超 今 更 ! ! ですが、国立劇場の9月文楽公演、感想第二段です。
第一弾はこちら↓
8月に女流義太夫で聴いた「酒屋の段」(感想はこの記事)。
「…愚痴なと人が笑はうが俺や可愛い不便(筆者注:不憫)にござる。可愛うござる╱ ╲ ╱ ╲ ╱ ╲わいなう」
去年患ったときにいっそ死んでおけば…と悶えながら泣くお園に、やっぱり胸が痛みます。どうかそんなこと言わないで…。
8月に女流義太夫で聴いた「酒屋の段」(感想はこの記事)。
あのときは省略された(?)丁稚のもとに子供が預けられるくだり、酒屋のあとの半七・三勝の心中のくだりも加わり、2時間近くの公演でした。
以下、心に残ったポイントをぽつぽつと。
※カッコ内は以下の通りです。
役名(人形主遣い)、(太夫/三味線)
以下、心に残ったポイントをぽつぽつと。
※カッコ内は以下の通りです。
役名(人形主遣い)、(太夫/三味線)
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前半、丁稚(文哉さん)がかわいいですねぇ。
頬杖をついて、隣の家のお稽古の様子に耳を澄ます様子とか、何かする度に主人に「阿呆」と言われてしまう間抜けさとか、愛らしいです。
5月の「妹背山」でも丁稚はかわいかった記憶(うわ、私これ感想書きかけになってる!うわぁぁぁ)。
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そして、前回素浄瑠璃で聴いたときにも刺さった宗岸(玉也さん)の、男手一つで育てた娘・お園(清十郎さん)に対するこの詞。
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そして、前回素浄瑠璃で聴いたときにも刺さった宗岸(玉也さん)の、男手一つで育てた娘・お園(清十郎さん)に対するこの詞。
「…愚痴なと人が笑はうが俺や可愛い不便(筆者注:不憫)にござる。可愛うござる╱ ╲ ╱ ╲ ╱ ╲わいなう」
それまではそんな気配はおくびにも出さないのに、堪えに堪えていたんだよなぁ。
こういう、感情が溢れてしまう瞬間に弱いのです。丁寧に語られるところに、追い打ちをかけてくる三味線(ここは藤太夫さん/清友さん)。
こういう、感情が溢れてしまう瞬間に弱いのです。丁寧に語られるところに、追い打ちをかけてくる三味線(ここは藤太夫さん/清友さん)。
自らが一番辛いであろう立場のお園ですが、驚いて父に寄り添います。
お園ちゃんは本当に、気遣いの塊なんですよ。。
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お園ちゃんは本当に、気遣いの塊なんですよ。。
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「今頃は半七様、どこにどうしてござらうぞ。…」
で始まる有名な詞(この辺りから津駒太夫さん/藤蔵さん)。
で始まる有名な詞(この辺りから津駒太夫さん/藤蔵さん)。
ここ、人形で観るとお園(清十郎さん)の形が何ともきれいですね。。
行灯をつけて、その行灯にもたれ、玄関を見遣り、所在なく家の中に目を遣る。
じわじわと動く人形。
気もそぞろな様子が非常に細やかでリアルです。
去年患ったときにいっそ死んでおけば…と悶えながら泣くお園に、やっぱり胸が痛みます。どうかそんなこと言わないで…。
このあと夫の愛人の子に当たるお通ちゃん(勘昇さん)が出てくるのですが、お園はこのお通ちゃんを迷いなく抱く、その抱き方にも愛があって、本当に何て強い女性だろうかと。
夫のことを一番に考えて、愛人にも恨みを持たず、その子供を愛情深く抱き上げるって。
舅に当たる半兵衛がお園を手放したくないのも、よく分かります。
前回私が好きだったのは、半七からの書置を家族で読む場面。
ここね、お通ちゃんがかわいいんです。はいはいするんです。
はいはいして、半兵衛(玉志さん)のとこに寄っていって、半兵衛がそれにはっと気付いてよしよししてあげる。このさりげないくだりが、何だかとても温かくて良かった。
頑固ジジイのような役どころかと思わせておいて、半兵衛はどんどん温かみを増してきますよね。
頑固ジジイのような役どころかと思わせておいて、半兵衛はどんどん温かみを増してきますよね。
その場で動いている人物以外の、こういう細かい部分って、やっぱり聴いて想像するだけでは補い切れない部分で、人形浄瑠璃だからこその情の深さだなぁと思います。
この書置のなかの、「夫婦は二世と申すことも候へば、未来は必ず夫婦にて候」というところ。
半七はあの性格なので絶対口だけだと思うんですが(実際このあとの道行で、三勝に向かって「千年万年先の世まで、必ず二人は一緒ぞや」とか吐かしてるんですよね)、
半七はあの性格なので絶対口だけだと思うんですが(実際このあとの道行で、三勝に向かって「千年万年先の世まで、必ず二人は一緒ぞや」とか吐かしてるんですよね)、
それを読んだお園が素直に喜ぶところ、そして父・宗岸が「われが為にいつち良いことが書いてあるなあ」と言ってあげるところ、どこまでも美しい親子だなぁと…。
たぶん、二人ともそんなのは口先だけだと分かっていると思うんです。
それでも、半七の両親がいる手前もあるかもしれませんが、そこに望みを見出だして素直に喜びを見せる。
そういう嫁に、半兵衛夫婦も助けられるところがいっぱいあったんだろうなぁと思います。
で、この一連の流れを外から見ているのが、事件の中心にいる半七・三勝カップルです。
三勝の嘆き、外にいるなんてバレたらまずいわけで、絶対に声を抑えなきゃいけないところなんですよね。
でも、心の中は到底静かなわけがなくて。
そういう内面的なドラマを、太夫と三味線がしっかり見せてくれるんです。
物凄く盛り上がるのです。静かな場面ですが、音曲的には一番盛り上がっていたと思います。
義太夫の、こういうワーッと感情を煽るところ、いつもがっつり心を持っていかれます。。大好き。
このあと、二人の最期の様子を見せる道行の段があって、幕になります。
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いやぁ、毎度ながらすごい迫力。
歌舞伎座で観る義太夫狂言も好きなのですが、私が文楽を観るのは専ら国立小劇場なので、体に届く音圧が歌舞伎座とは全然違うんですよね(歌舞伎座も舞台から遠い席ばかりなので笑)。
12月の文楽公演、チケット取れるかしら。
次はあの「熊谷陣屋」を含む「一谷嫩軍記」。一度通しで観てみたかった演目です。(歌舞伎の「熊谷陣屋」感想はこちら)
それから、鑑賞教室の方では、去年も出た「伊達娘恋緋鹿子(だてむすめ こいのひがのこ) 火の見櫓の段」(この記事)と、「平家女護島(へいけ にょごのしま) 鬼界が島の段」が観られます(それぞれ「お七」「俊寛」 と言った方が分かりやすいかもしれません)。
スケジュール的に、鑑賞教室は諦めかもしれませんが…この12月公演は本当にチケットが取れなくて、去年も日々戻りを狙っていた記憶があります。
チケット争奪戦、頑張ります…!!
チケット争奪戦、頑張ります…!!