でした。
字を書くのと絵を描くのは、やっぱり全然違うことなんですね。
 

*勝絵/海幸山幸の絵
 
両方とも題名を忘れてしまったのですが、この二つの絵巻はもう、やられます
 
うわぁこの絵にこんなにスペース使っちゃって!という感じでのびのびと描かれた絵。
内容はさることながら、堂々たるものです。 

想うままに描かれた風情で、巧まれていない分、破壊力があります
衝撃が走りました。
 

*くたへ(=件)
 
内田百間の小説で有名な、想像上の動物「件(くだん)」。
牛の胴体に人間の顔がついていて、人々に何らかの予言をもたらした後、数日後に死んでしまうという不気味な生き物です。

これが、何と展示にあったのですよ。

ぬらっとしてぶっきらぼうに描かれた黒い胴体に、のぺっとした女性の顔がついてるんですよ。

何かこう、リアルに描かれるよりかえって怖い
夢に出そうです。。


*なかきよ

「長き世の 遠のねぶりの みな目ざめ 波乗り舟の 音の良きかな」という、上から読んでも下から読んでも同じになる歌があります。
新年は、この歌が書かれた宝船の絵を枕の下に入れて寝るという、吉夢を見るおまじないがあったようですね。
長唄「宝船」も、この歌に始まってこの歌で終わります。

で、この歌の書かれた絵(16世紀だったか)があったのですが、これがなぜ印象に残っているかというと、歌が知っているものと違ったんです。

「とおのねぶりの」が「とこの(床の?)ねぶりの」になっていて、
当然「おとのよきかな」は「ことのよきかな」に。

まぁそれでも何となく意味は通じるかなぁとは思うのですが、いろんな伝承があったんですかね…?

絵自体よりも、歌の異同が気になってしまった作品でした。 


*雲水托鉢図

展示の後半は、本来であればちゃんとした絵が描ける人たちの、あえての素朴絵。
南天棒の「雲水托鉢図」も、その中にありました。
 
托鉢をするお坊さんたちが、ゆるやかなカーブを描いて並んでいます。
その表情が何とも愛嬌たっぷり!
これはもう、どんなグッズにしても絶対にいい感じになる作品だと思います。 

思わず、

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買っちゃいました。やっぱり。

裏はこんな感じ。

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何も入れていないと裏が透けるの、かわいいですよね。
ちなみにこのファイルはA5です。チラシを半分に折って持ち帰るのにちょうどいいサイズ。 

***

ここに書かなかったものも、いろいろ印象に残っています。
顔がないのに表情豊かな付喪神、守備力のなさそうな狛犬、どことなくシュールな地獄絵図。。 

後半の展示以外は特に後世に残った絵師ではないはずですが、こんなに印象に残る絵を描けるのは、それはもう立派な絵師であると言って良いのではないでしょうか。
むしろ「素朴絵師」という新しい職種名を名乗っていい気がします。

「美術館」というとどうしても「理解しなきゃ!」「良さを分からなきゃ!」という気持ちが生まれてしまうのですが(本来全くいらない力みではありますが)、
この企画に関して言えば、やわらかな心ひとつあれば十分に楽しめるかと思います。

素朴絵、いい企画でした!


***

余談ですが…

三井記念美術館は、東京駅や神田駅、日本橋駅、三越前駅などから歩ける、東京のど真ん中のような場所にあります。
周りの建物も立派で趣があるところばかりで、街歩きも楽しい!
アンティーク着物なんかがとても似合いそうです。

展示室に上がるのはこんなエレベーター。

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素敵ー!!!!

こっくりとした木の壁の展示室も重厚感があります。
建物だけで、私は十分にテンションを上げることができました。笑
 


プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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