ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

お稽古

日本舞踊*新しい曲のお稽古が始まりました

小さな本番が終わり、
新曲のお稽古が始まっています。

気持ちも新たに、
本番を経験してちょっとだけ成長した自分を楽しみに……

していると、とんでもないですね。

ちょっとずつ積み上げた自信が
粉々に打ち砕かれております。

*** 

新しい曲に入るのが、私はとても好きなのです。

今まで踊れなかったものを踊れることは、純粋に嬉しい。
 
振り返ってみて

「こんなのが踊れるなんて、想像つかなかったなぁ」

と、自分の成長が感じられるのも喜びです。

新しい曲には今まで知らなかった世界が必ずあるし、
何より踊れる曲がまた一つ増えるのは楽しい! 


その一方で、

新しい曲を踊り始めることには
まだまだ底知れぬ不安があります。

今まで教えていただいてきたことを
全て忘れてしまったんじゃないか。
 
とんでもなく分不相応な踊りを
教えていただいてしまっているのではないか。。

特に新曲のお稽古が始まったばかりのときは、
毎回必ずと言っていいほど

「自分は何も踊れないのではないか」

という恐ろしさがあります。


よく考えれば、これはとても失礼なことなんですよね。

先生は、私にとって何が必要かを考えて、
その時点で最もふさわしい曲を教えてくださっているのだから。

所詮、自分の力ではどうにもできないこと。
安心して先生にお任せすれば良いのです。

初心者に、自信は不要。
謙虚に楽しむのみ!!

***
 
今新たに教えていただいているのも、
現時点で見える一番高いところにあるような曲。

憧れていたけれど、
自分が踊るのは到底先のことだと思っていた。

それを踊らせていただけるのだから、
こんなに喜ばしいことはありません。

早くもへこみがちだし焦り気味だし
一向に覚えられる気配もなければ
体も全くついていけていないのですが(笑)

高い壁を、何とかかんとか這い上がる所存です。


あー、早くも次のお稽古が楽しみ!

 

歌舞伎役者の言葉に学ぶ、日本舞踊の「見る」振りのこと。

山を望むとか、
お花見をするとか月を眺めるとか、
周りの景色を見渡すとか。

日本舞踊には、「見る」振りがたくさんあるなぁと思います。

その見方もいろいろあって、
何かに気付くときの見方があれば、
物思いにふけってぼんやりと見ることもあり、
もちろん眺めを楽しむ見方もあり。

こんな記事をなぜ書き始めたかというと、
自分が今、「見る」振りで悪戦苦闘しているからです。。笑

そんな踊りの「見る」ことについて
複数の歌舞伎役者さんが同じようなことを言っていらして面白かったので、
半ば自分のためにまとめます!


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まず十代目・坂東三津五郎さん

『坂東三津五郎 踊りの愉しみ』(長谷部浩 編、岩波現代文庫)の中で
以下のように述べていらっしゃいます。

「…たとえば富士山が出てきたときに、
もちろん踊り手には、富士山が見えていなければいけないわけです。
演者が見ていないと、お客さまには
絶対見ているように伝わりません。」(p.67)


さらに、その富士の大きさや場面がどんなものなのか、
振りをつけた人はどんな富士を見ていたのか。

自分の中に、そういうファイルをたくさん持っておくべきだ、というお話。

この他にも、『京鹿子娘道成寺』を踊るときに
実際に和歌山の道成寺を訪れてみて、
初めて分かったことのお話も興味深かったです。(p.81〜82)

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***

それから、四代目・市川猿之助さん

この本が好きすぎてしょっちゅうこのブログに登場するのですが(笑)
『舞うひと』(草刈民代、淡交社)の中にこんなお言葉がありました。

「たとえば『北州』という作品で、
待乳山という上野の山から下を望む所作があるんです。
普通「山から下を望む」というと下を見るけれど、
実際の待乳山はとても低いから、
下というよりも遠くをみるような振りになるわけです。
(中略)
ですから、その山を知っているかどうかで表現が変わる。…」(p.176)

やはり、踊る上で実際の景色や風俗を知っていることの重要性
説いていらっしゃいました。

***

「見る」ことに限定した話ではなくなってきますが、
同じ『舞うひと』の中で
五代目・尾上菊之助さんがおっしゃることも
本質は同じだと思っています。

「…そこにいる女性は若いのか年増なのか、
「散りかかる」花はどんな花なのか……
膨大な情報が「散りかかるようで」の振りにこめられているんです。」(p.74)


やはり、踊りながら実際の景色を「見て」いらっしゃる

この「膨大な情報」を振りにこめるには、
そもそも年増って何歳くらいなの?とか、
その花がどの花だったらどうするの?とか、
前提となる知識が必要不可欠なんですよね。


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***

「見る」振り(に限らず全てにわたって言えることですが)に重要なのは、
知識想像力だということが何となく見えてきました。

その時代に見えていた景色や、文化、人々の動作…

そういうものの知識を、少しずつつけていきたい。

さもないと、想像するにもできないのです。

踊りの舞台となるどこかに行ってみるでもよし、
江戸の文化をもっと学んでみるもよし。

でも、そう思うと日常の全ての動作が
踊りの糧になる
ような気がしてきます。

自分がこういうものを眺めるとき、どんな感じだろう。
どんな景色を見てきただろう。

一つ一つの経験や、何気ない一瞬も、学びになりそう。

と言ったところで、
私が立ち止まっているのはもっと初歩的・技術的な問題だったのですが笑
(「レベルが違う」どころではないほど違いすぎて解決せず)

いつかは!いつかは上手くなりたいから!!
今から意識するに越したことはないんですってば!!笑

お三方のお言葉を胸に、お稽古頑張ります。


 

足首が固い私の、踊り方の工夫。

足首がとにかく固いんです
足首に限らず、肩も。

バレエを習っていた幼き頃から、ずーーっと不便してます。

どのくらい固いかというと、

まずしゃがめない
 
踵を上げないと、下まで沈めません。
踵をつけたまましゃがもうとすると、バランスがとれず、後ろにこてん、とこけます。

肩に関して言えば、
 
まっすぐバンザイができません
 
両手を上げると、必ず30度くらい両手の間に角度がついてしまいます。
平行にはなりません。

高校時代、整体の先生に「身体硬いねーw」と言われたレベル。 

当時は横も縦も180度開脚できたのに、本質的には硬かったんですね。。
うわべだけの柔らかさなんて。 

*** 

今のところ、肩に関しては日舞で困ったことはないのですが、
(※バレエではめちゃくちゃ困ってた。あと学校で出欠とるときに「ハイッ!」って手を挙げると必ず肩がパキッていうので恥ずかしかった。)

足首はとにかく困ります。

日舞は重心を下げることが多い。

ですが 無理に姿勢を低くしようとするとお尻が出るし、バランスもとれない

だからと言って腰を落とさないと、それはそれで形が美しくない

どうしたもんか、とあれこれ工夫してみて、とりあえずこれは大事っぽい!と思ったのが、

腹筋を使うこと でした。

重心を下げるときに、お腹を引っ込める
丹田に力を入れる
 
これによって、お尻が出たり、どちらかに傾いたりするのが少ぉぉしマシになってきたんじゃないかと思います。

お腹を引っ込めると、お尻も引っ込むから不思議ですね。 


ちなみに私はこれを、会社で低いところのものを取るときとかに練習してます。笑

日本舞踊を習ってみて驚いたこと

突然ですが、「日本舞踊のお稽古」って
どんなイメージでしょうか。

お嬢様ばかりが習うもの?お師匠さんはこわい?
ゆっくりした踊りばかり?

実は、踊りを始める前の私自身の印象がこれなんです。

でも実際は全然違いました…!!

本日は、私が踊りを習ってみて初めて知ったこと、驚いたことを
まとめてみたいと思います。




・お稽古の雰囲気が楽しい!


これは正直、お稽古場にもよると思うのですが…

大学時代のサークルも、今のお稽古場も、
ものすごく和気あいあいとしています。

ちょっとだけ空手をかじった身として、
 
「日本の稽古たるもの、私語厳禁で厳しいのは当たり前

と思い込んでいました。 

いや、もちろん私語は慎んだほうがいいのですが、

先生方のお稽古中の一言で
稽古場が笑いに包まれることもよくありますし、

お稽古が終われば、廊下や着替え部屋で
お菓子を食べたり雑談したり、
雑談に先生が加わったり、

結構自由で楽しい雰囲気なんです。

本番前になると、ぴりぴりしだして
泣きそうになったりもしますけどね(゚∀゚)


・運動量がハンパじゃない!


これ。びっくりでした。
もっとおしとやかなやつだと思ってた。

テンポが速くてたくさん動く曲もあれば、
ゆっくりでも立ち座りが多くてしんどい曲もあり。

今の季節とんでもなく汗をかきます
(毎回真夏のお風呂上がり状態)

翌日筋肉痛のこともしばしばあります。

日本舞踊って、すごく腰を落とすんですよね。

だから太ももの筋肉はたくましくなりますし、
腰を落とした上でお尻が出ないようにするには
腹筋も結構必要になります。

そんな私は、現在太もも筋肉痛です。


・女性も男役を踊る?!


踊りの面白いところは、
踊れる役がたくさんあるところです。

女性が女性を踊るのはもちろんのこと、
男性の役だって踊ります。 

女性だけ見ても、
小学生ぐらいの女の子から年頃のお姉さん、 
町娘に芸者さん、おばあさん


男性にしても丁稚奉公の男の子から、
貴族、大道芸人、流れ星(!)
などなど…

「男が女性を真似している」のを女性が踊ることもありますし。

これだけあるので、いつまでたっても飽きないし、
いつまでたっても体の使い方が分かるようにならない(´;ω;`)


・ノリのいい曲もある! 


失礼ながら、そして恥ずかしながら
邦楽は眠くなるようなゆっくりの曲しかないんだと思っていました…

全然そんなことありません。

三味線の音がどんどん速くなって
盛り上がる曲もいっぱいあるし、

太鼓やちゃんちき、笛が加わってくると、
祭囃子みたいでテンションがぐんぐん上がります。
血が騒ぎます
(お祭りの人混みが嫌いなだけで、祭囃子は好きなんです。) 

何よりびっくりしたのは、
エイトビートみたいなリズムが邦楽にもあることでした。
(どんちゃどどんちゃ、どんちゃどどんちゃ、というリズム)

ちなみにちゃんちき、って言わないんですか…? 
友達はみんなあれを「当り鉦(あたりがね)」と呼ぶそうです。
ちゃんちき、という言葉の響き、
楽しげで大好きなんですけどね。



***

いかがでしょうか。

20年間バレエだのピアノだの
「洋」の世界しか知らなかった私が
すっかりのめり込んでしまった日本舞踊、

少しでも親しみを持っていただけたら嬉しいです。 

踊りのちょっと嬉しかった話。

日本舞踊、この5月で7年目に入りました。

「結構やってるんだね!」と言われることが多いですが、
芸事の世界ではぺぇぺぇです。
初心者の気持ちで続けています。

というか、

初心者の状態からあんまり進歩してないんでーすへへへ

* * *

そんな中、先日のお稽古で
先生に「ちょっとだけ上達した」と言っていただけたのです

なんでもない顔して聞いたけど、
内心めちゃくちゃ嬉しい。 

ただ、

その日のお稽古は
「今日はあんまり体が動かないなー」と感じていたので、
素直に喜んでばかりもいられないんですよね。

自分では「今日はよくない」と思っていたのに
先生に「今日はいい」と言われたわけだから、

自分じゃまだ良し悪しがわかってないっていうことですよねー(´・ω・`)無念

***

日本舞踊を初めて7年間、

一度たりとも嫌いな曲に出会ったことはないし、
お稽古が面倒だったこともありません。

7年目の今でも、始めたころと同じくらいかそれ以上に
毎回のお稽古が楽しみで、わくわくしてたまらない。

それなのにあんまり上達しないのが
なかなかつらいところではあるのですが、

幸い それでも嫌になる気配が全くないんです。


永遠の初心者の気概で、
引き続き汗みずくになりながら踊り続けたいと思います。

 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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