新年の歌舞伎一発目は、まさかの「野田版 鼠小僧」!
大いに笑って、ラストはほろりとさせられて、今回もいい時間でした。
正月休みで体がなまりになまり、正直動くのが大変に億劫ではあったのですが(笑)、観にいけて良かった。
シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」は明日1/4(金)まで(東劇では1/11(金)までやっているようです)。
でも新年のシーンもあったので(メインはクリスマスですが)良かった!
【シネマ歌舞伎についてはこちらをご参照ください】
▼シネマ歌舞伎公式サイト
▼初めての歌舞伎に「シネマ歌舞伎」をおすすめしたい理由3つ
★初心者でも下調べなしで、お近くの映画館で歌舞伎を楽しめます!
以下、公式サイトより引用します。
⇒シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」公式サイト
このあらすじは、芝居の序の口のところ。
三太を中村勘三郎さん、與吉を中村芝翫さん(当時は橋之助さん)が演じていらっしゃいます。
この三太と與吉に、義賊である「鼠小僧」の存在が絡んできて、物語がうねり始めるのです。
「野田版 研辰の討たれ」でもそうでしたが、とにかくものすごいスピードと台詞量で展開していくので、最初は耳がついていくのが大変です。笑
全体の方向性としては、同じく作・演出を野田秀樹さんが担当された「野田版 研辰の討たれ」と近いような気がします。
以下、印象に残ったことをぽつぽつと。
『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(長谷部浩、文春新書、2016年)という本の中に、
野田さんご自身がこのお芝居について語っていたところがありました。

実際の舞台を観ることが叶わなかった私としてはどうしようもない文章だったので、
ちょっと長くはありますが引用させていただきます。
このお二人の役柄の構図も、「研辰の討たれ」と似ていたと思います(この「研辰」の方の役を三津五郎さんが「スキップじじい」と呼んでいたという話がすごく好き(笑))。
裏では人気に執着しながらも、表では懐が深くて余裕のある「大岡様」を演じる大岡忠相と、
その前に屈するか否か迷いに迷う、悪いやつに見えて実はこの場面では一番正しい鼠小僧。
このお芝居で一番考えさせられる場面であり、一番思うところの多い場面です。
【シネマ歌舞伎についてはこちらをご参照ください】
▼シネマ歌舞伎公式サイト
▼初めての歌舞伎に「シネマ歌舞伎」をおすすめしたい理由3つ
★初心者でも下調べなしで、お近くの映画館で歌舞伎を楽しめます!
■あらすじ
以下、公式サイトより引用します。
⇒シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」公式サイト
正月、江戸の町では鼠小僧の芝居が大人気。見物客の中で、棺桶屋の三太(さんた)がずる賢く金稼ぎに励んでいます。金にしか興味のない三太は、実の兄が死んでも棺桶屋の出番と喜ぶ始末。その上遺産があると聞いて大はしゃぎ。ところが遺産は善人と評判の與吉(よきち)が相続することに。他人には渡すものかと一計を案じた三太は、兄の死体の替わりに棺桶の中へ忍び込みますが・・・江戸町奉行から幽霊まで、個性溢れる登場人物達を、豪華な顔触れが賑やかに楽しく演じます。
このあらすじは、芝居の序の口のところ。
三太を中村勘三郎さん、與吉を中村芝翫さん(当時は橋之助さん)が演じていらっしゃいます。
この三太と與吉に、義賊である「鼠小僧」の存在が絡んできて、物語がうねり始めるのです。
「野田版 研辰の討たれ」でもそうでしたが、とにかくものすごいスピードと台詞量で展開していくので、最初は耳がついていくのが大変です。笑
■印象に残ったこと
全体の方向性としては、同じく作・演出を野田秀樹さんが担当された「野田版 研辰の討たれ」と近いような気がします。
集団が作り出す考え方の都合の良さ、それに巻き込まれた人間の腑に落ちなさ。
現代的で、刺さるものがありました。以下、印象に残ったことをぽつぽつと。
勘三郎さんの三太、ものすごい汗で舞台上を生きます。
気が小さい、心が狭い、どけちな三太。
でもちょっとしたきっかけで子供に不憫さを覚えてしまい、柄にもなく優しくしてしまう。
でもちょっとしたきっかけで子供に不憫さを覚えてしまい、柄にもなく優しくしてしまう。
最初は悪者として描かれるけれど、最後の最後に一番筋が通っているのは三太だと思います。
この三太の姪にあたるおしな(中村七之助さん)、三太の血を引いたような性格でなかなかパンチが効いているのですが(笑)、序盤の動きのキレがとんでもなくて目を見張りました!
あんまりネタバレはしたくないのですが、
名奉行と名高い大岡忠相(坂東三津五郎さん)、貞淑で知られる若菜屋後家お高(中村福助さん)、周囲から「いい人」と慕われている與吉(中村芝翫さん)の「一見」善人トリオ、
それぞれ美しいが故により一層憎いですよ~!笑
この三人と鼠小僧が一堂に会す場面、抱腹絶倒です。
乱入する大岡の妻・りよ(片岡孝太郎さん)もまた濃い!!笑
それぞれ美しいが故により一層憎いですよ~!笑
この三人と鼠小僧が一堂に会す場面、抱腹絶倒です。
乱入する大岡の妻・りよ(片岡孝太郎さん)もまた濃い!!笑
大岡様、なかなかこういう描かれ方はされない人物だと思います。去年の国立劇場で観たのと同じ人物とは思えませんね。。
そして最後去り際の與吉の表情、本当に腹立たしくて忘れられません(ものすごく褒めてます)。そして特筆すべきは三太と同じ名前を持つ子供・さん太(中村鶴松さん、当時8歳でしょうか。まだ本名でのご出演です)。
ある事情で三太と関わりを持つことになるのですが、
無邪気で健気でかわいくて、それゆえにラストの哀しさが刺さる…。
無邪気で健気でかわいくて、それゆえにラストの哀しさが刺さる…。
泣かされましたね。。
■野田秀樹さんの言葉〜勘三郎さんと三津五郎さん〜
『天才と名人 中村勘三郎と坂東三津五郎』(長谷部浩、文春新書、2016年)という本の中に、
野田さんご自身がこのお芝居について語っていたところがありました。
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実際の舞台を観ることが叶わなかった私としてはどうしようもない文章だったので、
ちょっと長くはありますが引用させていただきます。
「『野田版 鼠小僧』は、勘三郎の鼠小僧が主役に見えるけど、実はちっちゃな悪人です。もっとひどい悪人に大岡越前守がいて、この役を三津五郎がやった。人前ではよい顔をして、残酷に鼠小僧を裁く大団円なんですが、そのときの三津五郎なんていうのは、僕は大好きでしたね。ああいうものを今、じゃあ誰とやるかって言った時に、あのふたり、あの肉体を超える肉体を探すのは、非常に難しいような気がする。…」(p.142)
このお二人の役柄の構図も、「研辰の討たれ」と似ていたと思います(この「研辰」の方の役を三津五郎さんが「スキップじじい」と呼んでいたという話がすごく好き(笑))。
裏では人気に執着しながらも、表では懐が深くて余裕のある「大岡様」を演じる大岡忠相と、
その前に屈するか否か迷いに迷う、悪いやつに見えて実はこの場面では一番正しい鼠小僧。
このお芝居で一番考えさせられる場面であり、一番思うところの多い場面です。
■まとめ
大いに笑って、ラストはほろりとさせられて、今回もいい時間でした。
正月休みで体がなまりになまり、正直動くのが大変に億劫ではあったのですが(笑)、観にいけて良かった。
シネマ歌舞伎「野田版 鼠小僧」は明日1/4(金)まで(東劇では1/11(金)までやっているようです)。
もちろん何の予習もなしで楽しめます!
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「野田版 鼠小僧」はDVD/Blu-rayも出ていますので、ご都合のつかない方はこちらもぜひ。
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「野田版 鼠小僧」はDVD/Blu-rayも出ていますので、ご都合のつかない方はこちらもぜひ。
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