ほんのり*和もの好き

歌舞伎や文楽、日本舞踊、着物のことなど、肩肘張らない「和もの」の楽しみを、初心者の視点で語ります。

舞妓

京の芸舞妓さんに学ぶ、社会での生き方。『舞妓の言葉』感想

舞妓さんの着物姿の美しさが好きで、
可愛らしい写真のたくさん載っているこの本を手に取りました。

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『舞妓の言葉 京都花街、人育ての極意
(西尾久美子、東洋経済新報社)


舞妓さんたちが、修行を始めたばかりの「仕込みさん」から
舞妓として成長していき、
芸のプロフェッショナルである芸妓となっていく過程で、

先輩の芸舞妓さんや周囲の人からかけてもらう言葉、
自分自身を律していく言葉など、

成長のカギになってくる言葉が紹介されています。

耳に柔らかい京ことばで語られるそれぞれの言葉には、

舞妓の世界だけでなく、私が社会人になってから
初めて気づかされたようなこと
もたくさん。


頭でっかちにならずに謙虚に行動すること、

ミスをしても隠さずに報告すること、

周りを見ながら何が必要かを考えて動くこと、、


それを10代半ばから後半くらいの女の子たちが
当たり前のように身につけ、実践し、
後輩に指導までしているのですから、

花街の教育システムは凄いと思いますし、
吸収していく彼女たちの熱意にも頭が下がります。 

***

一番印象に残って、自分も心がけている言葉を一つ。

「どんなことがあっても、
お稽古休んだらあかんのえ」

見習いさんから舞妓としてデビューするころに、
お茶屋のお母さんからかけられたという言葉です。

プロになったら、夜遅くまで仕事があって、
朝からのお稽古は体が辛く、休みたくなる。

けれどそれでは、自分の力が伸びないだけではなく
周りからの信用まで失ってしまう。

だから、お稽古を休む口実を探し出してはならない、
多少の体調不良はおしてもお稽古に行く。

…という意味に加え、

先輩たちのお稽古に常に触れることで
自分の目標を意識し続ける、という
お稽古場ならではの成長機会も意図しているとのことです。(p.48〜50)
 
***

この言葉に触れてから、私自身も今まで以上に
お稽古を休まない、ということを意識し出した気がします。

自分はあくまで趣味で踊りを習っているのにすぎないのですが、
いつかもっと上手くなって、
今よりも踊る機会を増やしたい。 

そうなったときに、常に絶好調なんてことはあり得ない。

そのため、体調が万全ではなくても
踊れるようにしておきたいと思っています。

舞妓さんにかけられる言葉とは 少し意図が変わりますが、
お稽古場に行けば、そこに常に目標があるのは同じ。 

えいやっ!と思って一度お稽古に行ってみてしまえば、
もうそこはモチベーションの塊で、

後悔は絶対にしないのです。 

この本を読んでから、
お稽古をうやむやにサボりそうになるときは
「どんなことがあってもお稽古休んだらあかん!!!」 
と自分に言い聞かせるようになりました。笑 

***

すでに社会に出ている自分も はっとさせられる言葉がたくさんの一冊。

加えて、何より写真が素晴らしく美しいので
わくわくしながらページをめくり、眺め暮らしました。

着物好きの方、京都好きの方、
ぜひお手に取ってみてください。

 

舞妓の言葉 京都花街、人育ての極意 [ 西尾久美子 ]

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自然と前向きになれる漫画『舞妓さんちのまかないさん』

今、お稽古場で流行中の漫画があります。

それが、『舞妓さんちのまかないさん 』(小山愛子)。

絵がかわいいのはもちろんのこと、
自然と背筋が伸びるような、
何かに一生懸命になりたい!と素直に思えるような漫画です。

大好きな漫画が、また一つ増えました。

舞妓さんちのまかないさん 1 (少年サンデーコミックス〔スペシャル〕) [ 小山 愛子 ]

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見どころ1*キヨちゃんの作るごはん・お菓子


キヨちゃんは、この漫画の主人公。
舞妓を目指し、幼馴染のすーちゃん(すみれ)とともに
16歳で故郷・青森から京都花街に出てきました。

しかし、キヨちゃんはとある事情から、
舞妓さんたちの普段のごはんを作る「まかないさん」として
屋形に身を置くことになるのです。

キヨちゃんは、いつも舞妓さんたちのことを思いながら、
ていねいにごはんを作ります。

時には、お菓子や飲み物で彼女たちの疲れを癒します。

そのおいしそうなこと!

絵から優しさと温かさが伝わってきて、
幸せな気持ちになります。


見どころ2*舞妓さんたちの着物・生活


舞妓さんと言えば、華やかな着物。
この漫画では、かわいらしい舞妓さんたちの着物姿
何ページにもわたって眺め暮らせるんです〜!!!

花街ならではの年中行事や、
舞妓さんたちの暮らしも興味深い。

特に屋形での日常や、貴重な休日の過ごし方なんかは、
舞台裏をのぞいちゃったみたいで楽しいです。


見どころ3*温かな人間模様


見どころ1でも触れたけれど、
この漫画の好きなところは、キヨちゃんのさりげない優しさ。
(しかも本人が天然なので、優しさに全然嫌味がない)

そしてキヨちゃんとすーちゃんの、幼馴染だからこその
厚い信頼関係、お互いへのまっすぐな敬意。

モノローグがあるわけではないのに、
ちょっとした表情や行動からものすごく伝わってきます。

仕事で疲れたときとか、ちょっとへこんだときに読むと、
この押し付けがましくない温かさにほろっとくるのです。


見どころ4*努力の天才・百はなちゃん


「百はな」は、すーちゃんの舞妓さんとしてのお名前。
百はなちゃんはめきめきと実力を伸ばし、
京都花街のホープとして活躍しはじめます。

そんな百はなちゃん、実はみんなが寝たあとや
まだ寝ているような早い時間にも、
一生懸命 踊りの練習をしています。

時間ができればお茶屋さん回り(ご挨拶回り)に勤しみ、
どこのお茶屋のおかあさんがどんなものを好きなのか、
何をしたら喜ぶのか考える。

とにかく怠けることがない、努力の天才です。

そんな百はなちゃんの姿に、
私はいつも勝手に刺激を受けて、

私ももっともっと頑張りたい!

と至極素直に背筋を伸ばしているのです。


◎前向きに頑張りたいときにおすすめ!


なんだかもう頑張れないかも、とか
うまくいかないことだらけ、とか

そんなときにぜひ手に取ってみてください。

おいしそうなごはんやお菓子に癒されながら、
優しく背中を押してもらえると思います。 

現在6巻まで出ていて、継続中です。
7巻は今秋発売予定とのこと。

すでに次巻が楽しみです〜

 

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プロフィール

わこ

◆首都圏在住╱平成生まれOL。
◆大学で日本舞踊に出会う
→社会に出てから歌舞伎と文楽にはまる
→観劇5年目。このご時世でなかなか劇場に通えず悶々とする日々。
◆着物好きの友人と踊りの師匠のおかげで、気軽に着物を着られるようになってきた今日この頃。

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