前回の「劇場レポート編」に続いて、今度は観劇の感想編です。
もう千穐楽直前ではありますが…^^;
もう千穐楽直前ではありますが…^^;
今回は思い切って筋書を買いませんでした。
なぜならば、お金がなかったからです。 かなしい。
「実盛物語」が複雑そうだったので、劇場に向かう電車の中でちょちょっと予習してから臨みました。
***
観劇前のそれぞれの知識については、物知らずシリーズのこの記事で綴っております。
■初心者が楽しめた演目は?
すべて楽しめました!
ただ「実盛物語」に関しては台詞がやや難しく、
源平の争いの中で「源氏方」「平家方」も途中から複雑になってくるので、
予習をしたり筋書を読んだりした方が楽しめるかもしれません。
「近江のお兼」は舞踊。演出も派手で見応えがあるので、踊り好きでなくとも楽しめると思います!
「狐狸狐狸ばなし」は騙し騙されということで、頭の回転の遅い自分がついていけるか大変心細かったのですが、
始まってみれば何のことはない!杞憂でした!!!
今回一番笑った演目でした。小さな会場だからこそ面白い部分もあり。
選んだ席も非常に良かったです。
ただ「実盛物語」に関しては台詞がやや難しく、
源平の争いの中で「源氏方」「平家方」も途中から複雑になってくるので、
予習をしたり筋書を読んだりした方が楽しめるかもしれません。
「近江のお兼」は舞踊。演出も派手で見応えがあるので、踊り好きでなくとも楽しめると思います!
「狐狸狐狸ばなし」は騙し騙されということで、頭の回転の遅い自分がついていけるか大変心細かったのですが、
始まってみれば何のことはない!杞憂でした!!!
今回一番笑った演目でした。小さな会場だからこそ面白い部分もあり。
選んだ席も非常に良かったです。
■私はこう見た!ここが好き!
*実盛物語
これはもう、いい話なんですよ…
ネタバレになってしまうかもしれませんが、この場面に本当に悪い人は一人しかいないんです。
あとは男も女も、忠義と思いやりに溢れているんです。
特に瀬尾十郎(片岡亀蔵さん)の変わりようにぐっときました。
見た目からしてかっこいい実盛と異なり、瀬尾は見るからに敵。
源氏方の葵御前(坂東新悟さん)への難癖の付け方も徹底していて、同じ平家方の実盛にたしなめられるような人物です。
そこからの、太郎吉(中村長三郎くん)との関係性の中で見せる本心が凄い。瀬尾はなんという運命を抱えていたのか…
死に際のとんぼ(平馬返りというらしい)、見せ場ですね!
舞台との距離が近かったこともあって、迫力がありました。
それから、実盛(中村勘九郎さん)が小万(中村児太郎さん)の最期を語るところ。
(「実盛の物語」だと思っていたのですが、「実盛が物語る」話なので「実盛物語」なんですね。笑)
語りに合わせた動きの一つ一つがぴしりぴしりときまり、本当に清々しくてかっこよかった。
このあと、告げ口しようとする輩・仁惣太(中村いてうさん)(=この場面唯一の悪者)を手裏剣で討つのですが、その手裏剣を投げた格好もまたきりっと素敵でした。
と、いろいろ見せ場はあるのですが、
このお芝居で沸かせたのは、やっぱり何と言っても太郎吉(長三郎くん)ですね。
ドキュメンタリーの影響力も少なからずあるようで、長台詞の前には近くに座っていた方が「頑張れ!」とつぶやいていらっしゃいました。笑
葵御前出産の場面でどうしても興味が抑えられず、何度もお産の部屋を覗こうとして毎回実盛に連れ戻されるところとか、
綿繰り機を馬に見立ててまたがって、実盛に「親の仇」と立ち向かってみせた割にその相手に鼻を拭いてもらうあたりとか、
実盛の馬に乗らせてもらって、実盛に頭をなでられながら大いにご満悦の様子とか。
実盛の温かさと大きさに、太郎吉の無邪気な愛嬌が加わって、いい場面だらけでした。
後半、「太郎吉が成人したら自分を討つように」と実盛が言い聞かせる場面、
登場人物たちが竹本のリズムに合わせて台詞を言っていくのが聞いていて面白かった。
そして最後、実盛が馬に乗って引っ込む花道。
馬が見せますね!!笑
実盛がせっかくかっこよく指示を出しているのに、少しも言うことを聞かない馬がとぼけていてかわいかったです。
実盛の怪訝そうな顔も良かった。
*近江のお兼
馬で花道に引っ込んだ実盛のあとは、
馬が暴れながら花道から登場する舞踊「近江のお兼」です。 笑
この舞踊、とにかく馬がすごいんです!!
構造としては、馬の中に二人入って、前足と後ろ足を担当しているのですが、途中で馬が二本の足で立つところがある。
つまり、後ろ足の人が前足の人を抱え上げているということですよね!
馬だけでも結構な重量がありそうな中で、これをやっているなんて…!
最後まで存在感を発揮し続ける馬、会場も大いに沸いていました。
お兼は中村七之助さん。
手踊りと手ぬぐいの踊りのところ、娘だけれども他の娘とはまた少し違って、どこかにたくましさというか、芯の太さみたいなものを感じる娘でした。
そりゃあ怪力のお兼さんのことですもの。
そして最後の晒のところは、やっぱり見せ場ですよね!
晒がはためく音はさすがに聞こえなかったのですが、あのスピードで美しく晒を振るのは見ごたえがありました。
しかも下駄履き!!!
動きにくい下駄で大きく細かく晒を振ったあと、すっと座って一度きまるのですが、あれだけ動いたのにその座った姿勢の美しいことと言ったら。
踊る人としては当たり前のことなのかもしれませんが、「さすが」と思った瞬間でした。
それからもう一つ。
勘三郎さんの踊りは映像でしか見たことがなく、踊りの知識もないままに言うのは失礼も甚だしいとは思いつつ。。
ちょっとした足の運びがすごく似ていらっしゃるな、と思ったのです。
「あっ、この形!」と思う瞬間があったのを、忘れたくなくてここに記しておきます。
*狐狸狐狸ばなし
これはお楽しみな演目でしたね!
時代物、舞踊ときて、最後に現代語で分かりやすく面白い演目がくる構成、初心者には大変ありがたかったです。
もう千秋楽間近ですが、これは絶対にネタバレしない方が楽しめるので、あらすじには極力触れないように印象に残っているところをば。
まず主人公・おきわ(七之助さん) の旦那である伊之助(中村扇雀さん)には、度々笑わされました!
ちょっと洗濯物を干すときのアクの強い動きとか、倒れる間際の音楽に乗った軽快な動きとか、要所要所で絶妙でした。
何よりも笑ったのが、化けて出るところ。
大真面目に凄みを出しながらおもしろいので、そのギャップがおかしくて一人でしばらくツボにはまってしまった。笑
雇人又市(中村虎之助さん)とのシーンも面白かったです。
お二方が親子でいらっしゃるのを知ってから見ると、台詞の些細なところに笑いどころがあっていいですね!
又市、キャラが掴めないと思っていたらすっかりしてやられましたよ…。
芝居の中で最も怖かったのがおきわですね。
旦那のさばき方の淡々とした感じ、打って変わって浮気相手の法印(中村芝翫さん)へのしつこいほどのからみ、うわべの取り繕い方、、
世に言う女性の怖さを凝縮した感じでした。ラストが特に秀逸。
キャラとして恐ろしすぎたのは、牛娘(片岡亀蔵さん)です。勢いと圧が凄い!笑
展開を読むのが苦手な私でも、無理なくついていけたし楽しめました。
何しろ自分の席の間近が舞台になる感動…!!!
平成中村座だからこそできた体験だったな、とありがたく感じます。
■まとめ
2回にわたってレポートしてきました、2018年の平成中村座 昼の部。
「平成中村座」という体験ができたことを嬉しく思います。
見にくかったり、椅子が固かったりといろいろありますが、全部総合してあの空気だったからいいや!と思えます。笑
強いて言うなら、夜の部も見たかった。。
次に平成中村座が浅草に来るのはいつになるのでしょう。早くも楽しみです。
そのときには今よりもっと思うことが増えるのだろうな、と思います。
何はともあれ、
今年の私が歌舞伎好きで、この機会を得られて本当に良かった!