ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

歌舞伎座座席レビュー

歌舞伎座座席レビュー【3階席後方 編】

実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。笑

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

*** 

第5回は、【3階席後方】
チケットで言えば「三等B席」、4,000円のお席です。

あくまで個人的な意見ですが、歌舞伎初心者、歌舞伎座は初めて、みたいな方には割とおすすめです。

・幕見のように、チケット購入に煩わしさがない
・幕見よりも落ち着いて観られる
・歌舞伎座の中ではもっとも手頃な値段
・お土産やさんも近い

と、他の席と比較したときのメリットは結構あるのです。

ちなみに、4,000円は幕見席を通しで観たときと全く同じお値段。
一つ前のブロックに当たる「三等A席」は6,000円です。

前方の席(三等A席)、幕見席とも比較しながら、詳しく見ていきます!

【関連記事】
▶︎歌舞伎座座席レビュー【3階席前方 編】
▶︎歌舞伎座座席レビュー【幕見席 編】





■歌舞伎座三階席後方からの見え方


三階の後ろからは、こんな風に舞台が見えます↓

IMG_20190613_122440


今回は三等席の最後列、かなり舞台下手(向かって左、西側)寄りのお席。
 
花道は、七三がぎりぎり見える程度で、この位置で踊ったりきまったりするのは比較的よく見えました
何人も並ばれると後方の役者さんはほぼ見えませんが、前から二人くらいならば何をしているかちゃんと見えます。 

ちなみに、同じく下手寄りの三階前方席から(三等A席)の見え方はこんな感じ↓

IMG_20190106_195527


三階は傾斜がきついので、同じ「三等席」でもかなり見え方が違います
A席、写真で比較してみるとやっぱり舞台に近いです。
A席とB席の間にある2,000円の差はそれなりに大きい…!

同じく比較として、幕見席からだとこんな感じで見えます↓

IMG_20181116_154421

これは上手寄りのお写真なのでちょっと比較が難しいのですが、それでもやっぱり、後方であっても三等席の方が舞台には近いですよね。

先述した通り三階と幕見席は傾斜がきつく、一列違うだけで座ったときの目線の高さが随分と変わるのです。
三等席は空きが少ないのですが、可能な限り前の方の席を取ることをおすすめします!

実感としても、幕見席からたかだか2列ほど前に出ただけなのに、役者さんたちの表情の見え方が違いました。

***

舞台は全体が見渡せる位置
大道具によっては上の方が見えにくいこともありましたが、概ね問題ありません。
舞台上方に吊ってある花なんかも、ちゃんと見えましたよ! 

そしてこれは三階に限った話ではありませんが、花道をよく見たい場合は各ブロックの花道寄りの座席を確保するのがおすすめ! 
みなさん花道を見ようとして結構身を乗り出すので、自分よりも花道寄りに人が少ない方が、視界を遮られることが少なく見やすく観劇できるかと思います。 

三階席後方は、オペラグラスがあった方が絶対に楽しめます!
視力が1.0くらいあれば、役者さんのお顔も一応見えます。しかし小道具や衣装、より繊細な役者さんたちの表情を目に焼き付けておきたい、という場合はオペラグラス必須です。
倍率は3倍程度でも十分ですが、6倍あるとより細かいところまで確認できます。 

※これより下、三階前方席の情報とほぼ変わりません。
 

■歌舞伎座三階席後方の音響


個人的に音響は、三階がベストです!

セリフも問題なく聞こえる、
すべての音が上の階の座席に遮られることなく響く、
そして大向こうのかけ声が近い。

劇場全体の音をサラウンドで聞くことができる、楽しい席です。

四階の音も好きなのですが、ほんの少しセリフが聞き取りづらいことがあります。

 

■三階席の服装(洋服・着物)


日によるのかもしれませんが、私が行った日は洋服の方が多かった印象です。
お着物の方は、新春公演は小紋に二重太鼓の方をよく見かけましたが、普通の日はざっくりしたの方も。
でも紬って私は全然理解できていないので、もしかしてものすごく高級なものだったのかもしれません…!

男性のお着物の方もいらっしゃいました。粋ですね!素敵です。

それから女性の方で、半幅帯をお洒落に結んでいらっしゃる方も。「格」に凝り固まらなくてもいいのかもしれません。

注意したいのは、座席の前が狭めなこと。
前を人が通るときには、一度立ち上がる必要があります。
荷物は少なめ、立ち座りが簡単な服装が望ましいかと思います!
(ちなみに、ロッカーは劇場地下一階と三階にあります。) 

私はかなりカジュアル寄りのオフィスカジュアルで行きました。 


■三階席のいいところ


観やすさと音の良さは先述の通りで、これに加えて重要なおすすめポイントがあります。

三階席は、めでたい焼を買うのに最も適した席なのです。

週末は売り切れ続出のめでたい焼。
中に紅白の白玉が入った、ボリュームたっぷりの鯛焼です。
幕間に合わせて焼いているので、焼きたてのほやほや、サクサクの状態で購入することができます。
 
これ、三階でしか売っていないのです。

三階に降り立った瞬間、幕間に扉が開いた瞬間、鼻腔をくすぐるあの甘く温かく香ばしい香り。
あれを嗅いだらもう、買わずにはいられない。

三階席なら、すぐに売場にアクセスできます。買いたければ、幕間になったら速攻で並びましょう。
売り場は三階西側席(舞台向かって左側)の方向です。「西扉」が最も近いです。
数量限定ですが、5個以上なら予約もできるようです。 

この他にも三階廊下にはお土産やさんが並び、観劇以外のところでも大いに楽しめます
お菓子から雑貨まで、充実のラインナップです。 


■まとめ


三階の後方、三等B席のレビューでした。

私自身、初めての歌舞伎座はたぶんこの席だったと思います。
オペラグラスも知識も何も持たずに丸腰で臨みましたが、歌舞伎の音が聞こえて、そう遠くない目の前で役者さんたちが芝居をしている、その興奮は忘れられません。

そういう記憶があるので、
初めて観たときは「思ったよりも舞台が近い」と感じたのだと思います。 

***

今後この席を買うとしたら、私ならこんなときかなぁと思います。

・全幕通しで観たいとき
・幕見で観て良かったので、腰を据えてもう一回観たいとき

一般的なOLなので、それほど観劇にお金をかける余裕はないのです。
そのため基本的にはいつも幕見なのですが、いかんせん幕見は、 自分の席があらかじめ決まっていないのでなかなか落ち着かない。
自由席なので、確保した座席にちゃんと荷物を置いておかないと、休憩時間にうかうか席も離れられず。笑 

三等B席は早くに売り切れてしまうことが多いお席ですが、幕見と同じくらい気軽に、幕見よりゆったりした気持ちで観られる、貴重な席だと思っています。
 

歌舞伎座座席レビュー【3階席前方 編】

実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。笑

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

*** 

第4回は、【3階席前方】
いわゆる「三等A席」という、6,000円のお席です。

やっぱりこの辺りが一番好きだなぁ、というのが現時点での印象。 
どうやら人気の席のようで、売り切れてしまっていることもしばしば…。

左側、右側どちらでも観劇してみたので、詳しく見ていきたいと思います! 





■歌舞伎座三階席前方からの見え方


左側からの見え方はこんな感じです↓

IMG_20190106_195527

花道は、七三がぎりぎり見える程度
でも幕見席より距離が近いこともあって、この位置で踊ったりきまったりするのは比較的よく見えました
何人も並ばれると後方の役者さんはほぼ見えませんが、前から二人くらいならば何をしているかちゃんと見えます。 

今度は右側からの見え方↓

IMG_20190209_103755

同じく七三がぎりぎり。
左側と同じような具合ですが、花道から遠い分、左側よりも花道が見にくいかもしれません。

どちらも、舞台は全体が見渡せる位置
大道具の感じによっては上の方が見えにくいこともありましたが、概ね問題ありません。
幕見席よりずっと舞台が近いです!
(幕見席編はこちら

傾斜は一階・二階よりもきつくなっています。
前の方の頭に遮られる部分もないわけではありませんが、丸かぶり、ということはないはずです(前傾姿勢で観られてしまうときついですが…)。 

そしてこれは三階に限った話ではありませんが、花道をよく見たい場合は各ブロックの花道寄りの座席を確保するのをおすすめします! 
みなさん花道を見ようとして結構身を乗り出すので、自分よりも花道寄りに人が少ない方が、視界を遮られることが少なく見やすく観劇できるかと思います。 

三階席前方も、オペラグラスをおすすめします!
視力が1.0くらいあれば、役者さんの表情まで見えることは見えますが、それでもやはり細かいところは遠い。小道具や衣装の様子を見たい、表情をよりはっきり拝みたい、という場合はオペラグラスが必要だと思います。
倍率は3倍程度でも十分ですが、6倍あるとより細かいところまで確認できます。 


■歌舞伎座三階席前方の音響


個人的に音響は、三階がベストです!

セリフも問題なく聞こえる、
すべての音が上の階の座席に遮られることなく響く、
そして大向こうのかけ声が近い。

劇場全体の音をサラウンドで聞くことができる、楽しい席です。

四階の音も好きなのですが、ほんの少しセリフが聞き取りづらいことがあります。
その点、三階前方は比較的舞台に近いのでありがたいです。 

 

■三階席の服装(洋服・着物)


日によるのかもしれませんが、私が行った日は洋服の方が多かった印象です。
お着物の方は、新春公演は小紋に二重太鼓の方をよく見かけましたが、普通の日はの方も。
でも紬って私は全然理解できていないので、もしかしてものすごく高級なものだったのかもしれません…!

男性のお着物の方もいらっしゃいました。粋ですね!素敵です。

注意したいのは、座席の前が狭めなこと。
前を人が通るときには、一度立ち上がる必要があります。
荷物は少なめ、立ち座りが簡単な服装が望ましいかと思います!
(ちなみに、ロッカーは劇場地下一階と三階にあります。) 


■三階席のいいところ


観やすさと音の良さは先述の通りで、これに加えて重要なおすすめポイントがあります。

三階席は、めでたい焼を買うのに最も適した席なのです。

週末は売り切れ続出のめでたい焼。
中に紅白の白玉が入った、ボリュームたっぷりの鯛焼です。
幕間に合わせて焼いているので、焼きたてのほやほや、サクサクの状態で購入することができます。
 
これ、三階でしか売っていないのです。

三階に降り立った瞬間、幕間に扉が開いた瞬間、鼻腔をくすぐるあの甘く温かく香ばしい香り。
あれを嗅いだらもう、買わずにはいられない。

三階席なら、すぐに売場にアクセスできます。買いたければ、幕間になったら速攻で並びましょう。
売り場は三階西側席(舞台向かって左側)の方向です。
数量限定ですが、5個以上なら予約もできるようです。 

この他にも三階廊下にはお土産やさんが並び、観劇以外のところでも大いに楽しめます
お菓子から雑貨まで、充実のラインナップです。 


■まとめ


現時点で私は三階席が一番好きです。
まだ「推し」がいないので(そしてあまり作る気もないので)、「○○さんを近くで観たい!」というよりも「舞台全体を楽しみたい」と思うからでしょうか。
そうは言ってもいざ一階二階に行ってみると、その近さに興奮するのですが。笑

音良し、見え方良し、幕間の楽しみ良し。

歌舞伎座の中では手頃な方に位置する席ですが、心からおすすめです。
 

歌舞伎座座席レビュー【2階席後方・右側 編】

実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。笑

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

*** 

第3回は、【2階席後方・右側】。二等席にあたります。
竹本が近かった!!





■歌舞伎座二階席後方からの見え方


見え方はこんな感じです↓

2階の見え方

舞台のてっぺんが、ちょうど三階席の端っこと重なるくらい。
つまり上の階の座席によって、舞台が遮られることはありませんでした。

役者さんもとても近くに見え、表情や細かい所作までよく分かります。

舞台上に高い建物が出現したときは、その上層階が真正面に来ます
このときは「楼門五三桐」を見ましたが、「絶景かな」の石川五右衛門は本当に真ん前でした!

一階と同様、傾斜は緩やか。
前の方が身を乗り出してしまうと、とても見にくくなってしまいます
特に花道はみなさん乗り出しがちだったので、隙間から辛うじて見える程度でした。

二階に限った話ではありませんが、花道をよく見たい場合は各ブロックの花道寄りの座席を確保した方が良さそうですね。 

それから大事なところ!
最初にも書きましたが、二階席は竹本の座る床が近く、よく見えます!
ちょうど座席と同じくらいの高さだったのかもしれません。
それを思うと、二階席は「音楽を担当する方たち」を見るにはとても良い場所なのではないかと思います(舞台自体の見え方も良いので、もちろん長唄・清元の見え方もばっちり)。

二階席でも、オペラグラスがあるとより一層楽しめます!
周りにも使っている方が多くいらっしゃいました。


■歌舞伎座二階席後方の音響


二階席は、どういう音の流れか分かりませんが黒御簾(舞台向かって左の、囃子や効果音等を演奏する場所)の音がよく聞こえました!
幕見席では聞こえなかった音がしたり、いつも聞いている音がもっとクリアだったり。
なぜなのでしょう…音響学の方に教えていただきたい… 

それから、もはや耳タコですが竹本が近いので、あの迫力が目でも耳でも楽しめます

三階席が上を覆っているので、確かに音はこもりがちではあるのですが、
一階後方席と比べると、高さがあるからかこちらの方が良かった気がします。

二階席で強く感じたのは、拍手の音がこもること。
会場全体の拍手が何だか遠くて、二階席の拍手が単体で聞こえてくる感じでした。
「二階席」という室内にいるような感覚になりました) 

劇場全体の盛り上がりを感じたいならば、もしかするとやや物足りないかもしれません。

 

■二階席の服装(洋服・着物)


日によるのかもしれませんが、私が行った日は洋服の方が多かった印象です。
一階席ほど気張ってはいませんが、気を配った服装という感じ。

もちろんお着物で行っても何ら問題はないかと思うのですが、
この日は和装の方が多くはいらっしゃらなかったので、格などの観察ができず…。
後日補足いたします。申し訳ございません。。

ちなみに私は「友達と週末にちょっとお出かけ」くらいの洋服で行きました。


■二階席のいいところ


花道が見えづらい、傾斜が少ない、など不便はあるのですが、
そうはいってもやはり役者さんがとても近く見えます! 
本舞台全体をちょうどよく俯瞰するにはベストなのかな、と思います。

同じ「役者さんが近い」でも、一階は振動を感じられたり衣擦れの音まで聞こえたり、という物理的な近さですが、
二階は感覚的な近さというか、舞台を絵として眺めるときに、一番うまく額縁に収まる距離感、といった感じです。


■まとめ


一階後方席と同様、傾斜の少なさや音のこもりはやや気になるのですが、
そのデメリットを「舞台全体の見え方」の面で補ってくれる席でした。

普段三階や幕見から、オペラグラスにすら目を凝らして見ている者としては、
やっぱり二階席もちょっとした贅沢なのです!

役者さんが正面できまるときの視線の高さがちょうど二階くらい、と聞いたことがあります。
今回は後方席でしたが、前の方に座ると他の階とはまた違った迫力を感じられそうですね!
いつか前の方に座ってみたいものです。

最後になりましたが、
二階に上がる階段の踊り場に川端龍子による「青獅子」の日本画が飾られています。
迫力のなかにどこか愛嬌があるこの獅子、ゆっくり眺められない踊り場にあるのはもったいないのですが、二階に上がる際はぜひ階段を!

歌舞伎座座席レビュー【幕見席 編】

実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

観劇は決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんな気持ちから、なかば自分のために始めてみた企画です。

徐々に更新していく予定。
少しでもお役に立てれば幸いです。

*** 

第2回は【幕見席】
第1回からの落差がすごいですがその辺はご愛敬で…
一番座ったことの多い席です。笑

通路も狭くて、前に人を通す度に立ち上がらなくてはなりませんが、
実はメリットも多いと感じているので、ご紹介します。





■歌舞伎座幕見席からの見え方


こんな感じです↓

IMG_20181116_154421

幕見席2列のうちの後列、
右から2番目のブロック・右寄りからの眺め。

かなり角度はありますが、
舞台は全体が見渡せます。

花道は七三がギリギリ見える程度で、
舞台近くできまってくれれば見えますが、
大勢で花道にずらりと並ばれてしまうとアウトです😅

それに加え、舞台がせり上がってしまうと
上の方は見にくくなるかもしれません。

でも意外と見えますよ!

客席の傾斜が急なので、
前の方の頭に視界を遮られることは比較的少ないと言えます。

ちなみに前列と後列なら、
後列が断然おすすめ!
前列は、私の座高だと手すりに視界を邪魔されます。
 

幕見席はオペラグラス必須です!
なしでも見えることは見えるし、舞台全体を見たいときなど、あえてオペラグラスを使わないこともありますが、舞台上でどんなことをしているのか細かく見るには絶対必要です。
倍率は3倍でも十分ですが、この先も観劇生活を楽しみたいのであれば、6倍くらいのものを持っておくと良いと思います。


■歌舞伎座幕見席の音響


一階席のときも書きましたが、
音を楽しみたいならば、私は三階や幕見席をおすすめします

上を遮るものがないので、
特に拍子木の音などは上の席の方がよく響くのです。

同じ理由で、客席の拍手の音も三・四階が一番響きます。
一斉にわーっと拍手が起きたときなんか、
それだけで大きな効果音に感じられますよ。

あとは、何といっても大向こうの方の存在
 
「◯◯屋!」「待ってました!」という大向こうのかけ声が、とても好きです。
「歌舞伎に来ている」と感じられる、一つの大事な要素だと思います。
幕見席は、このかけ声がとても近いのです。
 
幕見や三階席をうろうろしている者にとっては
一階、二階はかけ声や会場全体の拍手の音が何だか遠くて、
観客としての臨場感というか、その空間に参加している感じが
ちょっとだけ物足りなかった。贅沢ですが笑

幕見席は舞台から一番遠い席なので、
役者さんによっては声が聞こえないこともあるのですが、
基本的にはそれほど気にせず見られると思います。
 
思えばマイクなしで、多くのお客さんの服に音を吸収されながらも
幕見席まで届く声で演技をするって、凄いことですよね…。

 

■幕見席の服装(洋服・着物)


割と自由です。

カジュアルな服装の方もたくさんいらっしゃいますし、
かしこまった服でも浮くことはないかと思います。
他の客席と隔離されているので、その分自由度が高い気がします。

着物の方も少数派ですが、いらっしゃいます。
私が見たことがあるのはやわらかい小紋の方ですが、
もうちょっと気軽なものでも行けるのではないだろうか、と探り中です。
さすがに半幅帯は見たことがありませんが…。

ただ、先述の通り通路が狭く、
自分の前をぎりぎりで人が通ることも少なくないため、
着物はやや動きにくく、着崩れの心配もあるかもしれません。


■幕見席のいいところ


「一幕だけ見られる」利点については別記事(こちら)で述べたので割愛して、

幕見席は「観客として空間に参加できる」席だと思います。

いや、もちろんどの席だってそうに違いなく、
舞台に近い方が臨場感が増すのも当然なのですが、

客席全体が見えて、客席全部の拍手が聞こえて、
大向こうの声がすぐ近くからばんばんかかる。
客席全体の音を全て集められる貴重な席だと思います。


■まとめ


狭い、売店がない(自動販売機のみ)、
当日券のチケット販売の待ち時間が長い、など
粗を探せばいくらでも出てくる幕見席。

ですが、一長一短あるのはどの席も同じこと。
実は総合的に見て、他の席に大きく劣るわけではないのではないでしょうか。

一階・二階席での観劇経験が少なく、
あまり正確な比較はできないのですが、
何だかんだで、私はこの席が好きです。笑

快適な席をちゃちゃっとゲットして、
オペラグラスを用意し、
気楽な気持ちで観劇を楽しみましょう!

 

歌舞伎座座席レビュー【1階席後方・左側 編】

歌舞伎座で座席を選ぶのに、
私はいつも結構迷います。

決して安いお金じゃないから、
なるたけ見やすく、楽しめる席がいい。

しかしどこがどんな様子か
さっぱり見当がつかない!

そんなわけで、
数ヵ月前の自分が参考にできるように
実際に座ってみた歌舞伎座の座席を
場所ごとにレビューしてみよう!という企画です。

第1回は、【1階席後方・左側】。二等席です。
揚幕(花道の出入口)より少し後ろで、
花道からは何列か離れた場所に座ってみました。





■歌舞伎座一階席後方からの見え方


一階席は、中列やや後ろ寄りくらいから
二階席が上に被さってきます

そのため、一階後方からの視界だと
舞台の上の方が二階席に阻まれます

舞台全体を見渡せないため、
やや見にくい、物足りないと感じる方もいるかもしれません。

また、一階席は傾斜が少ないため、
前の方の頭がかなり視界に食い込んできます。

以上より、一階席後方は
思ったよりも舞台の見え方が良くないと言えます。

しかし、花道の見え方はすばらしい

特に今回の席は、
花道を出ていく役者さんの背中を間近で見られました。
衣装も細かいところまで見えて、
特に先日の「助六」における揚巻の絢爛たる衣装は感動ものでした…✨

花道へ捌けてくる役者さんの表情が最後まで追えるのも、
一階席後方の特権だと思います。

ちなみに、オペラグラスを使うと
舞台上の役者さんたちの表情がとてもよく見えます
3倍で十分です。

一階席でオペラグラスっているの?と思っていましたが、持っていって良かったです!
周りにも使っている方が多くいらっしゃいました。


■歌舞伎座一階席後方の音響


音を楽しみたいならば、私は三階や幕見席を推します

上にも述べたように、
二階席が覆い被さっているため
上に抜けていく音を楽しめない

特に「チョン」という柝(き)の音、
要所要所で重要な役割を担うツケ打ちの音などは、
上の方の(お安い)席の方が
ずっと響きがいいです。

ですが!!

一階席は何がすごいって、
音を振動で感じられるんです!!

役者さんが花道を駆けていく音、
バタバタというツケ打ちの音など、
舞台の振動が客席にも地続きで伝わる

これは一階だからこその楽しみだと思います。

「あぁ、こんなに近くで芝居を見ているんだ!」
と実感できる、大事なポイントです。

 

■一階席の服装(洋服・着物)


自分が一番迷ったのはここかもしれない…

当たり前ですが、洋服の方も和服の方もいます。
いずれも「ちょっといいもの」をお召しの印象でした。

和服なら、
落ち着いた柄の柔らかい小紋
色無地が多かったかと思います。
訪問着の方もいらっしゃいました。

帯も金糸をあしらうなど品の良い袋帯
二重太鼓にしている方が多い様子。

紬やポリといった普段着るような着物は
浮いてしまう可能性が高いです!!

私は無難にオフィスカジュアルで行きました^^;


■一階席のいいところ


先程も書きましたが、
何せ振動が伝わってくる臨場感

そして役者さんの表情が見えるところです。

歌舞伎座が小さい劇場なのかと錯覚するほど。

衣摺れの音や、下駄が舞台と擦れる音、
役者さんの息遣いなど、
近いからこそ聞こえてくる音もあり。
(舞台写真の撮影音も聞こえましたが。笑)

もちろん一階前方や二階前方には敵わないと思いますが、
「こんなに近くで歌舞伎を観れた!」と
十分に感じられる席
だと思います。 


■まとめ


見え方に難があったり、
途中で舞台写真の撮影の音が聞こえたり、
音響的に物足りなさがあったりと、

金額の割に気になる点の多い一階の後方席。

しかし、私はこれだけのメリットがあれば
たまの贅沢をしてもいいかな、と思います。

三階や幕見席にしか座ったことのない自分にとって、
役者さんの表情や衣装があんなにはっきり見えるなんて、
こんなに間近に拝見して良いものだったなんて、

とにかく衝撃的でした…!!!

気になっている役者さんが出るとき、
しかも花道を絶対に通るとき、などは
一階席で楽しんでみるのも良いのではないでしょうか


プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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