ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

平成中村座

平成中村座に行ってみた!昼の部 観劇の感想編2018

前回の「劇場レポート編」に続いて、今度は観劇の感想編です。
もう千穐楽直前ではありますが…^^;

今回は思い切って筋書を買いませんでした。
なぜならば、お金がなかったからです。 かなしい。
「実盛物語」が複雑そうだったので、劇場に向かう電車の中でちょちょっと予習してから臨みました。

***

今回の演目は「実盛物語」「近江のお兼」「狐狸狐狸ばなし」の3つ。
観劇前のそれぞれの知識については、物知らずシリーズのこの記事で綴っております。

 



■初心者が楽しめた演目は?


すべて楽しめました!

ただ「実盛物語」に関しては台詞がやや難しく、
源平の争いの中で「源氏方」「平家方」も途中から複雑になってくるので、
予習をしたり筋書を読んだりした方が楽しめるかもしれません。 

「近江のお兼」は舞踊。演出も派手で見応えがあるので、踊り好きでなくとも楽しめると思います!

「狐狸狐狸ばなし」は騙し騙されということで、頭の回転の遅い自分がついていけるか大変心細かったのですが、
始まってみれば何のことはない!杞憂でした!!!
今回一番笑った演目でした。小さな会場だからこそ面白い部分もあり。
選んだ席も非常に良かったです。 


■私はこう見た!ここが好き!


*実盛物語


これはもう、いい話なんですよ…
ネタバレになってしまうかもしれませんが、この場面に本当に悪い人は一人しかいないんです。
あとは男も女も、忠義と思いやりに溢れているんです。

特に瀬尾十郎片岡亀蔵さん)の変わりようにぐっときました。
見た目からしてかっこいい実盛と異なり、瀬尾は見るからに敵。
源氏方の葵御前坂東新悟さん)への難癖の付け方も徹底していて、同じ平家方の実盛にたしなめられるような人物です。
そこからの、太郎吉中村長三郎くん)との関係性の中で見せる本心が凄い。瀬尾はなんという運命を抱えていたのか…

死に際のとんぼ平馬返りというらしい)、見せ場ですね!
舞台との距離が近かったこともあって、迫力がありました。

それから、実盛中村勘九郎さん)が小万中村児太郎さん)の最期を語るところ。
(「実盛の物語」だと思っていたのですが、「実盛が物語る」話なので「実盛物語」なんですね。笑)
語りに合わせた動きの一つ一つがぴしりぴしりときまり、本当に清々しくてかっこよかった。

このあと、告げ口しようとする輩・仁惣太中村いてうさん(=この場面唯一の悪者)を手裏剣で討つのですが、その手裏剣を投げた格好もまたきりっと素敵でした。

と、いろいろ見せ場はあるのですが、

このお芝居で沸かせたのは、やっぱり何と言っても太郎吉長三郎くん)ですね。
ドキュメンタリーの影響力も少なからずあるようで、長台詞の前には近くに座っていた方が「頑張れ!」とつぶやいていらっしゃいました。笑 

葵御前出産の場面でどうしても興味が抑えられず、何度もお産の部屋を覗こうとして毎回実盛に連れ戻されるところとか、
綿繰り機を馬に見立ててまたがって、実盛に「親の仇」と立ち向かってみせた割にその相手に鼻を拭いてもらうあたりとか、
実盛の馬に乗らせてもらって、実盛に頭をなでられながら大いにご満悦の様子とか。

実盛の温かさと大きさに、太郎吉の無邪気な愛嬌が加わって、いい場面だらけでした。

後半、「太郎吉が成人したら自分を討つように」と実盛が言い聞かせる場面、
登場人物たちが竹本のリズムに合わせて台詞を言っていくのが聞いていて面白かった。

そして最後、実盛が馬に乗って引っ込む花道。

馬が見せますね!!
実盛がせっかくかっこよく指示を出しているのに、少しも言うことを聞かない馬がとぼけていてかわいかったです。
実盛の怪訝そうな顔も良かった。

 

*近江のお兼


馬で花道に引っ込んだ実盛のあとは、
馬が暴れながら花道から登場する舞踊「近江のお兼」です。 笑

この舞踊、とにかく馬がすごいんです!!
構造としては、馬の中に二人入って、前足と後ろ足を担当しているのですが、途中で馬が二本の足で立つところがある。
つまり、後ろ足の人が前足の人を抱え上げているということですよね!
馬だけでも結構な重量がありそうな中で、これをやっているなんて…!
最後まで存在感を発揮し続ける馬、会場も大いに沸いていました。

お兼中村七之助さん
手踊りと手ぬぐいの踊りのところ、娘だけれども他の娘とはまた少し違って、どこかにたくましさというか、芯の太さみたいなものを感じる娘でした。
そりゃあ怪力のお兼さんのことですもの。

そして最後の晒のところは、やっぱり見せ場ですよね!
晒がはためく音はさすがに聞こえなかったのですが、あのスピードで美しく晒を振るのは見ごたえがありました。
しかも下駄履き!!!
動きにくい下駄で大きく細かく晒を振ったあと、すっと座って一度きまるのですが、あれだけ動いたのにその座った姿勢の美しいことと言ったら。
踊る人としては当たり前のことなのかもしれませんが、「さすが」と思った瞬間でした。

それからもう一つ。
勘三郎さんの踊りは映像でしか見たことがなく、踊りの知識もないままに言うのは失礼も甚だしいとは思いつつ。。
ちょっとした足の運びがすごく似ていらっしゃるな、と思ったのです。
「あっ、この形!」と思う瞬間があったのを、忘れたくなくてここに記しておきます。
 

*狐狸狐狸ばなし


これはお楽しみな演目でしたね!
時代物、舞踊ときて、最後に現代語で分かりやすく面白い演目がくる構成、初心者には大変ありがたかったです。

もう千秋楽間近ですが、これは絶対にネタバレしない方が楽しめるので、あらすじには極力触れないように印象に残っているところをば。

まず主人公・おきわ七之助さん) の旦那である伊之助中村扇雀さん)には、度々笑わされました!
ちょっと洗濯物を干すときのアクの強い動きとか、倒れる間際の音楽に乗った軽快な動きとか、要所要所で絶妙でした。

何よりも笑ったのが、化けて出るところ。
大真面目に凄みを出しながらおもしろいので、そのギャップがおかしくて一人でしばらくツボにはまってしまった。笑

雇人又市中村虎之助さん)とのシーンも面白かったです。
お二方が親子でいらっしゃるのを知ってから見ると、台詞の些細なところに笑いどころがあっていいですね!
又市、キャラが掴めないと思っていたらすっかりしてやられましたよ…。

芝居の中で最も怖かったのがおきわですね。
旦那のさばき方の淡々とした感じ、打って変わって浮気相手の法印中村芝翫さん)へのしつこいほどのからみ、うわべの取り繕い方、、
世に言う女性の怖さを凝縮した感じでした。ラストが特に秀逸。

キャラとして恐ろしすぎたのは、牛娘片岡亀蔵さん)です。勢いと圧が凄い!笑

展開を読むのが苦手な私でも、無理なくついていけたし楽しめました。
何しろ自分の席の間近が舞台になる感動…!!!
平成中村座だからこそできた体験だったな、とありがたく感じます。


■まとめ


2回にわたってレポートしてきました、2018年の平成中村座 昼の部。
「平成中村座」という体験ができたことを嬉しく思います。
見にくかったり、椅子が固かったりといろいろありますが、全部総合してあの空気だったからいいや!と思えます。笑

強いて言うなら、夜の部も見たかった。。

次に平成中村座が浅草に来るのはいつになるのでしょう。早くも楽しみです。
そのときには今よりもっと思うことが増えるのだろうな、と思います。 

何はともあれ、

今年の私が歌舞伎好きで、この機会を得られて本当に良かった! 
 

平成中村座に行ってみた!劇場レポート編 2018

待ちに待った!平成中村座!!
ドキュメンタリーやシネマ歌舞伎の雰囲気を見るにつけ、
何て楽しそうな場所だろう、と心待ちにしていたのです。

とはいえ正直チケットは高かったし、座席のことも中の雰囲気もよく分からないし、
そもそも方向音痴が無事に会場までたどり着けるのかというところも含めてドキドキでした。

そんな平成中村座、
いやもう、行って本当に良かったです。ものすごく贅沢なエンターテインメントでした。 
 
まずは劇場についてレポートします!(感想編はこちら

 



1.劇場までの道のり


2018年の平成中村座、浅草駅からのアクセスです。
(年によって場所が変わるとか…また同じ場所に芝居小屋ができたときに役に立つことを信じて。)

私が今回使ったのは、観音通りを行って本堂の左から平成中村座に回り込むルート。
もちろんまともに仲見世通りからも行けますが、休日の仲見世の混雑はなかなかえぐいので。笑
でも仲見世を通ると「浅草に来た!」という実感がわいて、それはそれで好きです。

まずは浅草駅の雷門近くの出口を出て、
仲見世通り(雷門をくぐってまっすぐ歩く通り)の一本右、観音通りに入ります。

観音通り

こちらが観音通り。
途中にリサイクル着物の「たんす屋」さんやら「福服」さんやらがあるのですが、
浪費の誘惑を振り切ってまっすぐ歩きます。

左手に浅草寺が見えたら適当な場所から浅草寺境内に入って、浅草寺の諸々の建物を左に見ながら歩きます。

平成中村座_浅草寺横

平成中村座は浅草寺境内にあります。私はうっかり浅草寺の外をさまよってしまい、時間をロスしました。。

少し歩き、本堂が見えたら左から裏手に回り込みます
すると右手に幟のはためいているのが見え、何やら音楽も聞こえてきます。

幟を右手、本堂を左手に見ながら歩いていくと…

平成中村座_入り口

ありましたー!平成中村座の入り口です!うっかり見落としそう!
この右が当日券売り場のようです。

この小さな入り口を入って道なりに進むと、芝居小屋の入り口です。

IMG_20181124_152643

いいですねぇ!いよいよです。わくわくします。

ちなみにこの風景から後ろを振り返ると、
お弁当の売店、お土産物の売店、遠景に浅草花やしきの絶叫マシンが見えます。


2.座席について【1階竹席の場合】


※座ったことがあるのが竹席のみなので、限定的な話になってしまいます。ご了承ください。

劇場に着いたら、まず靴を脱ぎます
お茶子さん(スタッフのお姉さんたち)が配っているビニール袋に入れて、自席まで持っていきます。
竹席は椅子の下に、靴を入れられるスペースがありました。

靴を脱いで階段をのぼり、客席に足を踏み入れると…

DSC_0636

天井には中村座の大きな提灯!誇らしげで、堂々たる雰囲気です。

さて、一階竹席は長椅子です。椅子の面が畳になっていて、ふかふかの座布団が敷いてあります。
(私は大丈夫でしたが、終演後に「お尻が痛い!」という声がかなり聞こえました

床はカーペット敷きです。
11月だとかなり底冷えします
私は冷えると体のそこかしこが痛くなってしまうので、レッグウォーマーを持っていきました😅

通路は狭く、前に人が通るときは荷物をどかしたり、立ってあげたりしないと難しいかと思います。
座席自体も、お隣との距離は近めです。 

傾斜はついていますが、席によってはかなり見にくいと心した方が良いかと思います。
前の人がかぶって見えづらいから、と体を横に傾けてしまうと、
後ろの方の視界をかなりふさいでしまいます。(後ろの方がもっと傾くことになります。笑)
小さな会場なので、その辺はお互い様で!思いやりの心、広い心を忘れずに行くべきだなぁと感じました。

でも、舞台がとても近い
花道も、出から入りまで見やすい
客席からの舞台の見え方はこんな感じです。

平成中村座_見え方

花道・七三の方を向いてみるとこんな感じ。

平成中村座客席全景

下の方はちょっぴり遮られますが、十分によく見えると言えます。
日頃 歌舞伎座の幕見だの三階だのから見ている身としては、揚幕からの出入りが見られるだけで万々歳なので、
それをこの距離で見られるなどと言ったらこの上ない幸せなのです。

そして場所によっては、間近を役者さんが通ります!!!
私の座った席(竹席右側後方)は、真横の通路が役者さんの通り道でした。
何て嬉しい体験なんでしょう…!私なんぞがこんな場所に座って良かったのかとすら思います…!笑

オペラグラスを持って来ている方もいました。
あると細かい表情など、よく見えるかと思います。

しかし「江戸の芝居小屋」ならばそのようなものはないだろう、という考えから、
私は今回あえてオペラグラスなしで観劇してみました。笑
後方の席でしたが、問題なく見えましたよ! 

お弁当は基本的に、この座席で食べます。
途中で筋書やグッズの販売、ごみの回収が回ってきてくれます。至れり尽くせりです。


3.服装について


着物の方も、洋服の方もいらっしゃいました。
 
着物は、紬から柔らかい小紋まで様々だった様子。
落ち着いた色味をお召しの方が多かったのは、季節柄でしょうか。

洋服の方も、本当に様々です。
スーツの方もいらっしゃいましたが、カジュアルなスタイルの方も多かった印象です。
私はシンプルなワンピースで行きました。 

雰囲気としては和服がとても似合うので、ぜひお着物で行きたいところですが、
先ほど書いた通り通路が狭いので、洋服の動きやすさがいいのかもしれませんね。

いずれにしろ防寒対策はしっかりと

特に足元の冷えが厳しいので 、タイツに靴下を重ねるなり、レッグウォーマーを持っていくなり、
何かしら対策を練って臨んだ方が良いかと思います!


4.トイレについて


休憩時間は、特に女性用トイレが大変に混みます。
しかし数は十分なので、回転が早いです。

何しろ、霞番さん(かすみばん、トイレの誘導係)の捌きが素晴らしい!

どこが何人分空いているのかを流れるように誘導しながら、調子の良いトークで行列を和ませてくれます。
気の利いたアナウンスに何度も微笑んでしまいました。

「このトイレも、中村座名物でございます!」(by 霞番のお姉さん) 

なんと誇り高きお手洗いであることか!笑

トイレは屋内にあり、洋式です
個室一つ一つにスリッパが用意されていました。 

ちなみに霞番とは、 「トイレで流す=消える」というところから名付けられたとのこと(この記事)。
こんなところにも、江戸っぽい粋な心遣いを感じますね。 


5.平成中村座で買えるもの


確認できたのはこんな感じです↓

・お弁当何種類か
・お土産(含・中村座限定グッズ)
・筋書(プログラム) 1,500円
・イヤホンガイド

筋書は歌舞伎座よりもややお高めですね。
サイズはB6でしょうか、歌舞伎座や国立劇場より一回り小さかったですが、厚みがありました。
今回は買わなかったので、情報が薄いです…。

お弁当とお土産は、劇場を出てすぐの屋外スペースにて販売。
筋書については、外でも買えますが、幕間にお茶子さんが客席まで売りにきてくれます。


6.まとめ


今回は平成中村座の劇場についてまとめてみました。
一度行っただけなので、情報も薄いし不足も多くて大変恐縮ですが、少しでもご参考になれば幸いです。 

大きな劇場でしか歌舞伎を見たことがなかったので、この大きさの芝居小屋はとても新鮮でした。 
江戸時代は椅子ではなくて直に座っていたのだと思うけれど、
こういう空気感で芝居を見ていたんだなと思うと、歌舞伎の歴史に近づけたようで何だか嬉しい。

近くのお客さんの話し声はとても大きく聞こえてしまうのですが、
それもまぁご愛嬌で、江戸時代もそんなものだったのだろうな、と。笑
(最低限のマナーはもちろんありますが、、笑)

劇場内にはいろんなところに写真やイラストが飾ってあり、
その一つ一つに芝居愛、中村屋愛を感じました。
 
初めて歌舞伎座で歌舞伎を見たときに、その「歌舞伎のためにある場所」の雰囲気に圧倒され、感動したのですが、
平成中村座にはそれとはまた違った感動がありました。

***

右も左もわからず緊張とともに赴いた平成中村座での初観劇。
感想編に続きます!


物知らずが行く歌舞伎#2~平成中村座 十一月大歌舞伎 〜今の知識と演目選び

この企画は、知識が足りないゆえに
歌舞伎への第一歩を踏み出せずにいる方
の背中を押すべく、
歌舞伎歴1年の初心者が何を知っていて、何を目的に、
どのチケットを買うのか
をさらけ出す企画です。
こんなに物を知らなくても歌舞伎を楽しんでいますよ
というのをお伝えできればと思っています。

物知らずシリーズ、第一段をやってみて、
この企画、意外と恥ずかしいということに思い至りました。。

でも!

私は前向きで自信のある初心者を貫く!

というわけで早速第二段です。

今回無知をさらすのは、同じく11月の
平成中村座での歌舞伎公演。

「みどころ」というのが出ているのですが、

昼・夜各部でまとめてあって、
細かい内容がわからない。

しかも座席の様子が読めない!
長椅子って?靴を脱ぐって??

さらにもって、

歌舞伎座と違ってお手頃な席がない!! 

初心者、チケット買うの怖かったですが
思い切って購入に至りました。 

そんな初心者の心の内、
同じ境遇のどなたかの背中を押せれば幸いです。

※ちなみに今月のシネマ歌舞伎『法界坊』は
10年前の平成中村座での公演とのこと。
平成中村座の雰囲気が少し掴めるかもしれません!

 





■平成中村座 十一月大歌舞伎の演目は?


平成中村座の歌舞伎公演。
演目は以下の通りです。

【昼の部】
一.源平布引滝 実盛物語(げんぺいぬのびきのたき さねもりものがたり)
二.近江のお兼(おうみのおかね)
三.江戸みやげ 孤狸孤狸ばなし(えどみやげ こりこりばなし)

【夜の部】
一.弥栄芝居賑(いやさかえしばいのにぎわい)
二.舞鶴五條橋(ぶかくごじょうばし)
三.仮名手本忠臣蔵(かなでほんちゅうしんぐら)
 祇園一力茶屋の場(ぎおんいちりきぢゃやのば)


今回は比較的読みやすい…?
「いやいやその読み方は無理でしょ」という演目は
あまり見受けられません。

 

■各演目について、現時点での知識


*そもそも知っている演目はあったのか?


【昼の部】

「近江のお兼」は踊りの会でちらりと観たことがあります。
あとは残念ながら…


【夜の部】

「仮名手本忠臣蔵」は観に行ったことがあるのですが、
この場面ではなかった
なので実質知らないようなものです。。
そしてその他も知らないという…

第一弾とは打って変わって、
初心者の本領発揮です。


*現時点で知っていることは?


◇近江のお兼

お兼という娘?が主役の踊り。
 
男たちをばったばったひっくり返すのが
印象に残っているので、
怪力系の女性ではないかと思います。

最後に布晒し(ぬのざらし)を振ります。
調子よく足拍子を踏みながら、
白くて長い晒を振るのです。
 
この晒が風を切る音が好き
旗が風にはためいているときの音と言えば伝わるでしょうか?

そして舞台からも聞こえるものですかね…?

◇仮名手本忠臣蔵

去年の11月、ちょうど一年前の顔見世大歌舞伎で、
片岡仁左衛門さんの勘平、
片岡孝太郎さんのおかるで観ました。
(勘平とおかるが恋仲。
仁左衛門さんと孝太郎さんは親子でいらっしゃいます。)


思えばこれが初めての歌舞伎座だった…

このときの公演は五段目と六段目。
今回は七段目ということなので、
その少し前の部分に当たります。

かなり重要なところを詰め込んだ場面でした。

去年の顔見世大歌舞伎のあらすじを
公式サイトより引用します↓(※改行・太字・赤字筆者)

塩冶判官は高師直に刃傷に及び切腹、家名は断絶となります。
主君の一大事に居合わせず、その責から猟師となった早野勘平は、
同志の千崎弥五郎主君の仇討ちの資金調達を約束します。
一方、おかるの父与市兵衛は夜道で斧定九郎に襲われ命を落とし
勘平の仇討ち資金としておかるを身売りして用立てた金を奪われます。
しかし、定九郎は猪を狙った勘平の銃弾を受け絶命。
勘平その金を抜き取り逃げ去ります。
翌日、おかるを引き取りにきたお才の話から、
昨晩撃ち殺したのが与市兵衛だと思い込んだ勘平は、
不破数右衛門と千崎弥五郎、姑のおかやに詰問され、
不忠を悔いて腹を切ります。
しかし、定九郎が真犯人であったことが判明、
勘平は仇討ちの血判に名を連ねることを許されると、
安堵して息絶えるのでした。 

…要は、

おかるとの恋に溺れて
タイミング悪く仇討ちに参加できなかった勘平が、
仇討ちの資金調達をしようとしたところ
運悪く自分の義父を巻き込んでしまい、
挙句 義父は命を落としてしまう。

しかも盗んだ金は、
愛するおかるが自分のためを思って
身売りしてまで用立ててくれた五十両だった。

後悔に後悔を重ね、腹を切る勘平。

しかし、実はこの一連が勘違いであり、
それに気付いたときには勘平は虫の息…
最後の力を振り絞って、
仇討ちの血判に参加する、という場面。

だと理解しております!笑

これに続くのが、今回の七段目。
どんな展開になるのでしょう。

公式サイトによれば、

「由良之助の真意や平右衛門と妹おかるの胸の内が明らかになる」

とのこと。

まずいです、人間関係がわからないです…
筋書(※プログラム)を熟読するパターンですね。

ちなみに六段目に関しては、文楽のお話ですが
三浦しをんさんの『仏果を得ず』という小説に出てくる
主人公の解釈が非常に生々しくて好きです。



■観てみたい演目は?


本音を言えば、全部観たいですよ

夜の部は、中村勘九郎さんの二人のお子さん
勘太郎くん、長三郎くんが揃い踏みですし
(中村屋さんのドキュメンタリーでいつも癒されるお二人) 

二幕目の舞踊劇というのも気になる。

有名な忠臣蔵も、しっかり観ておきたい。

昼の部は、やはり踊りに惹かれますね。
中村七之助さん「近江のお兼」。 

あとは武士というものに心揺さぶられがちなので、
一幕目の「実盛物語」も気になっています。 


■どのチケットを買う?


もうこれは本当に、泣く泣く決断しました。

初心者が選んだのは、
昼の部・竹席でした。


決定の理由といたしましては、まず

土日が竹席以外売り切れていた。

チケット販売開始当日に買ったのに…
きっと座席数も少ないので、
先行発売(?)の時点から競争率がすごいのでしょうね…

そして、

全て観にいく金銭的・時間的余裕はない。

11月は、歌舞伎座だって魅力的だし
シネマ歌舞伎だって面白そう
なんです。

幕見という選択肢がない平成中村座、
どちらかに絞るしかない。

そうなったときに決め手になったのは、
私の場合は武士と踊りでした。

やっぱり馴染めそうなものが選びやすい
少しでも知っているものがあれば、
そちらにひかれてしまいます。

でも夜の部は夜の部で、
選んでいたとしても何の違和感もない決め手の豊富さ…

ああ、無尽蔵にお金と時間を使えたら。。


■まとめ


初めての平成中村座。
浅草に芝居小屋ができるというコンセプトだけで
わくわくしてきます。

とにかくどんな状況なのかが全く掴めないので
大変に不安ではありますが、
逆に経験としては学ぶことがたくさんありそうです。

迷いに迷って買ったチケット、
心の底から公演を楽しみにしています!

 
プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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